(父親)遠く行くなよ。
(子供)はーい。
うわーっ!!
(父親)どうしたんや!?
(鳥居勘三郎)
14年前沢池で男の刺殺死体が発見された
被害者は京都市内の暴力団員だった
聞き込みの結果事件当夜現場付近に赤いバイクが止まっていたことが判明した
バイクのナンバープレートから割り出した持ち主の北島透宅を調べたところ凶器と思われる短刀と被害者の血痕が付着したTシャツが発見された
捜査本部は北島を殺人容疑で全国に指名手配したが彼の行方は杳としてつかめず事件は迷宮入りして14年と8か月が経過した
そして…
(七尾洋子)ああ〜。
もう…何で式の直前にチョコレートパフェなんか食べるの?式の間ってあまり食べられないじゃない。
だから軽く…。
食べることないと思うけど。
だって…!あっあそこ。
あっすいません。
彼女に似合うドレス大至急貸してもらえますか?
(今井和彦)あっいや僕は…。
えっ?きれい!
(今井)うお〜!きれいやなぁ!ホンマべっぴんさんやわ。
見とれてしまうわ!
(市原のぞみ)全然似合ってない。
そうか?ほなら袖のないほうも着てみはったら?だから腕は見せたくないの。
やけどの跡なんか気にせんでええのに。
あなたのそういう鈍感なとこ我慢できない!あっ…ああ…。
彼女は確か…。
ねえおみやさん私のドレス。
ああ…ごめんごめん。
あっすいません。
何か彼女に似合うの適当に見繕って。
はい。
どうぞ。
(富田圭一)やめろよ!
(男)うっ…!ううっ…。
北村はんあれおたくの社長さん違いますの?
(舞妓の悲鳴)おはようございまーす。
おはようございまーす。
(吉川新平)刺された男は出血多量で危険な状態が続いています。
(村井信治)その男の身元は?
(星野康夫)着ていた作業着には野々村と縫い取りがしてありました。
今その作業着から割り出した解体業者に当たってるところです。
(村井)刺した男のほうはどうだ?富田圭一35歳。
(兵藤兵吾)若いですがIT企業の社長を務めています。
犯行については?
(吉川)富田は自分が刺したことを素直に認めています。
料亭を出て車に乗ろうとしたところにペーパーナイフを手にした男がいきなりつかみかかってきて金を出せと叫んだそうです。
もみ合ううちにそのペーパーナイフで男の腹を刺してしまった。
そう供述しています。
男は金目当てで富田を襲った。
しかし抵抗されて結果的には自分が刺された。
ということは正当防衛かね?何かあったの?IT企業の若社長がいきなり襲われたんだって。
ほら!テレビにも出たことある人よ。
僕が興味あるのは過去のヤマだけ。
(会沢桂子)きた〜!ビンゴ!
(茅野太一)課長。
病院に収容されていたガイシャが先ほど死亡しました。
(村井)何っ!?
(高岡俊介)意識は一度も戻りませんでした。
ガイシャは野々村明彦37歳です。
(桂子)あっそれ偽名です。
偽名?はい。
指紋照合の結果本名は北島透37歳と判明しました。
桂子さんその北島透ってさ殺しで指名手配されてる奴だよね。
(桂子)そうです!資料課は口を挟むなといつも言ってるだろ。
君達はなここのチリとホコリにまみれた棚の掃除をしていればいいんですよ!冗談じゃない!ここにある資料は我々の先輩刑事達が足を棒のようにしてホシを追った血と汗と涙の歴史です!いやそんなにムキにならなくたっていいだろ。
大体ねぇ1日クーラーの効いた部屋にいて自分の足も手も目も耳も使わず口だけ使って仕事してる奴には何にもわからない!あった。
この人この間の…。
桂子さん!間違いない。
北島透14年8か月逃亡生活を続けた男。
これ何?皮膚の移植手術の跡です。
14年前沢池のほとりで鋭利な刃物で腹部を刺された暴力団員の死体が発見された。
近くに止めてあったバイクの番号から北島透の名前が浮上。
ガサ入れした結果血染めのTシャツ短刀が発見された。
血痕はその暴力団員のものだったのね?それで北島が指名手配されたんだけども疑問点も残った。
どんな?発見された遺体の周辺に花火をやった跡があった。
けどさ27の男が1人で花火なんかする?う〜ん…ガイシャは誰かと一緒だったってこと?それで北島の足取りは消えて謎は謎のまま残りお宮入りとなったと。
(ため息)彼女は?ほら。
結婚式場で会った不機嫌な花嫁さん。
ああ…彼女の通学定期が現場のそばに落ちてた。
ええっ!?じゃあ彼女が現場にいた可能性が?まあ…聞き込みに行ったデカの話によると通学定期は帰ってくる途中なくした。
横山北島両名については心当たりはない。
当然会ったこともないと。
ええ?それ信用できたんですか?彼女…つまり市原のぞみさんは当時絶大な力を持ってた民政党の大物代議士市原辰彦氏の一人娘。
お嬢様大学へ通う花の女子大生。
う〜ん…。
大物代議士の娘さん…。
行ってみる?うん。
市原さん。
お久しぶりです鳥居です。
どちらの鳥居さんでしょう?あっ…。
覚えてなくてごめんなさい。
いえ。
14年前のことですから。
落ちぶれたと思ってるでしょ。
あの頃とは何もかもが違うから。
(刑事)現場には行かれたことはないと?はいありません。
父が亡くなって周りにいた人達はみんな離れていきました。
昔のお嬢様も今はただのおばさんです。
いえ。
ものすごい似合ってました。
ウエディングドレス。
あっ結婚式場でお見かけしたんです。
あっ…恥ずかしいわあんな格好。
あっ。
でお話って何なんですか?ああ…14年前あなたの通学定期が遺体のそばに落ちてたっていう事件がありましたよね。
その時の容疑者北島透見つかったんです。
見つかったっていうかIT企業の社長を襲撃して逆に刺されて死亡したんです。
それが何か?その北島透とあなたとの間にある共通点があることに気がついたんです。
共通点?2人とも腕に傷があるんです。
そこ。
そこに北島透皮膚移植した跡があるんです。
そんなのただの偶然です。
これはついこの間やけどをしたんです。
私は北島なんて人とは何の関係もありません。
失礼します。
あっそれともう1つ。
あなた結婚目前なのに何でそんな機嫌悪いんですか?マリッジブルーって言葉ご存じないんですか?花嫁って挙式前にはいろいろ不安になるんです。
じゃあ。
マリッジブルー…。
洋子永遠に縁がなさそう。
のぞみさん今日も不機嫌でしたね。
それに彼女2つ嘘をついた。
えっ?1つ目の嘘。
僕らが入っていった時彼女新聞記事を切り抜いてた。
それも北島とは何の関係もないと言いながら北島の死亡記事を切り抜いてた。
2つ目の嘘。
僕らの後ろに飾ってあった社員旅行の写真。
全員半袖彼女だけ長袖。
つまりやけどはついこの間できたものじゃない。
はは〜。
さすがおみやさんよく見てる。
…ということは彼女14年前のヤマとかかわりが?関係ないんだけどさうどん食べに行こう。
うどん?ああ…。
(高岡)おみやさん。
こんなところに何しに来たんですか?いやいや散歩の途中。
ここ?殺された北島のヤサ。
彼は14年間もこういう場所を転々としてたんですね。
(渋井信子)野々村さんが強盗したってホントなの?野々村さん?ああ北島の偽名ですね。
今捜査中の段階ですけどお知り合いだったんですか?
(信子)あの…私…。
いえいいの。
あれっ?これ…。
富田だ。
北島は最初から富田を狙うつもりだったんだ。
おみやさん。
(富田)僕のほうは一面識もありませんよ。
こういった雑誌を見て勝手に僕が金を持ってると思い込んで標的にしたんでしょうね。
なるほど。
それより早く弁護士と会わせてください。
今週中にまとめなければならない商談がいくつか残ってるんです。
商談?あなたねぇ今の立場わかってるのかな?あなたは人を1人殺したんですよ。
説明したはずですよね?僕は襲われて自分の身を守るために刺したんです。
当然正当防衛ですよね。
裁判でも認められると思いますが。
北島はどうして富田に狙いをつけたんでしょうか?お金を持ってる有名人は他にもたくさんいますよね。
そんなことは死んだ北島に訊かんとわからんだろう。
いやしかし…。
とにかくこのヤマは正当防衛。
これで決着だ。
本当に決着ついたのかなぁ…。
うん…北島の動きって変だよね。
彼は14年8か月逃亡生活を続けてたわけだよ。
あとちょっとで時効成立っていう時にさあんなつまんない…つまんないって語弊あるけどもああいうタタキやるかな?う〜ん…。
普通なら多少お金に困っても息を殺して身を潜めて時効がくるのを待ってるはずよね。
うん。
それに皮膚の移植手術もしていた。
それも謎だよね。
あっ!もしかしてのぞみさんはやっぱり14年前のヤマの現場にいたんじゃないんですか?そして実は横山を刺し殺したのはのぞみさんだった。
結婚を控えてるのに不機嫌だったのは時効があと4か月後に迫っていてナーバスになっていたせい。
北島が殺され捜査の手が自分に迫り余計不機嫌になっている。
わあ〜!洋子らしい大胆な仮説!ふふふ…。
それよ。
時には大胆さも必要だ。
ねっおみやさんおみやさんおみやさん…。
今夜こそ2人っきりでディナーに行こう!ちょっとちょっと…それとこれとはさ話が違うと思うけど。
いいのいいの。
ディナーに行こうよ。
ああ…。
(福島重夫)マリッジブルーですか。
女心は難しいですからね。
ねえ。
でもこの頃はあまり聞かないでしょ?
(小池仁美)うん…それって女性の晩婚化が進んでるせいかもしれへんねぇ。
みんないろんな迷いくぐり抜けてから結婚っていう選択肢を選ぶ。
そやからこそきっぱり踏み切れるんやないかなぁ?
(福島雅人)そういうもんなんですか。
とにかくのぞみさんのマリッジブルーは単なる言い訳。
絶対にそう!洋子の大胆な仮説が当たってるかどうかは別にして14年前のヤマに彼女が関係あることは間違いなさそう。
おたまさんやっぱりちょっと恥ずかしいよこれ。
(ドアの開く音)おはようございまーす。
(おたま)坊ちゃま今はねエコの時代なんですよ。
いちいち何でも捨ててしまうのはもったいのうございます。
何これ〜カラフルなパッチワーク。
あっいえあの…アイロンかけておりました時にちょっと脇見をしましたら焦げてしまいまして…。
おたまさんこれおたまさんのパジャマにしたら?まあ坊ちゃま!お寝間着ぐらいはね趣味の紫色にさせていただきます。
ええ〜?おたまさんの寝間着って紫なの?すごい不気味〜。
紫が似合うのは淑女の証拠でございます。
全然関係ないんだけどさ問題はつぎ当ての下に何が隠されてるかなんだよね。
またお越しを。
あっ。
あっどうも。
ええ…14年前市原代議士の第四秘書をやってらっしゃった今井さんですよね?ああ…はいそうですが。
そうですか。
結婚式場で見てはったんですか。
すいません。
係の人と間違えて。
あっいやいや…。
市原先生の使い走りやった男がお嬢さんと結婚やなんてと分もわきまえずと思っておられるんでしょうね。
いやいや…似合ってました。
気ぃ使わんといてください。
当の僕もまだこれは夢やないかて疑うてるとこあるんですから。
ふふふ…。
何しろ14年前のお嬢さんいうたら僕なんかの手の届かへん高嶺の人でしたから。
市原先生脳梗塞でしたっけ?ええ。
6年前です。
そしたらもう取り巻き連中はサーッと潮が引いたみたいに消えていきましたわ。
それでのぞみさんの面倒を?綾小路の町屋に間借りさせてたのもあなたですね?はい。
そのお陰で僕とお嬢さんの距離は縮まったんですけどね。
ふふふ…。
あの…1つお伺いしたいんですがお嬢さんやけどの跡ありますよね?ええ…あれは14年前です。
14年前?じゃあ事件の起きた頃のものなんですか?ただやけどのわけを訊いても教えてくれません。
どのぐらいの大きさですか?いや…お嬢さんはいつも包帯してはってその下は見せてもろうたことはありません。
昔からお嬢さんの嫌がることはなるべくせんようにしとるんです。
ますます怪しいな…。
(携帯電話)ちょっとすいません。
(携帯電話)もしもし。
あっお嬢さん。
何です?結婚のことやめたいの。
じゃあ。
あっちょっとお嬢さん…何で?そんなアホな…。
もし…!もし…!
(電話の不通音)どうしました?おみやさんどうして婚約解消なんて…?やっぱり市原のぞみ怪しいですよ!事件は片付いたってそう言ってるだろ!しかし時効直前の北島がなぜわざわざ強盗したのか何のためにお金が必要だったのかそれがまだ解明されていないんですよ!同感です。
北島のヤマは解明されたとは思えません。
資料課は口を挟むなって!お前達も上司に逆らうようなマネは二度とするな!
(七尾清一郎)結構!
(七尾)上司に食ってかかる情熱大いに結構〜!ぶつかり合ってこその捜査だよ。
えっ?村井君。
はい…。
課長もう1回調べてきます。
それでよーし!今日の署長かっこいいです。
年に1回だけだけどね。
兵さん。
(兵藤)えっ?これ今日の新聞?はい。
刑事課のゴミの分別は私の仕事でして。
ちょっといい?えっ?ああ…どうぞ。
洋子…大変なことを見逃してた。
あなた昨日この記事切り抜いてましたよね?僕あの…僕てっきり14年前北島が指名手配されてその記憶でこれ切り抜いてたと思ったんですが違うんですよね?これ17版ってあるんですよ。
新聞。
この時点で富田に刺されたのは北島だって特定されてないんです。
だからこの記事には北島の名前ないんです。
あっ!そうだった。
あなたは富田の名前が記憶にあったということになりますよね?知りませんそんな人。
記事を切り抜いてたのもただの気まぐれです。
ホントです。
帰ろうか。
はい。
(今井)お嬢さん!あっどうも。
何で携帯出てくれへんのですか?貸衣装なんてケチケチしたこと言うた僕がアホやった。
これ受け取ってください。
お嬢さんこれ着てくれはりますな?僕と結婚してくれはりますな?だから断ったじゃない!お嬢さん!あっ!ああっ!あっ…。
(ため息)ああっ!ダメダメダメ!こすると染みが広がるから。
ダメダメ…!えっそうなん?どないしよ…。
あかん!もう…。
何やってもこうや!最低の男や!やっぱりお嬢さんと結婚しようなんて思い上がりやったんや。
けどお嬢さんが10代の頃から僕はずーっとあきらめられへんのです。
未練がましい男やて軽蔑されるのはわかってますけど…。
私なんかでホントにいいの?なんかって…。
(ため息)いいわ。
結婚する。
私だって幸せになっていいよね。
のぞみさん揺れてますね。
結婚するって言ったりしないって言ったり…。
やっぱり14年前のヤマのホンボシなんですよ。
じゃあ代議士のお嬢さんだったのぞみさんはどこで暴力団員と接点を持ったの?えっとそれは…。
それに北島透を殺害した富田圭一といつ接点を持ったの?う〜ん…。
だからそれはまだ不明で…。
殺害された北島透。
殺害した富田圭一。
そしてのぞみさん。
この3人に何かしらつながりがあることだけは確かだね。
そしてのぞみさんの不機嫌さの原因にすべての事実が隠されている。
そうよね?
(ゴミを分ける音)兵さん。
(兵藤)はい。
はい?この人に心当たりありませんか?いえ…知らない方ですね。
じゃあ14年前の3月5日どこにいました?アメリカのカリフォルニアにいました。
こっちの大学を休学して向こうに留学してたんです。
すばらしい。
よく覚えてますね。
14年前のこと訊かれて即答できる人そうそういません。
アメリカ留学は今日の僕を築いたターニングポイントになった出来事なんです。
覚えていて当然でしょう。
なるほど。
じゃあ留学の費用はどうなさいました?何かの雑誌のインタビューに答えて学生時代はすごく貧乏だったっておっしゃってますが。
そんなこと答える必要ないでしょう。
北島は…あっいやあなたに野々村と名乗っていた男はお金に困っていた様子でしたか?何かご存じなんですね?いい人でした…。
私にはホントに親切で。
だから…うっ!
(高岡)あっ!渋井さん!?
(医師)心臓がかなり弱っています。
入院して本格的な治療を受けられる必要がありますね。
わかりました。
身内の方に連絡取ります。
では。
あっすいません。
身内はおりません。
渋井さん?刑事さん…私のせいなんです。
私がこんな体だと打ち明けたから野々村君とんでもないことを…。
きっと私のせいで強盗を働いたんです。
おみやさん。
言われたように富田の出入国記録を調べてみました。
ええ…アメリカ留学に出発したのはこの3月の12日になってます。
12日!?14年前の事件が発生した1週間後よ!ということは事件当日彼は日本にいたことになる。
それって…!兵さんありがとう。
あとは資料が知ってる。
これだ。
(桂子)毎度〜!あれっ?おおっ!ああお疲れちゃん!今日も残業のようだから差し入れ〜。
感謝〜。
桂子さん桂子さん。
これ14年前現場で採取された指紋なんだけども…複数の。
はいはい。
これとある人物の指紋と照合できる?了解しました!でそのある人物っていうのは?
(茅野)おみやさん!おみやさん!北島なんですけど3年前からあのアパートに暮らしていて普段は誰とも話さずに目立たない生活をしていたそうです。
(茅野)ただ…。
(高岡)隣の部屋に住む渋井さんというおばあさんとだけとはお総菜を分けてもらったりして親しくしていたそうなんです。
(北島透)すげぇ。
いただきます。
うまい。
ホントにうまい。
(茅野)おばあさんなんですが先ほど入院しました。
重い心臓病です。
そのことと北島のヤマと何か関係あるの?はい。
おばあさんは北島が犯行を起こす1週間前病気のことを北島に告げています。
その時北島は…。
金なら何とかする。
弟に頼めばきっと都合してくれるから。
ねっ。
弟に頼む…?
(茅野)はい。
弟って言ったの?ええ。
ええっと…北島は確か幼少期に大阪の施設に預けられてる。
ちょっと待ってください。
ええっと…。
あっやっぱりだ。
富田もです。
富田もある雑誌のインタビューで幼少期に両親に死なれたと答えています。
洋子ちょっと調べてみよう。
(桂子)おみやさん!はい。
あの2つの指紋同一人物のものだった!やっぱり…。
おみやさん!はい。
富田を親代わりに育ててた人を捜して何とか話を聞きました。
富田は両親が亡くなった後しばらくの間大阪の施設で暮らしていたそうです。
富田も大阪の施設に?ええ。
洋子どうやら見えてきた。
たこ焼きとお好み焼きどっちがいい?お好み焼き。
大阪に食べに行こう。
大阪まで!?ああ…たこ…!何ですって?間違いありません。
わかりました。
ありがとうございました。
(北島の声)あんまり不幸ぶるなよ。
透…。
市原さんドライブ行きませんか?えっ?富田さん…。
のぞみさん…。
ここで14年前暴力団員横山が殺害されました。
その時に富田さんものぞみさんも現場にいましたよね。
何の話かわからないな。
証拠はこれです。
この通学定期がこのへんに落ちていました。
この通学定期から複数の指紋が検出され1つは容疑者北島透。
もう1つは持ち主のあなた。
もう1つの指紋は前科者カードと照合しましたが適合する者はいなくて特定できませんでした。
ですが…あなたですよね。
昨日あなたが育った大阪の施設行って来ました。
あなたには2歳年上のお兄さんがいらっしゃる。
あなた学力優秀で10歳の時に養子にもらわれた。
その養子先の名前が富田。
施設では北島って呼ばれてました。
あなた北島透と兄弟です。
のぞみさん。
あなたが包帯で隠してるものと北島が皮膚移植で隠したものが同じじゃないかって考えました。
14年前には光り輝いてたもので今は人に見せたくないもの…。
若かった2人の絆の証し…タトゥー。
入れ墨。
ハッ…何をアホなことを…。
お嬢さんが入れ墨なんかしてるわけないやないですか。
ははっ…。
あなたは私がわかってないのよ。
はい?
(ため息)全然わかってない。
私は品行方正なお嬢様なんかじゃなかった。
あの頃の私は…。
今見せてあげるわ。
おいやめろ!「TORU」…北島透。
子供の頃から私は父が大嫌いでした。
自分の権力を笠に着て裏で汚職まがいのことをやってるのが許せなかった。
そんな父に反抗したくて二十歳を過ぎた時期の私は大学にも行かず夜の街をフラフラ歩き回ってました。
そしてあの年の冬の初めに透と知り合ったんです。
器用なんですね。
ははっ…弟がさ不器用でやらないんだ。
へえ〜いいお兄ちゃんなんだ?どうだかな。
そういう顔してる。
ふふっ…。
自分1人で来てるの?私は1人よ。
いつでも1人…。
(のぞみの声)結局朝方まで話した。
自分で自分の足の裏なめたことある?ええっ!?それに集中してみろよ。
全部バカバカしくなるから。
何それ。
あんまり不幸ぶるなよ。
(のぞみの声)胸に小さな明かりがともったような気がしたわ。
それからしょっちゅう会うようになった。
夜の街を歩いたりバイクで遠出したり花火をしたり…。
子供だったからそういうこと全部に夢中になったわ。
この入れ墨も…。
(北島)おおできた。
なかなかいい感じじゃない。
私も彫ってみたい。
透のことがだんだん好きになっていった。
その頃は彼しか見えなかった。
今思うとママゴトみたいな恋だったけど。
私も透と同じようにこの入れ墨を消したかった。
でもできなかった…。
14年前私達はここで…。
言うな!!聞かせてください。
お嬢さんのことで知らんことがあるのは我慢できん!あたたかい春の日この池に来ました。
富田さんも一緒でした。
(噴き上げ花火の音)アツッ!のぞみちゃん落ちた。
すごい。
おお…。
ははは…。
(横山保)へえ…楽しそうにやってるじゃねぇの。
(富田)横山さん…。
圭一誰だ?いや…。
お前そいつの兄貴か?なら貸した金返してもらおうか。
金?うちの若いのとマージャンやって負けたんだ。
ぴったり30万円よこせ。
負けたのは7万じゃないっすか。
借金には利子ってもんがつくんだよ!脅して金取る気か?こっちは言いなりにはならねぇんだよ!!粋がるんじゃねぇよ!やめろよ!
(のぞみ)やめて!くそ…この野郎…。
刺せるもんなら刺してみろよ!うおりゃあ!ああっ…!
(富田)やめろー!!
(刺す音)ああっ…!透は俺が刺したことにする。
お前達は逃げろ。
このことは誰にも言うなって言った。
私とこの人はその言葉どおりここから逃げたんです。
そして刑事さんが定期入れを持って私の家にやって来た。
私は卑怯にも何も知らないフリをした。
殺人とかにかかわるの怖かったから…。
それだけじゃない。
父親にお金を借りてこの人がアメリカへ逃げる手助けもした。
すべて透のためだと思って。
それで全部忘れようと思ったんです。
でもこれが残った…。
透の面影とともに…。
入れ墨って触ると冷たいんです。
透が寒がってないかいつも気になった。
私達を守ってくれた透が忘れられなかった。
違う!兄貴はそんな善人じゃない。
兄貴は俺から金を脅し取ろうとした。
300万必要なんだ。
何だよ俺を強請る気なのかよ。
時間がないんだ!頼むこのとおりだ!ちょっと兄貴…兄貴!俺達もう赤の他人だろ?なあ。
そんな金ねぇよ。
ちょっと待ってくれよ!頼むよ!何だよ離せよ!どうしてもいるんだ!やめろよ離せって!頼むよ…頼むよ圭一!やめろって!俺には大事な会社があるんだ。
今昔を蒸し返されるわけにはいかないんだよ!離せって!離せよ!!
(刺す音)うっ…!ううっ…。
富田さん北島は14年前のことをネタにあなたを脅そうとか強請ろうとかそういう魂胆で近づいたんじゃない。
北島のアパートの隣の部屋のおばあちゃん心臓病で治療費がかかる。
北島はそのおばあちゃんを助けたかった。
きっと私のせいで強盗を働いたんです。
何だって?だから時効まであと4か月危険を冒してまで君の前に姿を現した。
それまでしておばあちゃんを助けたかった。
恐らくそのおばあちゃんに母を見たんでしょう。
母を…。
(のぞみ)変わってなかったのね透は…。
私達をかばってくれたように…。
どうしてそんな…。
透はこの池で別れた時と同じようにやさしかったのよ。
14年前私もあなたも…。
圭一!
(のぞみ)透に守られて助けられたじゃない。
富田さんあなた達兄弟は幼くして両親を失い施設で育ちました。
(北島)圭一をイジメるな!透君は2歳年下の君をいつもかばい続けた。
まるでお母さんのように。
そうだよね?圭一君。
兄貴…。
透お兄ちゃん…。
透お兄ちゃん…!透お兄ちゃん…。
透お兄ちゃん…透お兄ちゃん…。
透お兄ちゃん…。
透お兄ちゃん…透お兄ちゃん…。
(泣き声)お嬢さん…。
今井さん…今井さん。
透…。
透…!あんまり不幸ぶるなよ。
そうですか。
北島のお骨をあなたの家の墓に…。
はい。
透さんには富田さんしか身寄りがいませんから。
いずれ透さんだけのお墓を作ってあげるつもりでいます。
あっ…婚約はどうされるんですか?解消するつもりです。
透さんの面影を抱いたまま結婚するのは今井さんに申し訳ないですから。
今井さん…!お嬢さん僕は入れ墨の1つや2つで驚くような男やないでっせ。
14年間惚れ続けた人をそう簡単にあきらめられますかいな!はははっ…。
今井さん…。
過去が光り輝いて見えることってありますよね。
それ一瞬の幻じゃないですか?一番大切なのは今この一瞬この時間なんじゃないでしょうか?あなたってバカよね。
あの2人うまくやっていけるのかな〜?うーん…きっとうまくやっていくんじゃない?光り輝いて思える過去か。
ああ〜ないなぁ私には。
ああ洋子には昔も今も情熱的な恋って縁がないね。
私はロマンとは無縁って言ってるみたいじゃない。
みたいじゃなくてないって言ってるの。
おみやさん!今の発言許せない!!2015/12/17(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[新]おみやさん6[再][字]
京都鴨川東署資料課の窓際課長・鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難事件に挑む!
詳細情報
◇番組内容
【FILE.1/不機嫌な花嫁】14年前に見つかった刺殺体の傍には定期入れが落ちていた。そして現在、鳥居が結婚式場で偶然出会った不機嫌な花嫁(原沙知絵)こそがその定期入れの持ち主だった。鳥居は刺殺体と花嫁の腕に、ある共通点を見つけるが・・・!?
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、七瀬なつみ、不破万作、林 泰文、片桐竜次、小野寺丈、一條 俊、相本久美子、菅井きん、谷啓ほか
【1話ゲスト】原沙知絵、阿南健治、浜田学、本宮泰風
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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