風極の岬 2015.12.17


(葉山ヒトミ)「小樽運河」あははは…!ねえうちすぐそこなの。
寄ってかない?
(男)おい!近道!ははは…!はあ〜気持ちいい!冷えるな。
おい早く行こうぜ。
焦んないでよ。

(リポーター)「はい事件の起きた現場から中継でお伝えします」「おととい起きたこの事件亡くなっていたのは近くのスナックに勤める葉山ヒトミさん27歳で発見された時葉山さんはこちらの雪の積もる公園で全裸で凍死していました」「葉山さんが着ていたと思われる衣服は遺体周辺に散らばっていて…」こんにちは〜!
(若原美登里)はーい!「現金や貴金属類はなくなっている様子はなかったということです」「この夜の小樽市内はマイナス7度でこの冬一番の冷え込みとなっていました」「警察の調べでは葉山さんが酒に酔い眠ってしまったうえで凍死したものと見ています」「以上小樽からお伝えしました」小樽…?ああこれ…素っ裸で死んでたってやつ。
ホントに?「先生今回の事件遺体は皮膚が赤く変色していたようですが」「それは凍死の際に現れる死斑です」「人間は長時間厳しい低温にさらされると体温を調節する機能が狂ってしまって暑いと感じてしまうんです」「それで衣服を脱いでしまってたんでしょう」そういえば先生のご主人って確か小樽にいらっしゃるんですよね?ええ。
3年前義母が倒れてそれで。
おかあさまお悪いんですか?ううん。
普通に生活してる分には問題ないんだけど…。
でも何かあってからじゃ困るからって主人が一緒に暮らし始めたの。
やさしいご主人ですね。
でも離れてると寂しいですわね。
でも月に何度か帰ってらっしゃるんでしょう?高校でサッカー部の顧問をしてるのよ。
だからいろいろ忙しくて…。
こんにちは。
(一同)こんにちは。
じゃあ始めましょうか。
阿部さんそれね丸ペンチでやってあげて。
こういうふうに。
一番大切なものは何ですか?
そう訊かれたら私は何と答えるだろう?
仕事?家族?
それとももっと別の何かなのか…
答えはひどく曖昧でおぼろげだ
ただ1つだけはっきりとわかることがある
それは…私がその問いを恐れているということだ
(電話)ちょっとごめんなさい。
若原です。
もしもし?
(男の声)「お宅のご主人浮気してます」はっ?「浮気してるんです。
うちの妻と」
(ビーズがこぼれる音)
(男の声)「若原敏也さん」「小樽学院高等学校の先生ですよね」「私は2人を別れさせたい」「そのことで奥さんとご相談したいんです」「守山と申します」「今日の夜7時札幌の時計台の前で待ってます」
(携帯電話)
(若原香織)ちょっとごめん。
もしもし?「ママよ」どうしたの?今日ねちょっと用事ができて帰りが遅くなりそうなの。
悪いんだけど夕飯何か取って食べてくれる?わかった。
「じゃあ…」ママ!「うん?」用事ってパパのこと?「何かあったの?」あなたは心配しなくていいのよ。
なるべく早く帰るから。
じゃあね。

(鐘の音)母親が朝帰りってどういう家?「そうよね」札幌ってやっぱりパパに会いに行ったの?ごめんね香織。
帰ったらちゃんと話すから。
了解。
鍵ちゃんと掛けてね。
「わかった。
じゃあおやすみなさい」おやすみ。
それでね生徒さんがだいぶ増えたもんだから今度教室を別に借りようかと思ってるの。
あなた!
(若原敏也)うん?ねえ来月はいつ帰ってくるの?帰れない。
合宿があるんだ。
じゃあ久々に私が小樽へ行こうかしら。
教室はどうするんだ?別れよう。
君と俺とでは大切に思うものが違う。
あなたがお母さんのそばにいたいんなら私も小樽へ越すわ。
自分を犠牲にするつもりか?そんな!犠牲だなんて…。
後悔しないって言えるか?
(電話の呼び出し音)あっもしもし美登里…。
(留守電)「若原です」「ただいま留守にしております」「ご用の方は発信音の後にメッセージをお願いいたします」あの…。
(幸枝)若原さんのとこの奥さん。
何かあったんでしょうか?あんねお宅のとこのガレージからアイドリングの音がしてんだわ。
昨夜からずっと…。
えっ…!?奥さんです。
呼び鈴を押したんですがね…。
どなたもおられないようなんです。
そんなはずは…。
おかあさん昨日から老人会の旅行に出かけてらっしゃるのよ。
(呼び鈴)あなた!?あなた!鍵は?いいえ私は…。
弱ったな…。
シャッターはリモコン式ですよね?ええ。
リモコンは車の中とそれから玄関にもう1つあるはずなんですけど。
窓割っても構いませんか?はい…。
(咳込み)危険です!排ガスが充満してます。
あなた!あなた!あなた!あなた…!お義母さん…。
(若原多津)あの子は?敏也は!?今解剖に…。
えっ!?
(坂元刑事)若原さん。
はっ…!敏也…。
敏也…。
ああ…敏也!敏也…。
(嗚咽)解剖の結果血中からCOヘモグロビンが検出されました。
一酸化炭素中毒です。
これは中毒症状によって現れた死斑です。
ガレージで排気を吸い込んでしまい中毒になったようです。
お酒を飲んで帰ってきて暖かい車内でついウトウトしてしまったんでしょう。
お酒?ええ。
そんなはず…。
あの…主人は普段からほとんど飲まない人だったんです。
それに教師っていう仕事柄少しでもお酒の入った時は絶対に運転しない人でした。
何かの間違いじゃ…。
そう言われましてもね…。
体内からアルコール検出されてるんですよね。
(多津)敏也…敏也!敏也…!
(ドアの開閉音)パパ?パパ…ねえパパ!ねえ…ねえパパ!ねえパパってば!ねえパパ!パパ何で死んじゃったの?ママ何か知ってるんじゃないの?ねえどうして急にこっちに来たの!?そういえば…なんしてこっちにいるの?ママ言ったじゃん。
後でちゃんと話すって。
ええ…。
香織!香織!離して!どこ行くつもり?ごめんなさい。
パパが死んだのはママのせいじゃないのに。
ちょっとだけ1人にさせて。
ちゃんと戻ってくるから。
(江崎真由子)若原先生の奥さんですか?ええ。
江崎と申します。
息子の太一が受験に失敗した後先生が個人的にご指導してくださって…。
ホントにお世話になりました。
先生のお陰で去年の春無事に東京の大学に合格して今はあちらに…。
そうですか。
うちは主人が銀行に勤めておりますので転勤が多くて…。
息子は若原先生のことを父親のように思っていたようです。
この子は生徒から慕われておったから…。
一生懸命で決して手を抜かない…。
自分には厳しいが人にはやさしい子だった。
こんなことだったら出かけたりするんじゃなかった。
お義母さん…。
お義母さんのせいじゃありません。
あんたに何がわかるのさ!この子と離れとっても平気で暮らしとったあんたに。
同じ嫁でも随分違うもんだ…。
お舅さんの面倒を見るためにここへ残るような人もいるのにね。
すいません。
ああいいんですよ。
手伝えることがあったら何でも言ってください。
さっき義母が言ってたあれ江崎さんのことなんでしょ?うちの義父ねボケちゃって施設に入ってるの。
私まで東京に行っちゃったらそうそう会えなくなるから。
尊敬するわ。
なかなかできることじゃないもの。
あっそんな…。
大げさよ。
おかあさまこんな時だから気が立ってらっしゃったと思うの。
あんまり気にしないほうがいいわ。
ええ。
よろしくお願いします。
奥さん!おかあさんが捜してらしたわよ。
挨拶がどうのって。
はい。
すいません。
そういえばあれ誰だったのかね?聞いてないの?警察の人から。
えっ?あの夜お宅のガレージから誰か出て来るの見かけたんだわ。
トイレに起きた時…。
1時くらいかしら。
ガレージから?それホントですか?最初はご主人かと思ったんだけど家じゃなくて通りのほうに歩いていったんだよね。
どんな人かわかりますか?暗かったもんだから顔はね…。
男の人?それとも…。
さあ?
(読経)この度は本当に突然のことでね…。
お母さん思いのいい息子さんでしたのにね…。
多津さん気ぃ落とさないでね。
(相馬秀人)この度はご愁傷さまです。
残念です。
こんなことになるなんて。
主人が大変お世話になりました。
いえお世話になっていたのは僕のほうです。
若原先生にはいつも助けてもらってばかりで…。
何か助けになれることがあったら何でもおっしゃってください。
ありがとうございます。
(男)この度は突然のことで…。
「お宅のご主人浮気してます」どうしたの?いえ…。
太一!息子の太一です。
先生の奥様。
どうぞ主人に会ってやってください。
(江崎太一)はい。
江崎さんさっき来てた男の方知らないかしら?左の口元にホクロのある…。
さあ…。
そう…。
その人がどうかしたの?ううん。

(嗚咽)
(坂元)人影?ええ。
隣の方がガレージから出てくるのを見たって。
ああその件ね。
聞いてますよ。
でもご主人の死に事件性はなかったんでね。
ホントに事故なんでしょうか?あの人がお酒を飲んで運転してきたなんて私どうしても信じられないんです。
でも奥さん3年も一緒に住んでなかったんでしょ?えっ?3年もあれば人って変わるもんですよ。
まあ引き続き我々も調べてみますから。
(生徒達の声)
(敏也の声)マサ!蹴り込んで清水にボールを集めろ!はいディフェンスもっと下げろ!ラインを上げろラインを!
(相馬)若原さん。
今日はどうしたんですか?ええ…主人の働いてたところを見てみたくて。
ここが若原先生の机です。
紙袋必要ですよね。
探してきます。
すいません。
お宅のご主人浮気してます。
(男の声)浮気してるんです。
うちの妻と…。
(相馬)先生指導に行き詰まったりするとよくここへ来てたようです。
ここから小樽の街を見下ろしていると不思議とどうにかなるさって…。
そう思うって…。
あの人がそんなことを…。
初めて聞いたわ…。
3年って…長い時間だったんですね。
相馬先生は守山という男性をご存じないですか?守山?ええ。
左の口元にホクロのある。
いいえ。
その男が何か?守山という知らない人から電話があったんです。
自分の妻と主人が浮気をしてると…。
えっ?その人と声の似てる人がお通夜に。
きっと誰かのいたずらですよ。
あんなまじめな人が不倫なんて。
私もそう思いたかったんです。
でも…。
何ですか?さっき机を整理してた時に見つけたんです。
このハンカチで大事そうに包んであって…。
どこのものかご存じないですか?さあ…。
帰れない…。
《私…このままじゃ東京に帰れない!》《あの人のことが何もわからないままじゃ…》ここ…。
まだ彼と結婚する前に連れてきてもらったことがあるんです。
へえ。
ああ…そういえばこの先の喫茶店によく通ってたって話聞いたことがあります。
行ってみませんか?でも…お時間よろしいんですか?気にしないでください。
あなたを1人にしておいて何かあったら若原先生に合わせる顔がない。
行きましょう。
はい。
ちょっとすいません。
はい。
あの…この男性ご存じありませんか?ええよくここへいらしてますよ。
最近はほとんど見かけませんけど…。
誰か一緒だったことは?さあ…いつもお1人でしたけど。
よくあの奥の席で本を読んでました。
少しホッとされたんじゃないんですか?えっ?ここへ女性と来てなかったってわかって。
ええ。
やっぱりただのいたずらだったんじゃないんですか?でも…それならなぜ守山という人はあんな電話をしてきたのか…。
この向こうに誰がいたのかしら…。
あの人は誰に向かってこんな笑顔を…。
そういえばこれ…若原先生からもらったんです。
行きつけの店かもしれませんね。
明日一緒に行ってみましょうか。
今日はどうもありがとうございました。
いえ。
あの…こんな言い方不謹慎かもしれないんですけど楽しかったです。
あの…それじゃあまた明日。
どこ行ってたの。
お義母さん私どうしても調べたいことが…。
帰ってちょうだい。
東京へ帰りなさい。
お義母さん待ってください!この間お数珠を忘れてきちゃったみたいで。
香織。
うん。
あの…。
よかったらうちに来ない?でも…。
ママ。
おばあちゃんのことは任せて。
ごめんなさいね。
突然お邪魔しちゃって。
いえ。
いいのよ。
自分の家だと思って気楽にして。
ありがとう。
太一君は卒業した後も主人と会ってたんでしょ?はい。
あの人はどんな人と親しくしてたのかしら?学校以外で誰かと会ってるところを見たことない?うーん…さあ。
お茶どうぞ。
俺明日の支度しなくちゃ。
東京へ戻るの?あさってから試験なの。
これ…。
ああ壮行会の。
真由子さんもこういうの参加してらっしゃったの?こっちは田舎だから何かやるとなるともう家族ぐるみ町ぐるみで。
すぐに駆り出されるのよ。
そう…。
若原先生部活となると熱が入ってうちなんて太一が卒業してるのにOB会って名目でいろいろとお手伝いをね。
先生ったらおかあさん達が差し入れを持っていくと生徒達と競うようにして食べてたわ。
ごめんなさい私…。
ううん…真由子さんは若原のこの3年の生活をそばで見てきたのね。
美登里さんはどうして小樽へ来たの?えっ?先生が発見された時美登里さんもそこにいたって聞いたもんだから。
ごめんなさい立ち入ったこと訊いてしまって。
ううん…。
そういえばさっき調べたいことがあるって言ってたけど…。
主人の死が本当に事故死なのかどうかどうしても気になって。
ガレージから誰か出てきたこと?それだけじゃないの。
(チャイム)誰かしら?
(チャイム)俺見てくるよ。
(ドアを開ける音)
(ドアを閉める音)誰もいなかったよ…。
やぁね子供のいたずらかしら?ええ…。
(ドアの開く音)おはようございます。
おはよう。
眠れた?ええ。
太一君は?今朝早くに。
ああ。
煮物?じゃがいもとねにしんを煮たの。
にしん?小樽はねにしんが有名なのよ。
ああ〜。
お義父さんがね好きなの。
施設に行くから持ってってあげようと思って。
結構通ってるの?週に2〜3回かしら。
ただ向こうから呼び出されることが時々あるから。
大変ね。
うん。
この間も…若原先生がお亡くなりになった日義父がトラブルを起こしてね。
慌てて向こうに…。
あっ美登里さん。
着る物とか持ってきてないんでしょ?ええ。
ついでに出かけない?うん。
時間を見つけてはああして来てくれるんですよ。
預けっぱなしのご家族が多い中で珍しいんですよ。
そう言えばこの間急に電話した時も江崎さんすぐに駆けつけて来てくれて。
皆さんあんな方ばかりだといいんですけどね。
真由子さんは迷わなかったの?ご主人が転勤になった時東京へついていくかどうか。
迷わなかったわ。
そう…強いのね。
違うのよ。
あの頃はまだ太一もこっちにいたしそれに主人は自分で身の周りのことできるじゃない。
私は迷っちゃった。
教室なんてやめてこっちへ来ることもできたはずなのに。
美登里さん…。
すごく嫌な言い方になっちゃうけど私やっぱりどこかで自分を犠牲にするのが怖かったのかもしれない。
教室も家族も大切。
でも何が一番大切なのか私はちゃんと選ぶことができなかった。
軽蔑するわよねこんな女。
よくわからないけど…。
大切なものに一番も二番もないのよ。
ホントは。
選べなくて当然だわ。
あなたがうらやましいわ。
えっ?大切なものをたくさん持ってるあなたが。
私は…迷うほどなかっただけ。

(坂下茜)何?取材?やだ違うの?てっきりまたヒトミちゃんのことで来た人かと思っちゃって…。
あんたこっちの人じゃないでしょ?ええ東京から…。
わかんのよ雰囲気で。
あのヒトミさんのことって…。
ニュース見たでしょう?全裸で凍死してたホステスの事件。
あれうちで働いてた子なの。
気立てはいいんだけどさぁ。
酒入ると誰でもよくなっちゃう子で…。
まあ男関係も派手だったけど死ぬ時まであんな派手なことしてくれるとはねぇ。
であんた達は何の用で来たの?あの…この人ここへ来たことありませんか?ああ一度だけ来たことあるわ。
スナック来たのに酒飲まないでジュースなんて頼むんだもん。
覚えてる。
それいつ頃ですか?う〜ん先月かな。
誰かと一緒じゃありませんでした?女が一緒にいたわよ。
後からもう1人男が来て3人で何か話してたわね。
あの…後から来た男の人って左の口元にホクロのある人じゃないですか?そうそう!時々うちに来るんだけど。
知り合い?いえ…。
あの…。
その人の奥さんってどんな方でしたか?奥さん?一緒にいた女のこと言ってるの?ええ。
違うわよあいつ確か独身よ。
私はてっきり一緒に来た男のほうが旦那だと思ってたんだけどねぇ。
あの…それでその後3人は?確か2人はすぐに帰って後から来た男のほうは閉めるまでいたかな。
そういえばあいつヒトミちゃんが死んだ晩もいたんじゃないかしら。
最後に2人でもつれるようにして出てった記憶があるんだけど。
もう変な奴でさあ。
よくそこの電話でどっかにかけては何にもしゃべんないで切っちゃって。
お金は落ちてたから相手につながってたはずなんだけどねぇ。
その人どこに住んでるか知ってますか?さあねぇ。
(窓ガラスの割れる音)
(ドアの開く音)どうしたの?何かあった?美登里さん大丈夫?すいません。
(里香)海岸風景はどこも似てるから…。
これ襟裳じゃないかな?襟裳?うん襟裳岬。
この岩アザラシがよくいる岩に似てるから。
アザラシ?襟裳は日本で一番アザラシが生息してるところなんですよ。
私襟裳に行ってみます。
僕もご一緒したいんですけれども実はちょっと片付けなきゃならないことがあって…。
大丈夫です。
道はわかったし1人で行ってみます。

(ため息)やっぱりあの人ここへ…。
「風極の地」あっ…ああ…うっ。
襲われた?でも何で?わからない。
車が荒らされてたのよね?ええ。
何かを探してたのかしら。
美登里さん何か思い当たることない?見慣れないものがあったとか。
よかったらどうぞ。
ありがとう。
ごめんね女の子1人のところに突然…。
あっいいえ。
あの…これ若原先生に借りてたもの。
こんな形でお返しすることになるなんて思ってなかったけど。
わざわざすみません。
いえ。
おばあちゃんは?今買い物に行ってます。
そう…。
ねえよかったら先生のお部屋見せてもらっても構わないかな?どうぞ。
こっちです。
これ何かしら?小島さんに中本さん。
PTAでお会いしたことある人達だわ。
来年?それってまだ…。
裏口入学…。
えっ?生徒の親にこの問題を売りつけてお金をもらってたんじゃない?一体誰がそんなこと…。
香織…。
(携帯電話)先生!相馬先生!携帯鳴ってるよ!先生?
(携帯電話)
(電話)香織出て!お願い…。
来ないで!違うよ…誤解だ。
そういうんじゃないんだよ。
なあ…。
あっ…。
おい…おい!香織!香織!香織!ママ…。
あなたが探してるのはこれね?中を見ました相馬さん。
あなた大学の先生達と組んで裏口の斡旋をしてたのね?真由子さん警察を呼んで。
わかったわ。
おい…。
若原先生にばれてしまって週明けまで待つから自首するようにって言われたんです。
でもそんなことしたら僕の人生は終わりだ!それであなたがあの人を事故に見せかけて?違う!僕は殺してない!嘘!嘘じゃない!嘘じゃない。
先生が死んだから…。
ディスクを取り返しさえすればばれないと思ったんです。
車を荒らしたのは確かに認めます。
でもそれだけです!私を岬で突き落としたでしょ!?石を投げ込んだのもあなたなんでしょ!?私を早く東京へ帰してこの家を家捜ししようと思ってたんじゃないの?違います。
信じてください!通報したわ。
あとは警察に話してください。
これで今晩から安心して寝られますね。
ええ。
後はこちらにお任せください。
よろしくお願いします。
よかったねぇ。
軽い捻挫ですんで。
うん。
ママが来てくれてよかった。
あきらめないねぇ。
あんたのママは…。
あんたママのこと好き?もちろん好きだよ。
おばあちゃんは嫌いなの?ううん嫌いじゃないけど…。
これパパの好物の抹茶まんじゅう。
後でママと食べよう。
みんなの分あるから。
これですべて解決ね。
ええ…。
まだ何か心配事?この間どうしてこっちへ来たか訊いたでしょ?ええ。
電話があったの。
男の人から…。
主人がその人の奥さんと浮気をしてるって…。
2人を別れさせたいから話をしたいって言われて…。
それでわざわざこっちへ?いたずらかもしれないって思わなかったの?普段ならたぶんね…。
実は主人から離婚を切り出されてたの。
だから…。
電話をしてきたのは相馬先生じゃない。
でも…だったら一体あの電話は何だったのか…。
やっぱりタチの悪いいたずらだったのよ。
後は警察に任せましょう。
先生のこともきっとじきに明らかになるわ。
ええ…。
私…あの人を信じたかった。
もしかしたら私が探してたのはそう思える証拠だったのかもしれない。
ねえ。
ちょっと寄り道していかない?美登里さんは先生に愛されてるっていう自信があったのね。
そうじゃなきゃ3年の間とっくに浮気を疑ってたでしょ?考えたことがなかったの。
そんなこと。
先生を信じてたから?私…自分のことばかりにかまけててあの人のことなんてちっとも考えてなかったのよ。
私はあの人の3年間を知らなかったんじゃない。
知ろうと…してなかったのね。
今頃になって気づくなんて…あの人に甘えてたの。
あの人がいろんなことを許してくれたから私は自由にやれてたんだわ。
そうね。
自由って誰かの犠牲の上に成り立ってるものなのよね。
いつだって。
あなたにはまだ仕事っていう大切なものがあるじゃない。
今日はお宅に帰るの?ええ。
香織のことも心配だから。
何だか寂しくなるわ。
真由子さんいろいろありがとう。
美登里さん大丈夫?立てる?やっぱり相馬先生じゃなかったのかもしれない。
えっ?あの男ようちに電話してきたの。
もしかしたらあの男が主人を殺したのかもしれない。
それで嗅ぎ回ってる私を襲ったのかも。
まさか。
真由子さん。
左の口元にホクロのある男に心当たりない?きっとどこかで主人と接点があるはずなのよ。
わかったわ。
OB会の人に訊いてみる。
(男の声)「はい。
小樽ミヤタ工業です」あの…そちらの場所を教えてください。
こちらにお勤めの人で左の口元に大きなホクロのある男性っていらっしゃいませんか?悪いんだけど社員のそういうことは勝手に教えられないんだよね。
あの…。
いらっしゃいませー。
そこの工場の人はよくこちらに?ええお弁当とか買いに来ますよ。
ちょっと伺いたいんですけど左の口元にホクロのある男の人見たことないかしら?ああありますよ。
ホント!?うちの店じゃ有名なんですよ。
ヤバイ系で。
マンガ立ち読みしながら外通る女の人ジロジロ見てたり。
あっそうそう。
俺前に友達ん家行った時偶然見かけたんだよ。
あいつ坂の途中に立ってジーッと人ん家のほう見てたんですよ。
うわマジで!?ああ。
あれ絶対ストーカーだよ。
あのその人どこに住んでるかわかりませんか?さあ家までは…。
(電話の呼び出し音)
(太一)もしもし母さん?試験が終わったから明日そっちに帰るよ。
母さん?「ごめんね太一」「今ちょっと手が離せないの」じゃあまたかけ直すよ。
「悪いわね」ううんじゃあね。
今日未明小樽市白樺の森で男性が全裸で死んでいるのが発見されました。
「付近に落ちていた所持品から男性は近くに住む小高昌巳さん32歳で小樽市内にある小樽ミヤタ工業に…」浮気してます。
(リポーター)「現場の状況から酒を飲んだ小高さんが公園で眠ってしまい凍死したものと見られています」「発見時現場に争った形跡がないことやまた近くに小高さんの所持品が落ちていることなどから…」ごめんなさい。
遅くなっちゃった。
OB会の人に訊いてみたんだけど心当たりある人いなかったわ。
今朝のニュース見た?公園で死んでた…。
まさか…あの男なの?もう少しで…たどり着けると思ったのに。
もう忘れましょう。
死んでしまった人からは…何も聞けないわ。
若原先生だって…。
言ってたじゃない?先生を信じたかったって。
美登里さんが信じたいと思うことを真実だと思えばいいんじゃない?そうかもしれないわね…。
東京に戻る時は連絡して。
見送りに行くわ。
ええ。
じゃあね。
ええ…。
いらっしゃいませー!すいません!ホクロの男が立ってるのを見た場所教えてくれないかしら。

(鼻歌)あらあんた!今日は何?また写真?この間言ってた女性この中にいませんか?うーん?ああこの人。
そうですか…ありがとうございました。
今度は飲みに来てね。
(リポーター)「今日未明小樽市内で全裸で死んでいた男性の事件です」「警察は司法解剖の結果死因は凍死ではなく一酸化炭素中毒によるものであったことを発表しました」「詳しく解剖したところ小高さんは別の場所で中毒死した後発見場所に運ばれてきた形跡があることが判明しました」「警察では何者かが小高さんを凍死に見せかけて殺害したと見て捜査を進めています」
(チャイム)あなた…だったのね。
愛してたわ…彼を。
お互い親の面倒を見てたから話が合ったの。
太一が東京に行ってから親密になったわ。
夫はねぇメールで父親の様子を訊いてくるの。
それで義務を果たしたつもりでいる。
敏也さんが夫だったら…どんなにいいかって思ったわ。
できるだけ敏也さんと一緒にいたかった。
だから小高にストーカーされても警察に行かなかった。
太一は心配してたけど監視の目が付いて彼に会えなくなってしまうのが嫌だったから。
だから自分達で解決しようと小高に会いに行ったの。
あんた自分のしてることがわかってんのか?二度と彼女に近づくな。
今度は警察に行く。
(小高昌巳)わかったよ。

(ドアの開閉音)主人を殺したのは…。
(電話)はい。
江崎でございます。
あっいつもお世話になっております。
えっ?あっ…お義父さんが?わかりました。
今すぐに行きます。
はい。
すいません。
失礼します。
義父の施設から。
トラブルがあったからすぐに来てほしいって。
駅まで送ろうか?でも人に見られたら…。
太一君と話してきた。
えっ?どういうつもりで付き合ってるのか。
遊びのつもりなら絶対許さないってすごまれたよ。
真剣な気持ちで付き合ってる。
妻とは別れる。
そう言った。
敏也さん…。
ありがとう。
君のところで待ってるよ。
すぐ戻るわ。
敏也さーん?敏也さん!?敏也さん!?敏也さん!敏也さん!敏也さんはうちの鍵を持ってなかったのよ。
寒さをしのぐためにお酒を飲んで眠り込んでしまったの。
じゃあ…本当に一酸化炭素中毒で…。
後を追って死のうと思ったわ。
でも彼を慕ってる生徒達の顔が浮かんだ。
もしここで私達の死体が発見されたら彼のこれまでの人生に泥を塗ってしまう…。
あの人の名誉を守りたかった。
だから…。
だから…敏也さんを彼の家に運んだの。
嘘よ!あの人の名誉のためだなんて嘘だわ!あなたはただ世間体を考えただけよ。
彼のためじゃなく…自分のためにそうしたのよ!あなたは彼を一番大切になんて思ってなかった。
自分のほうが大切だったんでしょう!?場所を変えましょう。
小高さんを殺したのはあなたね?見られてたのよ。
あの男に。
見たんだ。
おとといの夜君があいつを車で運ぶのを。
俺が力になるよ。
俺はいつでも君の味方だから。
あなたをうちへ誘ったのはあの男を寄せ付けないためでもあった。
それで…あんなことを。
でもあなたが実家に戻ったらあの男はすぐに嗅ぎ付けてやって来た。
この男からは一生逃れられないと思ったらぞっとしたわ。
昨夜泥酔いしてる小高を見てるうちにあることを思い出したの。
ホステスが全裸で凍死してるのを見たって小高が言っていたことを。
一酸化炭素中毒の死斑と凍死のものが似てるっていうのは前から知ってた。
だからそれを利用して凍死に見せかけてしまおうと思った。
あなたがあの男にたどり着く前に。
降りて。
笑って!撮りますよー。
(カメラのシャッター音)はい。
これなんかかわいくない?変わってるねぇ。
ねえちょっと変わってるけどよくない?いやかわいいと思う。
おそろいで。
はは…。
私は…私は自分のために敏也さんを運んだわけじゃないわ。
何するの!?あなたなんかにわかるわけない。
大切なものをいくつも持ってるあなたなんかに…!私には敏也さんだけだった。
一番も二番もない。
彼だけだったのよ!あなたと…!あなたとは違うわ!違うわ…!違うわー!ああっ…。
(嗚咽)
(嗚咽)あっ…うっ…。
(嗚咽)母さん!やめてくれよ!離して!離してよ…!俺は…!俺は母さんが大切だよ!母さんにとっての一番が先生でも…。
たとえ母さんが人殺しでも…!俺は母さんが大切なんだよ!じいちゃんだって…。
忘れないでくれよ…。
(嗚咽)
一番大切なものは何ですか?
仕事?家族?
それとももっと別の何かなのか…
答えを出すことから私はずっと逃げてきた
大切な何かを失ってしまうことを恐れていたのだ
お義母さん。
おばあちゃんまたね。
ああ。
香織のママは何でも一生懸命であきらめない人だねぇ。
パパとおんなじ。
持ってきなさい。
また来ます。
絶対に。
待ってるわよ。
香織。

きっと何より大事なことは大切なものは何かということではなくどんな時でも大切なものをしっかり見続けていくことだと思う
それがどれだけたくさんあったとしても

仲睦まじく厨房に立つこちらの夫婦
家事を手伝うのは俳優の財津一郎さん
2015/12/17(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
風極の岬[再][字]

夏樹静子サスペンス 小樽〜襟裳 凍死した夫に愛人が!?不倫密告電話が告げる衝撃の犯人!熟年離婚の妻が解く謎…

詳細情報
◇番組内容
夏樹静子サスペンス 小樽〜襟裳 凍死した夫に愛人が!?不倫密告電話が告げる衝撃の犯人!熟年離婚の妻が解く謎…北海道を舞台にした旅情あふれるサスペンス。事件の解明とともに、結婚とは夫婦とは何かを考えさせられます。
◇出演者
賀来千香子、手塚理美、近藤芳正、羽場裕一、岩本多代、田島穂奈美、樋口浩二、佐藤友樹、大島蓉子、春海四方

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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