さびる事なく永遠の輝きを放ち続ける黄金。
その輝きははるかいにしえから今日に至るまで人々を魅了してきました。
古代地中海地域の文明が生み出した金製品と金にまつわる伝説をひもとく展覧会です。
1972年世紀の発見が人々を驚かせます。
ブルガリアで古代の墓地が発見され大量の金製品が出てきたのです。
調査の結果今から6,000年以上前の世界最古の金製品である事が判明。
それは地中海地域が当時黄金文明の中心地だった事を示すものでした。
ブルガリアでは後の時代の豪華な金製品も出土しています。
全長およそ20センチの杯。
古代ギリシャ神話に伝わる黄金の角を持つ鹿の伝説が浮き彫りされています。
こちらはおよそ1.7キロもの金が使われた壺。
既に優れた金細工の技術があったのです。
更に精巧さを極めた金細工もあります。
バチカンが所蔵する門外不出とされてきた至宝。
紀元前7世紀の金の腕輪です。
髪の毛の太さほどの小さな金の粒で精緻な細工が施されています。
美しい黄金は自ら人の心と手を動かしてより美しい姿に生まれ変わっていくような気がします。
そんな黄金の魔力によって人間はいつの間にか技術から芸術の世界へ足を踏み入れたのかもしれません。
金への憧れは物語を生みます。
ギリシャの陶器に描かれているのは空飛ぶ金色の羊の神話。
金にまつわる神話は後世の画家たちのイマジネーションをかきたてました。
象徴的な作風で知られる19世紀フランスの画家モローの作品。
金の羊の毛皮を手に入れた英雄イアソンと王女の姿を幻想的に描き出した傑作です。
オーストリアの画家クリムトの作品。
彫金師を父に持つクリムトは金を巧みに取り入れ神秘的な世界を生み出しました。
黄金の輝きは時を経ても色あせる事はありません。
穴から差し込む光が照らすのは…不思議な生き物。
目を凝らすと草木や動物たちがひしめき合っています。
生き物たちの声が聞こえてきそうです。
現代美術作家淺井裕介の展覧会が開かれています。
淺井の描き方はとてもユニークです。
訪れた土地の土を集めて絵を描くのです。
太古からあらゆる命を育んできた土。
その力を絵に込めたいのだと言います。
絵の中を駆け回るのは鼠たち。
鼠のあふれる生命力がさまざまな土でパワフルに描き出されています。
この作品の制作過程からもう一つの絵が生まれました。
絵を部分的に覆うテープで作った作品です。
壁や床にも自由に描く事ができるテープ。
植物がつるを伸ばしていくような伸びやかな表現です。
今回初めての試みに挑戦しました。
テープを立体的に張り巡らせその上にさまざまな土で絵を描いたのです。
淺井の絵に主役はいません。
大きな動物から小さな生き物まで全ての命が等しく輝く世界を描きたいと言います。
傍らに土を焼いて作った小さな精霊のような生き物を寄り添わせました。
(淺井)こう「わ〜」って大きい声出したらピュッていなくなっちゃうようななんかそういう小さな存在。
でもまああの…例えばきれいな森の中とかきれいな水の中にしか住めない生き物がいるみたいにでもこれがここにいるっていう事がすごくあの大事な事で。
完成した作品。
ここは土の中。
大きな木の下にのびる根のイメージです。
生きとし生けるものたちが一つとなって生命の賛歌を奏でます。
生涯師を持たず仲間もつくらずただ一人で描き続けた孤高の画家島野十郎。
その画業の全貌を紹介します。
代表作…実の色づき方の違いや葉の枯れ具合まで克明に表す描写力。
写実を超えた一つの宇宙がそこにあります。
裁縫や刺しゅうなど針と糸で生み出される造形の美に注目しました。
青森に伝わる「こぎん」と呼ばれる刺し子。
寒さをしのぐため分厚く縫う工夫が生み出した模様です。
こちらは農村歌舞伎で使われた衣装。
立体的で迫力のある刺しゅうが舞台を華やかに彩りました。
江戸時代から現代まで「縫い」の魅力を伝えるこの展覧会。
ノルウェー出身のアーティストアン・リスレゴーの展覧会です。
キツネのような動物が語るのは彼が訪れたはるか未来の世界の話。
突然の崩壊。
見る人に世界の在り方を問いかけます。
およそ50年にわたり精力的に制作を続ける…その画業を振り返る展覧会です。
絹谷の名を広く知らしめた長野オリンピックのポスターの原画。
明るい色調がその活気を生き生きと伝えます。
近年挑むのは古い仏画や彫刻を現代によみがえらせた作品。
戦争天災…変転激しい現代にあって絹谷はいにしえの造形が持つ普遍的な力を再認識したと言います。
(絹谷)友達が死んだりいろんな周りの人が亡くなっていったりしますとむしろその…この限られた時間の中でえ〜今度は逆にイメージは形をつくるんだって…。
今年描き上げた最新作。
俵屋宗達の風神・雷神像をモチーフに自然と共にある日本の未来のイメージを描いた大作です。
絵から飛び出さんばかりの風神・雷神の姿に絹谷の思いがほとばしります。
2015/12/13(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝”展 ほか[字]
「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」(国立西洋美術館 10月16日〜2016年1月11日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」(国立西洋美術館 10月16日〜2016年1月11日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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