生体肝移植を受けた患者が相次ぎ死亡した神戸市中央区の民間病院「神戸国際フロンティアメディカルセンター(KIFMEC)」は27日、事実上診療を停止することを発表した。医薬品会社など取引先に対し、支払いを猶予するよう求める文書を送ったことも判明。支援者を募って再開を目指すとするが、生体肝移植の中止を含めて体制を見直すという。
KIFMECによると、相次ぐ患者の死亡により、外来・入院患者数が開院当初の予想よりも大幅に下回り、事業の維持が難しくなった。代理人弁護士などによると、外来診療を止め、入院患者は他施設に転院。スタッフの多くを解雇し、再開時期は未定という。
関係者によると、KIFMECの田中紘一理事長は「私の思いが空回りした部分があり、社会から理解を得られるには至らなかった」と釈明。取引先を対象に12月1日、神戸市内で説明会を開くという。
神戸市の担当者は「早期に支援者を見つけて再建を図ることを願っている。生体肝移植の維持については市として言える立場ではない」と話した。
一方、地元の医師会幹部は「一般の消化器疾患を診療することが大事。生体肝移植は一切やめるべきだ」と指摘する。
KIFMECでは昨年12月~今年4月、生体肝移植を受けた患者8人中4人が死亡。日本肝移植研究会などが移植中止を求めたが6月に再開し、翌日に患者が死亡した。神戸市は同月、立ち入り検査を実施し、10月に移植は再開された。(金井恒幸、武藤邦生)
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