ました。
2015年。
男が突入したのはPM2.5の充満する世界だった。
暗黒に包まれた街。
赤、赤。
ついに、大気汚染に関する最も深刻な警報が出された北京。
えっと、赤色警報ってそもそも何?中国の大気汚染、何で止められないの?こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今VTRあれでしたよね。
スター…あの映画ですよね。
全部言っちゃいけないんですよね。
まもなく公開ですね。
きょうはPM2.5をやります。
まずはこちらです。
きょうは中国のPM2.5をなぜ止められないのか、徹底的に掘り下げてまいります。
今夜のゲストはこの方です。
違う、違う。
お友達ですか。
これはオランウータン。
武井壮さんです。
よろしくお願いします。
きょうはPM2.5ですよ。
確かに問題になっていますけれども。
俺はPM2.5いけますよ。
これは百獣の王でもいけません。
まずは現状を見てください。
ここは、室内…ではなく屋外の展望台です。
この冬最悪の大気汚染に見舞われている北京。
写真で見るとそのひどさが分かります。
こちらは車載カメラの映像です。
このときの視界は僅か10メートルほど。
突然、目の前に現れたのは玉突き事故の現場でした。
この事故で4人が死亡。
現地のメディアは大気汚染で視界が悪かったことが原因だと伝えています。
到着した警察官も。
汚染の様子は宇宙からもはっきりと。
先月30日の中国上空です。
四角で囲われた白い部分は雲。
その上の灰色の部分が大気汚染物質です。
北京市は7日夜、初めて赤色警報を出しました。
最も深刻なレベルの警報です。
市内を走る車はナンバープレートの末尾の数字で制限され、この日は偶数の車しか通行できなくなりました。
学校などは休校になりましたが。
市内の病院にはせきが止まらないなどと訴える子どもたちが次々と訪れていました。
こちらの家庭用の掃除機を使って今の北京の空気がどれほど汚れているのか調べてみたいと思います。
使うのがこちら、一般の私たちがよく使う白いマスクです。
このマスクを掃除機の先に取り付けます。
こちら、ご覧ください。
真っ黒い円ができています。
街行く人が必ずチェックするのが。
画面にはPM2.5の濃度とその日の大気汚染のレベルが表示されています。
きのうの北京は軽度の汚染でした。
想像以上です。
掃除機、特にびっくりしちゃいました。
きょうの北京はどうなっているのかこの人に聞いてみましょう。
中国総局の戸川さんです。
それはさっき使っていた掃除機ですか。
はい、きょうもこちらの掃除機を使いまして先ほど10分間吸い込んでみました。
こちらをご覧ください。
やはり真っ黒に変わりました。
きょうも大気汚染は深刻な状況です。
日常的にこのような悪い空気を吸っていると思いますと大変気分が悪くなります。
実際北京ではせきが止まらないなど体調を崩す人が多くいるんです。
最近は旅行代理店もスモッグから離れようと題した海外ツアーを売り出して、人気を集めているといいます。
北京で暮らす日本人の多くの家庭には空気清浄機が置いてあります。
室内でもほこりっぽいにおいがすることから最近では、外気が入らないよう窓枠をテープで塞ぐ人も珍しくありません。
大気汚染がひどいと暮らすのも大変だと思いますが中国の方たちはどういうふうに思っているんですか。
大気汚染、健康リスクに対する意識は劇的に変わってきていると思います。
私が4年前に北京にいたときはマスクをしているだけで周囲の中国人から、あなたは神経質すぎると、とがめられました。
当時マスクをしているのはほとんど外国人だけという状態だったんです。
しかし先日、警報が出されていた日は、街頭を歩く市民の2、3割がマスクを着けていました。
また市民受け止め方は格差もあると思います。
所得が低い人は、空気清浄機も買えませんし、将来のことよりも目先の暮らしで精いっぱいです。
それに対して中間層や所得の高い人たちはこの問題に一層敏感になっています。
若い世代も日増しにこの問題に厳しい視線を注ぐようになっています。
大気汚染の改善は待ったなしの課題になっています。
中国総局から戸川記者でした。
国家レベルの大問題になってきていますね。
中国イコール大気汚染というイメージもありましたが、こんなにひどいとは思っていませんでした。
なんとかならないのかというところですが、きょうも先生を呼んでいます。
きょうの先生は国際部の奥谷先生です。
こんばんは。
最近PM2.5のニュース、多いですね。
この問題が大きくなり始めのころ4年前、私は、上海に駐在していました。
ニュースリポートで初めて私が報道させていただきました。
こちらをご覧ください。
中国はPM2.5の濃度によってどれぐらいの汚染のレベルかというのを6段階に分けています。
いちばん上、優、下の黄色、この辺もわりといいです。
どんどん悪くなっていきまして厳重汚染になりますと、健康な人でも何らかの障害が出てくるというレベルで百獣の王でも出ます。
僕、来週から中国に行くんですよ。
私が取材した、上海の医学大学の先生、上海で、肺がんの発生率が高くなっていると話していました。
中国では各都市ごとに、ネット上に公開して、しています。
私はちなみに空を見ただけで何マイクログラムか分かります。
毎日気になってスマホで、値を見ているんですが毎日それと空を比べてみると分かるようになるんです。
200を超えますと気道で、イガイガ感じます。
この黒板の絵はどれぐらいですか。
これだと250はいっているかもしれません。
今回赤色警報というものを出しました。
中国の人たちは、スマホを見てきょうのPM2.5はどれくらいやばいか調べてんだ。
中国の基準では空中の1辺1メートルの箱の中にPM2.5が35マイクログラムより軽いと、優の字だ。
外で運動したってハオ!ってことだな。
ちょっと増えて。
35から75でも、「良」の字だ。
体が敏感な人には影響あるっていうけどまあまあハオ!ってことらしい。
でも…。
日本では70を超えると外へ出ないでって勧められるんだ。
ちょ、待てよ?70だと日本ではだめなのに中国ではいいのか?中国人のほうがPM2.5につえーってこたないよな。
アメリカなんかもっと厳しいぞ。
55を超えたら、長時間の外出はだめだって。
何で国によって基準が変わるんだ?教えてくれ、奥谷デスク。
いろんな基準があるんですね。
変に思うかも分かりませんが、ここから安全、危険というのはそもそも決めにくいんです。
こちらはWHO世界保健機関が作ったガイドラインで、各国が自国の基準作りの参考にしています。
ニュースでよく出てくるWHOの環境基準はここです。
これとは別に、とりあえずの目標として3段階あります。
発展途上国は、とりあえず緩い基準でもいいということです。
日本とアメリカがどこに環境基準を置いているか見てみますと、日本とアメリカはここです。
一方、中国はいちばん低い目標のところに合わせている形です。
国によって基準が違うというのは変な感じがしますね。
中国ではいいとか、きれいとされる空気を日本に持ってきたら汚いとみられるということはおかしいですよね。
ですが発展途上国は工業化で経済発展をさせることを重視しています。
急に先進国並みの対策も打てません。
ですので、各国がそれぞれの状況によって基準を作っているというのはしかたないことなのです。
基準が違うのも分かりましたが、日本と中国の基準はどれぐらい違うんですか。
北京の大気汚染がどれぐらいひどいのか私、体験してきました。
中国まで行ってきたの?長野県に行ってきました。
訪ねたのは長野県茅野市にある空調設備会社の実験施設。
簡単に言いますと通常は目にすることができないPM2.5の粒子にレーザー光線を当てて、超高感度カメラを使って映し出すんです。
早速、部屋の電気を消してレーザー光線を当ててみると…。
おお、これ?これです。
これが浮遊している粒子状の物質になります。
見えますかね?千里さん、武井さん、これ見えます?きらきらした粒状のものが見えますがこれは服の繊維などのほこりです。
PM2.5は、さらにこの10分の1から30分の1程度の大きさなんです。
厳重な装備に、PM2.5の測定器。
準備完了。
PM2.5は、たばこの煙で再現します。
徐々に濃度を高くしていきます。
今、35マイクログラム、環境省が健康を維持するのに望ましいとしているレベルです。
そこから数値を上げて75マイクログラム。
中国ではここまでが、良。
シップが言う、まあまあハオ!超高感度カメラで見ると。
きらきらしたほこりとは違う細かな粒が漂っているのがはっきり分かります。
さらに濃度を高めていき、赤色警報が出たときの北京とほぼ同じ状態にします。
明らかに舞っているPM2.5の量が増えて、輪郭がぼんやりとしています。
実際に当時の映像を見てもかすんで見えますね。
でも、警報が出る前の先月末の北京、もっと高いおよそ1000マイクログラムとなっていたんです。
1000て、大丈夫ですか。
はい、分かりました。
準備いたします。
ここからは、より高い数値を測れる測定器を使っていきます。
どうなると思いますか?どうなったかといいますと…。
日本の環境基準35マイクログラムと比べると、その差は一目瞭然。
超高感度カメラでは充満したPM2.5で姿、形が完全にぼやけています。
これだけのものが空気中を舞っていたんですね。
びっくり。
中国の大気汚染ってこんなにひどいんですね。
改めてよく分かった。
主な原因は経済発展、そういうことがあるんですか。
そうなります。
中国は世界の工場といわれていて製造業で国を発展させてきました。
大きい工場もありますが規模の小さな中小の工場が多いので、安くて古い、そういう設備が多いです。
もう1つ大きな要素が車の渋滞です。
ものすごいスピードで車が増えました。
これは実は北京の中心街なんですが5車線あるんです。
それが全部、駐車場みたいにラッシュアワーじゃなくても止まってしまうという状態です。
アイドリングしているときというのは車の排気ガスはいちばん多く出るんです。
道路整備が追いついていない。
鉄道網の整備も進んでいない。
もう1つ、石炭を多く中国は使っています。
暖房や燃料に特に貧しい収入の低い層の人たちが使います。
そうすると多く煙が出てしまうんです。
どうしようもない気がしてきました。
なんとかできないんですか。
排ガス規制とか。
正直、難しいんです。
完全に工場の操業を停止したり、交通規制をかけたり、そうするとブルーになるということは分かるんですが、市民生活への影響がものすごく大きいです。
交通網の整備などを徐々にやっていくしかない。
少し改善したぐらいでは今回みたいに気候条件によって、風がなかったり浮遊物が発生しにくいような状態になると強烈なPM2.5の濃度になるということです。
字がPM2.5になっていたんですね。
中国政府が本気できれいにしていこうという心意気はあるんですか。
日本への影響について専門家はこのように話しています。
子どもとか心配ですよね。
うちも子どもが気管支が弱かったすると思うので特に九州の人などは直できてしまうと思うので中国もちゃんとやってくれないといろんな国に影響が出てきます。
この大気汚染問題、中国政府がいちばん頭が痛い問題なんです。
本気でやろうとはしているんですがなかなか目に見えた効果が出ないということです。
4年前に私が報道したときには、中国政府はまだ都合の悪いデータを隠している節もありました。
今は隠さずに公表しているというのが本気度の証拠だと思います。
これまで番組で人権問題や南シナ海の問題、中国政府の問題点を指摘してきましたが、この大気汚染はちゃんとやっているのではないかと思います。
大気汚染というのはお金持ちも権力者も普通の人もみんなが被る被害です。
なので、この対応に失敗したら広く共産党への不満が高まりますので今、政府は相当危機感を持って対策に力を入れています。
例えば大気汚染防止行動計画というものを2年前に立てて、古い自動車の排気や工場設備の閉鎖など、そういうことを打ち出しているんです。
各地方政府に通達を出しています。
少しずつ最近は効果が出ているという報道でも紹介があります。
これから中国の人たちもどんどん発展していきたいと思っているから難しいところもありますよね。
これまでがむしゃらに経済成長を追い求めてきてその結果、世界でもいちばん住みにくい街になってしまったのではないかと一体何だったのかと、成功してお金持ちになった人も、某ドイツの高級車をスモッグの中で運転する、これは何なんだと自問自答しているんです。
この街の中は走らせたくないですね。
その自問自答している答えを中国政府はこれから早く出していかないとやがて批判の矛先が、今の体制に向かうということも十分ありえると思います。
PM2.5について奥谷デスクでした。
ありがとうございました。
次も私たちの暮らしに直結する話題です。
来年から運用が始まりますマイナンバーについて、世界に目を向けてみると古くから同じような制度を導入している国があります。
生活が便利になっているケースもありますが課題もあるようなんです。
ヨーロッパ北東部にあるエストニア。
エストニアの首都、タリンです。
ご覧のように、中世の面影を残す美しい町並みが広がっているんですが、こちら実は世界有数のIT大国なんです。
およそ半世紀にわたって旧ソビエトに属していたエストニアは、独立後、柱になる産業を育てるため国を挙げてIT化を進め発展を続けてきました。
今、市民の生活に欠かせないのがこの番号が入ったIDカードです。
免許証や保険証のほかに銀行のカードそしてパスポートがこれ1枚で済みます。
それを可能にしているのが国民一人一人に割りふられた共通番号です。
薬局で薬を受け取りたいなら、カードにある番号を入力するだけ。
あっという間です。
番号によって病院の診察情報などを薬局と共有しているからなんです。
さらに、こんなことまで。
電子投票です。
10年前から実施され、今では有権者の3割が自宅や勤務先から投票しています。
投票率は、この10年余りで50%台から60%台に改善しました。
個人情報の漏えいが深刻な問題になっている国もあります。
韓国では半世紀近く前に住民登録番号を導入しました。
街じゅうに設置された端末から24時間、住民票など公的な書類を取得できます。
また、銀行口座の開設など民間にも用途が広がっています。
しかし去年1月、カード会社から人口のおよそ3分の1にあたる1500万人分の住民登録番号など個人情報が流出しました。
会社が契約するセキュリティー会社の社員が持ち出したのが原因でした。
こうして流出した情報の一部が、誰でも見られる状態でネット上にさらされていることも分かりました。
サイトからファイルをダウンロードして開いてみると、6000人を超える氏名と住民登録番号が掲載されていました。
サイトは中国やロシアのプロバイダーで、転載が繰り返されて止められない状態ということです。
流出した情報は犯罪にも使われています。
被害に遭った30代の女性です。
ある日、捜査当局を名乗る男から電話があり、あなたは犯罪に巻き込まれている、捜査に協力してほしいなどと言われました。
相手を捜査当局と信じ込んだのは、自分の住民登録番号など個人情報を詳しく知っていたからでした。
女性は、捜査のためだと言われるまま銀行預金の引き出しに必要なパスワードまで教えてしまいます。
気付いたときには、口座からおよそ450万円がなくなっていました。
働いて、こつこつためたお金。
女性はショックで、勤めていた会社も辞めました。
韓国の住民登録番号にはもう1つ大きな問題があります。
韓国では1度、割りふられた番号は特別な事情がないかぎり一生変えることができないのです。
許されるのは戸籍上、性別を変更するときや脱北者が自分の出自を隠したいときなどです。
女性は再び同じような被害に遭うのではと不安に駆られています。
今見てきた韓国と同じ問題に直面しているのがアメリカなんです。
アメリカも日本のマイナンバーにあたる社会保障番号を導入しているんですが、多くの犯罪に悩まされてきました。
どう対応しているのか専門家に聞きました。
アメリカの個人情報や社会保障番号の課題などを20年以上、研究しているパム・ディクソンさんです。
日本のマイナンバーについては。
2015/12/13(日) 18:10〜18:42
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番組内容
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出演者
【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
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ニュース/報道 – 定時・総合
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ニュース/報道 – 解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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