養蚕革命!遺伝子組み換えで光るシルクやタンパク質を大量生産へ?
富岡製糸場が世界遺産となった2014年。かつて絹を大量生産し、海外へと輸出して国を支えた、日本の一大産業「養蚕」に新たな光が当たろうとしている。
クラゲの遺伝子を組み込み光るシルク生産
注目を浴びているのは光るシルクだ。茨城県の農業生物資源研究所が開発したのは、オワンクラゲやサンゴなどの遺伝子を組み込んだ「遺伝子組み換えカイコ」で、光るタンパク質を含んだシルクを作ることができる。
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2000年に初めて遺伝子組み換えに成功し、ウェディングドレスやニットなどを試作。カイコ3万匹で約8キログラムのシルクが取れるといい、1着には1~3万匹のカイコが必要だ。
同研究所は1日、飼育技術の確立と生態系への影響を調査するための飼育実験を開始。年に2回、約1万5000匹ずつの遺伝子組み換えカイコを飼育するという。
医療原料としてのタンパク質生産も
一方で、医療分野でも遺伝子組み換えカイコへの期待が高まっている。
群馬県の免疫生物研究所は1日、遺伝子組み換えカイコが作ったヒトコラーゲンを含む化粧品を発売。同研究所から技術を導入する兵庫県の酒造会社大関は5月に、遺伝子組み換えカイコを使った有用タンパク質を提供するサービスを開始した。
また、同研究所は、インフルエンザワクチンの原料となるタンパク質を作る遺伝子組み換えカイコの開発にも成功。アステラス製薬と提携し、来年6月までにパイロット工場を稼働予定。工場内では10~20万匹の遺伝子組み換えカイコを育てて、有用タンパク質を供給するという。
遺伝子組み換えカイコが作るタンパク質は「人工血管」などにも使われるという。
「昆虫工場」に未来
「昆虫工場」と呼ばれる遺伝子組み換えカイコの大量生産だが、医薬品に用いるための技術開発はまだ十分ではないようだ。また、体内に摂取するとなれば、人体への影響も気になるところ。
カイコを中心としたバイオ革命は、かつての産業革命と同様に、また日本を救ってくれるのだろうか。
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