「最初は試験的」元理事長、隠蔽認識は否定
熊本市の一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研)の理事長を2012年まで8年間務めた船津昭信氏(70)が19日までに共同通信の取材に応じ、血液製剤の製造で20年以上前から続いた、血液が固まるのを防ぐヘパリンの未承認添加について「最初は試験的に入れ、いずれはやめるか何かするはずだった」と明かした。問題の長期化や隠蔽(いんぺい)工作は知らなかったと釈明した。
船津氏は1988年ごろ、血液製剤部門の部長を務め、92年に理事、04年に理事長に就任。化血研第三者委員会の報告書は「圧倒的な発言力を有し、不正や隠蔽を認識しながら漫然と放置した」と組織への影響力の大きさを指摘していた。
報告書はヘパリンの未承認添加が91年に始まったと認定。船津氏は「より良い血液製剤を作るためだった。一時的だったものが、いつの段階からか入れ続けなくてはならないものになり、今に至ったのだろう」と語った。
当時の認識に関して「薬事法(現医薬品医療機器法)が厳しくなる前で、国の承認書と不整合だと言えるほどではなかった」と述べ、不正と受け止めていなかったと説明した。
報告書が指摘した影響力については「誰かが悪かったという原因をつくらなければならないから書いたのだろう」と否定。理事就任後の経緯や隠蔽工作は問題発覚後に知ったとして「(役員として)きちんとフォローすべきだった」と謝罪した。(共同)