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1次審査で投票操作 参加要請作品通過図る

旧エンブレム審査の流れ

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は18日、旧公式エンブレム選考過程の調査結果を公表し、1次審査で投票を意図的に操作する不正を認めた。アートディレクターの佐野研二郎氏の作品が採用された最終決定に影響はなかったと結論づけたうえで「公正さや透明性の認識の欠如」と指摘した。

     組織委の内部検証で、当時のマーケティング局長の槙英俊氏の判断で、審査委員代表の永井一正氏と審査委員でクリエイティブディレクターだった高崎卓馬氏の連名で、実績ある8人のデザイナーに水面下で参加要請文書を送付したことが発覚。そこから入選3作品が選ばれていたため、元東京地検検事の和田衛弁護士ら4人の調査チームに検証を依頼していた。

     調査結果によると、1次審査は応募104作品の中から2票以上獲得した作品が通過する仕組み。8人の審査委員がそれぞれ最大20作品を選び、プラスチック製の札を置いて投票した。投票締め切り間際に、参加要請したデザイナーの8作品のうち2作品に1票しか入っていないことに気づいた槙氏が高崎氏を伴って、永井氏に状況を耳打ち。票を使い切っていなかった永井氏がその2作品に投票した。永井氏は8作品をすべて2次審査に進ませるよう槙氏と高崎氏に要望していた。

     投票の操作により進んだ2作品は、37作品から14作品に絞った2次審査で落選。調査チームは、2次審査以降に不正が認められないことや、佐野氏の作品は最終審査まで含めて最多得票だったことなどから、最終結果に影響がないと判断した。

     調査では審査委員ら延べ27人から計32時間の聞き取り調査を実施。投票行動の記録映像なども検証された。【藤野智成】

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