米国の利上げの影響が新興国に広がり始めている。17日の市場で中国の人民元が対ドルで10営業日続落と過去最長の下げを記録。約4年半ぶりの安値水準となった。資本流出の拡大や借金の増大といった懸念が韓国を含む新興国経済に暗い影を落としている。
17日の上海市場で人民元は0・16%安の1ドル=6・4837元だった。
中国国営の新華社は14日の評論記事で、米利上げの影響について、十分な外貨準備の「弾薬」があり、元相場が大きく動けば「甘い対応はしない」と指摘。買い介入をにおわせたが、人民元安と投資マネーの流出は止まらない。
急成長で膨らんだ巨額債務や過剰設備などの矛盾が露呈したことが背景にある。李克強首相は「時代遅れとなった生産設備を削減し『ゾンビ企業』を退出させる」と指示したが、中国政府高官は「今後5年間は構造転換の苦しい過程になる」と厳しさを認める。
国際通貨基金(IMF)によると、主要な新興国の企業が抱える借金は14年時点で約18兆ドル(2200兆円)に達し、10年前の4・5倍に急増。米国の利上げをきっかけに新興国の金利も上昇すれば、家計や企業が重い借金を抱えた韓国にとっては大打撃となる。
聯合ニュースによると、韓国貿易協会の研究員は17日、「米国の金利引き上げと中国の景気不安が複合的に作用すると、新興国景気が深刻な低迷に陥り、韓国の輸出が悪い影響を受けることが避けられない」と警戒する。
17日の株式市場では、東京市場の日経平均が1・6%上昇、上海の総合指数も1・8%上伸したが、韓国の総合株価指数(KOSPI)はわずか0・4%高にとどまった。米利上げショックが始まるのはこれからだ。