相棒season4 2015.12.14


(警官)ちょっとあんた…!どうしたの!?何持ってんだ!?どうしました?どうしたんですか?大丈夫ですか?どうされました?
(安城雄仁)どうしたのあんた?
(篠宮ゆかり)あたし…人を殺しました。
(中園警視正)被害者は阿佐谷に住む青木由紀男。
(中園)自首した被疑者は同じく阿佐谷に住む篠宮ゆかり。
(中園)2人は以前内縁関係にあり2年前に篠宮ゆかりを貸主…青木由紀男を借主として金銭貸借関係が成立してる。
しかしここ半年は返済が滞っており昨夜それが原因で2人は揉める事となり篠宮がそばにあったガラス製の灰皿で青木の頭部を一撃。
死亡させた。
以上が篠宮ゆかりが自首した後の供述だ。
(伊丹憲一)はい。
(中園)何だ。
本件は阿佐谷で起きた事件なのに被疑者はなぜ犯行現場から離れたこちらの署に自首したんですか?
(中園)それについては被疑者を聴取した安城警部補…。
はい。
被疑者は昨夜殺人を犯した緊張と興奮から阿佐谷の犯行現場を出た後凶器を所持したままあてもなく歩き続けたそうです。
しかしこのままではいつか捕まるそう思い至るようになりその時一番近くにあった警察署に自首をした…そう供述しております。
被害者の死亡推定時刻から被疑者が自首するまで2時間ほどある。
阿佐谷の犯行現場から緑川署までゆっくり歩くと2時間ほどになる。
(中園)今後の捜査活動だが本部の捜査員は解散。
ケッ俺たちゃ用無しかよ。
(中園)供述の更なる裏付けと送検作業は緑川署が行う。
(伊丹)だったら呼ぶなっつーの。
(芹沢慶二)既成事実が欲しかったんでしょうね。
(三浦信輔)一応本部も捜査に関わったっていうな。
緑川署は被疑者に正当防衛が成立するかどうか慎重に確認して隙のない調書を仕上げて欲しい。
以上!ラッキーっすよね緑川署。
他の管轄の殺人犯横取り出来たんだからな!何か言ったか?うちに文句があるなら聞こうか。
すまんすまん安城。
何だ三浦…お前んとこか。
相変わらずご活躍だな。
相変わらずマナー悪いね本部の連中は。
悪いな後でよく言って聞かせる。
(安城)じゃあ早く帰れ。
送検はうちの担当だ。
お前がすんのか?成り行き上な。
昨夜当番でな…そこに自首してきた。
ラッキーっすね〜。
(室園悦子)あら…お久しぶりです。
確か…東京地検の室園検事。
駆け出しの頃は大変お世話になりました。
でも今は…。
弁護士…。
私の依頼人篠宮ゆかりさんに接見させてください。
(杉下右京)この事件何でももう被疑者に弁護士がついたとか。
(米沢守)さすがにお耳が早い。
無論それは被疑者の権利であり違法ではありません。
しかし送検されさらに起訴されてからが一般的ですよねぇ?気になりますか?気になる点はもうひとつ。
はい。
その被疑者管轄違いの所轄署に自首したとか。
えぇ…殺した後2時間ほど町をさまよってから…あ…これを持ったまま…。
なかなか立派な凶器ですねぇ。

(悦子)事件は緑川署で送検作業中です。
手際がいいですねぇ…送検するまでの。
どうぞ。
は…。
(悦子)送検の抗議なら担当の安城刑事に仰ってください。
まさか…抗議だなんて。
ではどんなご用件でしょうか?篠宮ゆかりさんにお会いできないかと。
…依頼人に?えぇ。
ですからこうして弁護人の先生に承諾を。
すでに所轄署ベースになった事件にこうして警視庁の本部刑事さんがお見えになる…。
よほどのわけですね。
本部の刑事といっても僕は担当ではありません。
担当ではない…?だったらなおさらなぜ?そうですねぇ…メンツ…でしょうか?本部というのはそういう事を重んじる所でして。
仰ってる事がよくわかりません。
本部も一応この事件の送検に寄与した…そういう体裁が欲しいわけです。
そんなつまらない仕事ですから僕のようなどうでもいい刑事がお邪魔しています。
はぁ…面会には私の立ち会いが条件です。
ぜひお願いします…!時間は5分間です。
そんなに…ありがとうございます。
ところで先生。
はい。
篠宮ゆかりさんとはどのようなご関係で?は?ですから先生とゆかりさん。
弁護人と依頼人ですが。
先生は彼女が逮捕された翌日に弁護人になられた。
それが何か?つまり逮捕後すぐ彼女からの依頼があった。
本人が緑川署から直接電話をしてきたんです。
つまり先生とゆかりさんは以前からのお知り合い。
どのようなご関係で?見えたんですよ彼女が。
はい?数日前私の事務所に。
(悦子)青木由紀男に貸したお金を返して欲しい…そういった用件でした。
残念ながら私刑事事件専門なんですよ。
何とか…してもらえないんでしょうか?
(悦子)よろしかったら民事専門の弁護士をご紹介します。
ちなみに彼女はなぜ先生の事務所に?飛び込みだったそうです。
飛び込み?弁護士事務所にですか?まれにあるんですよ。
あぁ…そうなんですか。
えぇ青木の部屋にあったものです。
なかなか大きくて立派な灰皿ですねぇ。
極端なヘビースモーカーでしたから…。
青木さんが…ですか?…えぇ。
(フェンスを叩く音)
(亀山薫)ここにいればさすがに会えると思いましてね。
捜しましたよ〜。
えぇ携帯電話に君のメッセージが。
聞いたなら折り返してください。
きっとここで待っているだろうと思いまして。
ハハ…。
犬ですか俺は!?何を怒っているのでしょう?主人の言うとおりただ待ってりゃいいんですかぁ?主人ではありません僕は。
そして待てとも言ってませんよ。
ふぅ…入るんですよね?えぇそのために来ましたからね。
被害者はここにどのぐらい住んでいたのですか?は?ただ待っていたわけではないでしょう?まさかただぼーっと待っていたのですか?管理人の話では10年と3か月!どうぞ!10年…ですか。
ここに置いてあったものだそうですが。
凶器の灰皿…ですか。
極端なヘビースモーカーだったそうです。
ここに住んでた被害者が?えぇ。
10年も住んでいれば一度や二度焦げ跡を作ってもおかしくないですねぇ。
えぇ…。
う〜ん…ないっすねぇ…焦げ跡らしきものは…。
本当にヘビースモーカーだったのでしょうか?まぁ几帳面な人だったら…几帳面じゃないか。
畳に付いた染みもそのままです。
あ〜こりゃまたくっきりと。
コーヒーかなんかこぼしたんですね。
妙ですねぇ…。
染みが途中で切れています。
あ…。
という事は…こっちの染みが続きでしょうか?えぇ…!?あ〜…あ!畳をこう回転させたんですね。
なぜ畳を動かしたのでしょう?え?さぁ…。
あぁ畳干し…とか?この染みを放っておくような人が畳干しですか?しませんよねぇ…。
う〜ん…う〜ん…!…右京さん?あの…乗ってたら上がりませんけど…。
上げたいんでしょ?これは失礼。
(咳き込み)なんでこんな事するんすか?もちろん…気になるからですよ。
あぁそうか。
よいしょ…あ…うわぁ〜!
(咳き込み)うわ〜あ〜…やっぱり元はこうなってたんですね。
うわぁ!ゴホッ。
あ…。
札入れです…。
なかなか…上等な札入れですねぇ。
(芹沢)起訴されてた…?
(三浦)20年前に逮捕されてな。
篠宮彬って…。
(伊丹)篠宮ゆかりの兄貴だ。
(中園)しかも罪状は妹と同じ殺人!つまり20年前に兄が殺人で逮捕され同じく殺人で20年後に妹が逮捕された。
立ち聞きかよ!…ったくよぅ!お前らしいよなぁ!特命係の亀山〜!はい〜立ち聞き大好き特命係亀山ですが何か?何だその言い草この野郎!お前が言ったんだろこの野郎!
(三浦)何かご用ですか?警部殿。
20年前の事件ならば5年前に刑事時効が成立していますねぇ。
あれ?その時効って確か25年になったんじゃ…?法改正前に起きた事件に関しては原則的に適用されないだろ!少し勉強しろ!
(内村警視長)杉下!誰が勝手にここに入っていいと言った。
20年前の殺人事件なんですが…。
興味があるのか?えぇ。
正直申しますと。
じゃあとっとと出て行け。
はい?お前が興味を持つとな…ロクな事がないんだ。
いや部長…。
あ〜あ〜出て行け出て行け!オラ部長命令だよ!ちょっと待て新情報を教えて…!さぁ警部殿…。
青木の部屋から見つかった財布…。
あ〜青木の!ああ青木の!あ〜もう教えてやんねぇもん!お前ホントにバ〜カ!バ〜カ!うっせぇよ!このバ〜カ!
(米沢守)被害者の部屋から押収した財布は…う〜んと…これですねぇ。
拝見します。
ビニール…かなり安物って感じですねぇ。
ほら牛革。
全然趣味が違いますよ。
ひとつ…お願いがあるのですが。
拘置所で…病死…。
(奥寺美和子)そう篠宮彬は20年前拘置所で死んでるの。
拘置所という事は裁判前だったのですか?いえ彼は20年前に逮捕されすぐに自白し起訴されています。
それから1か月後裁判で有罪となり拘置所で病死したのはそのすぐ後です。
じゃあ高裁に控訴している最中だったんだ!控訴という事は量刑に不服だったのでしょうか?それが殺人罪自体を否認してたみたいで…。
つまり篠宮彬さんは無実を訴えていた…。
(宮部たまき)浮かばれませんね…。
え…?拘置所で病死なんて。
20年前のこの事件。
犯人は篠宮彬。
被害者は金子祐介さんですね。
お願いします。
被害者の金子さんは競艇で大穴を当てた帰り道祝い酒を飲みに酒場に入ったようですねぇ。
毎度ありがとうございます。
その日酒に酔った金子さんは店を出る時…。
(金子祐介)ほらまだこんなにあるんだ。
と言って現金20万円ほどを見せびらかしたそうです。
その同じ日の同じ時間犯人とされた篠宮彬が同じ店で飲んでいました。
しかも金子さんが店を出たすぐ後篠宮彬も店を出ています。
では続いて篠宮彬の自白内容いきます。
どうぞ。
はい。
どうやら金子さんはかなり酔っていたようで酒場の帰りに道端で寝てしまったようです。
そこへ篠宮彬がやって来て金子さんの財布に目をつけた。
あああっ!返せ!財布を奪おうともめた篠宮彬はとうとう金子さんの頭部をブロックで数回打ちつけ死亡させた。
(叫び声)状況証拠もあります。
状況証拠とは?はい。
篠宮彬は現場近くの競艇場の常連でした。
なるほど。
しかも事件の翌日篠宮彬は妹のゆかりに借りていた20万近くを一気に返済しています。
どうしたの?このお金。
(篠宮彬)悪かったな長い間借りてて。
ありがとう。
ねえお兄ちゃん。
大丈夫なの?大丈夫大丈夫。
20万拾った?そんな都合よく拾うわけねぇだろ。
(篠宮)ほんとなんです。
店の帰りに拾ったんです。
拾った…ですか。
ええ。
思いっきり怪しいすよね。
つまり被害者の金子さんが所持していた20万円を目撃した。
翌日妹さんに20万円を返した。
その2点の状況証拠と自白で当時警察は起訴したわけですね。
そういう事です。
ま篠宮彬には傷害の前科もあったみたいですしねまぁ何より決定打はこの自白ですよ。
果たしてその自白に信憑性はあったのでしょうかねぇ。
は?ふざけんなこの野郎!誰がそんな話信用すると思ってんだよ?この前は競艇で大穴当てたとかうそばっか並べてんじゃねえ!おい。
寝とる暇ねぇぞ。
厳しい取り調べの末心神耗弱状態で自白してしまったのかもしれません。
でも20年前ですよ。
その頃には警察だってもうそんなやり方してないんじゃないすか?ええ過去に警察が犯した過ちを繰り返していなければいいのですがね。
安城…。
20年前あなたは篠宮彬という男を逮捕し20年後の昨日その妹を逮捕しました。
ええ皮肉なもんです。
しかしあなたはその事を捜査本部に言ってませんね。
言う必要も義務もないからです。
まぁ確かに言わなきゃならない規則はないすけど普通はね…。
よってあなた方にこれ以上話す義務もない。
もうひとつだけ。
手短に。
あなたほどの刑事がお考えにならなかったのでしょうか。
何をです?今回の殺人と20年前の殺人との関連について。
もちろん調べましたよ。
でしょうねぇ。
それで?20年前の犯人篠宮彬。
そして被害者金子祐介。
今回の犯人篠宮ゆかり。
被害者青木由紀男。
犯人が兄と妹という以外4人に接点はなかった。
接点はなかった?なんならあなた方で調べてもらってもいいですよ。
いえ…。
20年前の殺人は行きずりの犯行ですから接点がなくても不思議はありません。
そうです調べるだけ無駄です。
もう終わった事件ですから。
終わったとは?今朝篠宮ゆかりを送検しました。
え?逮捕して1日しか経ってないのに?過剰防衛による傷害致死でね。
傷害致死ですか?今回はそれが妥当だと判断しましたから。
では。
傷害致死?どうも早すぎる気がしますねぇ。
ですね。
いくら自首した事件とはいえ…。
逮捕にしろ送検にしろ…。
しかも殺人じゃなくて傷害致死って…。
は〜。
コラコラコラコラ呼び出しといて遅刻かぁ?あ〜ゴメンゴメンゴメン。
美和子さんお茶漬けにする?ご飯にする?あお茶漬けで。
ぬるいの。
なんだそりゃ。
おかずいりませんから急いでんですいません。
はいはい。
何かあったんですか?すごい事がわかったんです。
え?なんだなんだなんだ?篠宮彬を20年前逮捕したの…安城刑事だったんです。
へえ〜。
は?あれ?あ安城刑事ってのは?篠宮ゆかりを逮捕した刑事ですね。
あぁ知ってたんですか…。
(笑い)あじゃあ20年前篠宮彬を起訴したのが室園検事だったって事も?室園…だ誰?今は篠宮ゆかりの弁護士ですね。
べ弁護士?え?つまり今回の事件は20年前に逮捕された男の妹が同じ刑事に逮捕されただけではなく…。
その男を起訴した検事が今その妹を弁護してます。
え?それってまさか偶然の一致とか言わないよな。
偶然の一致です。
いやちょっとそれが偶然っていうのはそれ…。
皮肉なものですねぇ人生って…。
安城刑事もそう仰っていました。
皮肉な偶然だと。
ところでゆかりさんは気付いてらっしゃるのでしょうか?私があの時の検察官だという事ですか?非常に気になるところです。
確認はしていませんが…気付いていないと思います。
20年前自分の兄を訴えた検察官を覚えていない…。
そんな事があるんですかねぇ。
指紋の照合を頼まれたこれですが…殺された青木由紀男の指紋が出ました。
それだけですか?いやあと1つ右京さんの思ったとおり20年前に殺された金子祐介の指紋も出ました。
え?なんで?この札入れが金子さんの物だからでしょうね。
つまり金子さんからこの札入れを奪ったのは…。
青木?
(金子の叫び声)20年前の犯人は青木だったんですか?ええ。
篠宮ゆかりの兄ではなかった。
じゃあ篠宮彬は…冤罪?そういう事になりますね。
衝撃的事実発覚ですね。
ちょちょちょっと待ってくださいよじゃあ篠宮ゆかりはそれを知らずにずっと兄の敵と内縁関係に…。
それを知った時の篠宮ゆかりの憎しみはいかばかりだったでしょうか。
じゃあそれが…。
殺害の動機かもしれません。
あっあとそれともう1つ…。
正体不明の指紋がありました。
正体不明の指紋…。
すぐに照合してください。
えっあの誰の指紋とですか?緑川署の安城刑事です。
(角田六郎)おっ暇か?
(2人)おはようございます。
いやあ今捜査一課ひっくり返ってるよ。
え?ヘヘそんな記事が出てさ。
そんな記事って?いや…これよこれ。
そりゃ驚くよなぁ。
20年前に逮捕された男の妹が同じ刑事に逮捕されておまけにそれを起訴した検事が今度はその妹の弁護をしてる。
ほんとに偶然だとしたらイタズラだね神様のイタズラ。
だとしたらイタズラがすぎますよ。
え?冤罪まで作って…。
冤罪!?
(電話)はい特命。
(米沢)結果から言いますと安城刑事の指紋ではありませんでした。
そうですか。
ではこちらの方は?ええ。
実はこっちが一致しました。
このご本人の指紋と…。
つまり室園弁護士は生前の青木由紀男に会っていた。
でこの財布に触ったわけですね。
確かに殺害された青木由紀男は篠宮ゆかりに借金をするほど金に窮していました。
だから強請ったんですかね?室園弁護士を。
犯した罪が時効になっているのを盾に…。
そして20年前の冤罪をネタに証拠の財布を突きつけて…。
(青木由紀男)持っててよかった。
この財布に金子の指紋も付いてんだろ?室園弁護士がそれを人生の汚点になると恐れても不思議はありませんね。
だから安城刑事にそれを伝えた。
彼もそれで自分の刑事人生が崩れる事を恐れた。
だから室園弁護士と結託し20年前死んだ兄は冤罪であった事しかもその真犯人が青木であった事を篠宮ゆかりに教えた。
もちろん篠宮ゆかりがそれで青木由紀男を殺す事を見越して…。
時効が成立している今法は無力ですからねぇ。
利用されたんすねぇ篠宮ゆかりは。
刑事と弁護士の保身のために。
さらに言えば安城刑事は自分の警察署に自主をするように指示をした可能性もあります。
人を殺しました。
あ!そうすれば殺人では送検しないと。
傷害致死にしてやるとそそのかした!同時に室園弁護士も送検前に彼女の弁護人になると約束した可能性があります。
執行猶予をつけてやるとかそそのかして!ええ。
右京さん…もしそれが本当ならですよこれ立派な殺人教唆じゃないすか!篠宮ゆかりが青木由紀男を殺害した今回の事件は傷害致死などではなく冤罪を動機とした殺人教唆による復讐殺人だったのかもしれません。
うわぁ…。
しかしいずれも証拠がありません。
どうするんですか?証拠がない場合は自白を取る。
警察の常套手段ですよ。
なるほど。
殺された青木の部屋から見つかったものです。
これに先生の指紋が。
私が任意で提出した指紋ではありませんね。
ええですから法的な証拠能力はありません。
でもここには確かに…。
確かに青木には会いました。
20年前先生が起訴なさった篠宮彬さんは冤罪だった。
そう言ってお金を要求されました。
青木さんが20年前の殺人を認めたんですね?お金欲しさに行きずりで殺したと。
(青木)あの時はさあこいつを捨てんのも怖くてずーっと隠してきたけど…。
持ってて良かった。
この財布に金子の指紋もついてんだろ。
つまり20年前の殺人事件が冤罪だった事先生はお認めでらっしゃる。
でも私は恥じてはいません。
はい?当時の検察官として私は出来る限りの事をしました。
脅迫してきた青木にもそう言えましたか?もちろんです。
ですから要求もきっぱり否定しました。
本当ですか?は?あなたは青木の脅迫に怯え彼が20年前の真犯人である事を篠宮ゆかりに教えた。
何言ってるんですか?そして彼女に青木の殺害を唆したんじゃありませんか?どうかしてるわ。
では今回の事件と20年前の事件は無関係だと?なんの関係もありません。
篠宮ゆかりの兄は冤罪で死んだんですよ。
あれは病死です。
その真犯人を20年後篠宮ゆかりが殺した。
にもかかわらずその動機は兄の冤罪とは無関係。
そんな言い訳が通ると思ってんですか?法的にはなんの問題もないはずです。
法的って…。
もうよろしいでしょうか?お引き取りください。
公判の準備で忙しいので。
公判。
何か裁判を抱えてらっしゃる?もちろん。
篠宮ゆかりの傷害致死事件です。
つまり彼女は間もなく起訴されるわけですか?そう聞いています。
2〜3日中にと。
はぁ…できレースだ。
はい?刑事と弁護士がグルになって逮捕も送検も起訴も凄いスピードでやっつけて真実を闇に葬ろうとしてる。
真実?真実ってなんでしょう?真実とはどんなに闇に葬ろうといつか必ず白日の下にさらされるものです。
(曽根崎真)冤罪だった!?先ほど室園弁護士もお認めになりました。
20年前はその事件を起訴した検察官でした。
しかしその弁護士と刑事による殺人教唆というのは…。
そう考えればすべて辻褄は合います。
篠宮ゆかりが安城刑事の警察署に自首したのもその弁護を室園弁護士に依頼したのも。
信じられん。
これでも検事は篠宮ゆかりを男女間のもつれと金銭の揉め事が動機の傷害致死で起訴されますか?しかし殺人教唆も冤罪の復讐殺人もすべてあなたたちの憶測であって証拠がない。
その証拠が起訴したあと出たらどうします?20年前警察と検察は彼女の兄を冤罪にしました。
さらにそこへ冤罪の上塗りをする事になるかもしれません。
あれで起訴止まりますかね?20年前の冤罪がはっきりした以上検察の威信にかけてもその方向で取り調べをするはずです。
なら篠宮ゆかりも認めざるを得なくなりますね。
ええ。
冤罪による復讐殺人。
そうなると執行猶予は無理ですね。
しかしそうなれば殺人教唆も自白する事になるでしょう。
でも篠宮ゆかりは兄を冤罪にされ青木に騙され刑事と弁護士に利用されなんか…つらいっすね。
(小野田公顕)東京地検から連絡がありました。
篠宮ゆかり。
今や時の人ですね。
ああ緑川署が検察に送致した。
(小野田)自白したようです。
自白でしたらとっくに警察で。
(小野田)検察でした自白は復讐殺人だとか。
は?20年前のお兄さんの冤罪の。
冤罪?刑事部としては気にならなかったんですか?被疑者の兄が20年前に逮捕されているとわかった時に。
しかし緑川署の報告ではそれと事件は無関係だと。
こういう報告は検察庁刑事部ではなく警視庁刑事部から聞きたかったですねえ。
間もなく地検が記者会見するみたい。
警察の責任にしてくるんだろうね。
(内村)しかし今になってなぜ冤罪だと…。
もちろんあの2人が掘り起こしたんですよ。
特命係…。
おや勘がよくなりましたね。
今すぐあの2人を監視つきの謹慎処分にしましょう。
どうして?どうしてって…。
これ以上余計なまねをしないよう。
ああ。
それならもう手を打ちました。
は?
(部長)兄の篠宮彬が拘置所で病死したあとつまり今から20年前に職場で青木由紀男と知り合った。
そのように被疑者・篠宮ゆかりは自供しています。
「十数年間内縁関係にあった青木由紀男が20年前自分の兄に罪を着せた犯人だった」「事件当日これを知った篠宮ゆかりは憎しみが抑えきれず用意してきたガラス製の灰皿で青木由紀男を撲殺」「後に裁判で傷害致死を主張するため包丁などではなくあえて灰皿を凶器に選んだと自供しています」地検刑事部はこの自供をもって本件を警視庁からの送検事由である傷害致死罪ではなく殺人罪で起訴する事にいたしました。
以上です。
求刑は?
(報道陣の質問の声)質問があれば挙手にてお願いします。
はい。
そちらの女性。
媒体名から。
帝都新聞の奥寺です。
2005年1月施行の改正刑事訴訟法で殺人などの時効は15年から25年になりました。
そのとおりです。
しかし既に時効が成立した事件に関してさかのぼって適用される事はありません。
はい。
今回の復讐殺人はその時効に対しての法整備の遅さが招いたと考えられませんか?地検は法解釈と法整備については発言いたしません。
20年前の冤罪を動機とした復讐殺人だった事は警察の捜査段階ではわからなかったんですか?
(部長)「はい。
検察の取り調べで判明した事実です」
(美和子)「被疑者の篠宮ゆかりはどうやって20年前の真犯人が青木由紀男だと知ったのですか?」
(部長)「青木由紀男自身が良心の呵責から告白した」「被疑者はそう自供しています」は?
(美和子)篠宮ゆかりはなぜ安城刑事と室園弁護士から20年前の犯人を聞かされたと自供しなかったのか。
20年前の冤罪が殺害動機だと認めたにもかかわらず。
義理立てしてるんじゃないですかね?室園弁護士と安城刑事に?うん。
だってその2人から真犯人は青木だって教えてもらったわけだからな。
しかも殺して捕まっても罪を軽くしてやるとまで言われてそれが2人の保身だとも知らずにな。
そうでしょうか?え?当時無実の兄を逮捕したのは安城刑事です。
ええ。
それを起訴したのは室園弁護士です。
何が仰りたいんでしょう?兄を冤罪に仕立て上げたその2人を篠宮ゆかりは簡単に許せたのでしょうか?あ…ですよね。
ん…確かに真犯人の青木は殺すほど憎んだのに。
その辺りの彼女の気持ちがどうもわかりません。
そろそろお茶漬けにしますか?はい?わからない事はとことん調べるんですよね。
もちろんです。
という事は明日の朝早い。
はいお酒はここまで。
かないませんねぇ。
お2人はどうします?いただきます。
じゃあ私も。
僕はわさび多めですよ。
わかってます。
でどうする気ですか?篠宮ゆかり本人に会うんですか?室園弁護士が会わせてくれるとは思えません。
でもこのままじゃあ殺人教唆はなかった事になっちゃいますよ?そうはいきません。
直に吐かせるんですね?室園弁護士を?いや彼女は吐かなかった。
やるなら…安城刑事。
えぇ難しいとは思いますが。
あぁほんと?そう…いや通してください。
来客ですか。
いや客じゃありません。
でなんの話でしたっけ?野良犬の話ですよ。
あぁそうでした。
(内村)そろそろ野良犬は捨てる時期ではないでしょうか。
野良犬は捨てられません。
だって飼えませんから。
(内村)そんな禅問答してる暇は…。
(ノック)どうぞ。
お前たち…!今ちょうどお前たちの話をしていたんだ。
今緑川署へ行ってきました。
いきなり本題から入るの。
安城刑事に会うためです。
何!?会えませんでした。
本庁の監察下に置かれたとか。
非常に手際がよくどなたの指図かすぐに検討がつきました。
当然の処置だ。
これ以上お前たちが傷を広げないためにな。
すでに傷は広がっています。
だからねこれ以上その傷を…。
安城刑事が篠宮ゆかりに教えたんですよ。
え?室園弁護士と一緒に20年前の真犯人をそして傷害致死で送検してやるとか執行猶予がつくように弁護してやるとか鼻先にエサぶら下げて…!まさか…!そのまさかです。
じゃあ殺人教唆したというのか?えぇ。
刑事と弁護士が被疑者に時効成立犯を教えたの?我々はそのように考えています。
困ったねぇ…。
で証拠はあるのか?その殺人教唆の。
証拠はありません。
ない?だからこそ安城刑事を問いただしたいんです!せっかく彼に監察官を付けたのならばそこまですべきだと思いますが。
このままじゃあ安城刑事や室園弁護士に利用された篠宮ゆかりが浮かばれません。
わかった。
もういい。
20年前は兄が食い物にされ今度は妹が…!いいから帰れ。
いいわけないでしょう!?帰れと言ってるんだ!官房長が命じれば監察官は動きます!お前たちはどうしてそう事を広げようとするんだ。
警察にも自浄作用がある事を示すべきだと思いまして。
それは…お前の頼みなの?ご忠告申し上げています。
残念。
頼みならなんとかしようと思ったのに。
僕は以前にも申し上げたはずです。
なんだっけ?沸騰した鍋に蓋をすれば…。
吹きこぼれるかもしれません。
今はその鍋が沸騰している時ではないでしょうか。
それならまず…火を止めるのが先かな。
はい?僕が思うに火元は君らじゃないかしら?本気で仰ってますか?ねぇ杉下。
世の中には火を止めたあとも蓋を開けてはいけない鍋があるんじゃないのかな。
官房長!内村さん火元たちをよろしく。
(内村)はぁ。
ちょっと…待ってくださいよ…官房長!ちょ…右京さん!本当にこのままで済むとお考えですか?官房長。
そうなるように頑張るよ。
これでわかったろう?あの人もただの官僚だ。
いつもお前たちの味方をしてくれるわけではない!
(騒がしい声)20年前の事件の真犯人が自分であると青木由紀男自身から知らされた被告人は冤罪となった兄の復讐をしようと思い至り青木由紀男宅において同人の頭部をガラス製の灰皿で殴打死亡せしめたものである。
罪名及び罰条殺人刑法199条。
以上です。
(裁判長)被告人あなたは終始黙っていても質問の答えを拒んでも構いません。
ただ陳述すれば有利になる不利になるを問わず証拠となる場合があります。
いいですね?はい。
では今検察官が朗読した事実について間違っているところはありますか?全て正しいと認めますか?1つだけ違います。
どこが違いますか?私が青木を20年前の犯人だと知ったのは…あの刑事さんに教えてもらったからです。
(ざわつく声)とてもいい刑事さんです。
私が青木を殺しても傷害致死で送検してやると言ってくれました。
裁判長。
弁護人から…。
弁護士の先生もその時一緒にいました。
私が青木を殺せばこの裁判で必ず執行猶予をつけるって言ってくれたんですよね。
(ざわつく声)
(裁判長)傍聴人は静粛に。
(木槌を叩く音)静粛にお願いします。
ごめん私も。
あぁ。
(木槌を叩く音)
(裁判長)静粛に!
(木槌を叩く音)
(裁判長)静粛にお願いします。
静粛に!
(木槌を叩く音)とうとう吹きこぼれました。
はい!まだ罪状認否です。
その段階で被告人の口から新事実が出ました!…はい!え?はい!現職の刑事と弁護士による殺人教唆の可能性をたった今法廷で被告人が証言しました!どうやら…火元が違っていたようですねぇ。
彼女が安城刑事と室園弁護士について口を閉ざしていた理由はやはりこういう事でしたか。
どうして篠宮ゆかりは今になって…。
兄を冤罪にした時から警察も検察も…いえ裁判さえも信じていなかったのでしょう。
だからマスコミや一般の人のいる法廷で話すしかなかった。
殺害した青木由紀男と同じくらい無実の兄を冤罪にした警察と検察を許せなかったのでしょう。
つまり彼女は刑事と弁護士を手玉にとったって事ですか?えぇ今回の事件で利用されていたのはどうやら安城刑事と室園弁護士だったようです。
しかしそう考えると1つ疑問が残ります。
え?今回篠宮ゆかりは兄の冤罪の復讐殺人をしました。
えぇ。
そこまでは証拠も自白もあります。
はい。
しかし殺人教唆の部分に関してはあくまでも我々の推測にすぎません。
え…?あ!そうなんです。
真犯人を教えたのは本当に安城刑事と室園弁護士だったのかそしてあの2人が本当に青木殺しをほのめかしたのか。
まさか…20年前冤罪に仕立て上げられた兄のように?篠宮ゆかりが安城刑事と室園弁護士を冤罪に仕立て上げたのだとしたら。
まさか…!彼女がそこまで…。
いずれにしても真実はいつか必ず白日のもとにさらされます。
2015/12/14(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season4[再][字]

「冤罪」

詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶(益戸育江)、
岸部一徳、中村育二、一色彩子、六角精児 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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