[PR]

 大阪市が全職員に労働組合や政治活動への関与を尋ねたアンケートの是非が争われた訴訟の控訴審判決が16日、大阪高裁であり、中村哲(さとし)裁判長は憲法が保障する労働者の団結権やプライバシー権の侵害を認め、一審・大阪地裁判決と同じく原告の職員や労組への賠償を市に命じた。一審は認定外だった「政治活動の自由」への侵害も新たに認め、賠償額を一審の約2倍の79万円に増やした。

 橋下徹市長の下での職員・労組への施策が問われた一連の主な訴訟の控訴審判決がほぼ出そろった。これまでは市側敗訴の一審を覆したり一部見直したりする判断が続いていた。

 アンケートは2012年2月、教員らを除く全職員約3万4千人に実施。だが、外部の批判で中止され調査内容も破棄された。

 高裁判決は、労組活動への参加経験や活動内容を聞く設問▽特定の政治家を応援する活動への参加経験を尋ねる設問――について、いずれも団結権やプライバシー権を侵害するものと指摘。政治活動の設問については「法に抵触しない範囲で自由にできる政治的行為を萎縮させ、政治活動の自由を侵害する」と一審より踏み込む判断を示した。(太田航)