白い巨塔 #15【医療過誤で訴えられた財前教授…待ち受ける運命はいかに!?】 2015.12.14


≫俳優Mさんはもしかしてお父さん…。
(アナウンス)「財前教授の総回診です」
(財前)遺族の側に立つということは僕にとって不利な証言をするということじゃないか。
(里見)俺は最後まで君に医師であってほしいんだ。
(大河内)明らかに臨床医の自覚に欠けていたと言わねばならない。
(佃)結果だけを見て責められては治療なんてできたもんではありません。
(きぬ)あの子は人様の命を軽く見るような子では決してありません。
(東)医療裁判というのはねお前が考えてるほど甘いものじゃない。
(佐枝子)お父さまが一生を懸けてやってきた仕事をもっと深く知りたいの。
(三知代)証言するのはやめて。
亡くなった佐々木さんに対して責任があるんだ。
わたしや好彦には責任はないの?
(鵜飼)赤の他人の人生とたった一度しかない自分の人生とどっちが重いかよく考えたほうがいいよ。
(関口)あなたは肺への転移の疑いを持っていたのではないんですか?
(柳原)間違いがあったので修正しただけです。
(関口)これは非常に重要な質問です。
原告被告双方の今後の人生を左右しうるだけではなく医療の是非をも問うものですからはっきりと答えてください。
カルテの改ざんをしたのかしなかったのか。
一人の医師として人間としてはっきりと明確に答えなさい!ぼっ僕は…。
(関口)柳原さん。
わたしはあなたに聞いてるんです。
ぼっ僕は医師です。
そうです。
あなたは医師です。
だから?僕はカルテの改ざんはして…いません。
聞こえません!カルテの改ざんなどしていません!
(傍聴人のざわめき)
(又一)当たり前やがな。
そうですか。
あなたがそう言うのならしかたがありません。
しかし今後この裁判で真実が明らかになったときあなたは偽証罪に問われるかもしれませんがそれでもかまいませんか?
(国平)異議あり。
ただいまの原告代理人の発言は一種の脅迫であります。
(裁判長)原告代理人は…。
わたしの尋問はこれで十分です。
(裁判長)では証人は下がって結構です。
次は原告の佐々木よし江さんの本人尋問になります。
(美香)痛い!うっ…!
(美香の母)美香!頑張って!先生もうすぐ来ますからね。
(美香の父)美香!
(看護師)里見先生。
北浜総合病院からの搬送です。
腹痛と貧血で腹腔内出血の疑いです。
膝立ててもらえるかな?はいいいよ。
超音波用意して。
はい。
痛みはいつごろからですか?
(美香の父)昨日の夜からです。
さっき学校で急に倒れて。
(美香の母)何の病気でしょうか?このままどうにかなっちゃうんでしょうか?おい。
大丈夫です。
脈もしっかりしていますし痛み止めを打てば落ち着くと思います。
症状が安定したら詳しい検査をしましょう。
(美香の母)助けてくれますよね?先生。
(よし江)財前先生はまともに主人診てくれませんでした。
容体が悪化してからは一度も。
(国平)あなたは財前教授本人に診察を頼んだんですか?いえ。
担当の柳原先生にお願いしました。
財前教授はいつも大名行列みたいに助手の人たち引き連れてわたしたちが声かけられるようなそんな感じではありませんでした。
感じねえ。
それはあなたの勝手な思い込みではないんですか?思い込みなんかじゃありません。
実際手術の前の説明のときも…。
(財前)《ガンはたかだか筋層止まりです。
手術による切除がベストです。
ご理解いただけたら同意書にサインをお願いします》《せっかく早い時期に見つかって肺に影も…》
(よし江)「肺に影が」とおっしゃられたので「肺に何かあるんですか」って聞きましたが…。
《いえあの…》《いいえ。
全く問題ありません。
助かりたいのなら手術をするしかないということです》わたしもう財前先生が怖くて怖くて言うとおりにするしかなくて。
(国平)それはいつのことですか?えっあの手術の1週間前ですから12月の19日です。
(国平)年末の忙しい時期ですね。
お店はどうされていたんですか?
(よし江)弁当屋にとってはいちばん忙しい時期ですから主人に代わってわたしが切り盛りしてました。
大変だったでしょう?
(よし江)はい。
夜は1時か2時に寝て朝5時に起きて仕事の合間に病院行って体がいくつあっても足りないくらいでした。
ご主人は入院は初めてですか?はい。
健康で病院に行ったことがないのが自慢の人でしたから。
(国平)それはなおさら大変でしたねえ。
あなたにとっては初めての状況です。
しかも病名はガン。
なのによくあなたは冷静に告知を受け手術の説明を聞くことができましたねえ。
冷静なんかじゃありません。
ショックでした。
いやいや。
感心するくらい冷静ですよ。
説明を受けた日付やその状況を実に克明に覚えていらっしゃったじゃないですか。
普通の奥さんなら正気ではいられませんね。
わたしだって正気だったわけじゃありません。
夫がガンだって言われて正気でいられる人なんかいるわけないじゃないですか。
(国平)そうですか。
それなら財前教授を怖いと感じられたのもガンという病や死への恐怖が引き起こしたものではないんですか?異議あり。
ただいまの質問は論点がはっきりせずいたずらに原告を混乱させるだけです。
では先程の質問に戻ります。
柳原先生がご主人の肺に影があると言ったのは本当でしょうか?本当です。
レントゲンの画像を見て「肺に影が」って言葉に詰まられて。
正気ではなかったのによく覚えておられましたねえ。
(傍聴人のざわめき)
(又一)フフッ。
ところで今回の損害賠償ならびに慰謝料の請求額はいくらですか?訴状には「9,000万」とありますがこれはこの種の裁判では破格の請求額ですねえ。
わたしの調べたところによるとご主人が残された店の改築費の借り入れは約1,000万ですが間違いありませんか?はい。
(国平)あなたは現在45歳。
この先平均寿命まで生きるとすると総務省の統計では約4,800万円が必要ですから合計すれば5,800万円。
9,000万の賠償額だと随分お釣りがありますね。
わたしたちお金取るのが目的じゃありません。
主人の無念がどれぐらいかそれを訴えたくて…。
怖い怖い財前教授に思い知らせるために吹っかけたということですか?違います!わたしは…わたしはそこに座ってる財前っていう医者がちゃんと診察してくれたかどうかそれを裁いてほしいだけです!たったひと言でいい。
主人に悪かったって謝ってほしい!それだけです!以上です。
ちょっと待ってください!わたしたちお金のために裁判してると思われたらわたし黙ってられません!
(裁判長)原告は静粛に。
(よし江)あぁすいません。
(廷吏)お戻りください。
(裁判長)これで本日の審理は終わります。
次回は財前被告の本人尋問里見脩二さんの証人尋問が予定されていますがそれでよろしいですか?はい。
はい。
(裁判長)それでは閉廷します。
(テーマソング)〜
(タエコ)失礼いたします。
ハハハ。
あー来た来た。
ああタエコ。
そこ置いといて。
あとはこっちでやるしな。
いや〜国平先生さすがや。
お見事でしたわ。
(岩田)5回の裏で逆転。
4対2でリードちゅうとこでんな。
いやいや。
残すは最後の証人尋問と鑑定報告や。
ああもう7回はいってるやろ。
まあ6対2ぐらいちゃう?
(又一と岩田の笑い声)まあまあまあまあ国平先生。
まずはまずはいきまひょ。
そんな計算は無意味ですね。
はい?次回の尋問で里見が僕に不利な証言をしたら簡単に覆されてしまいかねないということですよ。
(又一)はぁ。
鵜飼先生。
里見助教授のほうはちゃんと止めてくれはりましたやろな?うん。
言うべきことは言っておいたよ。
大丈夫でっか?そない頼りないことで。
僕は学長選を控えてる身だからねあなたのように見境のないやり方はできんのだよ。
はあへえ。
そない言わはんのやったらいっそわたしが行ってきますわ。
うんなもん悠長に待ってられまへんちゅうねん。
やめてくださいお義父さん。
うん!
(財前)里見は偉くなりたいとも金が欲しいとも思わない人間です。
お義父さんのような方が会って何を話すのですか?
(又一)けどこのままやったら負けてまうかもしれんのやで。
えっ。
裁判に負けてもうたらあんた…。
僕がやります。
(鵜飼)しかし今更里見君が君の頼みを聞くとも思えんがね。
まともに頼んでは無理でしょうね。
(国平)あなたは被告ですから原告側に対して下手な動きをしてはかえって不利になりますよ。
しかし里見の証言が今回の裁判の鍵を握っている以上手段は選べません。
負けたら終わりなのですから。
(又一)なあ五郎君。
一体どないしようちゅうねん?これから考えますよ。
検査の結果を報告します。
はい。
お嬢さんの病気は後腹膜腫瘍です。
おなかの中に腫瘍が出来てその中で出血が起こったんです。
腫瘍!?ガンなんですか?あの子助かるんですか?治療の方法はあるんですか?年齢や画像から考えてガンではなく肉腫だと思われます。
手術できれいに取れれば根治も望めます。
本当ですか!?はい。
ただ非常に難しい手術になるので外科とよく相談する必要があります。
(美香の父)もし手術をしない場合はどうなるんですか?
(里見)また出血する可能性もありますし内科治療だけでの根治は難しいと思います。
先生。
手術をする方向でお願いします。
まだ15歳なんです。
助けてやってください。
分かりました。
外科と相談して最善の方法を検討します。
(よし江)すいませんでした。
感情的になってはいけないと思ってたんですけど頭が真っ白になってしまって。
いいえ。
あれでいいんです。
いやでも自分で足引っ張ってしまって。
当事者が興奮したり涙したりするのは当然のことです。
ご主人を亡くされた当事者として常に率直であってください。
冷静でいるのは弁護士である僕の仕事ですから。
あの次回本当に里見先生は証言してくださるんでしょうか?心配ですか?今日柳原先生が嘘つくの見ててお医者さんってのは結局病院守るものなのかなって。
里見先生がそうなら最初から証言に立つなどとはおっしゃらないでしょう。
そうですね。
里見先生だけがわたしたちにとって本当のお医者さまだったんですね。
(庸一)でも俺期待すんのやめるわ。
里見先生だってさ医者は医者だしさ。
庸一。
裏切られてまた傷つくの嫌だし。
傷つくのは嫌か。
何かおかしいんすか?あきれたんですよ。
君の身勝手さに。
君は里見先生が証言に立つということがどういうことなのか分かってるんですか?病院を敵に回して君のお父さんのために証言をすることが彼の人生をどれだけ傷つけることになるのか考えたことあるんですか?この証言によって里見先生は浪速大学を辞めなければならなくなるかもしれない。
それだけじゃな…。
とにかく相手を信用しなければ何も始まりません。
里見先生を信じようじゃありませんか。
あっすいません。
(好彦)ダンダンダンダン。
イェーイ!大逆転!お母さん?お母さんの番だよ。
あっ。
アッハハ。
ごめんごめん。
うーんと…。
うん?お父さんかな?待っててね。
(三知代)もしもし。
(典江)鵜飼でございます。
あっ…。
どうもごぶさたしております。
(典江)里見先生はもうお帰り?
(三知代)いいえ。
まだ大学のほうだと思いますが。
(典江)あなたもおさみしいわね。
いつもお一人で。
(三知代)いえ。
主人は研究に打ち込んでおりますので。
その研究ができなくなったら里見先生さぞ落胆なさるでしょうね。
(典江)あら本気になさらないで。
ほんの例え話ですから。
ホホホホホ。
ところであした私とご一緒にお食事なさらない?奥さまと?
(佃)術前カンファレンスの予定表です。
甲南火災の松下社長のが入ってないぞ。
それが松下さん洛北大学へ転院されまして。
いや「財前先生のことは信頼していますが裁判の被告に手術してもらうっていうことに会社のほうでも反対がある」ということで…。
「よろしくお伝えください」と。
あのオペができるヤツがほかにいると思ってるのか。
(里見)おい財前。
(里見)オペを頼みたい患者がいるんだ。
15歳の女性の患者なんだが後腹膜腫瘍で出血がある。
のんびりはしていられない。
これだ。
腫瘍壁の一部にローデンシティが見えるだろ?できうる限り早く切除しなければ破裂するおそれがある。
家族は術中の大量出血の危険性と腫瘍残存の可能性を承諾してるのか?ああ。
分かった。
やってくれるか?うん。
金井君にやらせるよ。
彼なら副腎腫瘍摘出の経験がある。
大血管処理の技量に多少の不安もあるが家族が承諾してるならいい。
すぐに手配させよう。
おい財前。
君が切ってくれるんじゃないのか?あいにく今は裁判のことで頭がいっぱいで難しいオペを引き受ける余裕がないんだ。
患者の…15歳の子の命が懸かってるんだぞ。
だから遠慮してるんだよ。
何しろこの裁判に負けたら僕は大学を辞めなければならなくなる。
そんな状態でメスを握ったらミスを起こさないとも限らん。
(ため息)まあもし君が証言に立つのをやめてくれるなら少しは精神状態も変わるがね。
財前。
君というヤツは…。
おい。
僕は証言に立つなと言ってるのではないよ。
患者のためにあえてメスは握らないと言ってるんだ。
(三知代)あっ。
(店員)いらっしゃいませ。
里見と申しますが鵜飼さんとお約束を。
(杏子)ごぶさたしております。
どうぞ。
里見助教授の奥さま。
お待ちしておりましたわ。
(にぎわい)
(典江)あらあら皆さま。
どうぞご遠慮なさらずにどんどん召し上がってくださいね。
浪速大学が大変な時期だからこそ私たち教授夫人もなお一層団結を強くして大学を守っていかなければなりません。
(杏子)さあ。
どうぞ奥さま。
(信子)財前さんよく気が付くわねえ。
(杏子)あぁいいえ。
動いておりませんと不安が込み上げてくるので…。
(ため息)せめてご心配をおかけしてる皆さまのためにと。
(喜久子)あなたも大変ねえ。
(信子)夫が訴えられるなんてわたしだったら参ってしまうわ。
よく気丈に耐えているわね。
いえ。
私は夫の潔白を信じております…。
(夫人たち)あら。
(典江)財前さん。
大丈夫?はい。
すみません。
患者さんを救うために必死でやってきた夫がかわいそうで。
だって訴えられるだけならまだしもお仲間の里見先生が夫の敵に回って証言するなんて。
里見先生のことについてはウチの主人も悩んでおりますの。
きっと皆さまも心配してくれておりますよ。
(一同)ええ!どうなさったの?里見さん。
今あなたのご主人のお話をしておりますのよ。
はい。
(典江)里見先生はご立派ねえ。
理想がおありになって。
でもそのご立派さのせいで皆さまが不安に思ってらっしゃるのよ。
何しろ大学の信用にかかわる問題ですからね。
(典江)あなたから里見先生にひと言言ってくださると助かるわ。
(竹内)里見先生。
(里見)どうだ?思ったより腫瘍が大きいな。
(看護師)失礼します。
(金井)もっと腫瘍を持ち上げて。
(安西)これ以上上がりません。
(金井)脱転しなきゃ見えないんだよ!
(安西)はい。
(金井)もっとだ。
(安西)はい。
(佃)出血し始めました!
(柳原)ガーゼ!
(金井)吸引しろ!ケリー!
(看護師)はい。
はい。
(竹内)まずいですねこれ。
財前先生呼ぶんですか?ああ。
術野外から指示だけでも出してもらったほうがいい。
(電話の呼び出し音)
(佃・看護師)はい。
(金井)出血点を見せろ。
(安西)はい。
(金井)もっとちゃんと吸引して!
(佃)サクション強く!
(看護師)はい!
(佃)ガーゼで圧迫しましょうか?
(金井)ガーゼ。
(看護師)はい。
(電話の呼び出し音)俺捜してきます。
(里見)おう。
竹内。
(安西・柳原)財前先生!
(財前)どうした?
(金井)出血が…。
(財前)副腎静脈が引き抜けたんじゃないのか?ケリー。
(財前)腫瘍が大きすぎて前からではアプローチできないな。
(財前)左の腎臓ごと後腹膜から剥離して背面から止血しよう。
(一同)はい!
(財前)リガシュアー。
(看護師)はい。
(財前)もっと開いて。
(金井)はい。
終わったよ。
腫瘍はすべて摘出した。
年齢も考えて脾臓は何とか取らずにおいたよ。
見させてもらったよ。
完ぺきだった。
いや…。
一度は執刀を断ったんだがやはりどんなことをしても助けなくてはいかんと思ってな。
(財前)分かったろ?里見君。
僕が大学を辞めることになったらオペによって助かる患者が確実に減るんだよ。
それでも君は証言台に立つつもりか?僕だけではない。
君だって証言台に立つことによって大学を追われる。
君が診ている患者はどうなるんだ?君が貫こうとしている正義こそ患者の命を無視してるんだよ。
君は誤解してる。
俺は君を辞めさせたくて証言台に立つわけではない。
佐々木さんがなぜ亡くなったのか真実を明らかにすることでこの先同じようなケースで患者が亡くなることがないように…。
アッハハハハ。
ちゃんちゃらおかしいね。
君は目の前の一つの命よりまだ会ってもいない未来の患者のほうが大切だというのか?本末転倒も甚だしい。
もっと足元見ろよ。
〜〜
(関口)それが終わったらさこれ裁判所の提出用に打ち直してくれる?はい。
どうかした?あっいえ。
いよいよですね。
原告代理人さん。
(国平)天気もちますかね?雨は夕方からだそうですよ。
里見証人は来ますかね?他意はありません。
足元を心配しただけです。
(廷吏)傍聴人を入廷させます。
よろしくお願いします。
はい。
(ケイ子)もしもし財前教授?ああ。
(ケイ子)フフフ。
やっと出てくれたわね。
(財前)今急いでるんだ。
知ってるわよ。
これから法廷で里見先生と対決するんでしょう。
わたしね今裁判所に着いたところ。
別れた男がおぼれるところを見て何がうれしいんだ。
「あなたは人様の命を軽く見る人じゃない」何?「立派なお医者さまになるんだ。
病気の人を助けるんだと夜遅くまで勉強していました」この間あなたのお母さんに会ったの。
おふくろに?とても心配されてたわ。
それだけ言っておかなくちゃと思って。
ケイ子。
うん?裁判に勝ったら会ってくれるか?さあ?そのときに考えさせてもらうわ。

(三知代)行くの?あなたが行くんだったらわたしも出ていきます。
三知代。
もう一緒には暮らせないわ。
好彦を連れて母のところに帰ります。
分かってはくれないのか?分かってるわ。
あなたは亡くなった患者さんのために真実を明らかにしたい。
そして医師としての責任を果たしたい。
たとえ大学を追われても。
そうよね?なら…。
(三知代)わたしはそんな立派な夫なんていらない!患者さんのことよりも好彦のことをわたしのことをいちばんに考えてくれる人と一緒にいたいの。
分かってないのはあなたじゃない。
あなたは何も知らない。
何も…何にも分かってないのよ。
(時報メロディー)三知代。
すまない。
遅くなりました。
今から法廷に向かうところです。
里見先生。
わたしお迎えに上がったのではありません。
(廷吏)起立願います。
里見先生来はりまへんな。
えっ。
(裁判長)ただいまより審理を始めます。
原告側証人および被告は前へ。
(裁判長)原告側証人はどうしました?申し訳ありません。
まだ到着しておりません。
(裁判長)そうですか。
では定刻を過ぎているので被告の本人尋問から始めます。
なお被告の尋問が終わっても原告側証人が現れない場合採用を取り消します。
よろしいですね?はい。
(裁判長)では被告は宣誓をしてください。
「良心に従って真実を述べることを誓います。
知っていることを隠したりないことを申し上げたりなど決して致しません。
財前五郎」
(佐枝子)わたしもう一度だけ里見先生にお考えいただきたいと思って参りました。
(里見)わたしはよく考えた上で証人になることを承諾しました。
佐々木さんは亡くなったご主人のために闘っておられます。
でも里見先生にも…。
あなたは関口さんの手伝いをされてるんでしょう?わたしを止めるようなこと言っていいんですか?お止めしているのではありません。
里見先生に後悔していただきたくないのです。
わたしはいつも自分を信じて生きておられる里見先生を心から尊敬しております。
里見先生が後悔なさらないのであればどんな答えでもそれは正しい答えだと思います。
ですからもう一度だけお考えいただきたいのです。
(関口)財前さん。
あなたは先程「ガンが肺に転移している場合を考え十分に検討した上で手術を行った」とおっしゃいましたがその可能性はどれほどのものだったのでしょうか?可能性ですから一概に何パーセントという言い方はできませんが術前のCTでは転移の可能性はないと判断するのに十分な画像を示していました。
(関口)完全に否定できるものだったのですか?命を扱うこの仕事に完全という概念はありません。
(関口)では1パーセントでも転移を疑える状態であるなら追加検査を行うべきだったのではありませんか?それは言葉の裏返しにすぎません。
あなたがどれほど医学のことをご存じかは分かりませんが実際の医療で100パーセントの確定診断がついてから治療を開始することなどありえません。
しかも佐々木さんの場合は食道ガンで一刻を争う状況でした。
しかし実際には肺への転移はあったんですよね?それは結果論です。
あったのかなかったのか聞いているだけです。
ええありました。
ではあなたに追加検査の必要性を指摘した人はいましたか?おりません。
一人もですか?はい。
佐々木庸平さんの画像を見たすべての医師がこの肺の影は炎症性変化であると判断しました。
(ドアの開く音)
(傍聴人のざわめき)里見先生!
(ざわめき)
(裁判長)静粛に。
(ざわめき)もう一度同じ質問をさせてください。
あなたに追加検査の必要性を指摘した人は一人もいなかったんですか?はい。
おりません。
外科医として付け加えさせてもらえるならばこの場の議論は結局後付けの理論なのです。
現実の医療現場ではそのときそのときの与えられた条件の中で最善の方法は何かということを常に頭に置き治療を行っています。
もちろん恐れはあります。
しかし怖がってばかりいては進行を続けるガンという病に立ち向かうことはできません。
わたしたち外科医は生と死のはざまでメスを握り病の根絶に懸けてるということをご理解いただきたいと思います。
そして改めて申し上げます。
追加検査の必要性を指摘した者はおりません。
これ以上被告に尋問することはありません。
(裁判長)それでは被告は席に戻ってください。
続いて原告側証人の尋問を行いますが証人は出頭しましたか?はい。
(裁判長)こちらへ。
〜〜
(裁判長)原告代理人は尋問をどうぞ。
(関口)ではまず最初にお聞きします。
あなたは今日なぜ遅刻をなさったのですか?
(里見)申し訳ありません。
(里見)出廷するか否かをためらっておりました。
なぜためらわれたのでしょう?
(関口)正直に話していただいてかまいませんよ。
大学病院の医師が患者側の証人として証言することは公的にも私的にもあまりに影響が大きいからです。
しかしあなたはここに来られた。
なぜですか?はい。
法廷は医者を裁く場ではなく医学の進歩に資する場と考えたからです。
もう少し詳しく。
先程財前先生が言われたとおり医師が恐れてばかりいては医学の進歩はありえません。
しかし万一治療が不幸な結果に終わったときはそのことを医者自身が謙虚に受け止め原因を突き止めることでしか医学の進歩はありえません。
その場がこの法廷であると思います。
わたしは真実を述べたいと思います。
『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜2015/12/14(月) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #15[再][字]【医療過誤で訴えられた財前教授…待ち受ける運命はいかに!?】

「判決」

詳細情報
番組内容
 よし江(かたせ梨乃)は国平弁護士(及川光博)の冷酷で挑発的な質問に激昂し、第2回証人尋問を終えた。財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)の尋問を控えたある日、緊急手術を要す患者が運び込まれた。里見は財前に執刀を頼むが、財前はそれを拒否する。一方、三知代(水野真紀)は将来を悲観し、里見に別れを切り出した。
出演者
唐沢寿明 
江口洋介 
黒木瞳 
矢田亜希子 
水野真紀 
沢村一樹 
片岡孝太郎 
伊武雅刀 
若村麻由美 
西田尚美 
野川由美子 
池内淳子 
かたせ梨乃 
伊藤英明 
石坂浩二 
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子

【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行

【プロデューサー】
高橋萬彦 
川上一夫

【演出】
村上正典

【音楽】
加古隆

【主題歌】
「アメイジング・グレイス」ヘイリー

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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