くらし☆解説「中国のPM2.5大気汚染 日本への影響は?」 2015.12.16


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうは中国のPM2.5大気汚染日本への影響はというテーマです。
中国では車や工場から排出されるPM2.5による大気汚染が深刻になっていて日本への影響が心配されています。
担当は二宮徹解説委員です。
最近たびたびニュースになっていますが、中国の大気汚染深刻なようですね。
二宮⇒そうですね。
先週首都・北京で4段階で最も深刻なレベル赤色警報が初めて出されました。
これは3日間以上深刻な大気汚染が続く場合に出される警報で車の交通が半分に規制されたほか土木工事や工場の操業が停止を迫られ、小中学校は臨時休校になりました。
学校も休みだったんですね。
日本大使館もできるだけ外出しないように注意を呼びかけました。
中国の大気汚染は日本の環境基準の数倍に上っていまして先月にはおよそ30倍に達したところもありました。
真っ白ですものね。
気になるのはこの大気汚染が日本へどう影響するかなんですが。
中国などからここ数年流れてくる越境汚染が目立つようになりました。
中国の環境対策が追いつかず気圧配置や天候によって日本へ流れてくるんです。
日本はどこですか。
右上です。
ふだんは九州や西日本が中心なんですがほかの地方でも濃度が高くなる日があります。
これは大気汚染濃度を予測する国立環境研究所のホームページです。
実は先日、中国で濃度が高くなったPM2.5が流れてきているんです。
今日本にきているわけですね。
きょうの11時の予測です。
緑色ですとか黄色がところどころ帯状に広がっています。
実際のきょうの観測でも関東や中部、近畿で濃度がやや高くなっています。
帯状の範囲、あすにかけて日本の南に離れていく見込みです。
問題となっているPM2.5ですが、ずいぶん小さいですよね。
PM2.5。
PMというのはParticulateMatter、といいまして粒子状物質のことなんですが、このうち直径が2.5μm以下のものをPM2.5と呼んでいます。
1μmは1000分の1mmです。
髪の毛の太さがおよそ70μm。
スギ花粉がおよそ30μmなのでそれよりもはるかに小さいですね。
花粉をピンポン玉ぐらいの大きさに例えますとPM2.5は米粒程度です。
そもそもPM2.5は何でできているんですか?PM2.5は粒子の大きさで区別しているだけなので、その正体はさまざまなんです。
サイズを表すことばですものね。
車の排気ガスや工場の煙、中国ではそのほか石炭の暖房による煙とか畑の野焼きの煙も多いんです。
春に内陸の砂漠で発生する黄砂日本にも飛んできますが小さいものはPM2.5なんです。
これが今なぜ中国でこんなにも増えているんでしょうか。
中国では急速な経済発展に伴って排気ガスや工場の煙が大量に発生するようになりました。
冬は石炭を使った集中暖房というのを使っているところが中国北部などで多いんです。
ふだんは風で流されて拡散されていますが風が弱くて気温が低い日などは地表付近にもくもくとたまってしまうので冬に多くなりがちです。
それに加えて春は黄砂が飛んできて一緒になってしまいますのでまた増えてしまうということです。
これらはそれだけでなく有害な物質、硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質がくっついたり混ざったりしているというのが最大の問題です。
こうしたPM2.5を吸い込むとどのような影響が体に出てきますか?人間の体でみますと、花粉などは鼻やのどの粘膜である程度食い止められるんですが花粉の粒子は大きいので。
ただPM2.5は小さいので肺のいちばん奥、肺胞まで入ってきます。
肺胞は酸素を血液に取り込む大事なところです。
たくさんたまってしまうと肺の中で炎症が起きてしまいます。
そうすると、ぜんそくや気管支炎などになるほか血液に入って狭心症や心筋梗塞のリスクまた肺がんのリスクも指摘されています。
影響が出ないように備えておきたいですね。
そこでぜひ覚えてほしい数字が2つあります。
35と70ですか。
一日平均で1立方m当たり何μgあるか。
簡単にいうと濃度を示す値です。
35以下は環境基準といいまして環境省が健康維持に望ましいとする数値です。
35以下であればいいんですね。
これを超えると呼吸器、ぜんそくなど、心臓の病気などがある方子どもや高齢者は体調の変化に注意をする必要があります。
70を超えると健康な大人でも不要不急の外出ですとかマラソンなどの長時間の運動を控えたほうがいいとされています。
35を超える日は九州などで多いところで年に数十日あります。
ただ70を超える日というのは多いところでも年に数日あるかないかです。
これが中国では300を超えたり多いところでは1000を超えたりしています。
かなり日本では下がるんですね。
いかに深刻か分かりますね。
濃度がきょうはどうなのか、どうしたら分かりますか?観測値や予測をするにはホームページがいろいろあります。
環境省のそらまめ君というホームページがありまして観測値、35より上とか70を超えたなど6つの色で分かるようになっています。
国立環境研究所のホームページで予測をした地図を見ることができます。
九州大学のサイトでは1週間の予測を、非常に多いとか多いなど、4段階で見ることができます。
そしてご自分の地元の自治体のホームページなどでも注意喚起情報や観測値を発表しています。
登録した人へのメールやツイッターなどで知らせてくれる独自のサービスを導入している自治体もあります。
こうした情報でPM2.5が多くなりそうだと分かったらどうしたらいいんですか。
まずはマスクです。
普通のマスクでも一定の効果はありますが最近はフィルターがより細かいPM2.5対応のものが売られています。
大切なのは、着け方です。
隙間があると効果が下がってしまいますので自分の顔に合った大きいもの、小さいものなどぴったりしたものを選んでほしいと思います。
洗濯物を干していいのか気になるんですけれども。
洗濯物や布団は濃度が高い日に外に干しますとPM2.5がくっついてしまって、取り込むとハウスダストが増える原因になってしまいます。
できるだけ室内干しにしたほうがいいですね。
日常生活においてやはり心配になってくるんですけれどもどのぐらい気にすればいいんでしょうか。
先ほど言いましたが日本は中国ほど深刻ではありません。
健康な大人であれは濃度が高い日は無理に出かけずマスクをするなどでよいと思います。
ただのどや呼吸器に異常を感じた場合などにはお医者さんに相談したほうがいいと思いますし小さい子どもさんや高齢者の体調には注意を払ってほしいと思います。
二宮徹解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
担当は竹田忠解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/12/16(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「中国のPM2.5大気汚染 日本への影響は?」[字]

NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:26750(0x687E)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: