(あさ)何で旦那様とサトシさんが…。
(うめ)嫌やわあの横にいてはるの八っちゃんだすわ。
八っちゃん?千代を頼みます。
うちはもう少しここで様子見ていきますさかい。
(うめ)承知致しました。
(新次郎)やっぱりお前やったんやな。
久しぶりやなぁ新次郎坊ちゃん。
聞きたい事が3つありますんや。
お母さんはお元気だすのか?とっくに死んだわ。
大阪離れてすぐや。
そうか。
お父ちゃんもようやっと見つけ出した時にはもう死んでた。
それからず〜っと貧乏神に追いかけられて流浪の暮らしや。
(くしゃみ)は…しもた。
あさか?あさ!すんまへん…。
・「朝の空を見上げて」・「今日という一日が」・「笑顔でいられるように」・「そっとお願いした」・「時には雨も降って」・「涙も溢れるけど」・「思い通りにならない日は」・「明日頑張ろう」・「ずっと見てる夢は」・「私がもう一人いて」・「やりたいこと好きなように」・「自由にできる夢」・「人生は紙飛行機」・「願い乗せて飛んで行くよ」・「風の中を力の限り」・「さあ心のままに」やっぱりこっちのうどんはだしがええなぁ。
せやろ。
早食べなはれ。
へぇ…。
も一つのお前の聞きたい事当てたろか?炭坑に爆薬仕掛けたんはわいや。
何でそないな事しましたんや?決まってるやろが。
加野屋にあの山から手ぇ引かせよ思たからや。
大阪の金の亡者の金貸しがわざわざ九州の炭坑にまで手ぇ出しくさって。
事故の一つでも起こしたらすぐ怖なって手ぇ引くやろ思たからや。
お前らにとっては炭坑なんて所詮両替屋やってるついでやろが!そやのに石炭は日本の支えやらきれい事ぬかしやがって…へどが出たわ!そんな…。
うちはほんまにあの山を…!あさ。
ほんなら最後の聞きたい事よろしか?これからどないしたい?何かしたい思たから大阪まで来ましたんやろ?うちの店に火ぃでもつけたろ思いましたんか?思たわ。
大番頭が警察に言うたらわいはこの先もうどこの山でも働かれへん。
ハッ。
破れかぶれや!最後に加野屋もろとも吹き飛ばしてしもたろかってな。
せやけど…そらやめたわ。
お前の親父さんもう死ぬみたいやしなぁ。
わいがそないな事せんでも加野屋は親父さん死んだら潰れるて町で聞いたさかい。
そうか…。
そら…堪忍な。
お前がそないひねくれた考えになってしもたんはわてのせえや。
わてがあの時お前助けられへんかったさかいや。
今やったら…。
いや…わては今でも頼んないけどそれでも今やったらもうちょっと何かできるかも分かれへん。
せや。
寝泊まりするとこは?ん?これからどないして生きてくつもりだす?お金…ありますのんか?お前…。
いいや旦那様それはあきまへん。
店恨んではんのやったらなんぼでも恨んどくなはれ。
うちのやる事に意見するのも悪態つきはんのもかましまへん。
そやけど…なんぼ何かを恨んだとしても憎んだとしても…事故を起こす事それだけはしたらあかんかったんと違いますのか?落盤事故がどないに危険かそんなんうちよりサトシさんの方がよう分かったはるはずだす!たまたまみんな助かっただけで死人がぎょうさん出たかておかしなかったんだっせ!親分さんかてまだ足引きずったはります。
坑夫のみんなかて今もまだ山で働く事がでけへんよって食いぶちものうて先も見えず途方に暮れてはります。
加野屋が蓄え全部出したかて到底みんなを助ける事なんかでけしまへん!そんだけあんさんが起こしはった事故いうのは大きい事やったんだす!取り返しのつかへん事やったんだす!加野屋に手ぇ引かせるためだけやったらいっそうちを包丁で刺してくれはった方がどれだけましやったか!何ちゅう事言いますねん。
それに…サトシさんは立派な納屋頭さんやったやおまへんか。
あんさん信じてくれてはる親分さんや慕うてくれてはる坑夫のみんながあないようけいたはるいうのに…こないな事してあげく山から逃げ出して!あの山の皆さんに申し訳あれへんて思いはれへんのだすか!?あさ!罪…償うとくなはれ。
あさ…もうやめてくれ。
すんまへん旦那様。
そやけどもううちは炭坑のみんなやお家守らなあかん立場なんだす。
偽善者ではあかん。
優しい事だけ言うてる訳にはいかしまへんのや。
あんたもやっぱり…人でなしやな。
いやそれでええんや。
加野屋の旦那さんとおんなじや。
わいのお父ちゃん言うてた。
のれん分けする時に旦那さんから「何があっても決して金の貸し借りだけはでけへん。
それがしきたりや」言われたてなぁ。
せやけどわいはお父ちゃんとお母ちゃんが苦しむの見てられへんかって…そんでお前にムチャ言うた。
お前が優しいの知っててムチャ言うたんや。
今かて…事故起こしたわいを助けるやて?アホか?人よすぎて腹立つわ!わいはこの女大っ嫌いやけどなぁ…。
そんでも今はこっちゃが道理だって分かる。
すまんかった。
松造…。
ほれ…顔上げてぇな。
いや上げられへん。
そやけど最後に一つだけ頼みがある。
(正吉)よう来てくれはりましたなぁ。
合わす顔あれへんのは分かってます。
せやけどわいは…。
松造はん。
お父ちゃん助けられんですまなんだ。
いくら約束やからというてもやなんぞほかに助ける手だてがあったかもしれへんのに…。
私の力不足や。
堪忍してや!
(正吉)あんたのお父さんなぁよう働くええ番頭さんやったんやで。
おいよの。
この…これな。
あんたのお父さんが帳簿を締めてはった頃の大福帳な。
ほれほれ!あ〜きれいな字やなぁ。
あ〜ここここ。
ほらこんなとこ。
私がちょっと書き間違えてたらもう知らん顔してフッと直しといてくれはりましたんや。
ほんまに頼りがいのある人やった。
ああ…。
このまんじゅうなぁあんたのお父さんが大好きやったふなはし屋の黒糖まんじゅうや。
ほんまに好きやったなぁ。
ちょっと食べてみて!こんな形でまた会えてこういう事伝える事ができて私ほんまにありがたい。
うん…。
こうやって再び会うたんもお父ちゃんのお導きやったかもしれしまへんなぁ。
2015/12/17(木) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 あさが来た(70)「大阪一のおとうさま」[解][字][デ]
新次郎(玉木宏)とサトシ(長塚圭史)がふたりでこれまでの事を語り合っていると、あさ(波瑠)は…。あさの話を聞いたサトシは、ある決断をする。
詳細情報
番組内容
あさ(波瑠)が見たのは、通りを歩く新次郎(玉木宏)とサトシ(長塚圭史)だった。これまでのことを語り合い、炭坑の爆発についても語る新次郎とサトシ。後をつけていたあさも話に加わる。加野屋に深い恨みをもつサトシに優しく接する新次郎に対し、あさは…。そして、正吉(近藤正臣)を見舞うサトシ、助けられなかったことを謝る正吉にサトシと新次郎は…。そして、サトシはある決断をする。
出演者
【出演】波瑠,玉木宏,友近,長塚圭史,風吹ジュン,近藤正臣,【語り】杉浦圭子
原作・脚本
【作】大森美香
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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