とある特定の会社については触れるな、責任を問う様な記事を書くなと言われましたが
関係者に緘口令が敷かれ証拠の揉み消しが行われているため、増田にてリークします。
既報にて触れられた箇所は冗長になるため削除しています。
2013年3月に終了した事業で2015年11月時点で配信されない、配信についての期限も切られないのはさすがに民間からすればおかしいのですが、「それではいつ配信されるのか」などの疑問すら封殺して圧力を掛けるのはやり過ぎでは無いでしょうか。
内部資料を入手した上で記事にしているという証拠のため、手元の一部資料を上げておきます。
https://drive.google.com/file/d/0B2eVxJtFskpeNUZURkVjSGZCRms/view?usp=sharing
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◇緊デジとは何か
…東北振興と電子書籍市場活性化を目的とし、書籍電子化を国の補助にて行う総額20億円の事業。
JPOが事業を受託し、パブリッシングリンク社が製作委託業務を請負う。また出版デジタル機構が(補助金とは別に)製作費を立て替える形で、中小の出版社でも費用無しで書籍の電子化が行えるスキームが組まれた。配信も出版デジタル機構が担っている。
実際は2012年4月の出版デジタル機構の設立に伴う"ご祝儀"として組まれた事業。
◇略称
産革:産業革新機構
B社:ビットウェイ社
…2013年10月に機構が合併した電子書籍取次最大手。凸版印刷より買収した。
Y社:機構と取引のある大田区の電子書籍制作会社。イニシャルのみ記載
M社:取次他社。
◇なぜ未配信が発生したのか
(既報ではあるが)とにかく期限内に規定の金額を使い切ること、製作点数を満たすことを優先し、権利処理、製作体制の構築が後回しになったため。
電子化に伴う諸々の権利処理がなされていない状態にも係わらず、見切り発車で電子書籍製作がなされた。仕様も期間中に二転三転し、電子書籍製作を請け負った東北の会社は二重三重に作業を強いられた。
前述した通り緊デジ事業の元請けとなったのはJPOだが、事業スキーム自体は出版デジタル機構ありきで組まれたもの。また、緊デジは機構の営業部門が出版社に対して営業を掛けており、説明会も機構内にて行われていた。JPOとパブリッシングリンク社の出張所も機構内(神保町にあるビル内)に併設されていた。
電子書籍書店への配信部分を担うため、出版デジタル機構では会計監査院の指摘を受ける前から未配信書籍の存在を把握していたが、メンツの問題を恐れて出資母体の産革及び経産省への説明はされていなかった。会計検査院の内々の指摘に対しては、担当の部長や社員が職を辞したので分からない、との説明がされていた。
◇カラ納品で締め日に間に合うように見せかけの納品
・事業は終了すれども納品はされていなかった
何故このようなことになったのか。書籍タイトル募集が不調に終わった後、なんでも良いから申請してくれとの駆け込み募集がなされ、製作、納品、配信と一連の作業が玉突き式に遅れたことに起因する。
すべての工程が問題だったのだが、明確な隠蔽が行われたのは納品工程からである。2013年3月の緊デジ事業締め日に間に合わせるべく、制作会社に未完成のファイルを納品させる"見せかけ上のファイル納品"が行われた。中にはまったく同じファイルをタイトルだけ変えて納品させる例まであった。このカラ納品はネット上の制作会社関係者のブログによっても示唆されている。
これはJPO、PL社、機構の三者による合意の元に行われ、カラ納品をもって産業革新機構および経産省には緊デジ事業は完了したとして報告がされていた。
もちろん実際には納品されていないため、緊デジ締め日以降に発生した実作業によって費用が発生し、決算日をまたいだ予算上の付け替えが発生している。
この納品データを収納したハードディスクは現品が存在しているため、監査を行いファイル日時とファイルの中身を確認するだけで不正行為が判明する。
また、東北の電子書籍製作会社を取材するとカラ納品の指示メール、録音まで保存している会社が複数存在している。
◇電子書籍ファイルフォーマットの多重製作
緊デジ当初はdotbook、XMDFでファイルフォーマットで製作がされていた。このうちePubで作り直し配信した電子書籍や、複数フォーマットで製作を行うが片方のフォーマットでしか配信しなかった電子書籍が一定数存在する。
これらの方針転換は緊デジ期間中にePubが事実上の標準としての地位を固めたことも一因として挙げられる。ネット上の関係者記事からも作り直しや方針転換のため、納品・配信がなされず製作費用が丸々無駄となったものが多数存在することが示唆されている。
どれほどの金額が無駄になったフォーマットに使われたのか、事業が税金を原資としている以上、説明をすべきである。
緊デジで納品された電子書籍ファイルについて、当初は神保町の出版デジタル機構内に併設されているPL社の出張所にて検品がされていた。(異常が見つかったファイルの修正も内々に行われていた)
極めてセンシティブな噂があるため、その後に起こった出来事を事実だけ記す。ファイル納品数の大幅な増加に伴い、当時M社より機構へと出向していたH氏(元M社執行役員部長)の強い働きかけによって、B社と懇意である電子書籍制作会社Y社に、検品残りePubについて検品ならびに修正が委託された。
その際に○千万の金額が"検品と修正の委託"名目で支払われる。(その後H氏はB社と合併した出版デジタル機構の運用部門長として採用されるに至る)
問題は3点。検品と修正がなされているにも関わらず"正常に表示できない"と返答されているファイルがある点、検品について恣意的に特定の1社が選定された疑いがある点、検品費用についての監査が不十分である点である。
1点目
緊デジで製作されたePub電子書籍ファイル(※)は大部分がY社へ検品委託されており、実際に金銭も動いている。であるにも関わらず会計検査院の指摘に対して"正常に表示できない"と返答がされている。はたして、検品・修正は適正にされていたのか。どのような作業が行われていたのか。どのようなやり取りがなされたのか。
※ ePub以外のdotbook、XMDFのフォーマットについては制作中止や配信停止がなされた。別項参照
2点目
まず前提となる情報として、緊デジ事業は電子書籍製作にあたって制作会社公募がなされた。その上で各制作会社に試験を課し、水準に満たない制作会社の足切りを行った上で発注が行われた。
そして、Y社はその"制作"会社選定時の試験で足切りに合った企業である。
足切りにあった企業が緊デジ事業で製作されたファイルの修正と検品を委託されているのである。製作水準に達しない企業が"検品"と修正を行うに足るのかの説明が求められる。
関係者への取材によると"検品"にあたっては検品水準の維持を目的としてY社ただ1社を選んだとの返答だったが、なぜ製作時と同じように公開試験を行い、複数社から選定しなかったのか。透明性のあるプロセスにて選ばれていないため、懇意にしている企業を恣意的に選んだ疑惑があると複数の制作会社からは指摘されている。
3点目
・監査不十分な諸経費分担
出版デジタル機構内に併設された出張所にて検品が行われていた際の費用は、PL社と機構で折半されていた。だが、検品をY社に委託した際にはその費用はほぼ機構のみの負担となっている。
機構の大口出資母体には産革がおり、産革の資金の9割以上が税金で賄われている。前述したように、緊デジ締め日以降に納品されたファイルが存在しており、それらの作業費は緊デジの事業費には乗っていない。
少しややこしくなったので状況を整理すると、緊デジはその事業費外に「締日以降の作業費」「検品・修正費」という形で費用負担が発生しているのだ。
緊デジは東北の復興予算によって賄われた事業だが、出版デジタル機構が負担した作業費用も含めると税金が二重(場合によっては緊デジ事業費、期間外作業費、検品・修正費の三重)に乗った事業ということである。
これは緊デジ事業だけの配信調査・監査では不十分であることを意味する。出版デジタル機構負担分の金銭の流れも含めた監査が必要である。
出版デジタル機構は2014年6月に新社長が就任、新役員体制に移行している。
そして、緊デジは2013年3月に建前上終了している事業である。緊デジ未配信は過去の問題であり現執行部の責任は無い、と現在各所での“言い訳”がなされている。
しかしながら、入手した社内資料では新役員体制への移行時2014年6月時点でもまだ未納品電子書籍が大量に存在していると指摘されている。しかも、あろうことか副社長を排している大手出版社、小学館による大量の未納品まで存在していた。
(より正確には直接申請と代行申請という違いがある。しかしながら納品がされていなかった事実は変わらないため詳細はここでは省略する)
内部関係者より証拠資料付きで告発されたこの件を受け、産業革新機構は出版デジタル機構への投資を不適格として引き上げるべく、引受株式の一部処分を決定したとの情報もある。
http://www.incj.co.jp/PDF/1441072277.03.pdf
◇大手出版社を特別扱い、他社マニュアルを剽窃、著作権法違反をする官製企業の存在意義
機構には緊デジ以外にも問題が指摘されている。取次としての資質が問われているのだ。
ここでは既存出版取次の詳しい説明は省くが、分かりやすく述べると大手・老舗出版社が既得権側として極めて有利な仕組みになっている。料率(出版社取り分)が多くなっており、仮払金と呼ばれる見込み売上金も有利な率で受け取れる。新規の出版社は料率で不利、仮払金も率が悪いどころか受け取れないところもある。
では税金が投入されている電子書籍取次はどうなっているのか。こちらも大手・老舗出版社が有利な仕組みとなっており、一部は取次料なしでの扱いもなされている。取次料なしとは、つまりは大手出版社によってタダで使われているのだ。
税金によって賄われた以上は最低限の公益性・中立性は担保すべきであり、大手・老舗出版社が有利になるのはおかしいと前述の新規・中小出版社からは指摘されている。
民間企業が取引先の重要性に応じて条件に傾斜を付けるのはやむを得ない。だが公器としての存在を期待され出資を受けた以上、中小出版社と同一の条件にするのが筋だという論である。電子書籍取次は出版取次と違い金融機関としての機能は存在しないため、この主張には一定の説得力がある。
この主張には対して、そんなことをすれば同業の取次他社との競争に勝てないと機構出資者の反論もみられた。むろん、公益性の担保と競争力は一部トレードオフの関係にある。だが、現状は競争力の向上と称し得ない。実態は大手出版社に対して国の税金が投入されているのとほぼ同等であり、補助金に近い。
書店に対しても同じことが起こっている。外資を含む一部書店に最恵待遇として有利な料率・条件が結ばれており、事実上の言いなりになっているのだ。
これら重視すべき対象は機構内では戦略出版社、戦略書店と呼ばれ、それ以外はゴミ出版社、ゴミ書店と呼称されている。
税金に群がるのは大手出版社だけではない。「凸版印刷の赤字子会社(※注 ビットウェイ社)を買収した。ではうちに何をしてくれるのか」との大日本印刷の指摘に対して、共通書誌情報システムを大日本印刷関連会社である日本ユニシスへと発注するなどの便宜が図られている。
果たして、このような結果を出版業界は望んでいたのだろうか。出版業界の終わりの始まりに思えてならない。
さらには、同業の取次他社が用いるマニュアルの剽窃まで指摘されている。前述した取次大手M社から部長待遇で転職したH氏の手により、M社資料である電子書籍入稿マニュアルが出版デジタル機構内にて回覧され、出版デジタル機構の同マニュアルの作成時に流用されたという指摘だ。
これは社長、副社長、本部長の認識の元に行われており、社内及び業界内の武勇伝として語られている。もちろんM社の守秘義務違反行為にあたる。競争相手のマニュアルを剽窃する、それによって競争力を高めようとするのは民間でも眉をひそめられる行為だが、税金で作られた企業がやるとなれば民業圧迫との誹りは免れない。
他にも被災地を馬鹿にした発言がなされていた、値段・発売日違い事故の多発、著作権法違反による著者からの抗議、Y社及びT社に対する下請法違反、派遣法に抵触する行為などのコンプライアンス違反が散見されるという、複数の証拠と証言もある。
一部は既に然るべき機関に通報がなされているため、これらの件については調査がなされることを期待したい。万が一ではあるが調査がされない、圧力を受ける等があれば証拠付きで今回のような形式でリークする。
出版に携わる人間として、どうしても許せなかったのは緊デジに関する一連の騒動が終わったこととして隠蔽されようとしていることだ。緊デジには正の面もあり、書籍の電子化が加速したのも東北にある程度の金額が回ったのもまた事実だ。だが、負の面も大き過ぎる。それらは現在進行形で証拠が消され、関係者に箝口令が敷かれようとしている。大手出版社・印刷会社が総出で無かったことにしようとしている。
あえて聞きたいのだが、自浄作用を発揮できない出版業界に、果たしてどれほどの価値があると読者は考えるだろうか。
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【取材にあたり】
手元に資料及び証言が存在していますが、記事内にて提示することでそれに沿った形で資料の書き換え、口裏わせがされるのを防ぐためです。ご容赦ください。
緊デジと出版デジタル機構についての調査、踏み込んだ監査がなされることを期待しつつ、復興予算という名目で行われた事業である以上は、国民や読者が納得する形の結論が出ることを強く望みます。
TGCはトッパングラフィックコミュニケーションズの略。 つまり元ビットウェイと同じく凸版印刷の子会社。