(新次郎)あの時松造はわてに言うたんや。
「人殺し」てな。
あんだけ仲よかったのにな…。
・「朝の空を見上げて」・「今日という一日が」・「笑顔でいられるように」・「そっとお願いした」・「時には雨も降って」・「涙も溢れるけど」・「思い通りにならない日は」・「明日頑張ろう」・「ずっと見てる夢は」・「私がもう一人いて」・「やりたいこと好きなように」・「自由にできる夢」・「人生は紙飛行機」・「願い乗せて飛んで行くよ」・「風の中を力の限り」・「さあ心のままに」あの時の松造はもう松造やあれへんかった。
お金や世間に苦しめられて人が変わってしもたんだす。
回想
(サトシ)人殺し!新次郎さんのお父ちゃんのせえでわてのお父ちゃん消えてしもた!お前のお父ちゃんは金の亡者の人でなしや!わての一家はお金に殺されたんや。
みんなお前のお父ちゃんのせえや!加野屋なんか潰れてしまえ!わては…松造の言うとおりや思た。
そやのに…その時のわてはお父ちゃんの悪口言われたんが許されへんかって…。
何やと!お前のお父ちゃんが悪いんや!その次の日ぃだす。
松造とお母ちゃんが町から消えてしもたんは。
炭坑で見かけた時はまさかて思たけど…名前も違てましたさかいな。
せやけどあの強い目…あら松造の目ぇやった。
(あさ)そうだしたんか…。
そやけどなわて何やうれしかったんや。
「ああひょっとしたら生きてくれてたんかな」て。
ずっとあの親子があのまま死んでしもてたらてずっと思てましたさかい…。
あない背ぇも伸びて立派な男になってたらそらうれしいなて。
次会えた時は試しに声でもかけてみよて…そないのんきな事思てたらこないな事になってしもて…。
そやさかいあの事故はわてのせえだす。
わてが甘かったせえなんや。
ほんま堪忍。
そんな旦那様のせえや…。
いやあさにもっと早言うてたら防げたんかも分かれへん。
そやのにわて加野屋があいつの家殺したてどっかにそないな負い目もあったさかいそれで…。
ほんま堪忍。
堪忍だす…!旦那様。
堪忍な…。
・
(榮三郎)松造いうのはお兄ちゃんの幼なじみだすか?・
(正吉)そうや。
私もよう覚えてる。
新次郎が傷だらけになってうちへ帰ってきよった時や。
あんな事は後にも先にもあの時だけやった。
(榮三郎)そうだすやろな。
お兄ちゃんに殴り合いは似合わへん。
それからやなぁ新次郎がお金を扱ううちの商売を毛嫌いするようになったんはなぁ…。
・
(正吉)私もな新次郎が深い傷を負いよったんはわしの責任かもしれんと思うてなぁ。
…でまああいつを分家に出して。
ハハッ。
ちょっと甘やかし過ぎたかもしれまへんなぁ。
けど新次郎にはあさちゃんちゅうええ嫁さんがついてます。
せやさかいなお前の襲名披露の時に私はあさちゃんを一緒に並ばせましたんやで。
お前が女だてらによう働くあさちゃんを見て目の上のたんこぶや!そう思う時があるかもしれんと…。
たんこぶて。
いやいやお父ちゃんわてはそこまでは思わへんで。
(よの)こぶやて…。
そうか。
うん…。
まあこの加野屋かてこれから先どうなる事か分からん。
けどなどんな事があってもこうお前たち3人が手を携えて…携えてさえいてくれたらどんな事も乗り越えられます!あの明治の御一新の時まだまだ私は死にとうても死なれへんかったんや。
けど今はもうお前も立派になってくれてる。
新次郎にもええ嫁さんがいる。
やっとほっとしてますのやで。
ハハハハ。
お父ちゃんもう死ぬような事言わんといとくなはれ。
何やお前。
男のくせに目ぇ潤ましたりして。
お前はしっかりした男なんやけれどもなぁ気ぃの小さいとこがあきまへんな。
そない言うたかて…。
そして加野屋にまた新しい朝がやってまいりました
(亀助)へ?またけったいな男がウロウロしてたて?
(ふゆ)へぇ。
弥七さんも見かけたそうだす。
(うめ)そないいうたら昨日ツタも見た言うてましたで。
えらい背の高い若い男はんやったゆうて。
へぇ!うちが見たのも背の高いお人だす。
きっと同じお人や。
そやけど弥七さんはそない若いお人やなかったって…。
なるほどなぁ。
その男いうのはひょっとしたら…。
(かの)ひょっとしたらあの男はんだすなぁ。
へ?なぁうめさん知りはりまへんか?あの…橋の向こうに年の初めから何か建ててますやろ?へぇ。
あそこに一人えらい粋で男の色気たっぷりの大工さんがいててなぁ!男の色気たっぷりの大工さん?そんな人いてますのんかいな…。
(クマ)へぇいてますいてます!八っちゃんいうてもう何て言うか…こんなですわ!こんな!?
(かの)ほんでなこの話には続きがありますねん。
その八っちゃんそこの道何べんも通ってるうちに見初めてしもたみたいなんだす!おふゆの事。
へ!?は!?
(うめ)その粋な八っちゃんがおふゆを?
(かの)そうだす。
はぁ八っちゃん…。
(かの)うちちょっと奥様に言うてきましょ!フフフ。
(小声で)ようやっと大阪に戻ってきたんだっしゃろ。
うまい事やりなはれやさっさと!八っちゃんめ!誰か知らんけど…。
いいや。
きっとそのお人やあらしまへん。
うちが見たお人は店をにらみつけるように見てました。
それにうちなんかが誰かに見初められるやなんて…。
はぁ?そないな事あれへんで。
おふゆちゃんは…え〜その…え〜何と言うか…。
いやその…おふゆちゃんはお嫁に行きたいやなんて思う事あんのかいな?へぇもちろんだす。
おはつ様のお嫁入りを見た時に「ああええな!」て。
いつかはうちもどなたかのお嫁さんになりたいなてずっと思ってたんだす。
ほうほうほう。
せやけど…。
回想おふゆちゃんは頑張り屋さんやな。
ご苦労さん。
ん!?いいや。
おはつ様やおあさ様を見てるとお嫁さんいうのはほんまに大変だす。
うちなんかに務めきれる事やあらしまへん。
そないな事あるかいな。
わてはおふゆちゃんが真面目なんよう知ってるで!山王寺屋が潰れた時かてあの一家を見捨てんとちゃんとお百姓仕事までして。
あんたはほんまにしっかりしたおなごはんや!嫌やそんなん言われたん初めてだす。
おおきに。
いや…。
番頭さんはほんまうめさんの言うてはったとおりお優しいお人だすなぁ。
いや優しいやなんて…。
わては男として思た事を言うただけだす!うちほんまは…。
ずっと…お兄ちゃんが欲しいて思てたんだす。
え?お兄ちゃん?へぇ。
うちは女ばっかりの6人姉妹やったさかいずっとお兄ちゃんいうのに憧れてて。
それやったらお兄ちゃん思たらええわ。
お兄ちゃんや思て困った事あったら何でも相談しなはれ。
ほんまだすか?そんな事言わはったらうちつい番頭さんに甘えてしまいそうだす。
(笑い声)何ニヤけてはるんだす?あっあ…すんまへん。
そやけどそない何べんも見かけるて怪しいなぁ。
へぇ…。
うち思うんだすけどその男の人てひょっとしたらサトシさん…。
いえ松造さんと違いますのやろか?わてもそない思うわ。
旦那様。
それやったらえらい事だすがな!その松造いうのは炭坑をワヤにしようとしたほど加野屋を恨んでますのやろ?この店にかて何するか分からへん。
そうだすな。
火ぃでもつけられたらたまりまへん!早う警察に言うて…。
いやすまんけどここはわてに任してもらわれへんやろか?はぁ…ここのとこの夜泣きには困ったもんだす。
こない小ちゃい体のどこからあない大きい声出ますのやろ?ほんまだすなぁ。
そやけどおあさ様の時はそら大きな声で泣いてはりましたけどでも寝る時はコト〜ンとまばたきする間に寝てしまいはるさかい奥様もこの子は楽や言うてはりましたけどなぁ。
はれほんならうち親孝行だすなぁ。
へぇ。
育ってからの方が大変やったみたいだすけどな。
そうだした…。
あれは?2015/12/16(水) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 あさが来た(69)「大阪一のおとうさま」[解][字][デ]
新次郎(玉木宏)は、自分の過去の話をあさ(波瑠)にする。その話を聞いたあさは…。そしてある日、子守をしているあさの目の前にある人物が現れる…。
詳細情報
番組内容
新次郎(玉木宏)は、かつて加野屋の大番頭だった男の息子の松造がサトシ(長塚圭史)だとあさ(波瑠)に話す。松造の父は、のれん分けしたが、商いがうまくいかず、正吉(近藤正臣)に借金を頼むが断られていた。そのことでサトシは、加野屋を恨むようになっていたのだ。幼かった新次郎は、そのことがショックである考えを持つようになる。あさは、正吉を看病しながら、子守をしていると、その前にある人物が現れる。
出演者
【出演】波瑠,玉木宏,三宅弘城,友近,桐山照史,清原果耶,楠見薫,郷原慧,長塚圭史,風吹ジュン,近藤正臣,【語り】杉浦圭子
原作・脚本
【作】大森美香
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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