（３人）こんにちは。
ケミカルシスターズのリホです。
ナオです。
カナです。
さて今日は「中和反応」の続きです。
中和反応ってどういうものだったか覚えてる？は〜い覚えてます。
中和反応は酸と塩基を混ぜるとお互いの性質を打ち消し合う。
だよねカナちゃん。
そのとおり。
私たちの身の回りには中和反応を利用したものがいろいろあったよね。
例えば前の回で酸性の川の水を中和させたりしてたよね。
うん。
今回は酸や塩基の量に注目して更に詳しく見ていくよ。
はい。
そこで今日の「化学基礎」は…つまりどういう事かと言うと…。
はい。
ジャン。
えっどういう事？ナオちゃん酸と塩基の綱引きをイメージすると分かりやすいかも。
酸と塩基が綱引きをするの？う〜ん…。
え〜分かんないよ。
でも何だか面白そう。
では早速ケミストリーの世界に入りましょう。
は〜い。
は〜い。
ねえねえリホちゃんは塩基と酸どっちを応援するの？んっ？そういう問題じゃないと思うけどな。
最初のコーナーは「水素イオンＨと水酸化物イオンＯＨ」です。
水素イオンと水酸化物イオンって何度も出てきたよね。
そうだね。
水素イオンと水酸化物イオンはとっても重要だからここでもう一度復習しておきましょう。
（２人）はい。
ではまずリホちゃん。
酸や塩基の場合水素イオンはどういうものでしたか？はい。
水素イオンは…そうですね。
ではナオちゃん。
水酸化物イオンはどうですか？はい。
水酸化物イオンは…そのとおり。
…ですよね。
はい。
では中和反応についても復習しておきましょう。
こちらを見て下さい。
これは代表的な酸塩酸の電離を表した式です。
塩酸は塩化水素ＨＣｌが電離して水素イオンと塩化物イオンに分かれます。
一方こちらは代表的な塩基水酸化ナトリウムＮａＯＨの電離を表した式です。
水酸化ナトリウムは水溶液中で電離してナトリウムイオンと水酸化物イオンに分かれます。
では復習。
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜるとどうなりますか？塩酸の水素イオンＨと水酸化ナトリウムの水酸化物イオンＯＨが結びついて水になります。
そのとおりはい。
このように酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンが結びついて水ができる反応の事を中和反応といいましたね。
そしてこの中和反応では塩酸の塩化物イオンＣｌと水酸化ナトリウムのナトリウムイオンＮａが結びついて塩化ナトリウムＮａＣｌができました。
このように酸の陰イオンと塩基の陽イオンが結びついてできた物質を何といいましたか？はい。
「しお」じゃなくて「えん」です。
おっ正解。
２人とも中和反応についてしっかり覚えてたようだね。
はい。
大丈夫です。
さて「ＨとＯＨの数に注目」です。
カナちゃんこれが今日のタイトル「中和反応の量的関係」って事ですか？そうです。
中和反応では酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンが結びついて水ができましたよね。
うん。
ではこの時水素イオン１個に対して水酸化物イオンは何個結びつきますか？はい。
え〜水素イオン１個に対して水酸化物イオンは１個です。
そうですね。
水素イオンと水酸化物イオンの数の関係は１：１です。
この関係が中和反応の量的関係を考える上でポイントになるので覚えておいて下さいね。
分かりました。
はい。
では今度はこの意味を考えてみましょう。
おっ「酸と塩基の力比べ」ですね。
酸と塩基の綱引きの事だよね。
そうです。
酸と塩基を混ぜた時酸と塩基が力比べの綱引きをしたとします。
ただし水素イオン１個と水酸化物イオン１個の力の大きさは同じとします。
もし酸の水素イオンの数の方が多ければその水溶液は酸性の方に引っ張られますよね。
逆に…このように塩基の水酸化物イオンの数が多ければ塩基性に引っ張られます。
ではこの綱引きを引き分けにするにはどうすればいいでしょうか。
簡単。
酸と塩基の力が同じならいい。
つまり水素イオンと水酸化物イオンの数が同じならいいって事ですよね。
はいそのとおりです。
酸から生じる水素イオンと塩基から生じる水酸化物イオンの数が同じ時酸と塩基の力関係は同じになります。
そしてこの状態をちょうど中和する点中和点といいます。
中和点ですね。
はい。
では中和点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
はい。
今度はこちらを見て下さい。
同じ濃度の塩酸と水酸化ナトリウム水溶液があります。
この塩酸１００ｍＬをちょうど中和させるには塩酸の水素イオンの数と水酸化ナトリウムの水酸化物イオンの数を同じにすればいいので水酸化ナトリウム水溶液は１００ｍＬ必要になります。
はい。
水素イオンの数と水酸化物イオンの数が１：１ですもんね。
はい。
では塩酸ではなく硫酸だったらどうでしょう？硫酸１００ｍＬをちょうど中和させるには同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液は何ｍＬ必要ですか？はい。
濃度が同じだから塩酸の時と同じで１００ｍＬ。
私もそう思う。
残念。
そうではないんです。
んっ？実は中和反応の量的関係で忘れてはいけないのがこれ酸や塩基の価数です。
価数は……の事でしたよね。
そっか。
価数って酸や塩基の種類によって違うのがあったよね。
はい。
塩酸は１価の酸。
だから塩酸１分子から水素イオン１個を出す事ができます。
一方硫酸は２価の酸なので硫酸１分子から２個の水素イオンを出す事ができるんです。
硫酸は塩酸の２倍なんだ。
そうなんです。
同じ濃度で同じ体積の場合硫酸は塩酸の２倍の水素イオンを出すので中和させるには水酸化ナトリウム水溶液は塩酸の時の２倍。
つまり２００ｍＬ必要になるんです。
ふ〜ん。
この関係をまとめるとこのようになります。
酸と塩基がちょうど中和するのには酸の出せるＨの物質量と塩基の出せるＯＨの物質量が同じになった時です。
そしてこの酸の出せるＨの物質量は酸の価数×酸の物質量で求める事ができます。
一方こちらの塩基の出せるＯＨの物質量も同じように塩基の価数×塩基の物質量で求める事ができるんです。
なるほどね。
でもカナちゃんこの関係式は同じ濃度の時ですよね？濃度が違う場合はどうなるの？はい。
濃度が違う場合でもちゃんと式で表す事ができるんです。
ふ〜ん。
はい。
こちら見て下さい。
はい。
ちょうど中和する時は必ずこの式が成り立つのでモル濃度が違ってもこの式を使えばちょうど中和するのに必要な体積が分かるんです。
この関係式は中和を考える時とっても重要なのでしっかり覚えておいてね。
分かりました。
じゃあここまでをまとめてみましょう。
このコーナーのケミカルポイント！ところで中和反応って目で確かめる事はできないのかな？知りたいね。
先生こんにちは。
こんにちは。
先生質問です。
はいできます。
リホちゃん溶液のｐＨによって特有の色を示す指示薬の事覚えてますか？はい。
えっとＢＴＢやフェノールフタレインなどがありましたね。
はい。
その…では…。
０．１ｍｏｌ／Ｌの硫酸５０ｍＬと同じ濃度０．１ｍｏｌ／Ｌの水酸化ナトリウム水溶液でちょうど中和させるには何ｍＬ必要でしょうか？まず中和の関係式を使って求めて下さい。
分かりました。
はいできました。
硫酸の価数は２で濃度は０．１ｍｏｌ／Ｌ。
体積は５０ｍＬ。
そして水酸化ナトリウムの価数は１。
で濃度は０．１ｍｏｌ／Ｌ。
ちょうど中和させるには水酸化ナトリウム水溶液１００ｍＬ必要です。
はい正解です。
では本当に水酸化ナトリウム水溶液１００ｍＬでちょうど中和するのか指示薬を使って目で確かめてみましょう。
今回使う指示薬はＢＴＢ溶液です。
ＢＴＢの色はどう変化するか覚えてますか？はい。
ＢＴＢは酸性で黄色中性で緑色塩基性で青色に変わりました。
そのとおりです。
では実験してみましょう。
０．１ｍｏｌ／Ｌの硫酸と同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用意しました。
硫酸にＢＴＢ溶液を加えてみます。
酸性を示す黄色になりました。
ではこの硫酸５０ｍＬは同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液１００ｍＬでちょうど中和されるでしょうか。
加えてみましょう。
黄色だったＢＴＢ溶液の色が中性を示す緑色に変わりました。
ちょうど中和されたのです。
先生式のとおりですね。
そうですね。
え〜では今度は指示薬を使って今回のテーマ酸と塩基の綱引きがイメージできる実験をやってみましょう。
面白そうですねお願いします。
これは指示薬にもなるムラサキイモの色素の粉を水に溶かしたものです。
酸性で赤紫から赤色中性で紫色塩基性では青から青緑色と変化します。
今はちょうど紫色になってますので中性です。
つまり酸と塩基の綱引きが引き分けになってる状態です。
この中に塩基のアンモニアが溶けている虫さされの薬を入れてみます。
わ〜青っぽくなりましたね。
塩基のアンモニアを加えた事で水酸化物イオンが増え塩基性の力が強くなったんです。
ふ〜ん。
では今度は酸に加勢しましょう。
このドライアイスは二酸化炭素の固体です。
水に溶けると炭酸になって水素イオンを出します。
ではドライアイスを入れます。
はい。
わ〜紫色になりましたね。
紫色って事はさっきの中性…引き分けに戻ったんですね。
はい。
更にドライアイスが溶けて水素イオンの数がどんどん増えていきます。
あ〜どんどん赤紫色になってきますね。
酸の力がどんどん強くなってるんですね。
そうです。
ではもう一度虫さされの薬を入れてみます。
はい。
紫色になった。
塩基性に引っ張られたんだ。
でもドライアイスが更に溶けているので酸が盛り返します。
あっ本当！酸と塩基の綱引きが見ていてよ〜く分かりました。
先生ありがとうございました。
今日は…最後は「こんなところにも中和反応」です。
はい。
ではこの卵を使って中和反応を確かめてみましょう。
えっ卵で？うん。
まずこのように殻のままよく洗った生たまごを用意します。
これを容器に入れてこの卵がかぶるぐらいのお酢を注いでいきます。
へえ〜。
はい。
あれっ？卵の殻の表面から泡が出ています。
はい。
殻とお酢が反応を始めたんです。
このままラップをして２日間置きます。
そしてこちらが２日間置いたものです。
え〜触ってみていい？いいよいいよ。
はあ〜すごい。
卵の殻がなくなってる。
変な卵〜。
これは酢に漬けたので酢卵といいます。
こういう食べ方もあるんですよ。
えっでもこの酢卵と中和反応どんな関係があるんですか？はい。
ではそれを今からこちらで説明しましょう。
はい。
お酢には酢酸という酸が入っています。
一方卵の殻の主成分炭酸カルシウムは塩基です。
反応すると酢酸カルシウムと二酸化炭素と水ができたんです。
へえ〜。
二酸化炭素は卵を酢に入れた時殻の表面から泡が出ていましたよね。
あれです。
酢酸カルシウムはこの中和反応でできた塩です。
でもお酢の中に溶けていて見えません。
酸と塩基が反応しているから中和反応なんだね。
へえ〜これも中和反応なんだ。
中和反応って面白いね。
うん。
じゃあ今回のおまけ。
卵の噴水お見せしましょう。
卵の噴水？何それ？あっだから眼鏡着けたんだね。
そうそう。
なるほどね。
使うのはさっきの酢卵。
いいですか？見ててね。
（リホナオ）わ〜すごい！卵の噴水。
ね〜。
この卵は酢卵を更に一日水につけたものなんです。
水が卵の中に染み込んで中の液の圧力が大きくなっている所に針で穴を開けると中の液が噴水のように出てきたっていう訳なんだよ。
そうなんだね。
じゃあ噴水も見たしみんなでこの酢卵食べてみる？えっ？でもどんな味なんだろう？でもさ体にすごい良さそう。
うん。
酸っぱいらしいよやっぱり。
生たまごをお酢に漬けて作った酢卵は…2015/12/16(水) 14:00〜14:20
ＮＨＫＥテレ１大阪
ＮＨＫ高校講座 化学基礎「中和反応の量的関係〜酸と塩基の力比べ〜」[字]
化学基礎は平成２４年度から新たに設けられた科目で、中学校から高校への橋渡しの役目をする内容です。基礎をしっかり学んで、本格的な化学の学習に役立ててください。
詳細情報
番組内容
ここでは、中和反応の量的な関係を学習する。中和とは、酸と塩基から塩と水ができる反応だ。酸性の溶液に塩基性の溶液を加えていくと、だんだんと酸性が弱くなり、やがて中性、そして塩基性となる。この変化の様子は、指示薬の色の変化から分かる。酸性のもとであるＨ＋と、塩基性のもとであるＯＨ−の物質量が等しくなったときに中和する。
出演者
【解説】開成学園中学・高等学校教諭…宮本一弘，【出演】高田里穂，吉田奈央，横畠加奈子，【語り】伊倉一恵
ジャンル :
趣味／教育 – 中学生・高校生
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