白い巨塔 #18【舞台は控訴審へ…財前教授を待ち受ける運命とは!?】 2015.12.17


名前が違う
(アナウンス)「財前教授の総回診です」
(財前)わたしは示談にする気など一切ない。
慰謝料なら名誉棄損でこちらがもらいたいくらいです。
(里見)君とはいずれじっくり話すことになるだろう。
まだ解決しなければならないことが残っているからな。
(東)財前君は一流の外科医だよ。
協力はお断りします。
(柳原)僕はまだ未熟です。
とても結婚なんて。
家庭を持って安定すれば裁判なんて怖くも何ともない。
(関口)裁判が終わってから真実を話しても何の意味もありません。
一生後悔しますよ。
(柳原)やめてください!
(庸平)先生。
肺の転移見落としてはるん違いますか?
(佃)先生。
それ鎖骨下静脈!あっガーゼ!
(看護師)あっはい!
(安西)ヤナ取れ!
(柳原)はい。
東先生。
君に聞きたいことがあって来たんだよ。
裁判のことなんだがね。
(財前)ケリー。
(看護師)はい。
(財前)い…いやモスキート。
(看護師)はい!
(財前)ああいやケリーだ。
(看護師)はい!
(財前)きちんと渡せ!
(看護師)はいすいません。
(財前)急いで吸引しろ。
(佃)はい。
サクション。
(金井)ヤナ代われ。
(柳原)はい。
(佃)もっと伸びないの?
(看護師)すいません。
(財前)輸血を開始しろ。
(上村)はい。
(佃)うっ…吸引します。
(柳原)ガーゼ。
(看護師)あっはい。
(柳原)先生!
(財前)何してる。
もう1本よこせ!
(看護師)はい。
(佃)ヤナ代わって。
(柳原)はい。
ガーゼ返す。
(看護師)はい。
(財前)はさみ。
(看護師)はい。
(財前)完了だ。
(佃)6時間45分です。
(財前)少し心配をかけたようだな。
実は急なめまいに襲われたんだ。
(佃)いいえ。
財前先生も人間です。
裁判やガンセンターの設立でお疲れなんですよ。
(財前)オペというのは何が起こるか分からん。
不測の事態にいかに対応するかが外科医の手腕だ。
ICUでは後出血に注意して。
(一同)はい。
お疲れさまでした。
(柳原)お疲れさまでした。
(佃)4−0。
(看護師)はい。
〜〜
(東)東都大の正木教授にお会いなさい。
正木教授?うん。
わたしの後輩でね若手のガン専門家の中では技術的にも人格的にもトップクラスの医師です。
今回のケースでも医学的に公平な証言をしてくれるでしょう。
(関口)ありがとうございます。
(東)ああいや。
(佐枝子)お父さま本当にありがとう。
(東)ああいやいやいやそんな。
まあまあ。
(政子)あなた大丈夫ですの?近畿労共病院でのお仕事に差し支えませんでしょうね?今の病院はね浪速大の系列ではなくわたしの母校の東都大系だから心配はいらんよ。
(政子)でも院長の職をご紹介くださった船尾教授がどうお思いになるかしら?ハハ船尾君はねわたしとは同門の仲だしそれに財前君の強引さには以前から疑問を抱いていたんだ。
反対はせんよ。
まあわたしが証言台に立つというんだったらいろいろ影響もあるかもしれんが紹介状を書いたくらいでは問題はない。
(ケイ子)どうしたの?裁判で面倒なことでもあった?いや。
裁判もガンセンターもうまくいってる。
じゃあ?オペだよ。
今日のオペだ。
頸部郭清のときに鎖骨下静脈に切り込んでしまい止血に手間取った。
大丈夫だったの?患者さん。
ああ。
最後はうまくやりおおせたよ。
スタッフにも体調が悪いと言って丸め込んだ。
じゃそんな飲まなくったって。
静脈出血なんて食道ガンのオペではよくあることでしょう?それだけじゃない。
慌てふためいて鉗子を落としその上縫合の糸まで切った。
この僕がだ。
急に言いようのない恐ろしさを感じたんだ。
既に死んだ人間にメスを入れようとしているような。
疲れてんじゃない?月並みな慰め方をするな。
慰めてなんかいないわよ。
ホントに少し顔色悪いから。
初めてだよ。
あんな初歩的なミスは。
やけ酒は二流の男のやることよ。
じゃあ行こう。
明日はオペもない。
それは三流の男のやること。
フフッ。
今日は帰って休んだほうがいいわ。
フッ本当に一流の人間は何をやってたって一流だけどな。
(正木)はい。
東先生から聞いております。
では証言を引き受けていただけますでしょうか?
(正木)正式には裁判の記録を読ませていただいてからお返事しますが財前教授が転移を想定して検査を行わなかったのは非常に疑問に思っています。
(関口)よろしくお願いします。
ここへたどりつくのに1年かかりました。
こういう事態が起こると患者の側はもちろんかかわった病院のスタッフも苦しみます。
何とかお力になりましょう。
ありがとうございます。
原告側に付く医者が見つかった?
(国平)はい。
東都大の正木教授だそうです。
(財前)東都大?まさか。
(国平)お察しですか?正木教授を口説いたのは現在近畿労共病院の院長をしておられる東貞蔵先生。
すなわちあなたの師です。
東先生は教授の座から追放されたかのように惨めな退官をさせられたそうですね?以来ずっと恨みを募らせ機会を狙っていたんではありませんか?恨みなどと言われては困りますね。
老人のしっとに苦しめられたのは僕のほうですよ。
まっわたしにお任せください。
正木教授には早急に裁判から手を引いてもらいます。
どうせなら東先生にも早急にお引き取り願いましょう。
今更亡霊にかき回されるのはごめんですから。
(テーマソング)〜
(よし江)東さん。
ホントにありがとうございます。
何てお礼言ったらいいのか。
(佐枝子)いえ。
父は財前さんを教えた者として責任を感じているんだと思います。
さっどうぞ。
(関口)これでやっと浪速大学と同じ土俵に立てることになりました。
正木教授に財前という医師の過失を指摘してもらえれば医学的見地からの判断は五分と五分。
後は証人尋問で根気よく過失を立証していくつもりです。
誰か1人でもホントのことを言ってくれる人がいたらいいんですけど。
(庸一)無理だよ。
医者なんか嘘つきばっかだもん。
(佐枝子)そうではないと思います。
元は命を救いたいと思って医師になった方々がいつの間にか嘘をついたり傲慢になったりしてしまう。
だからこの裁判をやる意味があるのではないでしょうか?そうですね。
あんな財前みたいなひどい医者もいるけど里見先生や大河内先生それから東先生のおかげでここまで来れたんです。
とにかく頑張りましょう。
そしてこの裁判が終わったとき佐々木さんがまた医者を信じられるようになればと僕も思ってます。
(関口)では始めましょうか。
(よし江)はい。
はい。
関口仁法律事務所でございます。
はいお世話になっております。
お待ちください。
関口さん。
(関口)うん?東都大の正木先生からです。
ありがとう。
はい関口です。
いえ。
先日はどうもありがとうございました。
えっ?あのそれは一体どういうことで…。
正木先生あの。
突然そんな…。
(鵜飼)順調にいってるみたいだね。
(財前)ええ。
厚労省には医師会からの趣意書を出して協力を取り付けました。
P3遺伝子研究施設の導入についても横やりは入りません。
(鵜飼)うん。
裁判のほうはどうなってるんだね?間もなく控訴審の法廷だろう?
(財前)ご心配なく。
(鵜飼)しかし余計な登場人物が増えたからねえ。
東先生にはご退場いただきます。
策はあるのかね?はい。
学長のお手は煩わせません。
正木君が証言を断ってきた?なぜです?
(関口)検討した結果第一審の鑑定を支持せざるをえないとおっしゃっていました。
そんなはずありません。
わたしには協力を惜しまないと約束したんだ。
はっきりとね。
浪速大学のガンセンターに正木教授のところの助教授が行くことが決まったそうです。
何ですって?財前君はガンセンターの人事まで取り引きに使ったということですか?恐らく。
何ということだ。
腐りきるとはこのことだ!あなたそんな興奮なさらないで。
財前さんのことなんかでお体に障ったらもうしゃくじゃありませんの。
(東)ちょっとお待ちください。
今別の方をご紹介しましょう。
阪神医科大の溝口君なら利権には無縁の人物です。
溝口先生には既にお願いをして断られてます。
(関口)この1年動いてきてどうにもならないことを考えると今回のケースでは新たに証言を引き受けてくださる方を見つけるのは無理だと思います。
ではあきらめると?
(関口)いえ。
初心に戻って佐々木庸平さんの死に立ち会った人たちにもう一度真実を話してくれと頭を下げるつもりです。
確かに第三者の医師による医学的根拠に基づく証言が重要です。
しかし実際に現場で患者を見てきた者たちの言葉のほうが本来説得力を持つはずです。
水を差すようですがね甘いんじゃないでしょうか?今の第一外科に財前君に背いて事実を話すような人物がいるはずがない。
「医者は皆もともと命を救いたくて医者になる」お嬢さんに言われて気がつきました。
元は命を救いたいと思っていた医師が嘘をつき続けるということは苦しいことのはずです。
きっと心の中では真実を話したいと願っているはずです。
ここまで来たらそれに賭けるしかないと思ってます。
それならいやこの人に会うといいと思いますよ。
(東)当時佐々木庸平さん受け持っていたナースです。
(東)一審の判決が出た直後に浪速大を辞めて今はウチの病院にいます。
判決が出た直後に辞めた?
(ドアチャイム)
(政子)はい。
えっ!
(財前)ごぶさたいたしております。
東先生はご在宅でしょうか?
(佐枝子)父はお会いしたくないと申しております。
何とかお取り次ぎ願えないでしょうか?折り入ってお話したいことがあるのですが。
(政子)虫のいいこと言って。
(佐枝子)私が承って父に伝えます。
(財前)東先生に直接お話したいのです。
(佐枝子)父はお話したくないと言っております。
ならお嬢さん説得していただけませんか?あなたもかかわっておられる裁判のことですから。
父は財前さんにはお会いしません。
そこまでおっしゃるならしかたがないですね。
あなたにお願いしましょう。
はい。
教え子を足蹴にするようなまねはやめていただけないかとそう東先生に伝えていただけますか?僕が教授になったことがお気に召さないのは分かりますがかつてはご指導を仰いだ東先生が敵に回るなんて教え子としてはさみしい限りです。
(財前)しかも面と向かっておしかりを受けるならまだしも何の関係もない患者の裁判に口を挟んで僕を糾弾しようとなさるなどとても尊敬申し上げる東先生の振る舞いとは思えません。
(関口)お言葉ですが東先生はご自分から裁判に口を挟んだわけではありません。
これは関口先生ではありませんか。
僕が東先生にご協力をお願いしたんです。
呼吸器外科の専門家として。
弁護士というのは残酷な仕事ですねえ。
里見君は証言台に立ったことで浪速大を追われました。
そして今回もまた…。
今回もまた何でしょうか?東先生が裁判に協力をするようなら近畿労共病院でのお立場も危うくなるのではないかと。
父を脅そうというのですか?
(財前)いいえめっそうもない。
あくまで教え子として恩師をご心配申し上げているだけです。
申し上げたいことはそれだけです。
なにとぞ東先生によろしくお伝えくださいませ。
失礼いたしました。
(関口)財前さん。
あなたは裁判に勝つことだけを考えているようですが佐々木さんに対して申し訳ないという気持ちはこれっぽっちもないんですか?ありませんね。
なぜなら法廷でも証言したとおり僕は外科医として全力を尽くしたからです。
もちろんお亡くなりになられたことについてはお気の毒だと思ってますが。
(関口)あなたさえ検査を怠らなければ佐々木庸平さんは今でもガンと闘いながら生き続けていたかもしれないんですよ。
(関口)毎日を家族と過ごしていたかもしれない。
弁当屋さんはつぶれず家も手放さずにすんだのかもしれない。
商売がうまくいかなくなったことや家を手放したことまで僕のせいにされては困りますね。
それだけ1人の人間が死ぬということは重いことだからです。
あなたには命を扱うことへの自覚がなさすぎます。
正義漢ぶるのは結構ですがあなたこそ命を扱うということがどういうことか全く分かっていませんね。
(財前)我々はメスを握ったら常に目の前の患者を死なせるかもしれないという恐怖と闘わなければならない。
その恐怖をおして僕はこれまで3,000人以上の患者を救ってきました。
なのにあなたは佐々木庸平1人が死んだことをつつき回して大学病院への不信を広めようとしている。
愚かの極みですよ。
3,000人を助けても1人を死なせては許されない。
それが命というものではないですか?それは実際に生と死のはざまに立ったことのない方の幼稚な詭弁ですよ。
(政子)何が教え子ですか。
恩師を脅すようなことを言って。
そんな脅しに乗るとでも思ってるのかしら。
こっちには船尾教授だってついてるのよ。
そうですわね?あなた。
お父さま。
法廷で証言をしてもらうわけにはいかないかしら?裁判に協力してくれる方が見つからないならお父さまご自身が財前さんの過失を指摘してくれれば。
むちゃを言ってはいけないよ佐枝子。
証人を探すために協力するのと証言台に立つのでは次元が違う。
でもこのままでは過失を犯した財前さんが裁判に勝って真実を訴えている佐々木さんが負けてしまうわ。
いいかげんにしなさい佐枝子さん。
お父さまには近畿労共病院の院長としてのお立場があるのよ。
里見先生は自分の生活を失ってでも証言に立ったわ。
生活や家族を守ることは恥ずかしいことではない。
いや確かに里見君の行動は佐々木さんのご遺族にとっては立派かもしれない。
しかしその陰でご家族が悲しんでおられるかもしれないことを忘れてはいけないよ。
(三知代)おかえりなさい。
(里見)遅くなって悪かったな。
(三知代)ううん。
ご飯は?
(里見)ああ頼む。
急患が続いて昼も食ってないんだ。
(三知代)ええっすぐ用意するわ。
大変ね。
いやあ。
大学病院と違って誰に気兼ねなく目の前の患者に集中できるからありがたいよ。
前よりあなた生き生きしてるもんね。
(里見)ハハハ臨床研究のデータのほうも徐々に集まってきたんだ。
根気よくまとめていけばほかの施設との共同研究にも持ち込めそうだよ。
(好彦)お父さんおかえりなさい。
(里見)おっただいま。
(好彦)一緒にお風呂入ろう。
そうしようか。
(好彦)やった!よし。
じゃあお風呂にするわ。
(三知代)うん。
(里見)よし。
そろそろクリーニングかな。
(里見)ああ気持ちいいな。
(好彦)気持ちいい。
(好彦)ほらピュッピュッピュッ。
(里見)おっ。
やったな好彦。
(里見と好彦のはしゃぐ声)〜
(関口)佐々木さんからあなたが担当しておられたと聞きました。
(君子)担当はしていましたけど。
(関口)治療の詳しい過程を法廷で話していただけませんか?
(君子)わたしがですか?
(関口)迷惑はかからないように配慮します。
院長の東先生からも承諾はいただいております。
(君子)でもわたしよく覚えていません。
(財前)《胸腔鏡検査などをしていたら患者は体力を消耗する。
オペは延期しなければならない。
僕がワルシャワから帰ってくるまでガンをほうっておくつもりかね!?》
(柳原)《わたしが信じられないのなら今すぐ病院を出て行ってください》
(よし江)《そんなことできるわけないじゃないですか!》
(柳原)《新しい抗生物質を投与します》
(よし江)《お父ちゃん。
わたしらを置いて先に死なないで》
(関口)どうして浪速大学を辞められたんですか?判決の直後にお辞めになってますよね?間違ってたらすいません。
判決に疑問を持たれたからお辞めになったんではないんですか?
(君子)《そんなに苦しむならホントのこと言ったらいいじゃない》あの少し考えさせてもらっていいですか?もちろんです。
何度でもお願いに上がりますから。

(竹内)ヤナ。
どうしたんだよ?つまらなそうな顔して。
ああ。
(竹内)いや。
ああじゃないよ。
学位論文進んでんの?
(柳原)いや。
何か裁判が気になって。
(竹内)そんなこと言ってたらないつまでたっても学位取れないぞ。
裁判なんて何年かかるか分かんないんだから。
俺医者に向いてないのかも。
何言ってんだよ。
お前が責任感じてつぶれることないよ。
お前は財前先生の言うとおりやっただけじゃないか。
でも…。
(財前)柳原君。
(竹内)お疲れさまです財前先生。
(財前)学位論文はどうなってる?テーマはあれでいいから早くキーとなる図表だけでも出しなさい。
(柳原)はい来週中には。
(財前)うん。
で今夜は空いてるか?はい?7時に梅田のラ・メールというレストランに行きなさい。
例の野田薬局のお嬢さんが君に会いたいそうだ。
えっ?僕の名前で予約が取ってある。
勘定は心配せず2人で楽しんできなさい。
じゃ。
(竹内)はあ?ええ?おい何だよ。
お前学位論文のテーマオッケーってそれおい通るってことじゃん。
それに何?えっ野田薬局ってあのでっかいチェーン店だろ。
おいちょっと待てよ。
おいえっ?そのお嬢さんと食事?それって逆玉?いやその…。
(竹内)いやふざけんなよお前。
お前何それ?
(東)ええええ。
まあいろいろ事情はおありだと思うんですが何とか力になってやってもらえないかと。
(東)ああそうですか。
ええええどうぞお気になさらないで。
ええ失礼いたします。

(財前)浪速大学附属高度ガン医療センターは治療困難な症例の集学的治療やいまだ開発段階にある研究的な治療に積極的に取り組んで参ります。
それだけにガンという難病を相手に日々闘っておられる先生方のお役に立てる機会も多くなると考えております。
また治療後のフォローについては地域の先生方と共同で当たらせていただくことを予定しておりいわば先生方ご自身の施設の延長として当ガンセンターをご活用していただければと思います。
理想のガン医療を実現すべく何とぞ緊密な連携とご協力をよろしくお願いいたします。
(拍手)ご用件は何でしょうか?
(東)いや。
誤解を解いておいたほうがいいと思ってね。
「誤解」?わたしは君を貶めるために裁判に協力しているわけではないんだよ。
君を教授として認めるからこそ正当な裁判が行われることを望んでいるんだ。
(東)確かに医療行為にリスクは付き物だ。
ゆえにアメリカでは医療事故は正直に申告すればそれが裁判で医師の不利にはならないというシステムが採られている。
過ちを犯した医師でもきちんと患者と向き合えばよりよい医療を築くことができるんだ。
残念ながら日本ではまだそういった基盤は整っていない。
財前君。
この裁判をこれからの医療の第一歩とすることはできないだろうか?お変わりになりませんね。
教授を辞めても結局は建て前で生きておられるわけですか?建て前だと?わざわざここまで来られたならはっきりおっしゃったらいかがです?僕を教授の座から引きずり降ろしたい。
そのために裁判に協力しているんだと。
東先生。
わたしは先生のことを誰よりもよく存じ上げているんです。
もしかしたらご家族よりも。
失礼します。
建て前だけの空疎な話におつきあいしている時間はございませんので。

(華子)お誘いしてしまってすみません。
どうしても柳原先生と一緒にお食事がしたくて。
あのやめてください。
先生だなんて。
(華子)だって父から国立大学の優秀なお医者さまだからくれぐれも失礼のないようにって言われてます。
優秀だなんて。
(華子)父は財前教授のファンなんです。
外科医は訴えられるくらい度胸がなきゃダメだって。
その財前教授の後継者なんだからしっかりと捕まえてこいって。
あっいや。
僕はまだそんな…。
フフ。
わたし柳原先生のそういうとこ好きです。
先生見てるとわたしも素直になれそう。
〜〜
(君子)あった。
(華子)柳原先生着きましたよ。
よいしょ。
あっあっ。
お部屋どこですか?
(華子)よいしょ。
ああ先生お隣の人が見てますよ。
(華子)あっすいません。
あっ。
(関口)ああいいよいいよ。
僕出るから。
はいもしもし。
関口仁法律事務所です。
(君子)亀山といいます。
分かりますか?もちろん。
分かりますよ。
亀山君子さんですよね?
(君子)すみません。
わたしやっぱり証人になることはできません。
(関口)もしもし?
(君子)わたしもう全部忘れたいんです。
(華子)イヤッ…。
(君子)佐々木庸平さんが亡くなったことも裁判のことも財前先生のことも何もかも忘れてやり直したいんです。
ですから二度とわたしのところへは来ないでください。
(関口)ちょっと待ってください。
亀山さん亀…。
関口さん?袋小路だ。
打つ手打つ手ことごとく封じ込まれてく。
(ノック)
(佐枝子)はい。
(佐枝子)お父さま。
失礼するよ。
財前君を勝たせてはいけない。
(東)このまま彼が勝てばきっと同じことを繰り返す。
わたしでもお役に立てますか?東先生が法廷に?はい。
財前さんの診療について証言をすることになりました。
里見先生にお会いしたことが父の心を動かしたんだと思います。
本当にありがとうございました。
いえ。
わたしは何もしていません。
事実をお話ししただけです。
みんな本当のことが言えないんですね。
だからいつも本当のことを言ってくれる里見先生に心を動かされるんだと思います。
(三知代)佐枝子さんは里見を買いかぶりすぎよ。
(佐枝子)いいえ。
わたし里見先生にお会いしていなかったらきっと母の言うままに一度も働くことなくお見合いをして結婚をして心から感動することのない生活を送っていたと思います。
自分に嘘をついて生きていたと思います。
でも家庭を持ったら嘘をつかなきゃならないこともあるんじゃないかしら?だってほら家族に心配かけたくなくて黙っていることだってあるでしょう?東先生も言わないけど実は裁判のことご不安なんじゃないかしらね。
(里見)わたしならいつでも証言台に立ちますよ。
何度でも真実を話します。
はい。
(財前)フフフフ。
(ケイ子)計算ずくだったってこと?
(財前)ああそうさ。
手を引いてくれたらいいがそれが無理ならいっそ法廷に引きずり出してやればいいと思ってたよ。
(ケイ子)どういうこと?
(財前)考えてみろ。
東先生が僕の過失を医学的に指摘しても何の信憑性もないよ。
僕と東先生の間に確執があったことは浪速大学の者なら誰でも知ってることだからな。
それを法廷でつつくというの?
(財前)こっちの弁護士の尋問によって優秀な教え子へのしっとに狂った老人が恨みのあまり偏った医学的判断をしたと印象づける。
結果そんな証人を出してきた原告側の狙いも単なる恨みであるような心証を裁判官に与えるというわけだ。
得意になってるようだけど向こうだってそれぐらいのこと予測してんじゃないの?その上で東先生に証言を頼むからには何か考えがあるんじゃない?だとしてもこっちにはもう一枚上をいく隠し玉がある。
「隠し玉」?
(財前)今度の法廷までのお楽しみだ。
人間の欲には切りがないのね。
それがいちばん純粋なものだからな。
(ケイ子)五郎ちゃん?
(財前)うん?
(ケイ子)どうしたの?大丈夫?酒が足りないようだな。
(財前)フッ。
うん。
(裁判長)ただいまより控訴人佐々木よし江ほか一名被控訴人国財前五郎間の損害賠償請求控訴事件についての審理を開始します。
本日は双方の専門家証人に対する尋問ですね。
本件に関して医学的見地から意見を伺います。
原告側被告側の証人は前に来てください。

(船尾)《甘いお方だ》
(裁判長)お名前をどうぞ。
東都大学医学部長船尾悟です。
『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜2015/12/17(木) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #18[再][字]【舞台は控訴審へ…財前教授を待ち受ける運命とは!?】

「師動く」

詳細情報
番組内容
 財前(唐沢寿明)は手術の手元を狂わせて患者が大量出血。処理もうまくいかず、手術は6時間を超えやっと終わった。財前に異変が起きていた。一方、関口(上川隆也)は、東(石坂浩二)の紹介で、高名な専門医に鑑定を頼めるかに思えたが財前の早手回しで失敗。さらに君子(西田尚美)の証人出廷も頓挫する。万策尽きたかと思われたが・・・。
出演者
唐沢寿明 
江口洋介 
黒木瞳 
矢田亜希子 
水野真紀 
上川隆也 
及川光博 
片岡孝太郎 
伊武雅刀 
若村麻由美 
西田尚美 
野川由美子 
池内淳子 
かたせ梨乃 
伊藤英明 
石坂浩二 
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子

【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行

【プロデューサー】
高橋萬彦 
川上一夫

【演出】
村上正典

【音楽】
加古隆

【主題歌】
「アメイジング・グレイス」ヘイリー

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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サンプリングレート : 48kHz

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