（眞澄）どうしましょう。
こんなものが出回ってしまって。
（崑一）削除させる。
（崑一）あの男の悪意は相当のものだ。
ほっとけば何をするか分からんぞ。
（美輪子の泣き声）
（ぼたん）美輪ちゃん。
美輪ちゃん。
（ぼたん）美輪ちゃん。
分かって？
（ぼたん）あなたの胸が切り裂かれてどくどくと血が噴き出している。
私も同じように切り裂かれてあなたと同じように私の胸からも真っ赤な血が流れてるのよ？
（美輪子）ぼたん…。
大丈夫。
私が付いてるから。
美輪ちゃん。
元気出して。
（美輪子）どうしてこんなことまで？
（美輪子）あいつよっぽど私のことを憎んでるんだわ。
あなたのことが恋しくてめったに手にしたことのない宝を一度は自分のものにしたものだから死んでも放したくないのよ。
（峰靖）もう二度としないな？あんなひきょうなまねお前らしくないぞ。
謝れ。
美輪子さんのお父さんに謝れ。
（多摩留）すいませんでした。
（峰靖）どうでしょう？息子も後悔してますのでこれで何とか。
（崑一）手ぬるいね。
こんなことでこの男が本心から悔い改めるとでも思ってんのかね？
（峰靖）えっ？
（崑一）父親ならがんがん殴ればどうなんですか？親の責任を感じてるならもっと徹底的にやってもらわないと困るんだ！
（峰靖）そうですか。
（崑一）そんなんじゃ駄目だ！もっとシビアにやれよ！
（峰靖）ああーっ。
うっ！
（伊佐子）あっ。
（峰靖）この野郎！土下座して謝れ！もう二度と美輪子さんに付きまとわないって。
言え。
言えよ！誓えよ！
（多摩留）すいませんでした。
（峰靖）「すいません」じゃ駄目なんだよ。
ちゃんと言えよ！えっ？美輪子さんのお父さんに向かって両手を突いて「二度と美輪子さんに付きまとったりしません」って。
（多摩留）二度と…。
二度と美輪子さんに付きまとったりはしませんので。
（伊佐子）この子だけが悪いんじゃないよ。
美輪子さんだってすっかりその気にさせておいてそれで急に冷たくされりゃ多摩留だって頭に血が上るよ。
（峰靖）ああ…。
（伊佐子）どうしたの？手を痛めたの？
（峰靖）いや。
骨くじいたみたいなんだよ。
（伊佐子）慣れないことするからよ。
子供に手上げたこともないのに。
諦めるしかないな多摩留。
（伊佐子）そうよ。
ストーカーで裁判になったら懲役だよ？ねえ。
多摩留。
まだ青春はこれからなんだから。
もっといい女が現れるよ。
何も悲観することはないんだからね？
（峰靖）あ痛たた。
（伊佐子）あんた。
湿布しといた方がいいんじゃないですか？ああ。
（伊佐子）さあ。
もう寝るわよ。
（杉彦）お兄ちゃん？
（多摩留）殺す。
（杉彦）殺す？
（多摩留）《殺す。
殺す》
（多摩留）うっ。
うっ。
あっ。
ううっ…。
美輪子。
ああ…。
（眞澄）ピアノの先生から電話があったのよ。
来月の発表会にはぜひともあなたに出てほしいって。
どうする？別に。
レッスンもしてないし。
（眞澄）すればいいじゃないの。
今からでも間に合うわ。
先生のところに行きたければ行ってもいいんだし。
あなたも少しはこたえたでしょ？
（眞澄）もうレッスンをごまかして雲隠れするってこともなさそうだし。
信用されちゃってんのね。
警察はどこまで当てにできるか分からないけど。
パパが土下座させて二度とストーカー行為はしないって誓わせたんですって。
そう。
まあこちらで注意していればピアノのレッスンくらいだったらね。
じゃあお母さん。
行くの？やっぱり。
ええ。
いってらっしゃい。
気を付けてね。
行かなけりゃいいのに。
結婚式や披露宴の予約までしちゃもう身動きができなくなるわ。
お姉ちゃま嫌々結婚するのかしら？あちらのママにずるずると押し切られて。
綱輝さんを愛してるようには見えないんだけど。
（女性）それではこのスケジュールで組ませていただきます。
よかったですね。
ご希望どおり大安の日がゲットできて。
おめでとうございます。
（綱輝）じゃあよろしく。
（綱輝）どう？結婚式の日取りも決まったんだし。
いい記念になるよ。
ええ…。
（綱輝）結婚までしっかりと地固めをしたい。
今どき結婚式の夜が初夜だなんて浮世離れし過ぎてると思わない？そうかもしれないわ。
うれしいよ。
ついにここまでたどりつけたと思うと。
綱輝さん。
じゃああなたは向こう向いててくださらない？いいよ。
もういいわ。
ぼたん。
綱輝さん。
待ってたんだよ。
この瞬間を。
どれだけ激しく夢見てたか分からないんだよ。
ええ。
すごいね。
吸い付くような肌だね。
知らなかった。
えっ？嫌！何するのよ？あなた。
何てことなさるのよ！えっ？いくら何でもひどいわ。
そんなこと私我慢できないわ。
ちょっと。
ぼたん。
ちょっと。
ぼたん。
ひどい！ひどい…。
なぜなんだ？ぼたん。
そんなに僕が嫌いか？だって無理やりあんな。
無理やりになんかしてないだろう？どうなってるんだ？いったい。
すみません。
私だって覚悟はしてたつもりなのに。
いいよもう。
服を着なさい。
ごめんなさい。
いざとなると駄目なんです。
体が拒絶して。
僕が悪かったんだ。
あなたが潔癖だってことはよく分かってたはずなのに我慢ができなかった。
やはり結婚まで大事に取っておこうね。
あなたのペースに合わせる。
どうもその方がよさそうだ。
すみません。
ちょっと！何してるのよ！開けなさい！
（エンジン音）ちょっと。
止まりなさいよ！開けなさい！何すか？「何ですか？」じゃないでしょ？今度は車で付きまとい？文句あんのかよ？ここ開けなさいよ。
（解錠する音）出しなさいよ。
どこへでも行きなさい。
どうしてやめてくれないの？警察にも警告されてうちの父にも二度と美輪子には近寄らないって誓ってくれたんじゃなかったの？美輪子はすっかりあなたにおびえているわ。
あなたと愛し合ったことは事実なんだからそれは思い出として残るのにこんなことばかりしてるとその思い出もめちゃめちゃに汚されるのよ？それでいいの？一度は愛し合ったんだからそのことを大切にしてくださらない？あなたの心の中に美しい思い出を抱き締めて生きていってくれればいいんじゃないの？そんなことはできない。
まだ傷痕が…？お姉さんには申し訳ないけど美輪子を殺す。
えっ？そして自分も死にます。
そんな…。
嘘でしょ？やめて。
やめて！そんなことしたら…。
そうなの？あなたは…。
何ですか？いいわ。
いらっしゃい。
こっちへいらっしゃい。
あなたにこの体をあげるわ。
その代わり美輪ちゃんを殺すのはやめてちょうだい。
どう？私を抱きたくないの？これまでどんな男も受け入れたことのない奇麗な体よ。
誰も通り抜けたことのないこの体をあなたにあげるって言ってるのよ？どう？抱きたくないの？ううっ。
うっ…。
うあーっ！
（すすり泣く声）どうしたの？どうして泣くの？私には婚約者がいるの。
だからあくまでも美輪子のために身を犠牲にしたのよ？分かってるわね？あんたなんか愛してないのに。
愛してるのは美輪子だけなのに。
そうでしょうね。
でも私の体にも魅力があったんでしょ？汚らわしい。
不潔だ！
（泣き声）あなたがいい人だってことがよく分かったわ。
もう美輪子を殺すなんてバカなことは考えないわね？じゃあ行きますからね。
うーっ。
くっ…。
・
（ドアの開閉音）どうかしたの？もう大丈夫よ美輪ちゃん。
あなたは何にも心配することなんかないわ。
だといいけど。
私が守ってあげるの。
どんなことがあっても私はこの身を犠牲にしてでもあなたを守ってあげられるのよ。
ありがとう。
あなたを愛してるわ。
こんなに愛してるって思えるのは初めてなくらいなのよ？お姉ちゃま。
お姉ちゃま…。
（多摩留）《「いよいよＭ計画を決行する」》《「同時に僕の人生も終わります」》《「お姉さん。
悲しまないでください」》
（世奈子）どう？綱輝さん。
（綱輝）奇麗だ。
いや。
奇麗だって言っちゃいけないね。
美しいっていうより他にないよ。
まあ。
（世奈子）ぼたん。
あなた何だかなまめいてるわ。
この前まではかまととぶってばかりだったのに。
嫌ね。
ママったら。
（世奈子）よくしたものね。
結婚が迫ってぼたんもようやく薄皮がむけてきたのねぇ。
そうらしい。
さなぎからチョウに。
（綱輝・世奈子）ハハハ。
（世奈子）うーん。
とうとうあちらのママにからめ捕られて。
どういう気持ちで結婚するのか知らないけど。
（崑一）めでたいことだ。
色々あってもゴールインが決まったんだからね。
あちらのママの魂胆は分かってるわ。
うちの家からぼたんを取り上げて綱輝さんと結婚させたら一緒に住みたいんだわ。
しかたがないだろう？実の子なんだから。
・
（雷鳴）・
（雷鳴）2015/12/17(木) 13:25〜13:55
関西テレビ１
新・牡丹と薔薇 ＃１４[字][デ]【姉の捨て身の交換条件】
美輪子（逢沢りな）に親密な仲の恋人の存在を知る眞澄（伊藤かずえ）。自身の過去のトラウマが脳裏をよぎり、ぼたん（黛英里佳）に、厳しく美輪子を監視するよう命じるが…
詳細情報
番組内容
ストーカーと化した多摩留（戸塚純貴）が、ネット上に美輪子（逢沢りな）のあられもない姿を写した画像をアップしてしまう。崑一（岡田浩暉）は、多摩留の家に怒鳴り込み、父親の峰靖（安藤一夫）に多摩留を殴らせる。その場では崑一に頭を下げた多摩留だが、胸の内は美輪子への憎悪がより一層増していた。
ぼたん（黛英里佳）と綱輝（片岡信和）の結婚式の日取りが正式に決まる。
番組内容２
眞澄（伊藤かずえ）や美輪子は、乗り気もしないまま綱輝のもとに嫁ごうとしているぼたんの心境が理解できずにいた。当のぼたんは輝綱に再び体を求められ、今度こそ応えようとするが…。
一方、美輪子への叶わぬ思いが頂点に達した多摩留は、ついに恐ろしい行動に出てしまう。
出演者
小日向ぼたん：黛英里佳
小日向美輪子：逢沢りな
牧原世奈子：田中美奈子
小日向崑一：岡田浩暉
浅黄萌子：山口いづみ
瀬尾綱輝：片岡信和
・
小日向眞澄：伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠（東海テレビ）
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」（ユニバーサルミュージック）
【プロデュース】
西本淳一（東海テレビ）
大久保直実（ビデオフォーカス）
坪ノ内俊也（ビデオフォーカス）
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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