騒乱容疑で送検 保守系紙などが批判
【ソウル米村耕一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権を批判するデモを主導した民主労働組合総連盟(民主労総)の委員長(53)を、韓国警察は18日に騒乱容疑などで送検した。デモ隊と機動隊が衝突し双方に負傷者が出たが、同容疑での送検は29年ぶりで、保守系紙の中央日報は19日、社説で「(時代に)逆行する適用は問題だ」と批判した。
同紙は「民主労総などに騒乱勢力というレッテルを貼り『集会の自由』を萎縮させる意図があるのではないか」と指摘した。ソウル中心部では19日、大規模集会が開かれ、民主労務側は「労働市場改革に反対するデモをして捕まる。これが正しい国の姿なのか」と、厳しい口調で訴えた。
11月中旬に起きたデモを巡り、警察は今月10日に民主労務委員長を「不法デモ」や「特殊公務執行妨害」の疑いで拘束。18日に送検する際に騒乱容疑も加えた。
韓国メディアによると騒乱罪は「暴行や損壊によって地域の平穏と安定が害される」場合に適用され、有罪になれば1年以上10年以下の懲役刑などが科される。これまでに適用されたのは1987年の民主化以前の4回だけで、いずれも軍事政権への抵抗や民主化運動に伴うものだった。