くらし☆解説「消費増税と国民の視線」 2015.12.15


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマはこちらです。
先週1週間は、自民党と公明党が消費税率の引き上げに備えて軽減税率をどうするのか連日話し合いを続けていましたね。
島田⇒そうですね。
今月のNHK世論調査はその与党協議の終盤に重なって行われたんですね。
安倍内閣は消費税率10%への引き上げを一度先送りしていまして再来年4月からの税率の引き上げにどう備えるかは、政権の今後の行方に大きく影響する問題なんです。
そういう中での世論調査ですけれども、まずは安倍内閣の支持率今月は変化はあったんでしょうか。
ざっくり言えば、横ばいですね。
安倍内閣を支持するこれは先月より1ポイント下がって46%支持しないは3ポイント下がって36%という結果だったんです。
安全保障関連法が成立した先の通常国会のあと野党側が臨時国会を開くように繰り返し求めたんですけれども安倍内閣は外交日程などを理由に国会を開きませんでした。
それがこの内閣支持率に影響した面はあるんですか。
国会を開かなければ野党の主張に注目が集まることは少なくなる、それに加えて野党がすぐに手を出せない外交で得点を積み重ねそれによって安倍内閣の支持率が国会開会中にやや上向きになった格好なんです。
ただきょうのテーマの消費税については国民の見方は厳しいですね。
厳しいですね。
消費税率は2017年4月から8%が10%に引き上げられる予定です。
この引き上げについて全体で見ますと反対が43%と最も多いですね賛成が28%どちらともいえない27%となっています。
内訳を見ますと野党支持者無党派層で反対が多いわけですね。
一方で与党の支持者を見てみますと賛成がいちばん多いんですがそれでも4割程度反対、どちらともいえないとの差は、あまり大きな開きはないんです。
これは暮らしに関わる問題ですから与党野党と支持の違いで回答に大きな影響が出るとは言い切れないですよね。
そこで今回こういう分析も試みました。
NHKの世論調査では、毎回今の暮らし向きについてどのように感じていますかという質問をしています。
今月はゆとりがあるという人が42%暮らし向きが苦しいという人が52%と分かれていたんです。
それぞれについて見てみますとゆとりがある人では消費税率の引き上げに賛成43%でいちばん多かったですね。
暮らし向きが苦しい人では反対だという人が54%過半数を超えて最も多くなっています。
これは必ずしも収入が多い人と少ない人の違いというわけではないんですよね。
あくまでも個人の感じ方なんです。
ゆとりを感じている人は将来の社会保障制度の安定につながるのであれば消費税率の引き上げもやむをえない、というふうに考える傾向が見えます。
一方で、暮らし向きが苦しいと感じている人は、先のことよりも今のことという傾向がうかがえます。
そこで政府・与党が国民の負担緩和策としているのが、軽減税率の導入ですよね。
政府・与党は一部の品目を対象に税率を8%に据え置く方針でしてこれに賛成が38%反対が22%どちらともいえない33%大きく割れていますね。
負担の緩和は歓迎するがどこまで負担を抑えてくれるのかはっきりしない。
逆に税収が不足すれば、社会保障の仕組みの維持が難しくなるのではないか、財源はどうするのかさまざまな疑問や懸念がありますので国民の受け止めは大きく割れているように思えます。
さらに軽減税率、食品のどこまでを対象にするのかの範囲についても話し合いがずいぶん迷走しましたよね。
自民公明両党の協議では食品については酒類と外食を除いた生鮮食品と加工食品ここに限定するという大枠で合意しました。
その協議と並行したタイミングで聞いた国民の声は生鮮食品と加工食品そして生鮮食品と加工食品に外食も加えるべきという回答がきっ抗しているんです。
この質問についても暮らし向きの感じ方の違いで見るとどうなんでしょうか。
ゆとりがあると感じている人は生鮮食品と加工食品、ここを挙げる人が最も多いんですが暮らし向きが苦しいという人は生鮮食品と加工食品に、さらに外食を加えるべきという答えが多いんです。
暮らし向きが楽でない、例えば1人暮らしのお年寄りといった方たちは、決して高価ではないが外食が命を支えているという事例もあるという話をよく聞きます。
外食といってもさまざまなんですよね。
ここまで消費税について見てきましたが安倍内閣は1億総活躍社会の実現というスローガンも掲げていますが、これについて国民はどう見ているんでしょうか。
担当の加藤大臣には厳しい結果ですが政府の取り組みに期待できるは29%にとどまっていまして期待できないが64%ほぼ3分の2を占めています。
特に目立つのが、野党支持者と無党派層ここで8割以上の人が期待できないと答えている厳しい反応です。
取り組みの内容がよく分からないということなんでしょうか。
それだけではないと思うんですよね。
希望出生率を1.8まで引き上げる子育て支援家族の介護のために仕事を辞める人をなくす介護離職ゼロという目標も意味のある目標だと思うんです。
しかし、そのための財源の確保そのことについて安倍内閣は経済成長の果実から生み出すという発想にとどまっているここが楽観的すぎるのではないでしょうかと感じる人が少なくないということだと思うんです。
国民にこういう我慢もお願いしたいと率直に呼びかけていく、これも政治の役割でしょう。
日本社会の将来を真剣に考えて今のうちから将来に向けて国民に協力を求め続けていく姿勢も大切だと思います。
政府・与党を中心に見ていきましたけれども野党にも動きが出てきましたよね。
民主党と維新の党が年明けの通常国会で統一会派を組むことで合意しました。
この統一会派の合意評価するは31%評価しない61%という数字です。
与党支持者は、ここで見ますと与党の人たちは野党が強くなるのを望まないでしょうから7割が評価しないというのは自然かもしれません。
でも無党派層の3分の2がノーと言っているのは厳しい数字ですね。
野党支持者の中で真っ二つというのはどう見たらいいんでしょうか。
今の野党は政党の数が増える一方でして、政策が民主党や維新の党に近い党ばかりではなく自民党に近い党もあります。
この数字は今の野党陣営がばらばらな現実を端的に示していますね。
岡田代表と松野代表はまず野党の中での求心力を増すことに苦労するかもしれません。
最後に今月の政党支持率ですがどう見ますか。
自民党の一強は変わらずこれに民主党以下が続いているという格好です。
その中で目立つのが共産党で5.0%NHKが今の方式の電話世論調査に切り替えてから、初めて5%のラインに届いたんです。
折れ線グラフで見ますと自民共産民主という共産党が紫色のラインで5%に達しました。
年明けの通常国会で民主党と維新の党の統一会派共産党とどういう課題で連携を模索するのかそれが野党陣営全体にどう影響するのかという点も注目点になります。
通常国会1月4日召集になりましたね。
初めて18歳以上の投票が可能になる参議院選挙を控えています。
社会保障や安全保障その問題も若い人たちの投票の材料になるような中身の濃い論戦に期待したいと思います。
島田敏男解説委員でした。
2015/12/15(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「消費増税と国民の視線」[字]

NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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