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 サッカーのクラブワールドカップ(W杯)で4年ぶりの王座を目指すスペインの強豪バルセロナは20日、横浜・日産スタジアムでリバープレート(アルゼンチン)との決勝に挑む。スペインからの独立機運が高まるカタルーニャ州の象徴的存在で、「ソシオ」と呼ばれる後援会員に支えられた地域密着がクラブの伝統だが、近年は国際化にも力を入れる。来日中のジョセップ・マリア・バルトメウ会長(52)は「日本はバルセロナの世界戦略の中でも、重要な位置づけにある」と語る。

 17日、日産スタジアムで開かれた準決勝の広州恒大(中国)戦は6万4千人近い大観衆で埋まった。最寄りの新横浜駅から競技場への途中には、バルセロナのマフラーやレプリカユニホームを売る店が並び、多くのファンが買い求めた。

 ファンの目当ては世界を魅了する南米トリオだ。この日は、受賞すれば5度目となる国際サッカー連盟の年間最優秀選手賞の候補になっているメッシ(アルゼンチン代表)とブラジル代表のネイマールが欠場したが、ウルグアイ代表のスアレスが大会初の1試合3得点のハットトリックを達成して快勝した。

 数多くの名選手を擁し、栄光を築いてきたバルセロナは、新たな黄金時代を迎えている。昨季、欧州チャンピオンズリーグ、スペインリーグ、国王杯の3冠を達成した。朝日新聞社の単独インタビューに応じたバルトメウ会長は「私たちの哲学はボールを常に支配すること。その伝統を崩さず、攻めにスピードを加味した新しいサイクルに入った」と胸を張る。

 バルセロナは地元の誇りであり続ける。フランコ独裁政権時代に弾圧を受け、カタルーニャ語が使用禁止になった時代でも、スタジアムでは堂々と叫ばれたという。現在約14万5千人いるソシオの年会費がクラブを支えてきた。1980年代以降、多くのクラブがユニホームにスポンサー名を入れる権利を売って財源にしたが、バルセロナは市民クラブの「独立」を守るため長年拒んできた。

 しかし時代の流れにあらがえず、経営陣は国際化へかじを切った。会長は「マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を先駆けに世界規模のマーケティングが盛んになり、対抗するには収益を拡大する必要が生じた」。ソシオの総会で賛同を得て、2011年から、ユニホームにスポンサー名を入れ始めた。