東京新聞は昭和初期の新聞の戦争責任について、ジャーナリストの前坂俊之氏(71)に聞きました。前坂氏は「新聞が中国侵略をあおった結果、軍部の増長を招き、太平洋戦争が起きた」と指摘。この間、陸軍の若手将校が反乱した二・二六事件(1936年)以降は、軍部やテロの標的になることを恐れ、新聞が軍部批判を自主規制、萎縮したとの見方を示しました。
前坂氏は、日本が中国東北部で軍事衝突を起こした満州事変(三一年)から、二・二六事件までの五年間に着目。当時は軍部による言論統制が比較的緩やかだったため、「報道によって歴史的な状況を変える機会だった」と指摘しました。しかし、多くの新聞は戦争への批判ではなく、侵略を後押しする報道を続けたと振り返りました。
それによって軍部が台頭し、紙面の検閲や新聞社の合併統合などの権限を強め、新聞を完全な統制下に置いたと分析。「新聞は『言論統制で真実を書けなかった』という被害者意識を強調するべきではない。国民やアジア諸国にとっては加害者だ」と述べました。