昔むかしあるところにじいさんとばあさんがおった。
ある日ばあさんが川で洗濯をしていると川上から白い子犬が流れてきた。
まあ大変!かわいそうに寒かったじゃろ。
ク〜ン。
子犬は介抱してやるとすぐに元気になった。
この子犬は飯を食べれば食べた分だけ体が大きくなった。
じいさんとばあさんは犬にポチと名前をつけ大事に育てた。
ある日じいさんが野良仕事をしていると…。
(ポチ)ワンワンウ〜。
ん?どうした?わっ!ポチどこへ行くんじゃ!?ここを掘ればいいのか?ワン。
じいさんがポチの言うとおり地面を掘ってみると…。
おぉ〜!掘った穴からは大判小判がザックザク出てきた。
じいさんは宝を家に持ち帰るとばあさんは驚いて口もきけんかった。
何じゃ何じゃ?隣に住んでいる欲張りじいさんとばあさんは…。
ごめんください。
あっ!こんな大金どうやって手に入れた!?じいさんはポチが金を掘り当てた話をすると。
そんならちょっくらこの犬貸せ!あっ待ってくれ。
欲張り夫婦はポチに金を掘った場所へ案内させた。
ここか?ワン。
(2人)エッサホイサエッサホイサ…。
なんと掘った穴から蜂が出てきた。
(2人)うわぁ〜!ワンウ〜。
ワン。
(2人)よくもやってくれたなこの〜!ポチを返してもらいにきました。
知らねえな。
どっか行っちまったんじゃねえか。
しかたがないのでじいさんとばあさんはポチを捜しに出かけた。
ポチや〜。
ポチや〜。
ポチ!そんな…。
ポチは変わり果てた姿で見つかった。
その夜じいさんとばあさんはポチの亡骸を丁寧に葬った。
すると…。
(2人)あ…あ〜!墓に植えた木の枝はどんどんどんどん大きくなった。
次の日じいさんは形見にしようと木を切って臼をこしらえた。
餅をついてポチの墓に供えようとしたのだ。
すると…。
臼の中から大判小判がザックザク出てきた。
あっ!また光ったよあんた。
よし。
臼を借りるぞ!大判!小判!
(2人)ギャ〜!この野郎!この野郎!
(2人)ワハハハハハ!臼返してください。
あぁ臼なら燃やして灰にしちまったよ。
なんてことを!あれはポチの形見だったんじゃぞ。
うるさい。
うぅポチ…。
じいさんたちが落ち込んで帰ったそのとき一陣の風が吹いた。
灰は枯れ木に見事な花を咲かせた。
それはまるで落ち込んだ夫婦を励ましているようだった。
そこの者。
ん?今花を咲かせたのはおぬしか?は…はい。
苦しゅうない他の木にも見事花を咲かせてみせよ。
じいさんは殿様の前で花を咲かせることになった。
枯れ木に花を咲かせましょう。
咲かせましょう。
あっぱれじゃ。
じい褒美をとらすぞ。
くっそ〜!お殿様ここにも花を咲かせるじいがおります。
おもしろいやってみよ。
うりゃ〜。
痛い痛い痛いよ。
何も咲かんではないか。
くっそ〜。
おりゃ〜!うわっ。
あの不届き者をひっとらえよ!
(2人)ははっ。
欲張り夫婦は縄をかけられ牢に入れられてしまった。
じいさんとばあさんは残った灰を埋めてポチの墓を作り供養をして幸せに暮らした。
そしてこの辺りでは毎年どこよりも早く春が訪れるようになりました。
そいつは海が静かなときでも何の前触れもなく突然現れる。
〜わぁ〜!うわっ!〜それが海坊主?うむ…だから漁の前には龍神様に魚を供えるのじゃ。
わかったか?はい。
昔ある漁師の村ではこうして龍神様に魚を供えて漁の安全を祈っていた。
この村には甚兵衛という怠け者で大酒飲みの男がおった。
甚兵衛はある日お供えの魚に手を出してしまった。
(甚兵衛)あぁ〜。
それからというもの甚兵衛は毎日のように魚を盗むようになった。
あぁ〜。
すると…。
(雷鳴)うわ〜!あぁ〜!このところ悪いことばかりが続く。
あぁ水揚げも急に減ったし。
どうしてなんだ。
龍神様にもちゃんとお供えしてるっていうのに。
もしや…。
ん?ヒヒヒ。
ヒヒヒヒ。
甚兵衛のやつの仕業だったんだ。
こりゃあ少し懲らしめてやんなきゃなんねえ。
うんわしらが海坊主に化けて脅かしてやるか。
あぁそれはいい考えだ。
2人で肩車をして上から網をかぶせる。
その上にワカメをいっぱいにぶら下げて。
そうじゃ目ん玉は卵の殻がよかろう。
海坊主姿で二度とお供えの魚をとるなと脅かしてやれば。
甚兵衛のやつ腰を抜かすほど驚くぞ。
それくらい脅かせば少しは性根を入れ替えるじゃろ。
イヒヒヒヒ聞いちゃった。
次の日漁師たちは早速海坊主に化けて甚兵衛の家に向かった。
ここりゃひでえ雨だ。
(みんな)海坊主だ!どけ〜!
(みんな)うわ〜。
(戸を叩く音)
(戸を叩く音)どなたさんで?わしは海坊主だ。
海坊主は海から出られないんじゃ?いいから開けろ。
あいにくこの嵐だ戸は開けられねえよ。
ならばこの戸を壊すぞ。
やれるもんならやってみろ!うぉ〜。
うわ〜ほ本物!お前がわしの魚を食うてしまうから代わりにお前を食いにきた。
うわ〜そそんな。
ちょっと来い。
あ〜。
(みんな)うわ〜。
どけ〜!うわ〜。
浜にあるありったけの魚持ってこい。
へい。
助けてくれうわ〜!手を離せ。
やだ離すもんか!離せ。
甚兵衛…。
みんなで甚兵衛を助けろ。
それ引け!みんなすまねえ…。
こいつを助けるだと?人の命にゃ代えられねえ。
長老様…。
ほれ海坊主殿このとおり魚を差し上げますからどうか見逃してくれ。
う〜。
今度だけは見逃してやろう。
海に暮らす者は海の掟を守らねえと生きてはいけねえ。
わかったか?わかった。
長老オラが悪かっただ。
それからというもの甚兵衛は酒をやめお供え物には手をつけず…。
朝から漁の手伝いに出ては魚を分けてもらうようになったという。
昔鹿児島の谷山の里と吉野ヶ原にたいそう化けるのがうまいキツネがすんでいました。
谷山の里にはどんなものでも本物そっくりに化ける青どんが。
(青どん)化け化け青ど〜ん。
どうぞえきれいでやんしょ?吉野ヶ原には知恵で相手を騙すのが得意な赤どんがいました。
(赤どん)ピコピコ赤どん。
どこから見ても岩です。
オラが一番の名人だ。
ホッホッホッそれはどうかな?オラが一番だ。
青どんも赤どんも自分がいちばん化けるのがうまいと言って譲りません。
そこでどちらが本当に一番なのか化け比べをすることになりました。
お互い高いものに化けてその高さを比べるのはどうだ?高いものってお金の高いものか?違う背の高さの高さ。
からかっただけだ。
よ〜しオラからいくど。
化け化け青ど〜ん。
青どんは吉野ヶ原に立派な五重の塔を建てました。
どうだ赤どん驚いて声も出ないだろ。
まぁそんなとこだろうな。
ではオイラもピコピコ赤ど〜ん!たけたけのこ〜ん!何それ?たけのこ。
それに化けたの?そうだ。
ワハハこれで勝負はついたな。
う〜ピコピコ赤ど〜ん!ニョッキニョッキニョキニョッキ!赤どんのたけのこはどんどん伸びて五重の塔より高い立派な竹になりました。
ホッホッホたけのこは伸びるもんだ。
くぅ〜クソ!ずる賢いやつめ。
それはキツネにとって褒め言葉だぜ。
谷山の里でもう1回勝負だ。
ああええとも。
今度はオラが決めていいか?おう何でもこい。
お題はこの世でいちばん怖いもの。
ひょ〜得意中の得意だぜ。
化け化け青ど〜ん。
おらおらおら食っちまうぞ!ま想像どおりってとこか。
ピコピコ赤ど〜ん。
はぁ何だそれ?何にも変わってないじゃん。
あ〜お前さん怖くて化けられなかったのか。
青ど〜ん。
か母ちゃん!?それは青どんが最も恐れる母ギツネでした。
お前は人様を騙して威張ってばかり。
いいかげんにおし。
うわ〜母ちゃんごめんなさい!ウヒャヒャヒャヒャ。
化け比べではなく赤どんの知恵に負けたと思うと青どんは悔しくて悔しくてたまりませんでした。
クソ〜オラのほうが絶対うまく化けてるのに。
ん?人間の声がする。
吉野の赤ギツネは人をたぶらかして悪いことばかりする。
それは一度とっちめてやらないと。
どうじゃ明日の朝ここで落ち合ってあいつのすみかを襲ってみんか?それはいい考えだ。
キツネの毛皮は高く売れるし一石二鳥じゃ。
これはいい話を耳にしたわ。
こっちもひとつ知恵を使ってやるか。
「いいこと聞いたいいこと聞いた」青どんは村人たちの計画を知って赤どんにひと泡吹かせようと考えました。
待ってろ赤どん。
一生のお願いだ。
もう一度だけ勝負を頼みますだ。
勝負ってまた化けあいか?懲りないねお前さん。
そこが俺のいいとこで。
自分で言うか!わかったいくらでもやってやるよ。
恩にきるだ。
いつでもいいぜ。
今度はどんな化け勝負だい?いや今からじゃなく明日の朝地蔵様のところで落ち合おう。
朝になり約束したお地蔵さんのところに青どんは暗いうちから隠れて待っていました。
「早く来い来い赤どんどん」「皮をむかれて泣いちゃいな」ヒヒヒにしても人間ども遅いな。
あっ。
よしキツネを捕まえたぞ。
ひぃ〜。
なんと青どんは赤どんに間違えられて村人に捕らわれてしまいました。
おうよくやった。
早速毛皮をはぐか。
違う赤どんじゃないでしょどう見ても青いでしょ。
谷山の里の青ギツネも人を化かすという。
ここはオラに任せてオメエはもう1匹を捕まえてきてくれ。
2匹の毛皮で倍の儲けだ。
おうよ〜しわかったここは任せたぞ。
違うってオラは青どんだってば!いたずらギツネめ!やだ毛皮になりたくないよ助けてくれよ。
わかったお前さんの考えは最初からず〜っとお見通しさ。
えっ!?毛皮にしねえのか?フフフ俺は毛皮いらねえ。
もう持ってるからな。
なんと赤どんが村人に化けていたのです。
ヒヒヒヒ…。
どうした?腰でも抜かしたか?まいりました…。
完全に負けを認めた青どんはすっかり反省してそれからは自分の技をひけらかして威張ることはしなくなったとさ。
(キツネの鳴き声)2015/12/13(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]
「花さか爺さん」
「海坊主」
「化けくらべ」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:48092(0xBBDC)