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[FT]米原油輸出解禁、40年ぶり 価格安のさなか

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2015/12/18 6:30
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 米議会が40年来の原油輸出禁止措置の解除に合意したことで、7年ぶりの原油安に直面しているエネルギー企業はいくらか元気を取り戻している。

 これで最終的には米国の石油会社が、アラブ諸国が原油輸出を停止した1970年代以来初めて海外市場で競争できることになる。

米ノースダコタ州にある石油掘削装置。1970年代から続く石油輸出禁止措置が解除されることになった=AP
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米ノースダコタ州にある石油掘削装置。1970年代から続く石油輸出禁止措置が解除されることになった=AP

 しかし、早々に米国産原油が世界にあふれ出すことにはならないはずだ。原油価格の極端な下落に苦しむ石油業界のために米議会が取り組みを始めて以降、エネルギー市場は様相が変わった。シェールオイルの生産急増による国内的な現象だった供給過剰が海外にも広がり、他国も旺盛な生産を続けていることで世界の在庫が積み上がっている。

 「米国の原油を世界的にだぶついている市場に出すことになる」と、研究グループ「ESAIエナジー」のサラ・エマーソン代表は言う。

 ほぼ2年前に起きた米国産原油を求める騒ぎは静まっている。現在、米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格は、国際指標の北海ブレント原油を約1ドル下回るだけで、テキサスから欧州へ輸出することはほとんど意味をなさない。

 米議会は1975年、アラブ石油禁輸を受けて米国内のガソリンスタンドに車が列をなす事態に至り、米国産原油の輸出禁止を認めた。輸出制限は、価格統制を含んでいた経済政策のために必要とされた。しかし、価格統制が撤廃された後も輸出禁止措置は残った。

■無意味になっていた輸出禁止

 米国の原油輸入が増え続けるなか、エネルギー政策の専門家にとって輸出禁止はかなり前から無意味になっていた。しかし、エネルギー会社がシェールオイルの開発を始めると輸入は急減した。テキサス州やノースダコタ州で産出される高品質な軽質原油は、重質原油用の施設をもつ精製会社には売れにくかった。

 今年に入ってWTIの価格は一時、1バレル当たりで北海ブレント油を10ドル以上も下回り、コノコフィリップスやコンチネンタル・リソーシズなどのシェール大手とそのロビイストたちが、輸出禁止措置の解除を訴える動きを強めた。

 禁輸措置には抜け穴がある。原油は許可制でカナダに輸出することができ、さらにオバマ政権はこの2年間にメキシコへの原油輸出と、コンデンセート(超軽質油)の輸出を解禁した。米国の今年の原油輸出は最大で日量60万バレルと、石油輸出国機構(OPEC)加盟国のエクアドルの生産量を超える水準に達した。

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