相棒season4 2015.12.16


(久保寺太一)なんなんだ?この追加条件って…。
これじゃ儲けは全部そっちでうちはほとんど持ち出し同然じゃないか。
(川端敏臣)フッ今さらそんな事を…。
判子をつく前によく読まなかったそっちの落ち度でしょ。
何?ま不満があるなら降りてもいいですがその場合は契約違反としてたっぷりと違約金払ってもらいますよ。
(笑い)
(倉持隆弘)どうぞ奥の方へお進みください。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
どうぞ奥の方へ。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
(倉持)どうぞ奥の方へお進みください。
いらっしゃいませ。
どうぞ奥の方へ。
(亀山薫)なんか女性ばっかですね。
(杉下右京)女性向けの雑誌のイベントですからね。
当然こうなる事は予想してました。
俺たち浮いてません?なんか場違いっちゅうか…。
(宮部たまき)あらいいじゃないですか。
すごい評判のオーガニックレストランの東京初出店なんですよ。
2人を招待したかったんです。
すみませんね。
あぁいえいえ…。
本店は葉山ですか。
ん?この野崎春菜って…。
「葉山で農園を経営」…。
野菜の生産者ですか。
有名な方なんでしょうか?ええ。
雑誌とかで見た事がありますよ。
生産者の顔が見える野菜っていうのが最近の流行りですから。
人参をシャトーにキャベツはペイザンヌにして。
パプリカは俺がやる。
はい。
(野崎春菜)えーと…。
クソッ…。
あちょっとすいません。
久保寺さんうちの野菜に何か?あいえちょっとヤな事思い出して…。
野菜には何も…。
(久保寺)ていうか春菜さんの野菜でなければここまでこられなかったわけですから感謝してます。
そうよかった。
今日の試食には何を?有機野菜のグリルでいきます。
春菜さんの野菜の素朴で深い味を知ってもらうには一番ですから。
あっ!だったらピッタリのハーブがあるんです。
これ。
こりゃあいいですね。
大事に使わせていただきますよ。
よかった。
ネイチャーフードコーポレーション代表取締役当店オーナー川端敏臣よりご挨拶申し上げます。
それではお願いいたします。
(拍手)ようこそ。
えー先ほどから皆さんの顔を拝見していると心の声が聞こえてくるようです。
早く食いたい。
(一同笑い)当店の魅力を知っていただくのは何より召し上がっていただく事が一番。
自慢のメニューの登場です。
(拍手)美味しそう。
すご〜い!きれ〜い。
美味しそう。
はいどうぞ。
どうもありがとう。
要するにこれ焼き野菜って事でしょ?うまい…。
うまいっすねこれ!美味しいですね。
ええ!確かにこの野菜の味は何よりも雄弁ですね。
あぁうまいうまい!食べないんですか?食べないんですか?いい野菜は歯ざわりも魅力の1つ。
遠慮なさらずにガブッと。
こんなふうに。
(噛み砕く音)ももっと…。
亀山君のってきましたね。
はい!たまには体にいいもん食べないとね!
(2人の笑い)失礼ですが野崎春菜さんですね?あはい。
杉下と申します。
素晴らしい野菜ですね。
あぁありがとうございます。
あっ野崎春菜!おやおや呼び捨ては失礼ですよ。
あっすいません。
いやでも野崎春菜さんってもしかして昔歌出してましたよね?あぁええもう随分前の事ですけど…。
やっぱしなー!歌手をやってらしたんですか?あぁ…お恥ずかしい話アイドルみたいな事を少し…。
あぁでも全然売れなかったんです。
いやいやいや俺らの世代だったらみんな覚えてますよ。
『明星』とか『平凡』にも載ってましたからね。
あそうですか。
春菜さんすいません。
イベントが終わったら農園にすぐ戻られますよね?ええその予定だけど。
久保寺さんが残りの野菜を本店に持って帰って欲しいって。
今のうちに駐車場まで運んでおきますね。
あぁダメよ!まだ保存室にあるんでしょ?ええ。
だったらそのまま置いといて。
車だと傷みやすくなっちゃうから。
わかりました。
失礼します。
ごゆっくり。
あぁ…。
(拍手)シェフの久保寺と申します。
えー野菜というのはその日その日気温や湿度などによって質も味も全然違います。
ですからそれに応じて…作り方も毎日変える必要があるわけでして…。
このキュウリもうまいっすね。
ズッキーニです。
えぇ?アッハッハッ…。
失礼。
すいません…。
プレオープンイベントはこれで全てお開きとさせていただきます。
本日はお忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございました。
(拍手)いや食ったな。
あ俺トイレ行ってきますけど大丈夫ですか?大丈夫ですか?ええ。
どうぞ。
じゃ。
野崎春菜さんと楽しそうでしたね。
ええ。
あのお料理の事とかおソースの事とか教えてもらってました。
それはよかった。
えーっと…あ。
ありゃ。
うわっ!アイテテテ…。
大変です!社長が…社長が!どうしたんすか?え?こっちです!はい。
あ!あ救急車は?あ…!お願いします。
はい!
(ため息)
(舌打ち)亡くなられたようですね。
あ…右京さん。
君がなかなか戻らないものですからね。
それにしてもひょんなところで事件に遭遇しましたね。
事件?え?事故じゃなくて事件なんですか?無論今のところどちらとも断定は出来ませんがね。
あ…。
死因は椎骨…つまり首の骨の骨折みたいですね。
転落が原因である事は間違いないようですね。
ええ。
つまり川端社長は急いで階段を降りようとしてたまたま足を滑らせた。
で打ちどころが悪かったと。
仮にそうだとして川端社長はそれほど急いでどこへ行こうとしていたのでしょう?ハハッさあ。
あ。
ハンカチ。
はい?こっちです。
あ〜やっぱりそうだ。
ほら見てくださいよ。
川端社長はハンカチを握り締めていた。
つまりトイレに行こうとしていた。
ところがご覧のとおりトイレは清掃中。
仕方なく下のトイレに行こうとして運悪く階段で足を滑らせてしまったと。
妙ですね。
何がですか?君がこの札を目撃してから通報や現場検証などでゆうに1時間は経過しています。
長すぎると思いませんか?確かに。
あぁいない。
清掃中でもないのにどうして札が掛かっているのでしょう?掃除した人がたまたま外し忘れたんですかね?川端社長は確かシェフの久保寺さんがスピーチをしている最中店を出て行きました。
スピーチが終わってもいないのに中座して手洗いに行くなどという無作法な真似をどうしてなさったのでしょうねぇ?そりゃあ出物腫れ物ところ嫌わずですからね。
たまたま急にもよおしちゃったんじゃないすか?たまたま?たまたま。
という事はつまり川端社長は大事なイベントの最中にたまたま手洗いへ行こうと思ったところ清掃中の札がたまたま取り忘れられていたために非常階段で下へ行こうと思いたまたま足を滑らせて転落してしまったという事になりますね。
なりますね。
たまたまも3回重なれば作為のにおいがしてきませんか?じゃあ事故じゃなくて事件?それを調べるのが我々の仕事です。
川端社長が店を出られたのはおよそ2時40分頃。
そしてあなたが遺体を発見されたのがイベントの終了直後。
つまり3時15分でした。
その間どこにいらっしゃいました?どこって…イベントの真っ最中ですから私も接客スタッフも全員店内にいましたよ。
私もずっとお客さんの間を回ってましたので…。
そのようですね。
あくまでも確認ですのでお気を悪くなさらないでください。
いえ…。
あぁあとあのシェフの久保寺さんにもお話を伺いたいんですが。
久保寺さんならさっき事務所の方へ。
あった。
失礼しま〜す。
あシェフの久保寺さんですよね?警視庁特命係の杉下です。
亀山です。
警察の方が何かご用ですか?あぁいやいや皆さんにお話伺ってるんですよ。
料理の説明をなさったあとイベントが終了するまでの間どちらにいらっしゃいましたか?どちらも何も厨房に戻ってずっとそこに。
若いのに訊いてもらえればわかると思います。
なるほど。
あのーまだ片付け残ってるんで失礼します。
すいません。
あ刑事さんありました。
うちのスタッフが撮影していたビデオです。
(久保寺)「野菜というのはその日その日気温や湿度などによって…」怪しい奴はいませんね。
時間的に言えばもうじきのはずですが…。
(久保寺)「作り方も毎日変える必要があるわけでして…」送っちゃっていいすか?どうぞ。
あぁどう見ても急にトイレに行きたくなったようにしか見えませんしねぇ。
やっぱり事件じゃなくて事故なんすかね?失礼します。
(米沢守)ご依頼の鑑定の結果を持ってまいりました。
踊り場に散乱していたダンボールの1つから被害者のゲソ痕が発見されました。
じゃあダンボールを踏んだんだ?つまり何者かがなんらかの方法で川端社長が手洗いに駆け込むような状況を作り…前もって扉に清掃中の札を掛けておき非常階段の踊り場にダンボールを2枚重ねておいておいたとすれば…その場にいなくても川端社長を転落させる事は十分に可能です。
遠隔殺人…。
もう1つお願いしてもよろしいでしょうか?はなんなりと。
法医学教室に連絡をして被害者の胃の内容物のリストを送るように頼んでください。
わかりました。
では早速。
失礼します。
お願いします。
お願いします。
胃の内容物ってどういう事ですか?原因が残っていればいいのですが。
原因?あ何者かが川端社長の料理に下剤を仕込んでおいたとか?違います。
あの料理は大皿に盛られていました。
川端社長はそこから自分の分を取って食べたわけですから。
あそうか。
だったらどうして急にトイレに…。
用を足す前にハンカチを取り出しておく人はあまりいないと思いますよ。
あですよね。
じゃあ用を足す以外にハンカチを使うとなるとえー汗を拭く涙を拭く口を押さえ…あ…吐き気?それです。
吐き気に襲われたときも手洗いに行きますよね?ええでも食中毒?あんな新鮮な野菜だったのに?そこが問題です。
我々も同じ野菜を食べたわけですから食中毒の線は考えられません。
ですよね。
うーんだったら…あ!大嫌いなものを食べさせられたとか?嫌いなものならばそもそも食べないのではありませんか?あそうか。
う〜んまぁどっちにしても料理を作ったシェフの久保寺が怪しいっすよね?そうだとするならば動機はなんでしょう?川端社長の秘書の方がこちらにお見えになってると伺ったのですが。
それでしたら今シェフとオーナーと…。
(物音)さっさと契約書出せ!
(高木)あんなインチキな契約絶対無効にしてやる!
(伊東麻美)そう言われましても契約に関しては社長が全て…。
(菊地)その川端がいなくなった以上もうあんたらの自由にはさせないからな!ですから私の方でも把握しかねてますので…。
つべこべ言わないで出すもん出せ!お取り込み中すいません。
ちょっとお話聞かせていただけますか?うちみたく評判のレストランを見つけては好条件をちらつかせ新規出店の契約を結ばせるんだ。
しかも新規オープンで話題を集めて稼げるだけ稼いだらあとはさっさと手を引いてこっちに残るのは借金だけってからくりなんです。
ああいったトラブルは前にも?
(麻美)ええ。
でも契約やお金の事は全て社長がお1人で仕切ってましたから私は…。
亀山君。
はい。
なかなか興味深い記事ですよ。
え?なんすか?「芸能プロダクションでマネジャー」ハハァいろんな事やってたんですねぇ。
1つよろしいですか?はい。
川端社長には食べ物で何か好き嫌いはありましたか?好き嫌いですか?さあ…社長とは仕事以外の事はほとんど話す機会はありませんでしたから。
でもほらお昼ご飯一緒に食べたりとかそのぐらいはあったわけでしょ?
(麻美)ええ。
なんでもいいんですよ何か思い出せませんかね?そういえばおそばや麺類は滅多に召し上がりませんでした。
つまり川端社長はそばが大嫌いだった。
でもってシェフの久保寺がそれを利用して殺した。
そばアレルギーですか?わかんないように入れたんじゃないすかね。
シェフなんだからそれぐらい出来て当然でしょ?仮にそうだとするならば久保寺シェフは川端社長のそばアレルギーを知っていたという事になりますね。
う〜んまとにかく確かめてみるしかないっすね。
ないっすねぇ。
わざわざこんなとこまでなんの用ですか?川端社長と契約の件で揉めてましたよね?なんの話だか…。
事件のあと事務所から持ち出したのは契約書だったんじゃないんですか?確かに契約書は持ち出したよ。
だけど川端の奴とんでもないペテン師なんだ。
あれは事故だろ!?そうではない可能性もあるので調べているところです。
お気を悪くなさらないでください。
こちらのメニューですか?ええ…。
失礼。
さすが野菜にこだわってらっしゃるだけの事はある。
亀山君料理1品ごとに使われた食材が全て書かれています。
ほんとですねぇ。
川端社長も随分この料理食べたんじゃないんですか?ああ…何度か来たからな。
今まで川端社長が注文なさった料理を書き出していただけますか?こん時社長メインは何食べた?確か彩り根菜のグラタンを召し上がられました。
そうか。
亀山君。
はい。
1つ寄って欲しいところがあります。
あはい。
(鳥の鳴き声)春菜さん!もともとはご両親が経営なさっていたんですか?ええ。
でも私が30になる直前に2人とも亡くなってしまってそのときはまだ東京でタレントやっていたので最初は売ってしまおうかと思ったんです。
でも農園のみんなからこの土地はただの土地じゃない両親が長い年月をかけて丁寧に育てた他にはないとてもいい土なんだって聞かされて。
そうでしたか。
思ったんです。
ここなら他の誰かと取り替えのきかない私にしか出来ない仕事が出来るかもって…。
春菜さんにしか。
ええ。
まぁ確かに無農薬や有機農法にこだわれば手間もかかるししんどい仕事なんです。
でもだからこそ出来上がった野菜は確実に食べた人の身になり力になってくれる。
ここで生まれる野菜はここでしか作れない。
私や農園のみんなでなければ作れない。
そういう野菜なんです。
あなたのお作りになる野菜に人気があるのも頷けますね。
あぁいえ…。
ところで突然恐縮ですが川端社長とシェフの久保寺さんの間にトラブルがあった事はご存知でしたか?ええ。
イベントの前日に激しく言い争ってるのを聞いてしまって…。
でも私にはどうしていいのかわからなくって…。
川端社長に久保寺さんのお店を紹介した事であなたは責任を感じてらっしゃる。
どうしてその事を…。
川端社長も10年ほど前は芸能プロダクションにいらっしゃったとか。
となるとあなたと接点があっても不思議はありませんからね。
川端さんの会社の評判を知っていたら紹介なんかしませんでした。
こんな事になるなんて…。
(ラーメンをすする音)うんうーん…次次。
「カボチャの冷製ポタージュ」うーん「根菜のソテー」。
「そば粉のニョッキ」。
そば粉?右京さんこれそば食べてますよ。
ええ。
つまりそばアレルギーを利用したという我々の仮説は成立しないという事になりますね。
そばアレルギーじゃないんすか?じゃ…えー「無農薬トマトソース添え」。
温野菜のクリーム…。
亀山君。
メニューの見方が逆ですよ。
逆…。
注文した料理ではなく注文しなかった料理の中に答えがあるという意味です。
あっそっちか。
頼まなかった料理にはどれもネギやポロネギニラやラッキョウなどのどれかが必ず入っています。
そういえばおそばや麺類は滅多に召し上がりませんでした。
じゃあ川端社長が嫌いだったものって…。
日本そばならば薬味にネギは欠かせませんからね。
ラーメンにも…ネギ。
ネギ。
ネギだったんですよ。
川端社長が誤ってネギを食べてしまったとしたらかなり動揺した状態で手洗いに向かうでしょうねぇ。
そこでトイレを清掃中にし非常階段にダンボールで足を滑らせる細工さえしておけば…。
立派な計画殺人になりますな。
はい。
だけどねぇ料理ん中にネギ入ってないんすよねぇ。
もちろんです。
明らかにネギとわかれば川端社長が手を出すはずがありません。
だったら…。
あの野菜のグリルにはソースがかかっていました。
特製のハーブソースだそうです。
ハーブ。
ネギ族のハーブもあります。
有名なのはえーと…。
チャイブ。
(米沢)そうです。
これはあの日店に納入された野菜のリストです。
あっ…チャ…チャ…。
(米沢)チャイブです。
チャチャチャイブチャイブ…。
あった!
(伊丹憲一)余計な事しかしない特命係の亀山。
なんだてめえら何しに来やがった?お前台場パークでの事故死嗅ぎ回ってんだってな。
フン一課が何もしてくださらないからな!おまけにその関係者ん中に…いるんだって?何?
(芹沢慶二)野崎春菜。
先輩熱狂的なファンだったらしくて。
フンだったら今度サインでももらって来てやろうか?いらねぇよバカ。
ほんとは欲しいくせに。
(三浦信輔)それはそうと警部殿。
はい?うちの方にこんなものが回ってきたんですよ。
川端社長の検視報告書。
何かの手違いのようですね。
そのようですねぇ。
わざわざお届けいただきありがとうございます。
勝手な真似をなさるのもほどほどにしてもらいたいもんですねぇ。
ご忠告どうも。
バカ!ねっ。
さてと…こん中にネギがあれば久保寺シェフの犯行で決まりですね。
ありませんね。
え?ほんとですね。
胃の内容物や成分から類推される食品の中にネギもチャイブもありませんねこれ。
あぁ!?
(ため息)右京さんなんでそう涼しい顔してられるんですか?思いつく限りの可能性をあげて1つずつ消していけばおのずと真実に辿り着きます。
う〜ん…。
はいひじきのお煮付けです。
あ〜すいません俺ひじきはちょっと…。
いや別にあのアレルギーとかそいうんじゃないんすけど苦手っつーか…すいません。
はい。
好き嫌いはよくありませんね。
誰だって嫌いなもんの1つや2つあるでしょう?右京さんだってありますよ。
さあ…ないと思いますよ。
こんな事言ってますけどね右京さんすごく好き嫌いあるんですよ。
梅干しでしょそれから酢豚のパイナップル。
あれは…存在理由がわからないだけですよ。
季節外れのトリュフはダメだとかキャビアの銘柄はこれでなきゃいけないとか。
ま贅沢かもしれないですけどね。
もう結構ですよ。
(笑い)でもさすがはたまきさんですね。
それだけ付き合いが長いという事でしょうかね。
あら付き合い始めた頃からわかってましたよ。
だって好きになった人の事はなんでも知りたいじゃない?ええ。
特に食べ物の好き嫌いはデートしてお食事したらすぐにわかるでしょ?ハァ〜。
(部長)川端敏臣…。
ええ。
あ〜よく覚えてますよ。
あそうですか。
なんかクビになったって聞いたんですけどね。
問題児でしたからね。
金には汚いしケンカっぱやいしその他にもいろいろあったから無理もないけど。
そのいろいろって…どんな感じすかね?ええま今だから時効ですけど出来ちゃったんですよ。
出来ちゃった?担当してたアイドルと…。
さすがにルール違反でしょ。
そのアイドルってのはひょっとして…。
右京さん。
ビンゴです。
そうですか。
では次へ行きましょう。
はい。
まだ俺の事疑ってるんですか?事件当日料理にお使いになった野菜は野崎春菜さんが持って来られたんですよね?ええ。
野菜は鮮度が命ですから。
その中にチャイブはありましたか?ありましたけど。
しかしハーブソースには使わなかった。
なぜでしょう?せっかく春菜さんが勧めてくれたんだけど香りが強すぎて野菜のにおいを消す恐れがあるから別なハーブに変えたんです。
あぁあの野崎春菜さんがチャイブを勧めたんですね?失礼ながら調べさせていただきました。
あなたと川端社長は10年ほど前男女の関係にあった。
しかも川端社長はこの農園に数千万円の融資をしていますね。
何がおっしゃりたいんでしょう?僕は川端社長がお亡くなりになったのはどうしても事故だとは思えないんですよ。
ネギアレルギーである川端社長に何者かがそれとはわからぬようにネギを食べさせたのではないかと。
社長は慌ててトイレに向かったけどそこには清掃中の札。
仕方なく非常階段に飛び込んだところ足を滑らせる仕掛けにまんまとはまってしまった。
この計画は川端社長がネギアレルギーである事を知らない人間には不可能です。
かつて川端社長と深い関係にあったあなたならば知っていてもおかしくありませんよねぇ。
面白いお話ですね。
でも根本で間違ってませんか?間違いとは?あの日の料理にネギは一切入っていませんでした。
私も試食しました。
自分で作った野菜の味くらい食べればすぐにわかります。
そうですか。
ネギは入っていませんでしたか。
てっきりネギを利用したとばかり思っていたのですがねぇ。
私が川端さんを殺したいって思ってたのは事実です。
ひどい男でしたから。
借金の事でネチネチと私の事を責めたり私にとって大事な久保寺さんまであんなに追い詰めたり…。
死んでくれたらどんなにいいだろうって…。
でもそれって悪い事なんですか?誰かに殺意を抱く事自体は罪とは呼べません。
ですが現実に行動に移せばそれは紛れもなく殺人です。
任意で引っ張りましょうか?右京さ〜ん。
(角田六郎)いやぁそうは簡単にいかねぇだろ。
えぇ?いいか?仮に被害者を直接階段から突き落とせばそれは100パーセント殺人だ。
だけど実際その女のした事がトイレに札を掛けて踊り場にダンボールを置いただけだったとしたら?それだって立派な殺人の計画じゃないすか。
いいえ。
死ぬかもしれない状況を作る事と実際に殺す事の間には天と地ほどの差があります。
(ため息)未必の故意ですか。
おっよく知ってるね。
当たり前じゃないすか。
ヘヘ意味わかってる?ん?「未必の故意」…実害の発生を積極的に希望ないしは意図するものではないが自分の行為により結果として実害が発生しても構わないという行為者の心理状態。
つまり自分のした事で被害者が死んでも構わないと思っていれば…。
未必の故意とみなされる…でしょ?
(角田)あぁ正解。
だけど死んでもいいと思ってたかどうかなんてどうやって証明すりゃいいんですか?未必の故意ってのは証明するのは至難の業だからな。
ん〜もう俺ら一体どうすりゃいいんすかね右京さん。
先ほどからそれを考えています。
はいどうぞ。
あ…これ…。
野崎さんに教えてもらって作ってみたんですよ。
申し訳ないすけど今あんまり見たくないっすね。
それ…チャイブではありませんか?このチャイブはソースに入ってますよ。
ソースにチャイブを使ったんですか?ええ野崎さんに教えてもらったとおりに。
亀山君。
あ…。
何か?お呼び立てして申し訳ありません。
お話ってなんなんでしょう?好き嫌いというのは不思議ですねぇ。
ピーマンの嫌いな子供にピーマンを食べさせようと目に見えないほど細かく刻んで料理に混ぜてもわかる子には一口でわかってしまう。
なんの事でしょう?その逆もあります。
アレルギーのある人がそれが含まれた料理を知らずに食べてしまい症状があとから出てひどい目に遭ってしまう事も。
おそらく川端社長も何度かそのような経験をなさったのでしょうね。
亀山君。
はい。
これを見ていただけますか?「いい野菜は歯ざわりも魅力の1つ」「遠慮なさらずにガブッとこんなふうに」この映像を見る限り川端社長はなんの疑いもなく料理を口にしています。
つまりネギ類が含まれているとは思っていなかったでしょうし事実久保寺シェフもソースにチャイブは使いませんでした。
それはあなたにとって計算違いだったはずです。
あの日あなたは他の野菜と一緒にチャイブを持って来られた。
だったらピッタリのハーブがあるんです。
ところが香りが強すぎるからと久保寺シェフは別のハーブでソースを作ってしまった。
それに気付いたあなたはとっさに別の方法に切り替えたんじゃありませんか?別の方法?「野菜というのはその日その日気温や湿度などによって質も味も全然違います」「ですからそれに応じて作り方も毎日変えていく必要が…」あなたは彼女と話している振りをしながら実は目の前にいる川端社長に聞かせていたんですよ。
隠し味でチャイブを使ってるんです。
すりおろしてるからわかりにくいんですけれどもそれももちろんうちの農園で作ったものなんです。
彼女は僕の友人です。
あなたの言葉によってチャイブを口にしたと思い込んでしまった川端社長はこう思ったでしょう。
症状が出る前に吐き出さなければ…!あなたは明確な意図を持って川端社長を非常階段へと誘導しました。
つまりあなたには未必の故意があった。
違いますか?確かにあの時その話をした記憶はあります。
でも料理の説明ならあの場にいたお客様の誰にでもしていましたし近くに川端社長がいたのはほんとにただの偶然です。
聞かせるつもりなんてありませんでした。
ではなぜ使ってもいないチャイブを使ったと言ったのでしょう?それは…知らなかったんです。
だって久保寺さんはてっきりチャイブを使うだろうと思ってましたから。
妙ですねぇ。
この前お会いした時確かこうおっしゃったはずですが。
私も試食しました。
自分で作った野菜の味くらい食べればすぐにわかります。
それは…まだ食べてなかったんです。
このあとで食べて初めてチャイブが入っていない事に気付いて…。
亀山君。
はい。
「うまい…」「うまいっすねこれ」「美味しいですね」「ええ!」嘘というのは本当にタチが悪い。
ひとたび嘘をつけばその綻びを隠すために次の嘘さらに次の嘘とつき続け結局は自らが綻んでしまう。
オープニングパーティーの時あなたはこうおっしゃいました。
まだ保存室にあるんでしょ?
(スタッフ)ええ。
だったらそのまま置いといて。
車だと傷みやすくなっちゃうから。
もしも計画どおり川端社長に何かが起きればしばらくは帰れない。
ならば条件の悪い車よりは保存室の方がいい。
あなたの大事な野菜ですからね。
川端は私からあの農園を奪おうとしました。
(春菜)何これ?…売買契約書?返済出来ないっていうんだったらあの土地売ってもらおうか。
今なら5億の値がつく。
(春菜)宅地開発って…あの農園潰せって事!?ああ10年前に売らなくて正解だったな。
農地で税金も安く済んだし…売り時だろ?何言ってんの!?私のみんなの野菜どうなるの!?野菜なんてどこで誰が作ったって同じだろ。
(春菜)その言葉だけは許せませんでした。
あなたにしか作れない野菜…それを否定されてしまった。
あなたはご自分の人生までも否定されたと思ったのでしょうかねぇ。
いずれにしろこれで全て納得がいきました。
亀山君行きましょう。
え?右京さん行くって彼女は…。
未必の故意の立証は非常に難しい。
確たる証拠がない以上彼女を連行したところで逮捕状もおりません。
そんな…。
だったら俺たちなんのために…。
あくまで僕の推測ですがあなたは川端社長に罰を与えようとしたのではありませんか?あの方法で亡くなる確率は極めて低いと思いますよ。
殺意があったのならばもっと確実な方法を選ぶはずです。
怪我でもすればいい…そう思っていたのに川端さんは死んでしまった。
誰よりもショックを受けたのはあなたご自身でしょう。
私は…。
でもね…あなたが1人の人間のかけがえのない命を奪ってしまったという事実は…もう絶対消えないっすよ。
ご自分の罪を認めるかどうかは…あなた次第です。
(泣き声)おはようございます。
おはようございます。
一課に顔を出して来ました。
そうですか。
今朝早く野崎春菜が出頭して来たそうです。
Dialogue:0,0:57:23.77,0:57:25.62,Default,,0000,0000,0000,2015/12/16(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season4[再][字]

「緑の殺意」

詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、七瀬なつみ、高樹沙耶(益戸育江)、小林隆、川原和久、山中たかシ(崇史)、六角精児 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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