「グレートネイチャー」。
今回は中国北西部天山山脈の麓を走るシルクロードが舞台です。
気温４５度を超える真夏のシルクロード。
そこにはまか不思議な光景が広がっています。
まるで魔物が住んでいるかのような不気味な岩々。
そして絵画のような地層。
知られざる大地の芸術を追います。
まず訪れるのは中国北西部シルクロードが通る…全く草木のない荒野が続きます。
見えてきたのは火焔山。
人々から燃える赤い山と恐れられてきました。
火焔山は南北９キロ東西は９８キロもある細長い山です。
山肌にはくしですいたような溝が無数に刻まれています。
かつて天竺を目指した三蔵法師も麓を旅したという火焔山。
私たち取材班もその足跡をたどる事にしました。
歩き始めて１０分。
近づいてるのに山どんどん遠ざかってる感じがする。
行けども行けども一向に山が近づきません。
辺りに比較するものがないので距離がつかめないのです。
日が昇って３時間。
太陽はまだそれほど高くありませんが日ざしは強烈です。
気温は４１度５分。
湿度は２０％以下で計測できません。
３０分後ようやくたどりつきました。
山裾の溝に入ってみます。
深さ５メートルはあるでしょうか。
見た目よりずっと深く急なＶ字になっています。
山の斜面には日陰が全くといっていいほどありません。
強い日ざしが容赦なく照りつけます。
斜面を登ってみました。
ボロボロだこれは。
一面乾いた泥が覆っています。
表面を削ってみると白い地層が現れました。
これが火焔山本来の山肌です。
山の斜面は真夏には７０度近くまで熱せられます。
そこに雨が降ると急激に冷やされて無数の亀裂が入ります。
そして細かな泥となって山を覆ったのです。
灼熱の気候がつくり出した火焔山は表面に走る無数の溝が燃え上がる炎にも見える事から燃える山火焔山と名付けられたといいます。
この山は古くからその名のとおり灼熱の地として旅人から恐れられてきたのです。
番組後半は大自然が描き上げた赤い芸術に迫ります。
「グレートネイチャー」。
数々の不思議と絶景を秘めたシルクロード。
ここは中国北西部敦煌の郊外にある…古くから魔物の住む場所として恐れられてきた魔鬼城。
一体どうやってできたのでしょう。
実はこの地方は一年中強い風が吹きます。
魔鬼城は風が長い時間をかけて砂岩から削り出した砂の都なのです。
更にシルクロードの大地は赤い芸術も生み出していました。
魔鬼城から東におよそ１，５００キロ。
アメリカの科学雑誌が世界の絶景ベストテンに選んだ場所があります。
中国政府によって厳しく管理されているこの場所。
３か月にわたる交渉でようやく撮影が許されました。
息をのむ風景が待っていました。
鮮やかな赤にさまざまな色が寄り添います。
黄色白グレーオレンジ。
まるで筆と絵の具で描いたような美しいグラデーションです。
私たちが訪れたのは雨が降った直後でした。
あたかも空に架かった虹を地面に写し取ったかのようです。
中国では赤を丹光を受けてさまざまな色に染まる雲を霞と表現します。
そのためこのような場所は丹霞地形と呼ばれています。
この見事な色彩は一体どうやって生まれたのでしょう。
謎を解く鍵はこの地層に多く含まれている鉄分にあります。
７，０００万年以上前この辺りには巨大な湖があったと考えられています。
湖の水深が浅い時に鉄分を含んだ土壌が流れ込むと大量の酸素で酸化して赤くなります。
水深が深い時に流れ込むと酸化がそれほど進まず黄色や灰色になるのです。
この地層は大地の底に封じ込められていました。
それが５，０００万年前の地殻変動で隆起しその後の浸食によって地表に姿を現したのです。
数々の不思議を秘めた中国シルクロード。
そこで出会ったのは壮大な地球の営みが描き出した神秘の芸術でした。
その光景は今も訪れる人々を魅了し続けているのです。
2015/12/17(木) 16:05〜16:15
ＮＨＫ総合１・神戸
グレートネイチャー １０ｍｉｎ．「シルクロード・灼（しゃく）熱の赤い大地」[字]
中国には極彩色の土で覆われた赤い大地「丹霞地形」が何か所もある。赤や黄色、緑の地層の美しさには息をのむ。
詳細情報
番組内容
中国には極彩色の土で覆われた赤い大地「丹霞地形」が何か所もあり、赤や黄色、緑の地層が織りなす美しいグラデーションには、思わず息をのむ。色とりどりの地層は、太古の昔に水中で堆積した金属が酸化などの化学変化を起こすことで出来たもの。シルクロードしゃく熱の大地に広がる絶景に迫る！
出演者
【語り】森山春香
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz
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