「きょうの健康」です。
今日も昨日に続きまして「ストレスと腹痛・下痢・便秘」です。
昨日はその過敏性腸症候群の症状と受診についてお伝えしました。
2日目はこちら「過敏性腸症候群の治療」です。
お話は東北大学大学院医学系研究科教授福土審さんです。
心療内科医で過敏性腸症候群の治療や研究に携わっていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
この過敏性腸症候群なかなか長引く病気と昨日伺ったんですけれどもどうなんでしょうか。
ずばり治るんでしょうか?はい。
過敏性腸症候群は適切な治療によって症状を抑える事もそれから治す事もできる病気です。
体質や気のせいだというふうに諦めずに受診する事を勧めたいと思います。
はい。
過敏性腸症候群の患者さんではさまざまな要因が絡んでいますね。
このためその人それぞれの治療の進め方があります。
大きくですね…こういったものが柱になっています。
これらを患者さんによって組み合わせながら治療を進めてまいります。
それでは具体的に一つ一つ教えて下さい。
過敏性腸症候群の要因として大きいのはストレスとこの敏感になった腸だという事を前回ご説明しました。
まず生活習慣の改善から行っていきます。
これはどんな事を指導されるんでしょうか?まず適度な運動をお勧めしたいと思います。
こちらのグラフをご覧下さい。
これは過敏性腸症候群の患者さんが3か月間の運動プログラムに参加した前後で症状の強さがどのくらい変わったかという事を示しています。
有酸素運動を週に3日から5日それから一日20分から1時間行ったところこの3か月後には症状が改善していました。
そうですね〜。
まず運動。
ほかには何か改善する事ってあるんでしょうか?まず基本的な生活のリズムを整えてそのようにアドバイスを致します。
まずは起床それから3回の食事それから就寝の時間帯をなるべく一緒にするように心がけてみて下さい。
この3つが一定になる事によって生活全体のリズムが整いやすくなります。
そして十分な睡眠それから休養がとれて疲れだとかストレスの影響を受けにくくなるという事ですね。
そういった体を作る事ができるという事です。
なかなかリズムを整えるって難しいような気がするんですが非常に大事だという事ですね。
そうですね。
そして今度は2番目は食事の指導ですね。
これはどういう指導されるんでしょう?この「食事指導」では控えた方がいい食品とそれから積極的にとった方がいい食品を指導してまいります。
はい。
まず控えた方がいい食品ですねご紹介致します。
低FODMAP食というこれをお勧め致します。
このFODMAPですかこれは初めて聞いたんですけどもどういう食品なんですか?このFODMAPというのは単糖それから二糖オリゴ糖多糖の一部の事をいうんですね。
糖の一部って事ですね。
はいそうですね。
低FODMAP食というのはこれらを控える食事なんですね。
でもなかなか初めて聞きましたし食品としてはどんなものを控えるんですか?まず加工食品の中でこの中の一部には単糖の一種であるソルビトールというものそれからマンニトールというものそれから果糖とか乳糖が多く含まれてるものがあります。
はい。
これらの糖が含まれているかどうかは食品表示を確認しましょう。
そうですね〜。
そしてまた小麦とかそれからたまねぎそれからカシューナッツピスタチオといったものの一部には果糖の一種が多く含まれております。
そして牛乳などの乳製品には乳糖が含まれておりますしひよこ豆それからレンズ豆といった豆類にはオリゴ糖が含まれてるんですね。
はあ〜。
でもどうしてこういうその糖の一部ですねこれを控えなきゃいけないんでしょうか?このような一部の糖類は腸の中で発酵しまして腹痛や下痢それからおなかが張った感じを引き起こすという事が最近明らかになってきています。
過敏性腸症候群では腸が過敏になっていますので少しの発酵でもこの症状が起こってしまう訳です。
このような糖類を多く含んでいる食品を避ける事で症状に改善が見られたというデータがあります。
でもなかなかその…たまねぎにしても牛乳にしても体にいいからどちらかといったら多くとりますよね。
それを控えるというのは難しいような気もするんですけど。
そのとおりだと思いますね。
これらの食品を全く食べない方がいいと言ってる訳ではなくて今までたくさん食べていたようであれば頻度を減らすくらいの気持ちで控えてほしいんです。
人によって腸の中の様子は異なりますので悪影響を与える糖の種類も異なります。
もしたまねぎを食べてみて調子が悪くなるようなら控えた方がいいですけれども特に調子が悪くならないのであればとり続けても問題はありません。
なるほど。
そうするとこれを全部ですねたまねぎも小麦もカシューナッツも全部食べてはいけないという事ではなくって一つ一つ試してみて自分はこれがなかなか難しいなと…その場合をその食品を控えると。
そういう事でいいという事ですか?はい。
全てでなくていいんですね。
ちょっとほっとしましたけども。
ほかに控えた方がいい食品もあるんですね。
例えばですね脂質が多い食事ですね。
それからコーヒーそれからアルコールですね。
それから辛い香辛料とこういったものなどは症状を悪化させますので控えた方がいいんじゃないかと思いますね。
コーヒーアルコール香辛料も控えた方がいいという事ですね。
逆に食べてもいいと積極的にとりたい食品はあるんですか?まずたんぱく質である肉とか魚ですね。
これは適量をとって下さい。
それから水溶性の食物繊維ですね。
これは下痢と便秘どちらの改善にも有効です。
アボカドそれからおくらきのこ類海藻などがあります。
ただしきのこ類とか海藻にはFODMAPが含まれてるものもありますので食べる事で調子がもし悪くなるようであれば控えましょう。
またそれから乳酸菌ビフィズス菌などを積極的にとる事で腸内の環境が整えられて症状の改善というものも期待できます。
継続的に十分な量をとる必要があるのでこのヨーグルトなどを日常的に取り入れる事をお勧めします。
でもヨーグルトを日常的…。
先ほど牛乳は乳糖があるのでとおっしゃいましたよね。
ヨーグルトは大丈夫なんですか?そのとおりです。
先ほども言ったとおり乳糖が全ての人に悪影響を及ぼす訳ではありません。
ヨーグルトを食べてみて便通それからおなかに問題がないようなら続けてもいい訳です。
食事内容は大事なんですけどこの食べるものに気を遣い過ぎる。
そしてそれがストレスになってしまう。
それでは本末転倒ですので無理がない範囲で続けて頂くという事です。
一つ一つ試みてみて少しずつという事でしょうかね。
それが大事ですね。
今「食事指導」まで伺いました。
今度は「薬物療法」薬ですけどこれはどうですか?生活習慣の改善ですとか食事指導を行っても症状の改善が見られない場合それから下痢や便秘の症状ですね。
できるだけ速やかに止めたいと思う人にはこの薬を使った治療が行われます。
具体的な例を基にご紹介しましょう。
この…。
Aさんですね。
Aさんの場合はその通勤電車に乗るといつも腹痛や下痢になるという事でした。
そしてBさんはですね試験の前になると腹痛や便秘の症状が見られるという事でしたね。
まず第一段階としてこれらの状態には腸に効く薬が処方されます。
Aさんのように下痢の症状が強く見られる人にはセロトニン3受容体の拮抗薬がこれが処方されます。
これはストレスによって腸の中でセロトニンが強く放出されてこのセロトニンの作用を抑える事で腹痛や下痢の症状を改善させる事ができる訳です。
この薬は最近まで男性にしか使用する事ができなかったんですけれども…そして…今度はBさんですね。
Bさんのような便秘の症状ですね。
便秘の症状が強い方はどうなんですか?Bさんのような方には粘膜上皮機能変容薬であるこのルビプロストンというお薬を使います。
ルビプロストンですね。
この薬はですね日本で32年ぶりに登場した便秘の新薬なんですね。
そして便を軟らかくして排便を促す薬です。
過敏性腸症候群と併せて慢性便秘症の診断がつけばこの薬を処方する事ができます。
なるほど。
ほかにも処方されるような薬というのはあるんですか?この動き過ぎる腸の動きを調整する薬がいろいろと使われていますね。
これ見ますと消化管運動調節薬乳酸菌製剤高分子重合体ですね。
これらは下痢便秘どちらの症状にも使えるものですね。
ここまで来て症状の改善が見られない場合には下痢を止める止痢薬それから便秘には下剤や消化管運動促進薬それから腹痛には抗コリン薬というものを使います。
これらで4ないし8週間しても改善が見られない場合には今度は脳に効く薬が処方されます。
抗うつ薬や抗不安薬ですけどもこれらはストレスを減らす事で症状を緩和させます。
そうするとその抗うつ薬ですとか抗不安薬が有効な事もあるという事なんですね。
はい。
ここまで「薬物療法」まで見てきたんですが今度最後は「心理療法」ですか。
これはどういうものなんですか?これはですね…さまざまな方法があります。
この過敏性腸症候群でこの認知行動療法がどのように行われているか先ほどの例を基にご紹介致しましょう。
まずAさんですね。
このAさんは通勤中の電車に乗りますと必ず腹痛と下痢が起こるためついに電車に乗る事ができなくなってしまいました。
過敏性腸症候群の患者さんはこのような破局思考に陥りがちです。
この破局思考というのは一つ悪い事が起こると自分では何もできないそしてほかに悪い事が起こるそれから悪い事を考え続けるという状態なんですね。
ストレスのもとというのは回避する事でず〜っとストレスの原因であり続けてしまいますので過敏性腸症候群に対するこの認知行動療法ではこの破局思考を改善しまして行動に変化が起こるように働きかけていきます。
具体的には電車に乗ろうとした時にどんな思いが湧いてきたかメモしてきてもらいます。
そしてメモを基にAさんの考え方の特徴だとか癖を調べて今度はそれを変える訳ですけれども例えば下痢止めを持って電車に乗ると。
それからあるいは週に一度は電車に乗るといったできる事を少しずつ増やしていきましてその行動を変化させる事で絶対に電車には乗れないというこの思い込みを少しずつ改善していきます。
なるほど。
いろいろ一つ一つ具体的に伺ってきた訳ですけどやっぱりストレスが非常に大きな原因だと伺いましたけれどもどうなんでしょうそのストレスに対する対処法ですね。
自分でできる事というのはどんなふうにお考えですか?現代社会を生きていく上でストレスというのはどうしても避けては通れないものなんですね。
ある程度のストレスというのはあるにはあってもこの否定も肯定もしない能力を身につけていくという事が今大切になってきていると思います。
今この瞬間のこのご自身の体験に注意を向けてあるがままにする心の状態というのが非常に大事だという事が分かっています。
最後になりますけど本当に繰り返すという事で患者さんつらいと思うんですけども患者さんにメッセージをここでお願いできますでしょうか。
過敏性腸症候群ではストレスが大変重要な要因だと言いました。
ひたすらその仕事と効率だけの時間から離れて本来のご自分に戻る時間を是非持って頂きたいと思います。
例えば散歩するとかですねそれから呼吸法でありますとかそれからめい想とか座禅などのご自身に合った方法がお勧めですね。
全体を通して言える事なんですが過敏性腸症候群というのは完治するまでに大変時間がかかる事も多い病気なんですね。
治療の効果は少しずつ現れるものです。
症状を完全にとらないと満足できないというように信じ込むとかえって改善しません。
むしろ症状が出ても驚かない。
そして症状があってもうまく社会生活を送ろうという心持ちでいる事が大切です。
福土審さんと共にお伝え致しました。
2日間どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/12/15(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 ストレスと腹痛・下痢・便秘「過敏性腸症候群の治療」[解][字]
治療には4つの柱がある。食事指導では控えるべき食品と積極的にとるべき食品を指導。具体的な食品の例をご紹介する。完治には時間がかかるので焦らず治療に取り組む。
詳細情報
番組内容
治療には4つの柱がある。「生活習慣の改善」では適度な運動や生活リズムを整えることを推奨。「食事指導」では、控えるべき食品と積極的にとるべき食品を指導する。具体的な食品の例を詳しくご紹介する。「薬物療法」では下痢にはセロトニン3受容体きっ抗薬、便秘には粘膜上皮機能変容薬などが処方される。「心理療法」ではしかん法・催眠療法・認知行動療法が行われる。完治には時間がかかるので焦らず治療に取り組むことが大切
出演者
【講師】東北大学大学院教授…福土審,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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