(美輪子)あなたの名前まだ聞いてなかったわ。
(多摩留)あっ。
(せきばらい)
(多摩留)自分は吉田多摩留と申します。
(美輪子)メジロだってガールフレンドと会いたいのよ。
(多摩留)えっ?ちょっと。
待って。
えっ!?ちょっと待って!ちょっと待って。
待って待って!あっ!?あっ!?
(美輪子)わっ!
(多摩留)あーあ。
(美輪子)ガールフレンドの元へまっしぐらね。
(多摩留)お嬢さま。
お待ち申しておりました。
(多摩留)ドキドキしてんだよ。
すごくドキドキしてんだ。
(ぼたん)ぎりぎりのところでは身を守ったんでしょ?最後の一線は守り通したんでしょ?そんなことできるわけないわ。
(ぼたん)えっ!?私だってしたかったんだもの。
抱いてもらいたかったんだもの。
(世奈子)何よ?あなた。
(ぼたん)それどころじゃないのよ私は。
恐ろしいのよ。
もうこんなこと恐ろしくて…。
(世奈子)いったい何があったのよ?ママに話して。
一人で胸に抱え込んでちゃ駄目よ。
相談して。
(ぼたん)美輪ちゃんのことが…。
(世奈子)美輪ちゃんが?あの子がどうかしたの?
(眞澄)ママいます?・
(世奈子)お待ちしていましたわ。
どうぞこちらの方に。
(眞澄)小日向家の名誉に関わる事件だなんてどんなことか知りませんけどね。
崑一が女遊びでもしてるってことなんでしょうかしら?
(世奈子)あなた。
シュガーは1つ?2つ?
(眞澄)いりません。
(世奈子)じゃあどうぞ。
(眞澄)崑一の女遊びのことだったらママが一番よくご存じですものね。
こちらのお店にもよく女を連れて出入りしてるらしいから。
(世奈子)そんなくだらないことのためにあなたに来てもらったんじゃないわ。
(眞澄)くだらないことですって?私にとっちゃくだらないどころの話じゃないの。
(眞澄)ママがご自分で崑一に女をあてがってらっしゃるんだとしたらそれこそ深刻な問題ですからね。
以前は崑一はどんなに仕事が忙しくても土曜日の夜には必ず家族と一緒に夕食を取ることにしてたのに最近はその習慣さえもめためたに壊されて。
子供たちも「パパどうしたのかしら?」って気持ちが不安定になってるんです。
(世奈子)美輪ちゃんはどうなの?美輪子だってもちろん。
(世奈子)美輪ちゃんが不安定になってるとしたらそれは別の原因。
(世奈子)恋の悩みじゃないかしら?恋の悩み?つまり男がいるからなのよ。
男?男ですって?ふざけたことを言って話をすり替えないでください。
私はね確証もなくてこんなこと言ってるんじゃないのよ。
あなたの知らないところで私にはちゃんと小日向家の秘密が入ってくるの。
美輪ちゃんの相手の男はね多摩丘陵の外人墓地の墓守です。
何ですって?汚らわしい。
女子高校生がセックスにふけってるなんて。
許しませんよ。
いくら何でも。
分かってるんです。
ええ。
分かってますよ。
そういうでたらめを言い触らすのは平野でしょう?あの家政婦がママに有ること無いことしゃべり散らして。
有ること無いことじゃないわ。
みんなあることばかり。
厳然たる事実なの。
あなたも少しは自分の子供の行状に目配りしたらどうなの?美輪子に男がいるなんてそんなバカなことあるわけないんです。
ピアノレッスンだってぼたんがいつも送り迎えをしているんだから。
実はねそのぼたんなの。
ぼたんが全てを話してくれたの。
ぼたん?ぼたんが何を?
(世奈子)だから美輪ちゃんの男関係よ。
あなたが知ったらどんなにショックを受けるかと思うととても怖くて口に出せない。
ましてパパに話すわけにもいかないし。
かわいそうに。
小日向家の醜悪な秘密を胸に抱えたままぼたんは死ぬほどの苦しみにのたうち回ってたんじゃないの。
そしてついに耐えかねてこの私に。
ぼたん。
ぼたんが?ホントは私もこんなことまで言いたくなかったのよ。
ぼたんに固く口止めされてたんですからね。
決してお母さんには私が話したってことは言わないでくれって。
その優しさに私ほろっとしたわ。
ほろっとしたけどいくら事実を話してもあなたが信じないから言うしかないじゃないの。
相手の男とラブホテルに行ったことまで18歳の妹にのろけられて。
ぼたんがどんなに悩んでいたことか。
それさえも知らないでひどい母親ねあなたって。
自分の娘のことじゃないの。
そんな重荷をぼたんだけに背負わせて。
よくも母親面していられるものね。
美輪ちゃんの将来のことも考えてきちんと自分で始末をつけなさいよ。
もし妊娠でもしてたらどうするつもりなの?妊娠?ええ。
妊娠の可能性だってないわけじゃないでしょう?まして18歳の高校生だし避妊のしかただって分かってないんじゃない?失礼します。
・
(ドアの開閉音)
(稲垣)《うーん。
これはすごい》
(稲垣)《赤ちゃんが動き回ってる》《あなたのおなかの羊水の中で活発に動いてる》《分かるよね?あなたも胎動を感じてるでしょ?》
(眞澄)《ええ》
(萌子)《高校生のくせに子供なんかつくって》《あんたの人生設計なんかめちゃくちゃじゃないの》
(平野)おかえりなさいませ。
ぼたんは?
(平野)たった今お帰りになられましたけど。
そう。
お母さん?ぼたん。
あなたって人はどうしてこういう水くさいまねするの?何で私に直接打ち明けてくれないのよ?あのう…。
何もわざわざニコタマのママなんかに美輪子のこと言い付けなくたって。
私にじかに話してくれればいいじゃないの。
母親は私なんだから。
すみません。
ホントなの?美輪子に男がいるってホントなの?私が悪いんです。
私が美輪ちゃんを止められなくて。
こんなことになるまでにどうにかしなくてはと思って必死にやめてやめてって頼んだんだけど…。
美輪ちゃんは…。
美輪ちゃんはもうすっかり夢中で。
そう。
そうなの?相手は外人墓地の男だって聞いたけど。
ええ。
あそこの管理人です。
あんな男と?信じられない。
お母さん。
2人は愛し合ってるんです。
えっ?とても愛し合ってるんです。
美輪ちゃんも。
冗談じゃないわ。
17や18で愛し合ってるも何もないもんだわ。
まさか妊娠はしてないんでしょうね?妊娠?生理はあるの?それは…。
そこまでは私も。
あら。
お母さん。
帰ってたの?どうしたのよ?2人とも。
あなたって人はそういう虫も殺さないような顔をしてよくも!何よ?盛りのついた猫みたいに。
よくもお母さんの顔に泥を塗ってくれたわね!あっ!?ぼたん。
あなたしゃべったのね?美輪ちゃん。
あれほど約束したのに。
絶対しゃべらないでってあれほど頼んだのに。
ぼたん。
信用して何もかも打ち明けたのに。
よくも裏切ったわね!よくも!来なさい!何よ!いいから一緒に来るのよ!ほら。
まったくあなたって子は。
もう。
やめてよ。
何なのよ?どうしてこんなところに?いいから来るのよ。
(世奈子)眞澄さんったら真っ青になって一言もなく帰っちゃったわ。
今ごろあなたの家じゃ大騒ぎになってると思うわ。
(崑一)ハッ。
まさかね。
子供とばかり思ってたら何てことだ。
あきれるね。
あの年ごろでいっぱしにセックスの味を覚えちゃったら大変よ。
あっちの方はもう女なんだから。
・
(ドアの開く音)
(レナ)ハーイ。
パパ。
お待たせしちゃって。
(崑一)ああ…。
今夜はまずいんだよ。
(レナ)えっ?どしたの?
(崑一)そんな気分じゃないんだよ。
悪いけど帰ってくれないか?何よ。
人を呼び出しといて帰れ?そんなのあり?
(世奈子)帰りなさい。
文句も言わずにあなたは帰ればいいの。
(レナ)何だっていうのよ?バカにしてるわね。
ふん。
せっかく美容室へ行ったのに損しちゃった。
それでどうするつもり?崑ちゃん。
家庭の一大事。
どう始末をつけるつもり?たまらんね。
家長としてしゃっきり片を付けなきゃいけないわね。
し…しかしこんなときの父親の立場ってこれ微妙だな。
あなたも事実を直視したくないの?最愛の娘が男と盛り合ってるのを認めたくないの?やめなさい。
まあ気持ちは分かるけど。
何か食べてく?崑ちゃん。
(崑一)たまらんね。
(平野)おかえりなさいませ。
お夕食の準備ができてます。
当分ピアノのレッスンは中止ね。
先生にはお母さんの方からお断りしておきます。
学校からどこにも寄り道しないで帰ってくるのよ。
分かった?4時までには必ず家に帰ってきなさい。
4時?4時なんてコンビニで買い物することもできないじゃない。
コンビニなんかに行かなくたっていいわ。
あなたにはお小遣いをあげるつもりはないから。
えっ?そんな。
ぼたんもいいわね?これからはきちんと美輪子を監視してちょうだい。
もし変なことがあったらすぐにお母さんに知らせること。
決してあちらのママなんかには言わないで。
いい?はい。
あらためて時間割を作るから美輪子にはそのとおりに動いてもらいます。
相手と連絡を取り合うのは絶対に禁止。
美輪子。
あなたの人生を台無しにしたくないから言ってるのよ?そういうふしだらなことを続けてると地獄のどん底に落ちるしかなくなるの。
ろくな結婚もできなくなって二度とまともな世界に戻ってこれなくなるわ。
あそこの娘は高校生のくせにって評判が立ったらどうするの?ひんしゅくされて軽蔑されてもう誰からも相手にされなくなるのよ?いいわね?美輪子。
心を入れ替えてちょうだい。
もうこれ以上お母さんを悩ませないでちょうだい。
分かったわね?美輪子。
分かったわね?ホントにもう。
こんなにひどいことになるなんて。
お母さん信じられない。
・
(ドアの開く音)・
(崑一)ただいま。
ハハハ。
あら。
あなた。
早かったんですのね。
(崑一)ああ。
あのう。
ちょっと今美輪子にピアノのレッスンはやめるよう言ってたんです。
ほう?成績がひどく下がってしまったんですわ。
ピアノばっかりうまくなっても肝心の学業が振るわなければどうしようもありませんから。
まあそりゃそうだ。
(平野)お夕食どうなさいますんですか?すっかり支度はできてるんですけど。
私はいいわ。
いらないわ。
私も。
あなたお食事は?うん。
軽く食べてはきたんだがね。
うん。
そう。
じゃあ私もいいわ。
サラダだけ後で頂くから取っておいてちょうだい。
(平野)承知しました。
ピアノレッスンはまあ勉強が落ち着いたらまた始めればいいだろう。
ハハハ。
本当に遊んでばかりで。
もう少しちゃんと勉強してくれなくちゃ困るんです。
ママはなかなか厳しいからね。
ああ。
おなかがすいてきた。
ぐうぐういってる。
ぼたんが食べないって言うしこういうときに食欲もりもりじゃますますあきれられちゃうし。
お母さん。
パパにはこのことは言わないつもりじゃないかしら?パパには?自分の胸にしまっておくつもりなのよ。
もしパパが知ったらこの程度じゃ済まないわ。
恐ろしいことになってたんじゃない?美輪ちゃん。
よかったと思わなければ。
そうでしょう?あなただってパパにまで軽蔑されたくないでしょう?ぼたん。
あなたってバカね。
鈍感ね。
私が?パパはちゃんと知ってるわよ。
知ってる?私にはぴんときたの。
私を見るパパの目つき気付かなかったの?とてもいやらしくて変だった。
「この娘はもう男を知りやがって」みたいな目つきだったわ。
まあ。
パパは知ってる。
知っていて知らないふりをしてるだけだわ。
(崑一)眞澄。
何です?美輪子から携帯も取り上げた方がいいんじゃないのか?あなた。
驚いてるよ。
私も。
そう。
お聞きになったのね。
あちらから。
子供たちには私は知らないということにしといてもいい。
父親までが一緒になって怒鳴りつけちゃもっとこじれるだろうし。
難しい問題だ。
慎重にやらなきゃいけない。
産婦人科に連れていきましたが妊娠はしていませんでした。
悪い病気にかかっていたら大変だと思って血液検査はしました。
そう。
どうしてこんなことになってしまったのか私にも分からないんです。
私の教育が悪いと思ってらっしゃるのかもしれないけど。
そんなことまで言ってやしないよ。
でも不思議でならないんだ。
あの墓地の管理人をどうして美輪子が好きになるのか?いくら考えても分からない。
いつかほら。
ご先祖さまのお墓参りに行ったときにあそこの管理人が世話を焼いてくれたでしょう?どうもあのとき顔見知りになったんじゃないかしら?それにしたってどうしてそんな男にほれなきゃいけないんだ?美輪子の年ごろで年上の大学生とでも相思相愛になるっていうならまだ話は分かる。
しかし生まれ育った環境も天と地ほど違うだろうになぜあんなやつと?私だってよりにもよってと思ってますよ。
考えるだけでぞっとするわ。
ただ私が見たところ美輪子は少しも汚れてはいないよ。
花弁を散らした薔薇のようには見えないよ。
まだつぼみだとおっしゃりたいの?美輪子の顔を見るのが恐ろしかったんだ。
男を知った娘がどんな様子になってしまったかと。
でも不思議なことに私の目には依然として清純に見える。
朝露を含んで花開いた美しい薔薇に見える。
それだけが救いだ。
5分遅れたわよ。
5分。
「ただ今帰りました」って言うのよちゃんと。
ただ今帰りました。
6時まで自習よ。
・
(ドアの開く音)おかえりなさい。
もうやってらんない!4時に帰って6時まで自習?それから入浴?そして夕食?小学生じゃあるまいし!多摩留。
美輪ちゃん!?もしもし?ちょっと。
やめなさい。
私よ。
(多摩留)どうしたんだよ?昨日もかけたのに全然通じねえじゃんか。
悪いけどそっちからかけないでほしいの。
今ちょっとヤバいのよ。
(多摩留)何かあったのか?今度会ったとき詳しく話すけど用事があるときは私の方から電話するからね。
多摩留。
そんなのさみしいよ。
美輪ちゃん。
まるで皆既月食みたいじゃないか。
世の中真っ暗になっちゃうよ!相変わらずオーバーね。
じゃあ多摩留。
おとなしく私の電話を待っててね。
バイバイ。
美輪ちゃん。
どうして約束が守れないの?お母さんから言われたことをそんなにやすやすと無視していいと思ってるの?密告したいなら構わないわ。
どうぞ言い付けなさいよ。
あなたをいくらかばってあげたくても平気でそんなことをするんじゃ…。
かばってくれなくて結構よ。
どうせぼたんはお母さんの回し者。
スパイなんだし。
それが分かってるんならどうして目の前でそういう電話をするのよ?私に対する礼儀ってものがあるはずでしょう?まあ怖い。
これじゃ侮辱されたも同じよ!ぼたん。
2015/12/14(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #11[字][デ]【姉は母のまわし者!?】
美輪子(逢沢りな)に親密な仲の恋人の存在を知る眞澄(伊藤かずえ)。自身の過去のトラウマが脳裏をよぎり、ぼたん(黛英里佳)に、厳しく美輪子を監視するよう命じるが…
詳細情報
番組内容
眞澄(伊藤かずえ)は世奈子(田中美奈子)から、美輪子(逢沢りな)が恋人をつくり、遊びほうけていると知らされる。さらに高校生の分際で、彼とすでに親密な仲だとまで告げられ顔面蒼白に。世奈子は優越感に浸った表情で、すべてぼたん(黛英里佳)が教えてくれた、とも。眞澄は打ちのめされながら、慌てて家に戻るのだった。
「なぜ私に話してくれなかったの!」。
番組内容2
ぼたんを責め、真相を確かめる眞澄の脳裏にあったのは、美輪子と変わらぬ年頃で妊娠し、出産までした自身の過去のことだった。娘に自分と同じ轍を踏ませるわけにはいかない。眞澄は帰宅した美輪子を般若のような表情で詰問し、妊娠していないか確かめるため嫌がる娘を産婦人科にまで連れて行く。
ことの成り行きをぼう然と見つめるぼたんに眞澄は、これからは厳しく美輪子を監視するよう命じる。
出演者
小日向ぼたん:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
公式サイトやSNSなど、充実のウェブコンテンツは「昼ドラ」で検索!!
【公式サイトURL】
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【公式ツイッター】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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