2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場。二つのデザイン案を公表した日本スポーツ振興センター(JSC)は17日、競技関係者との3日間の意見交換会を終えた。参加した5競技団体とアスリートら12人からは、競技場内の選手の移動しやすさや観客からの見やすさ、芝の管理を重視して選んで欲しいとの声が上がった。
意見交換会は非公開。取材に応じたマラソンの金哲彦氏は「開閉会式が華やかになるのはA案、レガシー(遺産)としやすいのはB案」と意見を述べ、障害者水泳の河合純一氏は「(全盲のため)デザインは見ていないが、5歳の息子はA案がいいと言っていた」などと話した。
また、日本サッカー協会の田嶋幸三副会長は、五輪時の6万8千席から、サッカーのワールドカップを見据えて8万席にする時には観客の臨場感を大切にして欲しいとし、良質の芝を育成するために採光や風通しを考慮して欲しいと要望。ラグビーの清宮克幸氏も「(この案で)芝がきちんと維持できるのか」と問題提起をしたという。日本オリンピック委員会の平岡英介専務理事は、夏の開催であることから「暑さ対策」を求めたほか、選手の控室の広さを中心に案を検討するよう求めたとする。日本陸上競技連盟は、両案ともが大型ビジョンを「2基」としていることから、増やすよう求めたとした。
ラグビーの平尾誠二氏は「見れば見るほど難しく、最終的には好みになる。競技によって優先する部分が違うから、まとめるのは大変だと思う」と話した。
JSCは19日に業者2チームからヒアリングを行い、審査委員会の採点に基づき採用案を決める。関係閣僚会議の了承を経て年内に最終決定する。
■ネットの声「両案ともいい」
JSCは2案を公表した14日からホームページ上で意見を募っており、17日朝の時点で635件が寄せられた。JSCによると、「両案ともいい」との意見が目立ち、支持数に大差はないという。選考だけでなく、今後の設計や建築段階でも国民の声を反映させたいとして、意見募集は新国立競技場完成まで続けることにしている。
■意見交換会の参加者・団体
朝原宣治(陸上)、河合純一(障害者水泳)、根木慎志(車いすバスケットボール)、北沢豪(サッカー)、清宮克幸(ラグビー)、金哲彦(陸上)、山口香(柔道)、ヨーコ・ゼッターランド(バレーボール)、岡田武史(サッカー)、平尾誠二(ラグビー)、溝口紀子(柔道)、室伏広治(陸上)、日本陸連、日本オリンピック委員会、日本サッカー協会、日本障がい者スポーツ協会、日本パラリンピック委員会