SWITCHインタビュー 達人達(たち)アンコール「本木雅弘×真鍋大度」 2015.12.12


今年実に5年ぶりにスクリーンに帰ってきた俳優本木雅弘。
本土決戦に突入すれば日本民族は死に絶えてしまう。
昭和天皇という俳優なら誰もが尻込みするような難役に挑んだ。
映画「日本のいちばん長い日」。
行け〜!降伏か本土決戦か政府や軍部のさまざまな思惑が入り乱れクーデターの動きもある中昭和天皇は終戦に向けて強い意志いわゆる聖断を下す。
私が呼びかける事がよければいつでもマイクの前に立つ。
必要であれば私はどこへでも出かけて親しく説き諭してもよい。
そして最新作「天空の蜂」。
巨大な軍用ヘリが乗っ取られ原子力発電所の真上に静止するという前代未聞のテロ事件が発生する。
本木は原発を守るために奔走する設計士を演じている。
笑わせるな!お前たちが造ったヘリがああやって脅かしの道具になってるじゃないか!出演する作品や役にこだわりストイックに芝居に打ち込む本木。
俺が売ってんのは技術だ。
原発じゃない。
そんな本木が指名したのは…。
世界的に注目を集めるメディア・アーティスト真鍋大度。
海外でも人気のテクノポップユニットPerfume。
衣装に映し出される色鮮やかなグラフィック。
3人の動きを特殊なカメラで解析し瞬時に画角を調整する。
真鍋のプログラミングと技術がライブ演出を支えている。
NHK杯のエキシビション。
滑った軌跡が映像となって現れる。
会場に10台のセンサーを設置しスケーターが持つ花を映像が追いかけるようにプログラミングしている。
(実況)そして最後に地元宮城出身の羽生。
誰も見た事のないものを追求し続ける。
真鍋はテクノロジーの申し子だ。
本木は90年代からパフォーマンスと映像の関係に関心を持っていた。
最先端の表現を生み出す現場を見てみたいと言うのだが…。
とても真鍋さんのきっと説明が理解できないであろうという事は先に予測してるんですけれども…3年前からロンドンに住んでいる本木。
一時帰国中のこの日真鍋のオフィスを訪ねた。
失礼します。
ドアの向こうには…。
お〜。
まるで迷路のような空間が広がっていた。
あっこんにちは。
どうも初めまして本木です。
よろしくお願いします。
どうもお世話になります。
すてきなオフィスですね。
オフィスというか…。
これは完成形なのか途中なのかよく分からない…。
一応完成形です。
もともと倉庫だった建物を改装して造ったオフィス。
さまざまな工具や機材が所狭しと積み上げられている。
ここがいろいろと…。
今ドローンをちょっと…。
全く何が行われてる場所なのか私には理解できない雰囲気がありますけど。
何がどう動いて…何をしているんですか?既にロボットみたいですけど。
あっそういうものなんですか。
小型無人飛行機ドローンにつけるパーツを製作中。
ドローンといえば首相官邸の屋上などあちこちに落下し最近何かと物議を醸しているが真鍋の手にかかれば…。
エンターテインメントを彩るアイテムに。
去年の「紅白歌合戦」。
Perfumeのステージでもちょうちん型ドローンが宙を舞った。
(司会)Perfumeの皆さんありがとうございました。
ありがとうございました。
よかった。
テクノロジーを駆使して近未来の夢を見せる真鍋大度。
唯一無二の存在感で物語を観客の心に刻みつける本木雅弘。
10歳違いの2人が激突。
更に…。
それによって色が変わってるっていう事?ダンサーの動きに合わせて踊るドローン。
これはリモコンで遠隔操作している訳ではない。
あらかじめダンサーがドローンを持って踊りその動きをコンピューターに記録する。
そのデータを基にドローンをコントロールするとダンサーと一体化した動きになるのだ。
こちらはドローンにスポットライトを取り付けた。
ダンサーの動きと連動して自在に位置と角度を変え幻想的な光と影を作り出す。
主に撮影や偵察に使われてきたドローン。
真鍋は発想を変える事で新たなエンターテインメントに仕立てる。
真鍋は今ドローンと拡張現実の技術を組み合わせる新しいアイデアを試している。
壁に映し出されたのはドローンにつけたカメラが撮影している映像だ。
すると…。
でちょっと映像が今合成を…。
もう既に。
ドローンのコントローラーがいつの間にか魔法の杖に変身?一体何がどうなっているの?コントローラーの先につけられた丸いマーカー。
スタジオの四方に設置した20台のセンサーカメラがコントローラーの動きをコンピューターに集約する。
その情報がドローンから撮影している映像とリンクしてコントローラーのマーカーにCGがリアルタイムで合成されるのだ。
こういう事ですね。
更に…。
この中に行くと…。
はい。
うわ〜すごい。
映像が一瞬にして3DCGの仮想空間に置き換わった。
今度はドローンカメラの周りにつけたマーカーをセンサーカメラを通してコンピューターが認識。
ドローンカメラが撮っている映像を3DCGの仮想空間に瞬時に合成するのだ。
世界をあっと言わせたPerfumeのアメリカでのライブ。
実際の会場の映像と仮想空間が目まぐるしく入れ代わる。
驚くべきはこの映像が後からCG処理したものではないという事だ。
リアルタイムで世界同時配信され評判を呼んだ。
誰も見た事がないものを生み出す真鍋の発想力はどこから来ているのか。
今回最新の技術を…まあ最新の頭脳最新の表現をしている方と会って刺激を頂きたいという気持ちで今日来たんですけど…。
まだあんまり…果たしてこれは…そうですよね。
ちょっと私はっきり言って…職業柄何となくもう…。
「今度はそんな高い所まで見えてしまうんですか?」っていうふうに思ったりなんかしましたけどね。
やっぱ使い方によって本当にいくらでも…。
だからやっぱりテクノロジーって…私はとにかくローテク中のローテクな人間なので…ちょっと古い言い方ですけど。
でも今そういったスイッチだらけじゃないですか。
そうですね〜当たり前の世の中になりました。
とてもそれが恐怖とともに受け付けられないというタイプになっちゃったんですけども。
よく僕らは悪い夢って言うんですけど…そういう悪い夢を見るんじゃなくて…そういうような事が楽しい。
そうだと思う。
例えばドローンにスポットライトをつけるみたいな事ももし僕がカメラマンだったとしたらカメラをつける事カメラをつけて撮影する事以外の事はあんま発想しなかったと思うんですけどスポットライトつけたらどこからでも当てられるから自由に影が出せるよねみたいな事だったりとか。
本当は全部すごい深い専門知識があるのがベストだと思うんですけど僕の場合はもうそれよりもとにかくいろんな領域にちょっとでも首を突っ込んで知っておいて…。
そうするとちょっと…うん。
ちょっと変わった組み合わせだったりとか。
今年1月真鍋が手がけた人気ロックバンドサカナクションのライブ。
ここでもさまざまなテクノロジーを組み合わせ2045年をイメージしたパフォーマンスを形にした。
会場にいる観客は実は全てバーチャルだ。
特設ウェブサイトにアクセスしいくつかの質問に答える。
すると真鍋が開発した人工知能がその人好みのアバター分身を作り出す。
アバターがライブ映像に合成されバーチャルオーディエンスとしてライブに参加できるのだ。
人工知能はユーザーの好みを学習しそれに合わせた曲のリミックスを提案する事もできる。
仮想世界と現実世界が溶け合う空間にはドローンも飛んでいる。
真鍋が手がけるのは歌やダンスの演出だけではない。
これは坂本龍一とコラボレーションしたいわば電磁波アートだ。
人間には感知できない携帯電話や地上波デジタルFMラジオなどの電磁波。
ダイヤルを回して周波数を選択すると…。
電磁波が映像と音に変換されスクリーンに出現する。
これは株式市場の動きをリアルタイムで映像と音に変換する作品だ。
東京証券取引所から61の銘柄のトレーディングデータを取得している。
1つの円が1つの銘柄を表す。
取り引きが成立すると点滅し音が鳴る仕組みだ。
日本経済の鼓動が近未来的な空間に可視化される。
本当これ…真鍋さんの作品の面白いところですよね。
僕が作る場合は何も入力がないのにない中映像を作るって事はないんですよ。
例えばこれお昼休みに入った瞬間にファッと音も映像も止まるんですよね。
株の取り引きが終わるので。
午後が始まった瞬間にバッとまた盛り上がってその日の午後の取り引きが終わる直前までバ〜ッと盛り上がって一瞬にして切れる。
現在の株価の動きを…それも可視化するっていう。
株価の時は…既に取って代わられてる世界があるとすると…株の世界ってやられててもうそれ聞いた時にすごい面白いなと思って…作品にしたっていう感じ。
なるほどね。
何か物事を発想する時にっていうのはコンピューターの前で考えるんですか?それともどこか公園でも散歩するとか小川のほとりを歩いてみるとかそういう何か…。
そういうのもあります。
そういうサイドもあるんですか?真鍋さんの中に。
あります。
ちょっと前の話なんですけど…そうなんですか?撮られるの。
あんまり慣れてなくて。
人がカメラ持って笑ってみたいな感じで。
自然に笑うためにどうしたらいいかなって考えると…その人に合った声のかけ方をするソフトみたいなのをちょっと試しに作ってみたりとか。
その人に合った声のかけ方っておだててくれるスイッチとかそういうのを自分でセレクトする訳ですか?今って個人情報っていうかその人がどういう人かっていうの知ろうと思ったらスマートフォンに入ってる情報をまるっと頂いたりだとかTwitterとかInstagramとかFacebookみたいなSNSネットのサービス使ってる人それをワッともらってきて…うわ〜それも怖いですね。
何となく使ってる言葉とか好きな形容詞の傾向とかそういうのが出ちゃうんですね。
そんなのを作ってみたんですか。
参考までに真鍋さんはどういうタイプの人間っていうか人柄だっていうふうに分析されたんですか?語尾に必ず「うまくいったの巻」みたいな感じで必ずついたりとか。
語尾をいくつか検出するみたいなのはありましたね。
いまだにこんなものがあったらいいなって思ってるけどここが便利にならないというもの何か挙げられます?やっぱ感情をどうやってデータにするかっていうところがすごく大事になってくるような気がして。
今って例えばAmazonでこういう本を買ってる人はこういう本を買ってますみたいなおすすめとかってあると思うんですけど…更にリコメンデーションというかいろんなおすすめのエンジンも出来ると思いますし。
ずっとたまっていくと今度は…そうするとこう何でしょうね…。
行き当たりばったりで結婚相談所に行って相手を見つけるっていう組み合わせで何となく趣味がっていうよりも…趣味が近い人を見つけるの更に先。
そうですねちょっと恥ずかしいです。
とてもじゃないですけど全然見た事のないような本だらけですごい事になってますね。
「人工現実」なんていうのも…「インタラクティブ・メディアの展開」。
もともとどんな事からそっちの方向に興味が行ったんですか?パソコン少年だった真鍋。
自分でゲームを作り友達に遊ばせていた。
数学は全国模試で1位を取るほど得意。
数学者を夢みて大学に進学するも挫折した。
勤め先が倒産。
ニート同然になった時期もある。
岐阜県立の芸術アカデミーに入学。
デジタル表現を学んだ事が突破口となる。
プログラミングの技術やアイデアを磨き30歳の時在学中に出会った仲間と会社を立ち上げた。
僕らは「あインストール始まった」というふうに見てるんですけど…インタビュー自体もトーンが結構静かめな感じで答えている事が多いんですけど…会社当初は随分苦労したって訳ですね。
例えばデモみたいなものを作って見て頂いても「すごいけどどうやってお金にするの?」みたいな事とかを言われる事とかもあってそれはでも僕らがプレゼンテーションのスキルもすごく低かったっていうのも大きいと思うんです。
だから自分たちにも原因もすごくたくさんあったし。
あと世の中的にはYouTubeとかああいう動画共有サイトが出来る前っていうのは…会社を立ち上げて2年後。
動画共有サイトに投稿したこの映像が話題となる。
顔に電極をつけ音楽に合わせて強制的に表情を変える。
再生回数は170万を超え国内外から仕事が舞い込むようになった。
真鍋は俳優本木雅弘の顔で遊ぶという大胆な試みに出た。
用意したのは筋肉の収縮を読み取るセンサー。
病院で検査を受けるような…。
本木の顔にセンサーを取り付け表情筋の動きをデータ化する。
それを電気刺激に変えて真鍋の顔につけた電極に送り本木の表情をコピーしようというのだ。
パーツで動かしてみた方がいいの?ちょっとそうですねテストで。
まずは目を動かしてみる。
案外こめかみのところは動かないものです。
あっ来ます?ああごめん。
しゃべってしまった。
じゃあ右の方に笑ってみる。
左。
右。
感情を作る時には…。
本当はもう埋め込んだりたくさん電極をつけないと正確にはコピーできないので。
でもそれがもし可能になったとしたら…そういうふうに自分も何か…それに加えて…映画の世界ってすごい進んでるなって思うんですよね。
VFXとかも断トツ進んでいて…。
これとかってCGなんですよ。
カメラを大量に自分の周辺に置いてスキャンをしている状態なので…。
だから首から下だけカットして差し替えるみたいな事はある程度できると思うんですよ。
そういう組み合わせも…。
何かそれでいいもの作れるようになるかどうかはちょっと分かんないですけど…。
そうですよね。
何か映像上ではつまり生身の私たちは必要なくなるという事もあるかもしれない。
例えば…私もそれ怖いんです。
変な言い方だけど。
あと要するに全然その場所にロケーションに行かなくてもいくらでもあとから背景をパリにもできるしイギリスにもできるしアフリカにもできるみたいな事があるじゃないですか。
これが未来の人が見た時に色も含めていくらでも…CGとかになってくるとあれですけど演劇の世界だったりとか…。
なのでコラボレーションで…人工知能の研究者アプリケーションの開発者画像解析の研究者みたいな感じで本当…いつかお願いします。
参加したい。
是非。
後半は舞台をスイッチ。
今日気付いたのならそれでいいじゃないか。
俳優本木雅弘の最新作「天空の蜂」。
何者かの手によって巨大な軍用ヘリが乗っ取られ原子力発電所の真上に静止する。
犯人からの要求は全国の原発を全て破棄する事。
ヘリの燃料は8時間しかもたない。
誰にも分からないように止めろと言ったんだ!バカ!原発の設計士である三島は「ヘリが墜落しても原発は壊れない」と言う人々に異議を唱える。
この地域に住む全ての住民に避難勧告を出さなければいけない。
半径250キロ。
日本は数百年ここを捨てる事になるかもしれません。
格納容器です。
えっ!?犯人の狙いは何か。
テロを阻止する手だてはあるのか。
必死の模索が続く中三島の秘められた過去が明らかになっていく。
ヘリの墜落は止められるのか。
人々の運命は…。
所変わってNHKの101スタジオ。
真鍋があるサプライズを用意してあるという。
広いんですよね。
う〜わ…。
普通に鑑賞するだけだとあれなんで解析をいくつかかけてみたんですけど。
1つの円グラフが映画1本。
本木が出てくるシーンがラインで表示されている。
その時の表情がポジティブなら青ネガティブなら赤で色分けした。
やっぱり相当…
(笑い声)そうですね。
納棺師を演じた「おくりびと」。
厳粛なシーンも多いが表情を分析すると意外な結果に。
あとは…あそこの上に「Watsonsaysthisimageis何とか」って書いてあるんですけど…。
人と同じように情報から学び思考分析を行う今話題の…ワトソンに映画を見せて1秒ごとに画面に何が映っているのか判別させる。
その判別した要素を全て抜き出し色分けする。
そして映画の時間軸に沿って並べてみると映画ごとに傾向が現れる。
人工知能による批評といえるかも?与える印象がっていう事ですね。
でいくつか…。
それをまたこういうふうに…。
真鍋はほかにもいくつかの映画をワトソンに見せて分析させその結果が「天空の蜂」に近いものから順に並べてみた。
「天空の蜂」に一番近いと思われる映画は「ゴジラ」だった?
(ゴジラの鳴き声)う〜ん…実際ね今回の「天空の蜂」を書かれた脚本家の楠野一郎さんって方がいるんですけど…でも幅広い世代に見てほしいって思いとやはり未来を考えるっていうメッセージを一応持っているものであるから子どもたちにも見てほしいのが本音な訳なんですよね。
そこで子どもたちはある意味…それでその子どもたちが十数年後に昔見た映画として「天空の蜂」を見た時に…そういう流れもいいなっていうそういう思いを…楠野さんはこの本を。
だからそういう意味でも何かちょっと似たような色合いになったっていうのは…。
面白いですね。
だからそういう事も見えてくる。
実はかなり昔の…原作は10年以上前のものですよね。
そうです20年以上。
20年以上も前なんですね。
だからその意味で言うと…メッセージがやっぱりすごく強い作品だなと思ってああいった脚本の最初見た時っていうのはどういう印象…どういう心構えになるというか。
東野さんの原作の中にも映画の中にも出てくる…それはつまり自分の意思を示さない仮面をつけたような沈黙する群集と。
沈黙する群集に問うてる訳ですよね。
小説のその内容を読んだ時本当素直に…自分の考えと脚本っていうのはものすごく納得して近い考えがあったっていうとこですね。
例えばそれがあんまり近くない場合っていうのはもう受けないっていう感じですか?お仕事的には。
いやそんな事もないですよ。
でも結局…大体そういう…端的に言うとそういう話なので…大体結果的にはどこかリンクするとか自分にフィットするっていうものが見つかるので。
でもだからその意味で言うと…あ〜そうなんですね。
まあ割と私の場合ちょっと正義の方が多いので…相当とち狂ってるところもあります。
それは要するにただ相手への怒りっていうより…そういうバランスをとる必要みたいなのがあるっていう…。
そうですよね。
2009年から足かけ3年にわたって放送されたドラマ「坂の上の雲」。
本木は日露戦争の勝利に大きな貢献をした海軍軍人秋山真之を演じた。
すんませんこぼしてしもた。
手のつけられないほどの暴れん坊だった真之は愛媛・松山で自由闊達な青春時代を過ごす。
やがて海軍に入るや頭角を現し日清戦争に従軍。
日露戦争では連合艦隊参謀として当時世界最強といわれたロシアバルチック艦隊を撃破した。
長官!武士の情けであります!発砲をやめて下さい!本木は秋山真之という一人の人物を力強く演じ切った。
だから特にあの前半の若いシーンっていうのは例えば走るシーンがあったりするとテイクワンから本当に全力だから。
それで撮影というのは当然1回じゃ終わらなくて2回3回4回ってやってくんだけどそうすると当然息があがってくるんだけど手を抜かないから最後走れなくなるまでやってくれる訳ですよね。
だから撮ってる現場我々としてもとてもそれを感じるからそれがすごく…とりわけ柴田の印象に残っているのがこのシーン。
いよいよ明日から砲撃開始じゃ。
(一同)はっ!食うか?
(一同)はっ!頂きます!真之が初めて指揮官として臨んだ日清戦争。
戦闘前夜訓示を行った真之は部下を集めて彼らの緊張をほぐそうとする。
(柴田)いつも豆を食ってる設定なんだけども豆をみんなにあげて笑い合いながら豆を食うっていうシーンを撮っていてそしたらすごい穏やかな優しい顔してるんだよね。
秋山真之ってけんかっ早くてやんちゃでガキ大将ですごい手つけられないやつだったんだけど実はその心の底はすごいそういう優しいナイーブな気持ちがあったんじゃないかなと思って。
僕も10年やってたからね。
その人物をむちゃくちゃ研究してる訳ですよ。
でもその僕を超えて…NHKさんの「坂の上の雲」っていうのを3年間かけて撮ったっていう作品だったんですけどもその時にどうも不器用なので…すごいですねそれ。
その時にやっぱり…あとやっぱり陸軍海軍と出てくる役だったので私は海軍のパートなので陸軍が1か月撮影してる事があったり1か月お休みがあったりする訳ですよ。
だからちょっと何か…そういうふうにしてた事が…職人芸的に言うとやっぱり…例えば周りの役者さんとかもあれですか?私はどっちかっていうと…例えば古い話になりますけど「おくりびと」っていう納棺師の話をやった時には納棺師の仕事を実際自分で本当にのぞいてかつそこから本当に体験させてもらって。
ご老人が亡くなったおうちにアシスタントとして行って。
そうなんですね。
まあ本当にちょっとご遺体を拭かせて頂いたんですよ。
2月の寒い時期だったのでお部屋の中には暖房がきいていても…もう本当に短い期間だけれども一瞬でもやはり体験しておくとそれがすごく自分の中での演じる時の糧にちゃんとなるんですよね。
やってみるかい。
はい。
職を失ったチェロ奏者がひょんな事から納棺師となり仕事を通じて生きがいを見いだしていく。
でもそれに対して例えば同じ納棺師役のしかも私の師匠であるという山崎努さんなんかっていうのは一度もそんな体験はせずにそれでその作法というか納棺のしかたっていうのも「う〜んそんなものはもう何がどこの流派だとか何だとかっていういろいろある訳だろ」っていう要するに別に…だからじゃなくてつまり…納棺師はできるだろうと。
世代的なものとかってやっぱすごいあります?何か僕とか結構…アート全般そうだと思うんですけどやっぱりだんだんだんだん何ですかね…私なんていうのはやっぱりちょっと少しもう年齢的にもっていうのと…本物らしいものを作ろうとしたらちょっと無理が必要みたいなね。
無理をしないとっていう感じとつまり…そういう強迫観念というかあおり方がどこかに残っちゃってるんですけどこの間ある20代前半の役者さんと仕事をした時に彼は「100%でやるとそれだけで暑苦しくなってしまう可能性が高いからちょっと本番は80パーと思うのが基本です」みたいな。
でもっと言えばちょっとテストに戻っちゃおうかなぐらいの。
そのくらい…そうする事が単にかっこよろしいっていう事。
クールな感じって事ですかね。
そうそう含め…その時に本当にその話を聞いて…そうなんですね。
そうなんですよ。
そういう意味では役者さんとか感情をものすごく負に振り切る必要があったりとかっていうのが何ですかね例えば僕が役者やりたいみたいな…。
僕何でもやりたがるタイプなんですけど。
本当ですか?ある意味ちょっと…非常に肩の力が抜けた自然な演技をしてしかもそれが何だかセクシーみたいな。
なるほど。
いいポジションですね。
そういうところにいけそうな。
本木は昭和天皇という難しい役に正面から挑んだ。
ヒメジョオンは見つけ次第取らないといけないね。
降伏か本土決戦か一部の陸軍将校が暴走を始める中昭和天皇は断固として戦争終結を求める。
私の任務は祖先から受け継いだこの日本という国を子孫に伝える事である。
そして8月14日深夜国民に自ら終戦を伝える玉音放送の録音に臨む。
「各々最善を尽せるに拘らず戦局必ずしも好転せず。
世界の大勢亦我に利あらず」。
本木は「昭和天皇実録」をはじめとするあらゆる文献を読みあさり天皇という計り知れない役割を背負った存在を理解しようとした。
玉音放送の音声を持ち歩いて繰り返し聞き自らの体に染み込ませた。
例えば納棺師とかであれば実際に体験する事もできると思うんですけど「日本のいちばん長い日」とかだと想像の中でしかないと思うんですよ。
そういう時にそこに近づいていくための何ですかね手法とか訓練みたいなものっていうのは?もともと監督から…つまり要するに昭和天皇個人を模写するとかそのたたずまいを何か再現しようっていうふうに考えなくていいっていうふうには言われたので。
つまり国を思い民を思い世界の平和を願うという。
そういった持って抱えてるルーツとしての役割というところを全うすればいいんだなっていうふうに思う訳ですよね。
私はやっぱり…でももちろんその中でいいアレンジャーにもなりたいっていう。
アドリブとかもしている感じですか?…時もあるしそもそもまずはたくさん確認します監督に。
できるだけ詳しく。
「これ小さじ何杯のイメージでこのフレーズは書かれてるんですか?」みたいな事を。
別にそのようにできる訳じゃないけれども…そうじゃないとどうずらしていいのかが分からないからっていう。
とにかく課題を引き出して解決する。
そうですね。
だからその辺が言ってみれば…その辺が多分天才と違う感じ。
監督をやるとかっていうのは?ないですね。
それはやはり…不器用なくせに。
ここまでできれば上出来みたいなラインをうまく作ってくみたいな事がかなり必要になってくるって感じなんですかね。
そうですよ基本的には。
大体でもだって…それがやっぱり現実あるフレームの中に収めようとするとやっぱり現実問題難しくてあとやっぱり自分ではすごく共感して演じられるって思っても現実問題その日のコンディションとか持っているものの限界があるから大体やっぱり…そういうものが漂っちゃうと思うんですよ。
それをどこかで見透かしてる人たちがいて…厳しいですね。
そういう共感のしかたもあると思うんです。
そういう意味で…もうあんまり気取ってばっかりいられない年齢だと思うので…40代最後となる今年本木は新たな映画の撮影現場にいた。
長年連れ添った妻を突然のバス事故で亡くした人気作家。
同じ事故で母を亡くした家族との交流を通して亡き妻との関係を見つめ直し人生を取り戻していく。
真鍋は今会社を挙げて若者向けのワークショップに取り組んでいる。
テクノロジーを使った作品作りを通して数学や物理がどのように役立つのかを体験してほしいという。
2人が次に何を見せてくれるのか目が離せない。
2015/12/12(土) 22:00〜23:00
NHKEテレ1大阪
SWITCHインタビュー 達人達(たち)アンコール「本木雅弘×真鍋大度」[字]

本木雅弘が最先端の映像表現を知りたいとPerfumeのライブ演出などで世界的注目を集める真鍋大度を直撃!ドローンに人工知能、表情筋センサー等が本木を丸裸に!?

詳細情報
番組内容
プログラミングやテクノロジーを駆使して斬新な作品を生み出すメディアアーティスト真鍋。「小2の引き算で挫折」し機械オンチを自称する本木が、その牙城に乗り込む。表情筋センサーで本木の表情を他人にコピー?人工知能に本木の出演作を見せ解析させると?「テクノロジーが発達すれば生身の俳優は必要なくなるのでは」と言いつつ、本木は「善人を演じるのが一番ストレス」「自分の芝居は濃すぎて古い」と心情を吐露し始める。
出演者
【出演】俳優…本木雅弘,メディアアーティスト・プログラマー…真鍋大度,【語り】吉田羊,六角精児

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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