済州島は昔から海女が有名で、彼女たちは今も実際に家族の生活を支えており、また済州島における観光資源としても大きな役割を果たしている。ところが最近は海女の後継者不足が深刻となり、海女という職業の存続が不安視されるようになった。2013年に済州特別自治道が行った調査によると、現役の海女たちおよそ2600人のうち、60歳以上が全体の81.8%を占めていた。これに対して新規に登録している海女は年間15人程度で、海女全体の数も毎年3-4%のペースで減少を続けている。このままでは海女の数は10年後には半分、20年後には完全にいなくなる恐れがあるという。
済州特別自治道は海女学校などを通じて若い海女を募集し、また新規に登録した海女には何らかのインセンティブを与えるなど、さまざまな形で支援を行ってはいるが、それでも新規の登録者は増えない。その理由は社会における海女に対する認識と賃金だ。済州島の海女の平均賃金は月170-270万ウォン(約18-29万円)だが、これは日本の海女の平均賃金である42-64万円の半分以下だ。この問題を解消するため韓国政府は海女産業増進政策を進めてはいるが、それも日本に比べればやはり微々たるものだ。職業としての意識も日本の方が韓国よりも高い。
海女がいなくなるとなれば、これは済州島における大きな観光資源が失われることになり、同時に強い生活力を持つ済州島女性のイメージも失われてしまう。そのため政府は海女の賃金や社会的地位の改善にもっと努力すべきで、国民も海女という仕事を今後も長く存続させるため、より多くの関心を傾けてほしい。