・
(ブレーキ音)
(眞澄)あっ。
(崑一)おいおいおいおい。
大丈夫か?
(眞澄)ぼたん。
美輪子。
下りてらっしゃい。
・
(崑一)平野!帰ったぞ。
・
(眞澄)フフフ。
・
(ドアの開閉音)
(ぼたん)美輪ちゃん。
(美輪子)表にパパの車が止まってたから裏口から入ったの。
(崑一)ハハハ。
(眞澄)フフフ。
いい結婚式だったわね。
(崑一)お母さんすっかりワインが気に入ってずいぶん空けてたぞ。
(眞澄)だって後から後からついでくれるんだもの。
もうすっかり酔ってしまって。
(平野)皆さん。
お食事はどうなさいます?
(崑一)うん?
(眞澄)あら?あなたたちまだ食べてないの?
(ぼたん)パパたちが帰ってからと思ってたんだけど。
ねっ?えっ?そう。
そうなの。
(眞澄)もう食べられないわ。
私たちは。
(崑一)うん。
ちょっとしたつまみがあればね。
コニャックを頼むよ。
(平野)承知しました。
おなかすいちゃったわね。
ぼたん。
じゃあ食事は私たちの部屋に運んでよ。
(平野)はい。
(眞澄)ああ。
かわいらしいお嫁さんだったわ。
(崑一)うん。
なかなか似合いだったな。
(眞澄)ねえ?
(崑一)うん。
(ぼたん)本当にひやひやしちゃった。
あなたが帰ってこなかったらどうしようかと思って心臓が止まりそうになったわ。
多摩留とはもう会わない。
(ぼたん)えっ?
(ぼたん)本当なの?真面目に言ってるの?
(操作音)これ多摩留の電話番号。
着信拒否にしてよ。
着信拒否?してよ。
あいつとはもう会わないんだから。
美輪ちゃん?お姉ちゃまの手で電話が通じないようにすればいいって言ってるの。
そうすれば全て安心でしょ?いいのね?本当に通じなくしていいのね?いいわ。
どうぞ。
(操作音)したわ。
着信拒否。
元に戻しちゃ駄目よ。
これでもうかかってこなくなる。
清々するわ。
やっぱり生まれ育ちってものがあるのね。
生まれ育ち?多摩留って面白いことは言うけどもともと教養がないんだわ。
野卑で下品で。
そういうふうに見ると何もかもが別の色合いに見えちゃって。
そう。
何だかぞっとしちゃったわ。
こんな人と愛し合ってたのかって身震いしちゃったの。
目が覚めたのかしら。
あなたもやっと。
ごめんなさいね。
お姉ちゃま。
お姉ちゃまの気持ちを踏みにじって迷惑ばかり。
つらい思いばかりさせて。
美輪ちゃん。
いいのよ。
美輪ちゃん。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
いいの。
今までのあなたはもののけに取りつかれていたんだわ。
やっと本来のあなたが…。
本当の姿の美輪ちゃんが私のところに戻ってきてくれたんだわ。
もう絶対多摩留とは会わない。
今度こそ誓うわ。
あんなやつとの交際はばっさりぶっちぎる。
死んでも会うもんですか。
(アナウンス)おかけになった電話番号への通話はおつなぎできません。
おかけになった電話番号への…。
(多摩留)マジかよ?
(切る音)
(アナウンス)おかけになった電話番号への通話はおつなぎできません。
おかけになった電話番号…。
(多摩留)どうなってんだよ?
(切る音)
(崑一)着信拒否?
(眞澄)美輪子もやっと分かってきたんですわ。
どうにか冷静な判断ができるようになってきたんですわ。
(崑一)ハハハ。
まあそういうことだ。
(眞澄)一歩前進だと思わなきゃ。
しかし相手がすんなりと諦めるかどうかだな。
(眞澄)付きまとわれるかしら?まあ様子を見るしかないだろう。
うん。
(多摩留)うわー!ムカつく!何だっつうんだよ!
(伊佐子)やめなよ。
兄ちゃん。
杉彦がおびえてるじゃないの!
(峰靖)着信拒否ってことは絶交するってことだ。
(多摩留)絶交だって?
(峰靖)もうお前とは付き合わないってことだよ。
(伊佐子)やっぱりね。
良家のお嬢さんだからね。
身分が違うから。
(多摩留)しゃらくせえ!
(多摩留)美輪子。
(峰靖)諦めるしかないな。
フフッ。
やめてよ。
ちょっと。
ヤンさま。
私のヤンさま。
返してよ。
ひどいわよ。
キャッ。
ヤンさま。
フフフ。
ちょっと。
嫌。
返して。
ぼたん。
アハハ。
ちょっと。
あなたたち。
こんなのが趣味なんですって。
美輪ちゃんは。
やめてよ。
怒るわよ。
もう。
ハハハ。
あっ。
フフフ。
(平野)美輪子お嬢さまにお電話です。
どなたから?
(平野)男の方です。
お名前はおっしゃいません。
断ってちょうだい。
申し訳ありませんが美輪子さまにはお取り次ぎできません。
えっ?いないんですか?
(通話の切れる音)あっ。
あのう…。
あっ。
(チャイム)
(平野)どちらさま?
(多摩留)あっ。
多摩留という者です。
美輪子さんにそう言ってもらえれば分かりますから。
(平野)美輪子さまはご不在でございます。
(切れる音)
(チャイム)
(平野)どちらさま?
(多摩留)あのう。
美輪子さんは?
(平野)ご不在です。
何度言えば分かるんですか?警察を呼びますよ?
(切れる音)
(多摩留)あっ…。
(平野)帰りましたわ。
そう。
嫌ね。
こういうことがたびたびあると困るわね。
パパに早く帰っていただくよう言わなきゃいけないわ。
おかえりなさい。
ぼたん。
見て。
えっ?あっ。
こっち見てる。
美輪ちゃん。
気付かれなかったの?帰ってきたら向こうにバイクが止まってたの。
よく見ればあいつじゃないの。
慌てて引き返して教会の方の道から回りこんでそれから勝手口へ。
じゃあずっとああして見張ってたのね。
いつまで見張ってるつもりかしら?嫌だ。
こんなことされたらますます嫌いになるわ。
私が言ってやるわ。
えっ?そんなことして…。
これじゃまるでストーカーじゃないの。
ぴしゃっと言ってやるわ。
すぐに帰りなさい!
(世奈子)あなたもね潔癖なのは分かるけどその年であまりかまととぶるのはやめた方がいいわ。
5月ごろには結婚するんじゃないの。
もう少し柔軟にやれないの?綱輝さんあきれて笑ってたわ。
ホントに純粋な人だって。
感心するふりをしてくれてるけど彼だってモテないわけじゃないし。
アイスホッケーで鍛えたいい体してるんだし。
(世奈子)こんなことしてたら他の女に手を出さないとも限らないわよ?そうなの?そういう人なの?綱輝さんって。
あのね。
男ってものはそういうものだって言ってるの。
婚約者があまりガードを固くしてたらよそで発散したくもなるじゃないの。
よしてよ。
汚らわしい。
もう。
少しは美輪ちゃんを見習ったらどう?帰ります。
(世奈子)ちょっと。
ぼたん?ぼたん。
ちょっと待ちなさいよ。
ぼたん?さっきはどうも失礼しました。
お姉さんですよね?そうですけど。
(多摩留)帰れって言われたけどあれから考えたんだ。
俺は絶対諦めないです。
だって…。
あんたの口からも美輪子にそう伝えてもらえませんか?永久に諦めないからって。
よしてください。
妹と手を切ってください。
まだ高校生なんですから。
(多摩留)お願いします!何とかしてくださいよ。
美輪子に会わしてくれませんか?
(多摩留)もう一度だけ…。
もう一度だけでいいから。
それで駄目なら諦めるから。
このままじゃ蛇の生殺しで俺は死ぬしかなくなる。
ねえ。
何とかしてよ。
お姉さん。
お願いします!ねえ。
お願いします!
(世奈子)ちょっと何してるのよ。
やめなさいよ!血迷うんじゃないわよ?年端も行かない女の子付け回して何様だと思ってんの?出ていきなさい!あんたなんかねお墓の番をしてればいいのよ!何?
(世奈子)何よ。
・
(足音)
(綱輝)ママ?どうかしたんですか?
(世奈子)この人美輪子にしつこく付きまとってるのよ。
ぼたんも困ってるの。
(綱輝)付きまとい?たたきだしてよ。
こんなやつ。
(綱輝)おい。
いいから。
(多摩留)ちょっと。
(綱輝)おとなしく出ていけ。
(多摩留)ちょっと…。
(綱輝)おとなしく。
(多摩留)何ですか!
(世奈子)綱輝さん!
(綱輝)出ていけ!
(多摩留)何だよ!あっ!ああ…。
(綱輝)出ていけよ。
(多摩留)この野郎!
(従業員)おう!やめろ!あっ…。
(生徒)また行きたい。
(生徒)また行こうね。
(崑一)当分は社の車で美輪子を送り迎えしよう。
朝はパパと一緒に出る。
帰りは運転手を迎えにやらせるから。
いいね?美輪子。
黙ってないでパパに謝りなさい。
すみません。
パパ。
しばらくはみんなで注意深くしてなきゃいけないね。
ひどいことに。
異常だわ。
(崑一)じゃあパパは社に戻るから。
(平野)旦那さま。
郵便受けにこんなものが。
(崑一)うん?何ですの?変なことが書いてある。
「会ってくれなければ死ぬ」「絶望によって多くの魂が死ぬ。
多摩留」えっ?脅迫状だな。
こりゃ。
(崑一)何てこった。
(署員)お話を聞いているとまずストーカー規制法で対処するのが適正だと思われます。
しかしこれは立派な脅迫罪じゃないですか。
即刻逮捕というわけにはいかないんですかね?
(署員)順序というものがあります。
まず規制法で警告をして様子を見ます。
お嬢さん。
大丈夫だ。
警察が警告をすれば大抵のストーカーは付きまといをやめるからね。
早く逮捕してください。
早く!
(男性)警官が2人来てる?
(女性)何してるんですか?
(警察官)このナイフは何だ?会ってくれなきゃ殺すって意味か?これは自分が死ぬつもりで。
(警察官)じゃあこれは?「絶望によって多くの魂が死ぬ」?何のつもりだこれ?
(多摩留)あのう。
だから…。
(伊佐子)この子が人殺しなんか…。
きっと大好きなガールフレンドに振られて死にたかったんですよ。
それだけですよ。
(杉彦)怖いよ。
怖い。
(伊佐子)怖くないからね。
兄ちゃんは人殺しなんかしないからね。
(峰靖)すいませんね。
ちょっと取り込んでるんで今日は。
親方悪い。
なっ?お代いいからさ。
今日は申し訳ない。
うん。
すいませんね。
申し訳ないです。
ええ。
(警察官)どうなんだ?大量殺人でも起こそうってんじゃないだろうな?自分が死ねば自分の魂も死ぬんです。
自分の中には様々な魂があるのでそれが全部死んでしまうんで…。
付きまといをしていたことは認めるね?はい。
被害届が出てる。
告訴されてるんだよ?田園調布の小日向家の門前。
それから等々力の緑ヶ丘女子高校前で見張っていたこと。
これらは全部ストーカー行為だからね?罰金50万円以下懲役6カ月以下のどちらかに該当するんだ。
(伊佐子)えっ?懲役?今日のところは警告だがストーカー行為を繰り返すと警告だけでは済まなくなる。
いいね?二度と付きまとい行為をしてはいけない。
分かったね?はい。
(平野)おかえりなさいませ。
どうしたのよ?何慌ててるのよ?今日工房に来てる人に言われたの。
あなたのことがネットに出てるって。
えっ?私のことが?何なの?これは。
あなた。
あの男に写真を撮らせたの?ひどい。
こんな写真を…。
あっ!美輪ちゃん。
あなたこんな写真まで。
(崑一)何てことをしてくれる!いい恥さらしだ!パパ!パパやめて!お願い。
許してあげて。
(崑一)許すも何も取り返しのつかない汚名だ!よくも私の顔に泥を塗ってくれた。
見損なったよ美輪子!美輪子。
謝りなさい。
パパに手を突いて謝りなさい。
美輪ちゃん!美輪ちゃん!
(泣き声)美輪ちゃん。
(泣き声)駄目よ。
しっかりしなきゃ駄目。
ねっ?美輪ちゃん。
やめてよ!私のこと軽蔑してるくせに!美輪ちゃん。
美輪ちゃん。
美輪ちゃん。
2015/12/16(水) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #13[字][デ]【愛が憎悪に変わるとき】
美輪子(逢沢りな)に親密な仲の恋人の存在を知る眞澄(伊藤かずえ)。自身の過去のトラウマが脳裏をよぎり、ぼたん(黛英里佳)に、厳しく美輪子を監視するよう命じるが…
詳細情報
番組内容
美輪子(逢沢りな)は、やっとのことで多摩留(戸塚純貴)に会うが、多摩留に無理やり抱かれ、一気に心が冷める。「もう多摩留には会わない」。そう美輪子に告げられ、ぼたん(黛英里佳)も肩の荷が下りる思いだった。
多摩留は、いくら美輪子の携帯に電話をかけても着信拒否をされ、激しく傷つく。
番組内容2
そして、美輪子の家に行っても会うことも叶わず、両親から美輪子がきっと心変わりしたのだろうと言われても受け入れられない多摩留は、いつしか怒りを募らせストーカーのように美輪子を追い求めるようになっていく。
ついに、多摩留から美輪子宛に脅迫状とナイフが届く事態に。眞澄(伊藤かずえ)や崑一(岡田浩暉)は警察に助けを求めざる得なくなる。
出演者
小日向ぼたん:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/botabara/
【公式ツイッター】
@hirudoraTokaitv
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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