マツコの知らない世界【裁判官の世界】 2015.12.13


(マツコ)「元裁判官」。
イメージって言われてこうですって言うほどイメージはないんだけど。
結構私が世の中で最もって言っていいぐらいやりたくない職業だね。
だって人を裁くんだよ?そんなことできないわ。
(スタッフ)あははっ!転勤が付き物ですから裁判官は。
福島にいて事件の特徴1つ挙げろというと飲み屋…小さい飲み屋トイレがないんですね。
そうすると自然とトイレ行きたくなりますよね。
はい。
じゃあ行ってくるわと言って帰って来ないのがしばしばあるんですね。
無銭飲食ですわ。
ああ〜なるほど。
無銭飲食のはしごがあるんですね福島。
(スタッフ)あははっ!私も福島行ってはしごができるのかと。
でもそればっかりがあるわけではないですよね?もちろんそれはそうです。
もちろんそうですけども。
福島の特徴といえば無銭飲食ってわけではないんでしょ?「マツコの知らない裁判官の世界」。
あれいくつぐらいの案件を抱えてるんですか?同時に。
民事事件の場合には割合100件200件っていうのを同時に抱えるってのがあるんですが。
100件200件?刑事事件ですと100件いかないですね。
といっても毎日数十件見るわけじゃないですからね。
いやでもなんだろう?そんなもめ事を同時に100件なんかこのへんにずっとあるわけですよね?ただ刑事の事件の場合にはこれ易しいのから難しいのまでこうですよね。
非常に易しいのは1時間ですみます。
例えば覚せい剤1回打ったと。
で初犯って言いますが初めてそういうことをしたということですとだいたい量刑も懲役1年6か月執行猶予3年ほぼ決まってるんです。
はい。
でその手続きの進め方も出てくる証拠もまあ被告人の言うこともだいたいパターンは決まってる。
ワンパターンという…。
そういう意味じゃ楽です。
へえ〜。
それからもう一枚忙しくないっていうのをお見せしますが…。
えっ?でまず1週間土・日は休みますわね普通は。
プラス1日は裁判を開かない日なんです。
ということはそれも毎週決まってますから月・火・木・金と4回開いて水曜は開かないと。
じゃあ週休3日なんですか?そういうことです週休3日です。
ちょっと裁判官いいわね。
(一同)あははっ!そうなんだ。
私もっとなんかもうこの日に絶対やるんだっていう…。
そうでもないんです。
あっそう。
でこれかなり自由になるんです。
あれ裁判官さんのスケジュールで決まってるんだ?そうですね。
例えば3回公判が開かれるというのに1回開きますよね。
次おおむね2週間後なんですがえいサボっちゃえと思ったら3週間後でもまあ通っちゃうわけです。
はあ〜。
やや語弊がありますけどね。
範囲は決まってますけど。
最近すごい事件が立て続けだったしちょっともう心労的にきついわって思ったら明日ちょっと…。
まさに疲労回復です。
あっ疲労回復だもんね。
それは。
それからこんな感じです。
夏休み3週間法廷を入れちゃいけない。
夏休み3週間あるの!?はい。
ですから3週間は大きな判決を書くということを予定してますがまあ遊んじゃえと。
ただこれアメリカだとこれが3カ月になりますからね。
えっ!?678がっつり。
アメリカの裁判官って3カ月も休むんですか?私日本では裁判官3週間休めるって言ったらうちらは3カ月だとこう…。
あははっ!なんだかちょっと印象が変わってきたわ。
(一同)あははっ!案外法廷っていうのはつまんない退屈な場面っていうのがあるんですね。
ですからみどころみたいなものをご説明しようかと思うんですがまず裁判官が最大こだわるところ。
ええ〜!私はもうなんかああいうくだりを読むのはもう慣れてらっしゃるから流暢に出てきてるんだと…。
そうでもないんです。
でしかも書いたものを読んで分かってもらうというのはなかなか難しいんですよ。
確かにね。
ですからそこは抑揚を付けたり特に強調したいところはゆっくり読んだりっていうのは練習します。
全体としてどれぐらいの時間ですませられるかっていうのは…。
一応制限時間があるんですか?そうではないんですけど…。
まあだいたい…。
だいたいですね。
例えばいちばん長いのは大きな事件でしたけど1時間半読み続けでした。
でしかも今のように工夫しながら。
1時間半逆に何を読んでるんですか?それ。
つまり理由です。
理由がそんなに…。
ですからそこは…。
1時間半ですか?審理の過程で裁判所はこう判断しますと。
なるほど。
ただもっと長い…。
1時間半。
私はそれ要旨でいきますから全文読む方もいてそういう方は3時間も読んでますよ。
さすがにこれは私は…。
それもうなんか…。
向こうが飽きるだろうと。
被告人もなんだかもうどこで言い渡されたんだかももう分かんない。
それって最初に主文をもうすませてしまうケースと最後に言うケースあるじゃないですか。
最後に言うのもあります。
それはどう使い分けてるんですか?死刑は最後というのはこれはある種の慣行ですね。
だいたい最初に主文がこない場合はこれは重罪になるぞみたいな雰囲気になるわけですね。
なるほど。
それだとバレバレですから無期懲役の場合にも最後に持ってくってことは私2回したことあります「主文は最後に言い渡すから」と。
顔面すぅ〜っと白くなりましたけど。
(一同)あははっ!ちょっとかわいそうだけど。
でも最初に言われなかったらもう地獄ですね。
1時間半もだから俺もしかしたら死刑かもしれないって思いながら…。
ちなみにその1時間半の判決は最後に無期懲役でしたけども。
はあ〜。
まあ残酷な仕事…。
すごい仕事ですけど私いっぺん被告人の方の立場を味わってみたいなぁ。
まさか…。
いやだから無理ですけどどういう心境で立ってるんだろうあそこに。
ねえ?あははっ。
やっぱりやりたくないです。
でしょうね。
「でしょうね」って言うの?次のみどころなんですが「せつゆ」と読むんですが文字どおりお説教なんですがお説教に限らず励ましという意味もあっていろいろ…。
有名なやつだとなんかさだまさしさんの歌とか…。
それ私なんですけどね。
えっそうなんですか!?あれがそうなの?人情派じゃないのよ。
(スタッフ)あははっ!じゃあ先にこっちを…。
ああ〜!あの方なんだ!はい。
これこうなってますが…。
という切り出しでいきまして「君たちの反省の弁がなぜ人の心を打たないのかこの歌の歌詞でも読めば分かるだろう」と。
この三軒茶屋の事件っていうのは被害者もそれなりに電車の中で…田園都市線の中で騒いでたんですね。
少年たちも「おっさんやめろよ」と比較的最初は穏やかだったんですがだんだんだんだん険悪になってきて最後「降りろ」ということでまあやってしまったんですよね。
ただこれは被告人に向かうというよりはまず遺族に対して言いたかったわけです。
遺族不満なんですね。
これ3〜5年懲役。
不定期刑っていうんですけどね検察官がその求刑をしたときに明らかにこんなんですむかよという顔だったんですね。
で裁判長が法壇から直接傍聴席に語りかけるっていうのはこれはまあ禁じ手ですからこの歌に思いを込めて遺族に語りかけた。
なんだ〜ただの裁判官ではないじゃないのよこれもう。
あははっ。
それだったら最初から私もちょっと…。
(一同)あははっ!アプローチのしかたが変わっていたのに。
これも私なんですが…。
これ裁判官が…現職の裁判官が買春ですね。
はいはい。
やはり身内が身内をかばうというふうに思われますからねきつく当たるしかない。
司法記者のある方たちは実刑だろうと…実刑にしなきゃすまんだろうと。
ただいかに裁判官でも本来なら1年ちょっとで執行猶予3年ぐらいの事件なんですよね。
裁判官だから特別重くするというのもこれはこれでなかなか難しい。
結論的には懲役2年執行猶予5年というまあそれぞれ倍…。
でも大体の基準から見たら相当重いですよね5年執行猶予っていうのは。
でもまあ最終的には非難されましたね身内をかばったと。
でまあそういうこともあるんで被告人たる裁判官には気の毒っちゃあ気の毒ですけどもきつめに当たった。
このとおりです。
まあおそらくスケベおやじだったんでしょうねきっとね。
(一同)あははっ!まあなかなか裁判所で交わされる言葉ではないですよねこれね。
ええ。
まあでも分かりやすいですよ。
うん。
「償い」の人とは結び付かないんですけど。
これはもう私のじゃないんですがお地蔵さんに供えられた僅か540円の泥棒です。
はあ〜。
「よい気候となる来年の4月に再出発して下さい」。
これはもう私のじゃないんですがなかなかこれまた有名な裁判官がいて窃盗事件なんですがお地蔵さんに供えられた僅か540円の泥棒です。
ただこれ実刑8か月なんですね。
実刑なんですか!?これもその簡裁判事さんが…。
あら〜泣かせるわね。
(一同)あははっ!いいこと言うわねこの人。
(スタッフ)はははっ!出だしもいいですよね。
「まっとうな生活をしてるからこそお地蔵さんは助けてくれるんだよ」っていうところから始まって…。
味がありますね。
「まっとうな生活をあったかくなってからしろよ」と。
「冬の間は刑務所で暖を取ってくれ」と。
(一同)はははっ!いい感じですね。
できればなんか悪いことしたときはこの人に裁いてほしい。
だって恨まれるよ。
もちろん恨まれますよ。
裁判官にまつわるいろんなウワサがありますが「身の危険を感じることがある」。
「ホント」「ウソ」で。
いやこれはホントですよ。
実は…。
私大変だと思う。
なんでわざわざこんな仕事をやるんだ?っていうのはここですよ。
はい。
だって誰だって嫌じゃない自分のこれからの行く末を他人に決められるっていうのは。
そのレベルじゃないからね裁判で決めるっていうのは。
ちょっとだからもしかしたらあとで刺し殺されるんじゃないかとか…。
ねえ。
ネットに書かれてます私自身の名前。
「家族ともども八つ裂きにしてやる」っていうのまだネットに残ってます。
ちなみに死刑判決はしたことない?ある…あります。
あります?そういうときなんてどんな心境なんですか?「う〜ん…これさえなければ刑事裁判官はいいんだけどなぁ」。
ですよね。
「これがあるからなぁ」。
嫌ですよね。
でももう死刑以外考えられないときだってあるわけじゃないですかもう。
そりゃそうです。
それはそうです。
そういうときはなんか「ちょっとお前代わりにやってよ」みたいなのは無理なんですか?もう「あなたです」って言われたらやるしかないんですか?事件っていうのは機械的に配点されますから公平にするように。
ですからその事件が来たらば自分が転勤していなくなるか…。
中にいる仲間同士で「俺ちょっとこっちのはきついからお前の嫌なやつ一個やってやるから交換な」はできないんだ。
できない…できないです。
やだな。
絶対やだ。
確かにこれはやだ。
ええ。
ですから多くの場合には事件が終わると「ちょっと飲むか」ですけど死刑の言い渡しのときには絶対飲まない「今日はやらないからな。
当たり前だろ」と。
人に死刑を言っといてそれは酒飲んじゃいかんですよ。
でも今ってず〜っと死刑執行してないじゃないですか。
まあ少ししだしました。
ちょっとしだしましたけどだいぶしてなかったじゃないですか。
随分たまってますよ。
100人超えてますよ。
やっと3人前ぐらいの法務大臣からしてるけど。
だからあれ今結構問題になってるのよほんとに死刑制度じゃあどうしようかみたいな。
そうですよ。
まあちょっと今日また死刑制度の話にまでいっちゃうと時間がなくなっちゃうので…。
時間もそうだし…。
時間もそうだし果たして私がそれを話すべきかって…。
東日本と西日本で判決の重さに差があるかないか。
これはないって信じたいけどそれだとテレビ的に面白くないから…。
鋭い。
あるんでしょうねきっと。
ホントって…こうですわ。
なんで?これ実はですね「なんで?」と聞かれると困っちゃうんですがそれは明らかに東京地裁の判決と大阪地裁の判決では大阪の方が軽いです。
いやでも…。
微妙に軽いんですよね。
それはすごく感じる。
一つ違うかもしれませんけど大阪はどうしても官たる東京に対して対抗心があるから東京の官僚的な風通しの悪さより俺たちの方がリベラルにやるんだというそういう感覚…。
「ちょっと人情でやってるよ俺らは」みたいなね。
なのかなっていう感じは。
なるほどね。
ただ説明になりません。
これ…。
いやそういうことだろうと思いますけど私は絶対に××だと思います。
(一同)あはははっ!××に対する××な気がします私は。
たぶん身近に××いるんですよ。
これ104のお姉さんに2617回のプロポーズをした。
どういうことですか?これ。
63歳の男性が2617回掛けまくったと。
これってですね…まあ業務妨害になるんですね。
正確に言うと威力業務妨害ってそういう…。
そっちなんだ。
そういうことです。
はいはい。
仕事の邪魔をしたという。
いやいやほんといろいろ感慨深いよこれは。
私も分かんないよこれ。
(一同)ははははっ!こんなに寂しいのが続いてると知らない人にずっとプロポーズする変な人間になるかもしれないよ私。
どのタイミングで自分が裁かれる側に立つかなんて分かんないよ。
気をつけようでもほんとにこれ。
次がですねこれはまあありえないっちゃありえないんですがゴルフ場が建設されると困る私達絶滅するから。
この「私達」が実はウサギだったんです。
自分達が絶滅の危機に瀕してるから訴訟を起こすと。
結論は動物は原告になれないので…。
これもっと根本から言うとこれ別にウサギが裁判所に来て「フニュフニュフニュ」とかやったわけじゃないんですよね。
やりません。
人間がウサギを原告にしてっていうことですよね。
そうです。
人間はおそらく弁護士でしょうけど。
そんなことできるわけないですよね。
まず弁護士になるにはご本人の署名押印が必要ですから。
ってことは3つぐらいピュッてなって。
(笑い)どういうことなんですか?ほんとにこれ。
ウサギを原告にとにかく名前連ねて…。
えっじゃあ何?原告人のところにはそのウサギの名前が書いてあったんだ。
ほう〜。
それは無理ですな。
これは私が聞いただけでもなんとなく無理なのが分かります。
ダメ裁判官いくつか挙げてみます。
まず上から。
「尺が読めない」。
でも私たちもそうです。
尺が読めない人は仕事がデキません。
(スタッフ)あはははっ。
法廷はやはり時間決まってますからね。
つまりこの時間終わったら次の事件って次の人たちが待ってるとこういう状況で…。
悦に入っちゃうんでしょうねきっとね。
それともう一つは決断できないんですね。
こっちから言われりゃ「ああそうかな〜」。
こっちから言われると「そうかな〜」。
でずるずるずると。
もうバサッとこう…。
もう私たちと一緒ですね。
(笑い)これ使われないんだろうなと思いながらずるずる話しちゃうときがあるんですよ。
(一同)あははっ!そういうときはバサッといかないとねスタジオの温度とかも変わっちゃうんですよねつまんない話ずっとしてると。
おんなじですね。
なんかちょっと裁判官に親近感は感じるようになってきました。
2つ目「日本語が読めない」。
書けないもそうなんですね。
自分の判断を人に分かるように書くっていうのはこれ相当の訓練…。
私も物書きをしてるんで分かりますけど頭に思い描いたことを言葉にするっていうのはこれなかなかね直結はしないんですよ。
だからねこれはね…。
いやなんかもうちょっと身近に感じてきました私。
(スタッフ)あははっ!はい3つ目「空気が読めない」。
これもまあ…。
もうこれ一緒じゃないだから私たちと。
全部一緒ですよもう。
この「空気」はまあ自分自身が何者かが分かってないんですね。
自分が偉いと思ってんですよね。
物理的に法壇って結構高いですからね…。
ちょっともう一緒ですよもう全部。
いやもうね私たちもそうですよ。
こうやって発言の場を与えられてテレビなんかに出さしてもらってるけどだからっていって別にテレビを見ている方より偉いことはちっともないんですよ。
これももう…これもうタレントと一緒です。
これを勘違いしだしたらタレントはもうおしまいですよ。
一緒です。
よかったなこの…。
ほんとによかった。
もう一緒です。
私ちょっと裁判官かなりちょっと身近に感じるようになってきましたこれ。
(一同)あははっ。
一緒です。
一緒です。
気をつけよう。
気をつけよう。
(日野)この番組の詳しい情報は番組のホームページと「Facebook」のファンページでもご覧いただけます。
皆さん遊びに来てくださいね。
2015/12/13(日) 14:54〜15:24
MBS毎日放送
マツコの知らない世界[再][字]【裁判官の世界】

マツコの知らない裁判官の世界を元裁判官・山室惠がレクチャーする!

詳細情報
お知らせ
この番組は2013年7月12日に放送されたものです。
◎この番組は…
裁判官と聞くと、皆さんはどんなイメージを抱くのか?果たして裁判官とはどんな人種なのだろうか?スタジオゲストに元裁判官の山室惠を招き、マツコ・デラックスの知らない裁判官の世界を学ぶ。
 
番組内容
山室惠は1971年大学在学中に司法試験に合格。翌年に東京大学法学部を卒業、1974年に東京地方裁判所に入所。1997年には東京高等裁判所の判事に就任。2004年に判事退官して弁護士に転向したという経歴の持ち主。
判事の仕事ぶりから、裁判官の仕事、休日の過ごし方、そして裁判のみどころや苦労など、普段のポーカーフェイスに隠された裁判官の心情なども聞く。
出演者
マツコ・デラックス

【ゲスト】
山室惠(元裁判官)
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。

ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
バラエティ – その他
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0モード(シングルモノ)
サンプリングレート : 48kHz

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