私たちの生活に欠かせない電気製品。
熱を出すもの。
光を放つもの。
力を出すもの。
そして情報を伝えるもの。
これらの電気製品は全て電気で働きます。
では電気って一体何でしょうか。
ビリビリ理系女子黒田有彩です。
しびれる現役高校生熊谷知博です。
今日のテーマは電気の正体。
見えないものの正体だね。
そうなの。
そこでまず電気の正体を解き明かすために電気がどこにあるかを考えます。
熊谷君家で電気製品を使う時はどこにある電気を使う?う〜んそれはコンセントの電気かな。
そう。
家庭のコンセントには発電所で作られた電気がやって来ます。
ほかに電気があるのは?う〜ん電池かな。
そうだね。
電池は化学反応によって作られます。
そしてもう一つこれ。
あっ分かった。
分かった?静電気だ。
そうそのとおり。
物と物の摩擦によって起こる静電気。
この静電気も私たちの近くにある電気です。
なるほど。
でもコンセントの電気電池の電気静電気これってみんな同じ電気なのかな。
熊谷君いい質問。
これらの電気はみんな同じ電気なのか。
それを考えていくと電気の正体が分かるんです。
という事で今日のポイントはこの3つ。
まず静電気について調べ次に電子。
そして電流の大きさなどについて調べていきます。
ではまず静電気から。
静電気といえばこれ。
もう分かってるよ。
下敷きでこすると静電気が発生して髪の毛をを引きつけるんだよね。
うんそう。
でも熊谷君…という事でこすり合わせるものの組み合わせによって静電気が発生するかどうか調べてみましょう。
こすり合わせるものを変えて静電気の発生を調べてみましょう。
まずポリプロピレンでできたストロー同士をこすり合わせます。
こすり合わせたストローのうち1本を針の上に載せて回りやすくします。
もう一本のストローを近づけます。
どこに近づけてもストローは動きません。
今度はアクリル樹脂の棒と2本のストローをこすり合わせます。
ストローのうち1本を針の上に載せアクリル棒を近づけるとストローが引き寄せられます。
ストロー同士を近づけると遠ざかります。
今回電気の正体についてお話頂くのは増渕哲夫先生です。
(2人)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
それではみんなで電気の正体について調べていきましょう。
先ほどの実験でストローとアクリル棒実験の中で静電気の性質についていくつかの事が分かりましたね。
(2人)はい。
ストロー同士をこすり合わせても…でもストローとアクリル棒をこすり合わせると…そうなんですね。
ところが…それが分かった事の一つです。
それからそのほかの事何か分かった事ありますか?そうですね。
静電気を帯びたストローとアクリル棒は引きつけあいましたが静電気を帯びたストロー同士はしりぞけあいました。
そうですね。
こちらを見て下さい。
静電気を帯びたもの同士引きつけあう事もありました。
それからしりぞけあう場合もありましたね。
これは…そうなんですね。
その2種類っていうのがプラスの電気とマイナスの電気という事になります。
物体が…帯電。
はい。
こちらの図を見て下さい。
今の実験ではアクリル棒がプラスの電気。
それからストローがマイナスの電気を帯びます。
ですからアクリル棒とストローはプラスとマイナスの電気で引き合ってました。
ストロー同士っていうのはマイナスの電気同士になりますから反発をしていたんですね。
それから…これは電気の現象で大切な事ですからよく覚えておいて下さい。
(黒田熊谷)はい。
アクリル棒とストローをこすり合わせるとアクリル棒はプラスストローはマイナスに帯電しました。
でもいつでもアクリル棒がプラスストローがマイナスに帯電するとは限りません。
こすり合わせる…その組み合わせを表したのがこれ帯電列。
左にあるほどプラスに帯電しやすく右にあるほどマイナスに帯電しやすい事を表しています。
例えばこのストローはポリプロピレンでできているのでさっきの実験のようにアクリル樹脂とこすり合わせるとストローはマイナスに帯電します。
でも今度はこちらの塩化ビニルとこすり合わせると今度はストローはプラスに帯電します。
でもこの帯電列温度や湿度によって並び順が変わる事がありますので注意が必要です。
ここまでの学習で……という事が分かりました。
ではどうしてこすり合わせるとプラスとマイナスの静電気が発生するのでしょうか。
え?ここに電気の正体を明かすヒントがあるの。
先生お願いします。
はい。
こちらを見て下さい。
これは炭素原子の様子を簡単な図で表したものです。
プラスの電気を帯びた原子核。
それからその周りにマイナスの電気を帯びた電子があります。
先ほどのストローやアクリル棒。
それもこういう原子などからできています。
その様子を簡単に表したものがこちらの図になります。
ストローもアクリル棒も原子からできてますけれどもプラスとマイナスの数が同じなんですね。
ですからどちらも最初の状態では電気を帯びていないんですがこすり合わせてみます。
そうするとどうなるかと言うとアクリル棒の方からストローの方に電子が移ります。
これを離してストローだけに注目してみると電子の数が増えてますよね。
マイナスがいっぱいですからマイナスに帯電したっていう事になります。
アクリル棒は最初にあったマイナスがいなくなってますからプラスに帯電したという事になります。
これが静電気を帯びる理由なんですね。
でも電子は…そうなんですね。
このように違う物質があった時に物質が違うって事は構造が違うっていう事ですよね。
その構造が違うものをガリガリッていうふうに摩擦した時にどうしても…う〜んなるほど。
じゃあこの場合はアクリル棒の方が電子を取られやすいっていう事なんですね。
そうなんです。
そのとおりですね。
それからちなみに電子など小さい粒が持っている電気の事を電荷というふうにいいます。
ふ〜んなるほど。
え〜こすり合わせると電子が移動するのか。
うん。
ところで熊谷君…どれくらいか分かる?え?
(ブツリン)1個の電子。
その電子が持つ電荷の大きさは…Cというのは電荷の量を表す単位。
それにしても10のマイナス19乗ってとても小さいね。
分数にすると…でもそんな小さい電荷もちりも積もれば山…じゃなくて雷になるんだ。
(雷鳴)雷も静電気なの?そう。
雲の中で発生した静電気が雷の原因なの。
でも熊谷君雲がなくても雷は起こせるんだよ。
え?はい。
こちらの誘導コイルを使います。
この2つの電極の間に火花を飛ばして人工の雷を起こしてみましょう。
それではスイッチを入れますよ。
(黒田熊谷)はい。
(誘導コイルの音)あっ稲妻だ。
はいこのように空気中を電荷が移動する事を放電というふうにいいます。
この場合はこちらからこちらに電子が移動しています。
う〜ん…これが電子?
(誘導コイルの音)ではそんな熊谷君のために電子がもう少し実感できる映像を見てみましょう。
マイナス極から出ている電子を見てみましょう。
このガラス管の内部は空気の薄い状態になっています。
左にマイナス。
右下にプラスをつなぎます。
誘導コイルのスイッチを入れるとマイナス極から電子が出てガラス管の右端に当たります。
光っているのはマイナス極から出た電子が当たっているからです。
こちらのガラス管は電子の流れが光る線で見えるようになっています。
また電子の流れのそばに一組の電極が付いています。
上にプラス。
下にマイナスをつなぎ電圧をかけると電子の流れは上の方つまりプラスの方に曲がりました。
プラスとマイナスをつなぎ替えてみましょう。
今度もプラスの方に曲がりました。
ここまでの学習で静電気の事は分かりましたよね?う〜んまあ…。
はいでは今度はコンセントの電気と電池の電気なんだけどコンセントの電気も電池の電気も実は静電気と同じ電気なんです。
えっ同じ電気?そう。
コンセントの電気も電池の電気も…つまり全く同じ電気なの。
え〜そうなんだ。
ではそれを確かめてみましょう。
このアルミ缶にはたっぷり静電気がたまっています。
その静電気でこの蛍光灯を光らせてみましょう。
うん?この蛍光灯を缶に近づけます。
暗くして下さ〜い。
いきますよ〜。
おっ光った。
塩化ビニルのパイプを毛皮でこすります。
この時塩化ビニルのパイプにはマイナスの静電気がたまります。
静電気をアルミの缶に移します。
これを何回か繰り返しアルミの缶に静電気を蓄えます。
蛍光灯を缶に近づけます。
光りました。
もう一度見てみましょう。
静電気で光ったね。
そう。
普通はコンセントの電気や電池の電気で光る蛍光灯が静電気で光った。
という事は…なるほど。
はいそうですね。
でも静電気で蛍光灯が光るのはほんの一瞬でしたよね。
ところが今見ているようなコンセントとか電池を使ったものっていうのは電子を持続的に流す事によって光を出し続けています。
このようにですね電子とか電荷の持続的な流れこれを電流というふうにいってます。
はい。
ここで気を付けなければいけないのが…そうですね。
ではこちらを使って説明しましょう。
今豆電球を見て下さい。
光ってますね。
これは電流が流れているという事です。
それからこれまでの実験で電子はですねこちらのマイナスの極からずっと反対側プラスの極に向かって進んでいるっていう事が分かりました。
ところが電流の定義約束事というのはプラスの電気が動いてる方向これが電流が流れている向きというふうに決められています。
電子と電流は反対向き?そうなんですね。
電子が持ってる電気というのはマイナスです。
マイナスの電気が右に動くというのは電気の世界ではプラスの電気を持ったものが左向きに動いてるっていう事と同じ事なんですね。
そのような事で…はい。
では次は…電流Iの大きさとは時間tあたりにどれだけの電気量電荷qが移動するかという事。
式にすると…ここで電流の単位はA。
電気量はC。
時間は秒。
つまり1Aとは1秒間に1Cの電気量が流れる時の電流の大きさだ。
これを電子の個数で考えると1個の電子の電荷は…だから1秒間におよそ6×10個の電子が流れるという事。
これは6のあとに0が18個というとても大きな数だ。
試してみよう。
今日のガリレオはこれ。
これをペーパータオルでよ〜くこすります。
じゃあ熊谷君お願いね。
は〜い。
そしてこちら。
これは荷づくりのひもを細かく裂いたもの。
こちらもペーパータオルでよ〜くこすります。
よ〜しいいよ。
よ〜しじゃあいこっか。
いくよ〜。
せ〜の。
ふ〜っ。
よいしょ。
あはっ。
あ〜。
わあ〜。
はい。
ひももパイプもどちらもマイナスに帯電してるので反発で浮いているんですね。
それでは皆さん…。
(3人)さようなら。
あ〜。
プラスとマイナスは引きつけあいプラスとプラスマイナスとマイナスはしりぞけあう。
電子はマイナスの電荷を持った小さい粒子である。
電流の大きさとは1秒間に移動する電気量の事。
文字で表すと…という事なのだ。
(垣内)そ〜っと1g。
2015/12/16(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「電気の正体は何だろう〜静電気と電流〜」[字]
静電気や電流について調べ、電気の正体を探ります。学習の3ポイントは(1)静電気を調べる(2)電子と電気量(3)電流の大きさを表す。
詳細情報
番組内容
静電気には、正(+)の電気と負(−)の電気があり、異種の電気は引きつけあい、同種の電気は反発する。静電気の発生には原子の構造が関係していて、正の電気をもつ原子核のまわりに負の電気をもつ電子がある。持続的な電子の流れを電流と言い、電流の向きは正の電荷の移動する方向。電流の大きさは1秒間に移動する電気量のこと。【講師】増渕哲夫(学習院女子中高等科教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】学習院女子中・高等科教頭…増渕哲夫,【司会】黒田有彩,熊谷知博
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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