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 メディアや議会の批判を繰り出しつつ、今後の身の振り方はけむに巻く。橋下徹大阪市長(46)の退任会見は最後まで「橋下節」に満ちていた。知事と市長、政党党首として、大阪政界と国政を揺らし続けた8年間、「すべて出し切った」と総括し、舞台を降りた。

 大阪市役所5階にある記者会見場。橋下氏が数々の論戦を繰り広げてきた場所に、報道陣約100人が詰めかけた。

 「ちょっと二、三、メディアにも文句を言いたい」。濃紺のスーツに水色ネクタイ姿の橋下氏がまず口にしたのは苦情だった。

 橋下氏の業績を検証した新聞記事に「(経済が)どん底の時期に(前任者から)引き継いだ。もうちょっと長期の比較を」と切り込み、労働組合との紛争を整理して報じるよう要求。批判を浴びた自身の慰安婦発言も「問題提起をしたつもり」と改めて反論した。

 さらに「府議会と市議会の判断がまとまらないのは大阪の大不幸だった」と対立してきた市議会をバッサリ。「議会をゼロにして、作り直しましょうというのが大阪都構想の本質」と言い切った。5月の住民投票で廃案となった都構想の狙いは、市議会解体だったとの「本音」をにじませた。

 「敵」をつくり、対立の構図を見せては支持を集めるのが橋下流。自民党市議団の幹部は「これ以上引っかき回せないぐらい引っかき回した」と漏らした。

 会見では自身の8年間の府政・市政運営について「住民サービスの転換を徹底してやってきた」と自賛。「(投票に行く)高齢者から票にならない現役世代にお金を回したことを、評価してくれる子育て世帯は非常に多いかと思う」と誇らしげに語った。

 政治家は「38~46歳の、人生で一番エネルギーのあるときに、全力を投じるだけの価値がある仕事だった」と話したが、今後の政界との関わりについては微妙な言いぶりに終始。今後は弁護士として国政政党「おおさか維新の会」の法律政策顧問に就任するが、その役割は「守秘義務の範囲」と言葉を濁した。

 代表を務めた地域政党「大阪維新の会」は16日付の文書で、所属議員らに対し、橋下氏の画像や動画をすべて削除するよう指示。ただ、橋下氏は憲法改正にはこだわりがあるようで、会見でも「法律顧問として言っていく」と口出しも辞さない姿勢を見せた。

 約1時間40分に及んだ記者会見。最後は「1人でコンビニに行くのが第1目標」とおどけてみせた。

 2008年の知事就任時。橋下氏はあいさつで府庁職員を「破産会社の従業員」と呼び、市長就任後はすぐに、選挙で対立した職員労働組合のトップを謝罪させた。「嵐のような4年間」(市幹部)を終え、橋下氏は幹部を集めた会議で、「よく支えてくれた」とねぎらった。

 退庁の午後4時、正面玄関に集まったのは、市民や職員ら約800人。去り際には、「橋下」コールがわき起こった。

■退任会見、このほかの発言

 これ以上やれっていっても無理です。役所の中でも反対の声が巻き起こるプランは全部まとめた。議会ときちっと議論をして、修正を繰り返しながらまとめていく段階だ。

 大阪都構想は協定書までできあがっているので、反対の人たちとまとめていくのは、吉村洋文新市長の真骨頂だ。政治行政の場には、利害関係者が無限にいる。その中で物事を実行するしんどさは、本当に想像を超えていた。

 僕は住民サービスの転換をやったわけだから、賛成・反対が出てくるのは当たり前だ。万人から好かれる政治なんてできない。今の僕のようにずっと転換ばかりをやって、賛成・反対を問い続けるのは良くない。僕はワンポイントでいい。

 知事と市長をやって、行政の意思決定のあり方を作り直さないといけないと痛切に感じた。国全体でもやらないといけない。今のやり方では、政府が決めれば、進んでいく。意思決定は現場におろさないと。

 地方分権型の憲法に改正する。二極化して、法律で副首都を定める。地方議員サイドから地方分権を目指す。自民、民主ではない第3のグループがあってもいい。地方を活性化させるための今までにない切り口で憲法改正を訴えていく最大のチャンスが参院選だ。

 弁護士として、知事と市長と国政政党の代表の経験を生かしたい。政党運営や行政運営をアドバイスできるのは日本の中でも僕ぐらい。新しい弁護士の領域に挑戦してみたい。