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「民主主義のコメ」として

2015/12/17付
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 2017年度からの消費税率引き上げ時の軽減税率導入で、宅配の新聞が適用の対象となった。単に税にとどまらず、広く民主主義のあり方にも絡むテーマとしてとらえたい。

 この問題をかんがえるとき参考になるリポートがある。日本新聞協会の諮問を受けた法学者らによる「新聞の公共性に関する研究会」(座長・戸松秀典学習院大名誉教授)が13年9月にまとめた「新聞への消費税軽減税率適用に関する意見書」がそれだ。

 「新聞は誇るべき日本の文化である」「新聞は日本全土のいたるところでサービスを受けられるようになっており、このユニバーサル・サービスこそが日本の民主主義の支柱であり、基盤である」と新聞への軽減税率の適用を是認した内容である。

 「民主主義のコメ」としての新聞の位置づけだ。これは決して特別なことではない。欧米先進国で新聞に減免制度が導入されているのをみれば分かる通りである。

 背景にあるのは、民主主義が成り立つために言論・出版の自由が保証されていなければならないという考え方だ。前提になるのは思想の自由市場論である。多様な言論が繰りひろげられることを通じて、真理や誤りがおのずとえり分けられていき、合理的な結論に達するというものだ。

 そのためには新聞は綿密な取材による真実の探求を通じて、政府や企業などの統治に鋭く目を光らせ、権力をチェックする役割を果たす必要がある。

 民主主義の一翼を担うジャーナリズムとして存在するのが何より大事になることを、その仕事に携わる言論人は肝に銘じなければならない。

 ただ書籍・雑誌は有害図書排除の仕組みをどうつくるかなども考慮しつつ「引き続き検討する」にとどまった。活字文化を守り、知識への課税を最小限にとどめていくという視点も忘れてはなるまい。これは何も紙のメディアだけに限られたものではないだろう。

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