いよいよIBMのワトソンがマーケティング業界へ。いま知っておきたい新機能は「Watson Trend」と「Commerce Insights」

数年前、米国のクイズ番組「Jeopardy!」にて人間に勝利し大きな話題となったIBMのスーパーコンピュータ「Watson（ワトソン）」。そのIBM Watsonが、いよいよマーケティングやeコマース分野に進出し始めました。

画像：IBM Watson

IBM Watson関連で注目したいのが、先月発表された「IBM Watson Trend（トレンド予測アプリ）」と、今月初旬に発表された「IBM Commerce Insights（Watson Analyticsを組み合わせられる解析ダッシュボード）」の2つです。

IBM Watson Trend

Watson TrendはIBM Watsonの自然言語の理解力と機械学習機能を利用し、商品の”静的な”ランキング（ポジティブ/ネガティブ関係なく話題になれば順位が上がる）ではなく、消費者が実際にどのように感じているかをソーシャルメディア、ブログ、フォーラム、レビューなどで行われている会話を分析した上で、そのインサイトを提供します。また、Watson Trendは予測分析（predictive analytic）も行い、トレンドが一時的なものか、それともしばらく続きそうかといったインサイトも提供します。

画像：IBM Watson Trend – Microsoft Surface Pro 4
（例：Microsoft Surface Pro 4に関するトレンドスコアとオンライン上でのレビュー）
https://www.ibmwatsontrend.com/#/trend/tablets_microsoft-surface-pro

IBM Commerce Insights

もう1つのCommerce Insightsは、IBMのオムニチャネルeコマース・プラットフォームであるWebSphere Commerceユーザーに、顧客およびビジネスパフォーマンスに関するデータを提供します。また、APIを通じてIBM Watson Analyticsを利用することで、”隠された”データ間の関係を可視化することができます。

こちらの動画にて、オンラインでフィットネス関連の小売業を営むオリビアが、どのようにインサイトをもとにしてアクションを起こし、売上をあげるのか、といった利用シーンが紹介されています。

簡単にまとめると

1. 新しく立ち上げた商品ライン（Sleekfit）の売上が伸びていないことに気付く

2. 売上でソートし、製品ラインの中で特にどの商品に対処が必要かを調べる

3. Watson Analyticsを利用し、問題の主な原因をさぐる

4. サウスカロライナのセールスが順調であることがわかる

5. サウスカロライナではモバイル（青部分）による売上が大きい

6. 全体的にモバイルのトラフィックは多いものの、セールスにつながっていない

7. モバイルユーザーに10%割引を提供し、売上アップを図る

という流れになっています。

IBMコマースソリューション製品マーケティングリーダーのPete Wharton氏は、近い将来、上記の例で見た割引クーポンのオファーも、設定した制限の範囲内で自動化され、マーケターやビジネスマネージャーは（オペレーションではなく）戦略上の問題に集中できるようになるだろうと伝えています。

簡潔に言えば”レコメンドエンジン”であるIBM Watson。日本でも人材マッチングプラットフォームなどの事例が出始めていますが、アドテク業界においてもIBM Watsonの動きは大きな意味を持っていると言えるでしょう。

参考：
IBM Watson
IBM Watson Trend
IBM Watson Trend – Microsoft Surface Pro 4
IBM Commerce – Market Insights – United States
The Hot Products For Holiday 2015: IBM Watson Launches New App That Can Predict Trends – Forbes
IBM’s Watson Is Now In the Marketing And E-Commerce Business
IBM Watsonを活用した 人材マッチングアプリケーションを発表 フォーラムエンジニアリング　SoftBank World 2015 にて | 【エンジニアピットCAREER LAB】