ああっああ〜!そこの若者…!ああ〜!会長!?
(タペンス)この宿にスパイがいるの。
コードネームは「N」。
・
(銃声)
(2人)ハッ!?どうしてこんな事を?
(アルバート)「10万ポンドと収監中のソ連の政治犯30人を渡さなければ爆弾を爆発させる」。
(トミー)カール・フォン・ディーネム。
(アルバート)Nはドイツに居た。
(カーター)Nに気付かれたらおしまいだ。
(カール)ウン!ああ!ハァ…ハァ…。
ハァ…。
(波の音)
(アルバート・ペンバートン)タペンス!タペンス。
ハァ…ハァ…。
大丈夫?トミーは?ハァ…ハァ…。
トミーの予想どおりカールか。
(テーマ音楽)
(トミー・ベレスフォード)ああ…。
アッああ。
アァ…。
ハァ…。
ああ。
アッアッハァ。
ハッアッ…。
ハァ…ハァ…。
アァ…アァ…。
(波の音)ハァ…ハッ…ハァ…。
ああ…アァ…アァ…。
ああ…ハァ…。
(犬のうなり声)えっ!?
(犬のうなり声)
(ヘイドック海軍中佐)ラダー!
(犬の吠え声)アァ…。
大丈夫か?ああ。
メドウズ何してる?カール・デニムだ。
誰?爆弾を持ってる。
止めないと。
おい何の話だ?その傷はどうしたんだ?ボートと爆弾を捜さないと。
なに?まあとにかくうちに来たらどうだ。
それほど遠くじゃないから。
いいな?ん?
(ヘイドック)アァ…気をつけろ。
入って。
さあ。
こっちだ。
ああ。
段差がある。
ああ。
ハァ…アァ…アァ…。
座って。
アァ…。
アァ…。
飲み物を持ってくる。
(ため息)ああ…。
・
(物音)・
(男)アァ…アッ…。
カーターに電話しなきゃ。
デニムの事知らせないと。
まず牛乳を飲め。
ハァ…。
全部だ。
さあ早く。
よし。
それでいい。
さあ深呼吸しろ。
ハァ…。
次は酒でも持ってこよう。
いや僕は…。
まあいいから座って待ってろ。
ウン。
今度は逃がさんからな。
アッ…。
アァ…。
エッ…アハッ…。
ウッ…。
アッ…ハッ。
ハァ…ハッ…。
(ギルバート・ワージング)ハッ…ハァ…。
ハァ…。
まさか…。
ハァ…ハァ…。
(ドアを閉める音)ああ。
ハァハァ…。
ハァ…。
ハァ…。
ウン…。
アッ…ハッ…アッ…。
待ってろと言っただろ。
ハァ…ハァ…ハァ…。
(受話器を取る音)
(ダイヤルを回す音)アァ…ハァ…。
(ヘイドック)ああ。
ああ…。
(ヘイドック)海岸でメドウズを見つけた。
爆弾の話をしてる。
いやここに居る。
君の言ったとおりだった。
じゃあ。
ハァ…。
エェ…誰と話してた?Nだ。
ウッ…。
アァ…カール・デニムだろ?ハァ…。
フッ…。
ハッ…ウン。
ああ…。
フフッ。
ヘヘヘヘッ。
ヘヘヘヘヘッハハハハハッ!
(タペンス・ベレスフォード)なぜはぐれたか分からないの。
混乱してて。
(アルバート)自分を責めるなタペンス。
(アンソニー・カーター)精巧な偽造パスポートだな。
スタンプは本物そっくり。
それは本物だろう。
カールがベルリンを出たのは46年10月。
ちょうどカーン少佐がNに裏切られた頃だ。
Nからまたメッセージだ。
2日以内に例の政治犯を釈放しろと。
カールがNなら早く見つけないと。
彼を阻止しないと誰のおいっこでも関係なくいっぺんに吹き飛んじまう。
カールはどこだ?タペンス。
ハッ…。
カールはボートを持ってる。
トミーに追われてると知ってボートで安全な場所に避難したかも。
フフンそうね。
トミーは泳ぎが得意なんだ。
タペンスきっと無事だ。
そうよね。
カールは消えたりはしない。
誰かが居場所を知ってる。
親しい者は?アッ…カールは仲間と一緒にいるタイプじゃないんです。
いつも1人で。
誰かいるだろう?アァ…。
アァ…。
分からない。
心配で頭が働かないの。
ごめんなさい。
アァ…。
ハッ…。
待って。
恋人がいるって言ってた。
なに?花束を贈るんだって。
ダリアの…。
相手は?ダリアってシーラの好きな花よ。
シーラとカール?恋人同士なのよ。
気が付かなかった。
よくやった!
(ヴェロニカ)何してるの?ヴェロニカ!ハッ…。
プレナさんの車ですよ。
ええ知ってる。
以前主人が乗ってた車と同じだから何だか懐かしくて。
ゆうべは外でお泊りに?ええ。
お友だちと。
お友だちって?ご夫婦よ。
スミッソンさんの。
ホテル・ド・パリのパーティーで会いましたよね。
そうね。
フフン。
お小遣い稼げたわ。
フーン。
じゃあ着替えなきゃ。
シーラに見つかる前に。
フフフッ。
・
(ドアを開ける音)ハッ…フッハッ…。
ウン。
・
(シーラ・プレナ)ヴェロニカ!落ち葉を掃いてと言ったはずよ。
はい。
プレナさんすみません。
すぐやります。
(車のエンジンの音)回想科学者科学者科学者科学者が誘拐されたの。
回想ギルバート・ワージングというイギリス人の科学者が消息を絶った。
回想
(アルバート)ノーリッチでは窓ガラスが割れたり…。
回想極秘プロジェクト…。
ノーリッチまでは40kmもあるのよ。
(ヘイドック)ギルバートはここを出たいだろう?鍵の在りかを言えば元の生活に戻れる。
ケンブリッジに帰って好きな事をやれるんだぞ。
賭け事でも読書でも。
さあ言え。
鍵をどこに隠した?
(ギルバート・ワージング)アッ…アァ…。
そういうつもりならしゃべらせるまでだ。
(ヘイドック)薬の量を増やした。
(おびえた声)アッああ…。
アッアァ…。
これでお前は口を割る。
アアアッ…アァ…。
ギルバート・ワージングか?ハァ…ハァ…。
鍵って何だ?聞こえてるだろ?ハァ…。
ヘイドックが言ってた鍵って何の事だ?ハァ…。
MIファイブから君を助けに来た。
そんな芝居に引っかかるものか。
同じ立場にあるとでも言うのかね。
私はイギリスの原子物理学の第一人者だ。
君のようなやつがMIファイブだなんて信じるわけがないだろう。
(ため息)ウッ…。
ハッ…。
ハッ…。
ハァ…。
ウッ…ハッ!
(カール・デニム)ここで何してる?ハッ!ハハハハッ。
手を触れるな。
離れてくれ。
見られちゃ困るんだ。
ええ。
あんた何者だ?トミーはどこよ!?アッ…。
(荒い息遣い)何てことするの!だって殴られそうだったから!あなた正気!?これを見て。
ウン。
彼は爆弾を持ってるのよ!ほら…。
フウ?目を覚ましてカール。
ダーリン?これ密輸品?ああ…。
ハァ…。
頼む。
鍵の事教えてくれ。
僕は味方だ。
(ドアを閉める音)
(ヘイドック)どうせ何も聞き出せん。
彼は天才だが無口でな。
このギルバートが発明した爆弾を起動させるには2つの鍵が必要だ。
1つは既に手に入れたんだがもうひとつはこのいまいましい野郎がどこかに隠したらしいんだ。
彼女を連れてきてほしくないだろう?Nは私ほど優しくしちゃくれないぞ。
Nは女か?そうだ。
それも魅力たっぷりの女さ。
じゃ彼はホントのドイツ人?そうよ。
だけど子供の頃からここに住んでる。
でも…。
ああごめんなさい。
カーン少佐が亡くなった夜彼の手紙を盗んだと思ったの。
カバンを持ってたから。
カバンには密輸品の代金が入ってたのよ。
少佐のブランデーは密輸品で彼からその代金をもらうまでカールは自分で立て替えてたの。
少佐が死んだって知ってたらそんな事するはずないでしょ。
やだ大変!ごめんなさい。
トミーはどこ?たたかないで!ああこれじゃトミーの事を聞けないわ。
誰?メドウズよ。
じゃ殴る前によく考えるべきだったわね。
待ってて。
ウッ…。
これが効くかも。
さあ嗅いで。
押さえてて。
ウーン…。
カール?
(鼻息)ああカール。
フッフフフッ。
フン。
ブレンケンソップさん。
笑わないで。
彼女が殴ったのよ。
シーラまずい。
ボート!もう手遅れよ。
バレてるから。
アッ…何があった?トミーはどこ?トミー?
(2人)メドウズよ!ああ隠した物を見られてパニックになって殴り倒した。
何ですって!?どうしていいか分からなくて。
プルシア・コーヴに置き去りにした。
ヘイドックが住んでる所よ。
それはどこ?連れてって!
(ヘイドック)人生で一番いい時期を国のために費やし何度も死の淵まで行って見返りに何を得た?恩給は最悪らしいね。
その資格も奪われた。
1度の過ちのせいでな。
艦長は最後に船を下りる決まりなんだが最後だと思っていたらまだ3人残ってて彼らは死んだ。
指揮権は剥奪だ。
じゃひょっとして動機は…金か?私だってもらう権利はある。
君の仲間は誰だ?ウン?MIファイブが単独で来るはずがない。
いや。
僕だけだ。
予算がなくて。
笑わせるな。
Nはバカじゃない。
あちこちにコネがある。
あんたも殺されるぞ。
金髪の殺し屋が来て。
平気で人を車ではねるやつだ。
(ヘイドック)殺し屋はそれで金をもらってるんだよ。
後始末の報酬だ。
カーンもそうやって始末されたのか。
初耳か?自殺じゃなかったんだよ。
そんな話根拠があるのか?カーンが言ってた。
Nは宿敵だって。
復讐するつもりだったのに先手を取られた。
復讐だと?バカを言うな。
カーンのこと好きだったろ?フン。
君は最初からうさんくさかった。
彼に近づけとNに言われたが親しくなったんだろ?私を説得しようったって時間の無駄だ。
Nがカーンを殺したのは正体を知られたからだ。
あんたが殺されずに済むと思ってるのか?理解し合ってるんだ。
気をつけろヘイドック。
次はあんただ。
フーン…。
よし!ヘイドックに聞いてみよう。
まずは作戦を練らなきゃ。
まさかあの人を疑ってるんじゃないだろうな?誰がNか分からないの。
話聞いてなかったの?いきなり行って「トミーいますか?」なんて聞けないわ。
そうよ。
こんな時には知りたがり作戦よ。
おい。
(ノック)アッ!ハハハッ!アァ…ハァ…待ってろ。
助けてやる。
(ギルバート)おい何してるんだ?そんなので開ける気か?どうせ無駄に決まってる。
自白剤の効き目が現れる前にここを出ないと。
君はあの酔っ払い並みに無知だな。
その注射器に入る程度のチオペンタールナトリウムの量で効くわけないだろう。
なんて君は恩知らずなやつだ。
なんて君は期待できないやつだ。
ウン…。
(ノック)・
(ヘイドック)ちょっと待ってくれ。
・今開ける。
どうも中佐。
お散歩中にあなたの家が見えたので寄ってみたの。
待ってくれブレンケンソップさん。
海辺の暮らしっていかがですか?実を言うと私も何となく海辺での生活に憧れがあるんですよ。
今はちょっと都合が悪いんだ。
暖炉はもともと付いてたの?こぢんまりしてて居心地よさそうだわ!なあ。
ちょっとブレンケンソップさん。
朝食に客が来るんだよ。
あら私が知ってる人?いいや海軍の友人だ。
船乗り大好き。
海が恋しい?アァ…。
久しぶりにおかに上がった時は妙な感じがしたでしょう。
そんなことより…。
沖でクジラを見たことあります?やめてくれ!今はホントにあなたの相手をしてる時間がないんだ。
帰ってくれ。
ブレンケンソップさん。
ええそうよね。
少し調子に乗りすぎたわ。
許してください。
なあ。
(扉の開閉音)ハァハッ…。
(口笛)アッ…ウッ…。
コートがあった。
トミーはここよ。
シーラは車で待ってる。
見える?アッ!ウアアアアッメド〜ウズ!アアアッ。
アァ…。
立ち止まっちゃ駄目だ。
君は異常者に何日も拷問されたあと走れるか?まあ無理だね。
アァ…。
トミー!タペンス!メドウズ。
デニム!トミー大丈夫?ヘイドックがN?いや違う。
Nの手下だ。
じゃNは?さあ彼女は…。
待って。
Nは女?タペンス。
説明はあとだ。
ギルバートは居た?ここだ!さっさとここを開けてくれないか!ウン…。
いい考えがある。
ウン。
その銃で撃ったらどう?弾が入ってない。
銃なのになんで?メド〜ウズ!さあ来るんだ!ああ…。
ねえ手伝って。
上の窓から入るわ。
待って。
大丈夫?ええ。
エッ…ウン。
アッ…ウッ…。
(ギルバート)もう勘弁してくれ。
ウッ。
アッ。
エッ…追ってくる。
伏せろ!許さん!
(銃声)アッ!ハッ。
(ギルバート)どうして私を連れ出した!?あの部屋にいればこんな目には。
ウン。
(ギルバート)アハハッハァ…。
トミーこっちよ!危ない!おい待ちやがれ!
(銃声)
(悲鳴)
(叫び声)どこ行った?フーッ。
ウン!ウッ…。
・
(ヘイドック)メド〜ウズ!ハァ…ウン…。
あいつら。
ウン。
えい!アッ!トミー早く!捕まえて!ハッアァああ!
(ヘイドックの叫び声)トミー!ハァ…ハァ…。
一発で決めてやるよ。
ウッ!オー!
(扉を開ける音)おおダーリン!心配したわ。
アァ…。
飲んで。
栄養をとったほうがいいわ。
ココア?やめてくれ。
大嫌いなんだ。
なら椅子に縛りつけて流し込んでやろうか。
ギルバート。
鍵はどこだ?君は信用できない。
数え切れないほどの人たちが犠牲になるんだぞ。
Nが先に鍵を見つけたらな。
そうなっても平気なのか?僕なら生きていられない。
アァ…アアアッ…。
気楽荘のラウンジの壁に飾ってある鳥の絵の裏に隠してある。
メボソムシクイの?
(ヴェロニカ)プレナさんですか?
(シーラ)ああ!ヴェロニカ。
(ヴェロニカ)ちょっとお話があるんですけど。
あっそう。
でも今はちょっと…。
今聞いてほしいんです。
アアアッ…。
(ヴェロニカ)あの2人の事で。
ああ…。
フッ…行きましょ。
急いで。
アァ…。
(スプロット夫人)あらまあ。
現行犯ね。
ああ!スプロットさん。
いらしたんですか。
本を読んでたの。
推理小説。
あなたのじゃないわ。
何をたくらんでるの?アッ…ああ別にそんな…。
これシーラから買ったんです。
まあ本当?ええ。
安かったみたい。
いくらだった?20ポンド。
ウン。
その鳥の絵に?まあ2羽いますから。
ウン。
オリジナルよ。
それに家宝だし。
ウン。
ええそう言ってた。
なのに売ったの?ああ!メドウズさん。
ああ。
下ろしてくれたのね。
額を掃除しようと思って。
さてウソつきはどっちかしら?
(ヴェロニカ)もう掃除しましたけど。
アァ…。
いや掃除しなくていいよ。
このまま買い取る。
アアッ…。
失礼。
いい買い物だったわねメドウズさん。
ああ。
(ヴェロニカ)どこへ持っていくんです?銀行だよ。
じゃあごきげんよう!ハァ…ハァ…。
あった!ハァ…トミーアッ!ハッ!
(スプロット夫人)「ベレスフォード・ヘア」は家族経営だったのね。
カーンを始末したあと彼女に正体を見抜かれそうだった。
その時消すべきだったわ。
で?彼女と何を取り引きする?ハァ…。
妻の意見を聞くべきだったよ。
それが世の常よ。
(ヴェロニカ)何してるんです?ヴェロニカ駄目!来るな!鍵をちょうだい。
(ため息)やめてトミー。
絶対渡さないで。
お願い。
爆弾で大勢の罪のない人が死ぬのよ。
(スプロット夫人)彼は渡すわ。
でしょ?ベレスフォードさん。
誰にでも弱みがある。
(撃鉄を起こす音)見ず知らずの100万人より愛する人のほうが価値があるわ。
ウン…。
ハッ…。
アァ…。
アァ…。
随分ちっぽけな物ね。
ガッカリするぐらい。
要求は知ってるわね。
4時間後に電話する。
もし出なかったらみんな吹き飛ぶわよ。
ハァ…。
(泣き声)もうトミーったら。
何てバカな人なの。
ハァ…。
(泣き声)
(時計の時報)
(ノック)タペンスを関わらせたくなかったのは2人一緒だとぶち壊しになるからだ。
(ギルバート)せっかく5日も拷問に耐えたのに水の泡じゃないか。
余計な事をしたもんだ。
鍵を手にしたのに。
妻が人質にされたんです!私たちがこの任務でどんな大変な目に遭ったか分かってるんですか!?勝手にしゃしゃり出るからだ。
2年も計画に関わったのに!役立たず。
彼に何てこと言うのよ!皆さん…。
(ヴェロニカ)静かに!静かに!どうも。
これからの事を考えないか?ギルバート。
爆弾だけど爆発するの?決まってるだろう。
断言できないよね。
実験してなきゃ。
アルバート君の学校の実験とは違うんだ。
爆発する。
完璧に。
(カール)完璧?ドレスデンは空襲でメチャクチャになったんだぞ。
それを言うならロンドンもひどいもんだった。
やめて。
朝までかかっちゃうわ。
Nと交渉をしないと。
ああ。
内務大臣は見て見ぬふりしてるがあと3時間半でこの危険なソ連の工作員たちを釈放しなけりゃならん。
だが釈然としない。
ソ連政府と手を切って自由になった彼女がなぜ政治犯に関心を持つ?1人のためだとしたら?彼女言ってました。
誰にでも弱みがある。
見ず知らずの100万人より1人の愛する人のほうが価値があるって。
だから何だ?スプロットは部屋に写真を飾ってたわ。
夫だって言ってたの。
ヴェロニカ写真取ってきてくれる?はいすぐに。
離婚するって言ってたんですけど愛情がなくなったようには見えなかったわ。
偽装に違いない。
でも離婚が偽装だとしたら…写真を飾ります?うん。
(荒い息遣い)ありがとう。
いいえ。
フーッ。
この写真の人…彼女の夫に似てません?
(シーラ)アッ!ああ…。
ああ…。
ロジャー・ブレイク。
49年国家公務員を脅迫して逮捕された。
ブレイクのコードネームは「M」だ!彼のためだったのよ。
写真も手紙も取ってある。
Mは少佐の事だなんて言って。
ああだまされたね。
特に僕は。
彼女の弱みだわ。
待ってくれ。
彼は死んでる。
いつです?2週間前刑務所で心臓発作。
ハァ…。
彼女は知らないはずだ。
しかし…よく似てるな。
誰に?お前だトミー。
ああ…。
ハァ…。
ああ…。
アッ!頼むトミー。
あとは髪形とコートと帽子だ。
駄目もっと長いのを。
薄暗ければ…。
闇夜でも無理だ。
もうそんなことないわ。
アァ…。
スプロットさんは初めからあなたに気があったんだし。
Mを思い出したんだろう。
ホントに似てるからね。
うん。
自分じゃ分からない。
ホント?古風な美男子よ。
まあね。
あごの輪郭は似てるけど…彼はクラーク・ゲーブル似だ。
俺もそう思う。
カール!でも僕はどうすればいい?彼女をだませばいい。
一瞬だけ。
きっとできるわ。
ある程度近づいたら鍵と交換しようと持ちかける。
夫婦ならすぐ気付きます。
3年ぶりだぞ。
刑務所は人を変えるわ。
・アアッ…。
・アァ…ハァ…。
・やります。
・はい。
いやその代わり君が会いたい男を引き渡す。
ロジャー・ブレイクだ。
分かった。
では9時でいいかな?
(受話器を置く音)成立だ。
9時に桟橋にブレイクと2人だけで来いという指示だ。
これを持っていけ。
じゃあタペンス。
最後の仕上げを頼む。
トミー自分の足撃たないでね。
タペンス。
彼女と会ってる間おとなしく待っててくれるね。
2人だけって指示だ。
ええ約束する。
ウン…。
僕を信じてくれないと。
もちろん信じてるわ。
でなきゃできないよ。
トミー信じてるわよ。
ただ少し緊張してるだけ。
(ノック)はい。
(ドアを開ける音)これが要ると思って。
俺生えないから持ってるんだ。
ヒゲがあったほうがモテるだろ。
ゲーブルみたいで。
ありがとうカール。
いいとこも少しあるな。
付けてみる?ウン。
アッハッ。
すてき。
クラーク・ゲーブルも負けるわ。
フッ…。
フン…。
(キスの音)ごめんよタペンス。
君の勝ちだ。
アァ…まぐれ当たりよ。
ウン。
ウン。
(キスの音)フーン。
ウン。
フン…。
おいそのヒゲ…似合うぞ。
これ必要なんですか?囚人だからな。
自由に歩き回っちゃおかしい。
フーン。
処刑場に向かう気分だ。
上は向くな。
はい。
街灯の下は避けろ。
(荒い息遣い)何が見える?
(アルバート)カーターとトミーだけだ。
スプロットは来てない?今んとこ。
ハァ…。
私にも見せて。
アッ…。
アッ…。
カーターとの約束破っちゃったな。
桟橋に来るなとは言われたけどここ桟橋じゃないわ。
ああ。
でもそういう意味で言ったのかな。
トミーは助けを必要としてるの。
でもカーターは…。
もっと臨機応変に。
彼女だ。
もっとゆっくり。
待ってろブレイク。
動いたら背中から撃つ。
銃は駄目よ。
約束したのになぜ持ってきたの?君は凶悪犯だからな。
1人の命のためよ。
こっちは10万人の命のために来た。
(アルバート)彼女銃を持ってる。
大変!助けに行かなきゃ。
駄目だ!待つんだ。
アァ…。
君がNか?やっと会えたな。
懐かしい友人のようだ。
そうよかった。
でも世間話はまた今度ね。
サヴォイ・ホテルでどう?スコーンが好物でしょ?サヴォイのスコーンがな。
彼を渡して。
まず鍵だ。
ロジャー?あなたなの?何とか言って。
3年ぶりよ。
さあ早く鍵を渡さないか!落ち着いてちょうだい。
ロジャーと話すまでは鍵は渡さない。
分かったわね。
渡さないなら撃つ。
お願い。
彼を撃たないで。
ハァ…ハッ…。
鍵と銃をよこせば引き渡す。
その前に確認させて。
痛い思いをしなかったかどうか教えて。
大丈夫だ。
その声変よ。
それ以上近づいたら撃つぞ!分かった。
もうひとつだけ質問させて。
私たちがリオで泊まったホテルの名前は?ロジャー?変よ。
バレたみたい。
アアッ…。
ロジャー?ありゃ〜確か…。
違う!ウッ。
どうなったの?彼は?鍵だ。
渡せ。
どうして来ないの?爆弾はどこだ?ロジャーが来ないなら言わない。
彼は死んだ。
2週間前に。
(泣き声)心臓発作で。
撃って。
生きてる意味がなくなった。
(撃鉄を起こす音)殺して。
ハハッ…ハハハッハァ…。
ウン…。
爆弾の在りかを言え!さもないと…。
おじさん。
危ない!
(銃声)アアアッウッ。
カーターが撃たれたぞ。
ハァ…。
(うめき声)動かないで。
ひざまずいて。
ひざまずくのよ!アァ…アッ…。
・
(うめき声)私たちリオには行けなかったの。
ロジャーはカーニバルで踊ってビーチで花火が見たいと言ってた。
ここで花火が見たい?ベレスフォードさん。
ウッアァ…ハァ…。
バ〜ン!・
(うめき声)おじさん?私は大丈夫だから彼女を追え。
手錠を外さないと。
鍵はポケットにある。
ああ…。
私がバカだった。
トミー!おじさんが撃たれた。
カーター!大丈夫?大丈夫だ。
私はいいから彼女を追ってくれ。
彼女どこへ行ったの?劇場だ。
行け。
早く!
(うめき声)これを。
ハハッハハッ…ハハッ…。
(ライトのスイッチを入れる音)ハッ!ハッ…。
ハァ…。
(ライトのスイッチを入れる音)アッ!ハァ…アッハァ…。
ウン…ウッウッ。
エエッ…。
(銃声)
(金髪の女)ああ…。
(銃声)アッアッ…。
(うめき声)
(うめき声)
(銃声)アッ…。
アッ…アァ…。
ハァ…アルバートこれを見ろ。
爆弾は近くにある。
ハァ…ハッ…。
ハァ…。
ハッ!ハッ…ハァ…。
前にこうした時はあなたには生かしておく価値があったわ。
えい!ウン!アッアァ…アアアッ。
アハーアッ…。
(うめき声)アッ…。
(うめき声)ウン!アッ!ああ!ああ!あ〜!
(落ちる音)タペンス!
(荒い息遣い)ハハハッ…。
・タペンス!トミー。
ああ大丈夫か?ハァ…。
ハァ…。
彼女死んだわ。
アッ…。
アッ…。
ハハッ…見つけたぞ。
ハハッ…ハハッ…。
フッウッ…ウッ。
アァ…。
鍵を引き抜こう。
(アルバート)爆発するかも。
じゃあ電源を切れば?それも駄目だ。
ギルバートに電話したほうがいい。
急いで。
ええ。
下に電話が。
アアッ…。
おい見ろよ。
こりゃかなりまずい状況だ。
もっとひどい状況もあったろう。
・ああギルバート。
ひどい仲間と。
爆弾を見つけたの。
解除のしかたは?・
(ギルバート)ひょっとしてアルバート・アインシュタインだけが頼りってわけか?・作動はしてる?ええ。
鍵が刺さってて秒読みしてる。
・バカな教師に「赤のワイヤーだけは切るな」と伝えろ!赤のワイヤーだけは切るなって。
僕はバカじゃない。
・やっぱり何もするな。
今考える。
分かった。
でも急いで。
(アルバート)僕の手では…。
ああ…だったら僕の手を貸す。
まだ?・
(ギルバート)ああ分かった。
緑のワイヤーを切れ。
緑だって。
(アルバート)緑はない。
緑はない。
緑のワイヤーはないって。
・
(ギルバート)いやあるはずだ。
探せ!緑はないってば。
どうするの!?・そんなはず…。
思い出せない。
駄目だ。
分からない。
ギルバートお願い!・頭が真っ白だ。
落ち着かないと。
お願い!急いで!タペンス!青だ。
ハァ…。
切れ!確かか?アッアアッ…。
青だ。
ハァ…。
ウン。
イヤ〜!
(カモメの鳴き声)
(電源の落ちる音)ああ…やった。
爆弾を作るのはバカでもできるが解除は天才にしかできないよ。
ウーン!アハハッ…。
(2人)ああ!ハハハハッ!君のどこが好きだか知ってるかい?どこ?絶対に人の言うことを聞かないところだ。
ウッ…。
ウッ。
ウーン。
(キスの音)ウフッ…フッ。
ウン。
ウフッ。
ハァ…。
ありがとう。
腕の具合はいかが?ああ少し痛む。
だがこれ以外は全て順調だ。
漏洩元は?分かった。
スプロットがスコーンの話をしたおかげでな。
私がサヴォイ・ホテルのスコーンが好きだと知ってるのは彼だけだ。
あの運転手が?うん。
ラリーだ。
バレたと思ってないが次の行き先は3階の取調室だよ。
じゃあ一件落着ね。
そうだな。
ああお前たちにこれは初めての報酬だ。
それと私からの気持ちも。
ハハッ…ああ…。
お前たちと下請け契約を結びたい。
つまり私立探偵みたいなものだ。
だが危険はない。
それが希望だろ?ええ!もちろんです!よろしい。
まず社名を考えないと。
「ベレスフォード事業団」。
「青年冒険隊」。
2人で決めろ。
私は用事がある。
「青年」って年じゃない。
もう中年だ。
自分こそ何よ。
「事業団」なんて慈善団体か何かみたい。
「青年冒険隊」はやめよう。
情熱的でワクワクするような名前にしたいの。
信頼と安心が一番だ。
保険を売るわけじゃないわ。
何を売るにも安心は必要だろう。
みんな冒険を夢みてるのよ。
だって他人のうちの秘密を調べるんだぞ。
宝石泥棒を捕まえたり政府の陰謀を暴露したり…。
家庭内のちょっとしたもめ事でもうけられればいい。
組織に潜む殺人鬼。
詐欺の調査で手堅く。
帽子を買わなくちゃ。
図書館カード更新しよう。
事務所も欲しい。
先走りはよそう。
タペンス。
可能性は無限大よ!そうだね。
2015/12/13(日) 01:07〜02:01
NHK総合1・神戸
アガサ・クリスティー トミーとタペンス(6)アンコール「NかMか(3)」[二][字]
アガサ・クリスティー原作のおしどり夫婦が活躍する探偵ドラマ。日本初放送!スパイNの要求は核兵器とソ連の政治犯との交換。期限は2日しかない。
詳細情報
番組内容
海岸で目を覚ましたトミー。旅券をもとにNがだれであるかを確信する。Nは爆弾とソ連の政治犯との交換を要求。2日以内にNを探さなければならない。タペンスは海岸に行くが、トミーは見つからない。そのころ、トミーはある人物に拘束されていた。
出演者
【出演】デビッド・ウォリアムズ…大塚明夫,ジェシカ・レイン…世戸さおり,ジェームズ・フリート…浦山迅,マシュー・スティア…佐久田脩,クリスティーナ・コール…藤本喜久子,エド・スピラーズ…小林親弘ほか
原作・脚本
【原作】アガサ・クリスティー,【脚本】クレア・ウィルソン
監督・演出
【演出】エドワード・ホール
制作
〜イギリス Endor Productions/Agatha Christie Productions制作〜
ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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