ソウル中央地裁が17日、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対し無罪を言い渡したことについて、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は反応を示していない。韓国大統領府は報道内容が虚偽だという裁判所の判断が出たため、もうこれ以上この問題による外交的負担を増すようなことはしない考えだと言われている。
代わりに見解を発表したのは韓国外交部(省に相当)だった。外交部当局者は「今回の事案は法的な問題であり、外交事案ではない。(加藤前支局長)起訴が原因による負担が取り除かれただけに、今後は韓日関係改善のきっかけになることを期待している」と述べた。この当局者は「今後、こうした虚偽報道が韓日関係に負担を与えることが絶対にあってはならないことを日本側に伝え、強調した」とも言った。
外交部はまた、先に日本の政界・官界の人物が「この事件は両国関係でかなりの障害要因になっているので善処してほしい。日本側の要請を考慮ほしい」との見解を法務部に伝えてきたとも述べた。
日本の安倍晋三首相は「無罪判決が出たことを評価する。日韓関係に前向きな影響が出てくることを期待したい」とコメントした。
安倍首相はこれまで、この問題を両国関係の主要議題とし、加藤前支局長を一貫して擁護してきた。今年4月に加藤前支局長が帰国すると首相官邸に呼び、「ご苦労様でした」といたわり、先月朴大統領と首脳会談を行った時にもこの問題を取り上げた。日本の外務省が今年の初め、2015年版外交青書から「韓国と価値観を共有する」という表現を削除したことも、今回の事件が直接的な原因だったと言われている。岸田文雄外相は同日、「表現の自由と両国関係という観点から適切に対応するよう韓国政府に促してきた」と述べた。