【ワシントン=河浪武史】米下院は18日、40年ぶりの原油輸出解禁を盛り込んだ2016会計年度(15年10月~16年9月)の歳出法案を可決した。与野党は法案の内容で既に合意しており、下院に続いて上院でも可決される公算が大きい。米国はシェール革命で原油生産量が増大しており、輸出解禁によって世界の原油市況をもう一段下押しする可能性も出てくる。
歳出法案には、国際通貨基金(IMF)の資本改革案の承認も含まれている。中国など新興国の出資比率を高める改革案で、2010年に決めたものの、米国は野党・共和党を中心とする議会の反対で承認を見送ってきた経緯がある。IMFの資本改革が実現すれば、中国の出資比率は現在の6位から、米国、日本に次ぐ3位に浮上する。
原油輸出の解禁は1975年以来、40年ぶり。米国は73年の第1次石油危機を受けて、国産原油の輸出を原則禁止してきたが、シェール革命によって生産量が増大した国内事業者は大量の在庫を抱えており、海外への販路拡大を求めていた。オバマ政権は地球温暖化対策を重視して輸出解禁に反対してきたが、太陽光発電など再生可能エネルギーの税制優遇の拡充と一体にすることで容認に転じた。
米国の原油生産量はサウジアラビア、ロシアに次ぐ世界3位。足元は原油安で生産量が伸び悩んでいるが、シェール革命で先行きの増産余地が大きく、輸出解禁が世界の原油市況に下押し圧力を加える可能性がある。もっとも米国は原油の輸入量でも世界最大規模を誇っており、国内需要とのバランスから解禁後に輸出量がどれだけ増えるか見通しにくい面もある。
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