(パトカーのサイレン)〜
(カメラのシャッター音)
(野中警部)やけに穏やかな死に顔だな。
(鑑識)ええ。
ですがよく見ると唇にチアノーゼ皮膚には溢血点。
典型的な薬物中毒の症状です。
(千原刑事)警部…この薬瓶がここに転がっていたそうです。
医師の処方箋がいる睡眠薬だそうです。
分析に回して出所を調べます。
頼む。
辺りに争った跡はありません。
今足跡を採取しますが…。
ポケットの中に免許証と社員証があったそうです。
大都銀行八重洲支店融資営業課峰岸雄司。
大都銀行といえばメガバンクだし八重洲といえば東京駅の真ん前だ。
ホトケさんかなりのエリートだな。
〜
(TVの刑事の声)知美は昨夜長野市内の…。
(竹村岩男)陽子…こら!亭主をまたぐとは何事だ!
(竹村陽子)だって邪魔なんだもの朝っぱらからゴロゴロと…。
県警にきて初めての休暇だから楽しみにしてた刑事ものを観てるんだ。
ほっといてくれ。
はいはいじゃほっときます。
(TVの刑事の声)署長!これで容疑者が…。
署長?そうだ!大森署長が全国で第3位の検挙率を上げた功績で長野北署の署長からめでたく県警刑事部長に栄転したんだ。
俺たちの仲人だし祝いに行かなくちゃ。
ね陽子!陽子!はいはい。
全くうるさいな〜!うるさいとは何だ!あなたじゃないのテレビの音。
あ〜!あのね昨日私が代わりにお祝いに伺ってきました。
小布施の栗の入ったお赤飯と信濃追分節のCDを持って。
オマエ亭主を差し置いてそんな勝手なマネを…。
そう言うだろうと思って千曲のお酒の角樽を買っておきました。
これ持って明日にでも行ってきたら?あそうご苦労さん。
じゃそうする。
うん。
じゃ行ってきま〜す。
どこへ行くの?え?中山道ウォーキング。
街道沿いを歩きながら歴史散歩するツアー。
聞いてないよ!そんなこと聞いてないよ!亭主が実に5年ぶりの休暇だというのにほったらかして散歩とは何だよ!だってあなたほっといてくれって…。
それとこれとは違うじゃないか。
(時報)あっ大変!もう時間だ。
行かなきゃ。
あの…お弁当作っておいたから勝手に食べてく〜ださい。
行ってきま〜す。
ったくもう何だよ…。
(TVのスイッチの音)
(TVアナの声)以上関東甲信越地方の天気予報を終わります。
あ〜謎解きのシーン見損なっちゃったじゃないか。
犯人誰なんだよ〜!・・
(峰岸小夜子)はい峰岸でございます。
・
(千原)こちら長野県の諏訪湖署ですが・峰岸雄司さんという方は…?私の夫です。
・お気の毒ですが白樺湖の湖畔で先程遺体で発見されました。
悪い冗談はやめてください。
それとも新しいオレオレ詐欺ですか?・残念ですが本当のことなんですよ。
〜嘘!そんな…。
〜嘘!〜〜
(せき込む声)〜
(野中)そうか。
やはりガイ者の体内から多量の睡眠薬が検出されたか。
(鑑識)はい。
トリウム系の睡眠薬で残されていた睡眠剤も同じものでした。
胸腹部や四肢に水泡。
眼球結膜に浮腫がありました。
え〜司法解剖の結果報告によりますと睡眠薬とともにブルーベリージュースが体内から検出されました。
一緒に飲んだというわけだな。
自殺かそれとも睡眠薬を使用した殺人事件か…。
〜ご主人に間違いありませんか?〜はい。
〜
(臼井敏男)確かに…峰岸君です。
〜〜雄司…。
〜何で…。
〜何でこんな姿に!〜
(号泣)
(野中)臼井敏男さん…?あまあどうぞ。
するとあなたも八重洲支店で融資営業のお仕事をなさってるんですね?はい。
峰岸君と私は同期で研修時代から親しくしておりました。
小夜子さんともその頃からの知り合いなんです。
その頃からの?私も大都銀行におりましたので。
もっとも窓口業務を扱う一般事務のほうですけど。
では峰岸さんとは社内結婚というわけですか。
はい。
結婚が決まって私はすぐ退職しました。
臼井さんは私たちを仲介してくださった結びの神なんです。
それからもいろいろと相談に乗ってくださって…。
単刀直入にお訊きしますが奥さん…峰岸さんの生命保険金の受け取り人はあなたですか?は?そうですが…。
額はお幾らですか?私疑われてるんですか?結婚5年目ひたすら子供の誕生を願っていたが女房が重度の気管支炎のためそれを断念…。
警部…あの女房と臼井って男何か怪しいですね。
デキてんじゃないんですかね。
やっぱり保険金詐欺って線も…。
あの…すみません…奥さんの前では話しづらかったんですがちょっとお話が…。
銀行には「断る融資ほど早く対応しろ」という不文律がありますが峰岸君はそれを忠実に守りすぎたというか…。
ほぅ…。
最近ある会社の融資打ち切りを行内の稟議にかけず独断で決めてしまってみすみすビジネスチャンスを逃してしまったんです。
つまり峰岸さんは銀行に損失を与えたということですか?では峰岸さんはその責任を?銀行というところはたった一度の失敗が命取りなんです。
エリートコースをまっしぐらだった峰岸君は左遷されることに…。
峰岸雄司は仕事と自分の将来に絶望していた…。
(野中)奥さん…睡眠薬というのは致死率が高い割りに胃腸からの吸収が遅くて作用が緩やか。
つまり即効性が薄いため他殺にはあまり使われないんです。
と言いますと?つまり自殺に用いられることが多いんです。
自殺?ええ。
他殺の場合は大抵微量で睡眠を誘発するトリアゾラム系の睡眠薬が使われます。
ところがご主人が服用していたのはトリウム系アルビタール。
峰岸雄司さんは銀行への責任と将来を案じての自殺です。
〜奥さん…これで保険金目当ての殺人だという〜あなたへの疑いは晴れたわけだ。
よかったじゃないですか。
〜そんなっ!〜〜竹村です。
(ノック)署長!この度はご栄転おめでとうございます。
(大森刑事部長)ちっともおめでたくないんだよ。
え?は?ふ〜ん…自殺?はい。
諏訪湖署はそう断定したんです。
銀行に大きな損失を与え自分の将来を悲観したうえでの覚悟の自殺だって…。
ガンさん…現場の状況だけ見れば確かに事件性は薄いんだけど小夜子さんはどうしても納得できないとツテを頼って県警本部長に直訴したんだよ。
それでそのお鉢が大森署長に回ってきたってわけですか?そういうわけ。
お鉢?警察も面倒くさいことはたらい回しにするんですか?いや…決してそういう意味では…。
雄司は自殺なんかする人じゃありません。
エリートコースには乗っていましたが出世には興味がなかったんです。
それに気管支炎の持病がある私を気遣ってできるだけ早く退職して私の「草木染め」のお店を出すため軽井沢へ移住しようと計画してたほどなんです。
軽井沢?ええ。
自分も自然や動物保護の仕事につきたいって。
だから自分の失敗で銀行に損失を与えたなら責任感の強い雄司は自ら辞めていたはずなんです。
そんな人が自殺なんかするわけないじゃないですか!しかしあの…男というものはですね女房に言えないいろいろな事情を抱えているもんでしてね。
あなたはそうかもしれないけど雄司にかぎってそんなことは…。
だって私持病があるからあなたの支えにはなれない。
〜そう言ったのに「それでもいい俺は銀行員なんか〜続けるつもりはない。
2人で自然保護や〜草木染めの店をやろう」って…そうプロポーズされたんです。
〜〜それに雄司の車の中に〜白樺の木の枝が積んであったんです。
〜白樺の木の枝?ええ。
〜白樺の枝を煮出すとピンク色に変色するんです。
〜雄司は〜草木染めのために私がいつも白樺の枝を探していたので〜それを土産にしたんです。
〜そんな人が自殺なんかするわけないじゃないですか。
〜ガンさん…最近自殺として捜査を打ち切った事件が実はあとになって他殺だったと判明した不祥事があったよな。
はい。
え?被害者のご家族にはいくら謝罪してもぬぐいきれない不信とご迷惑をかけました。
うん。
今回の事件は二度とそういう不祥事が起きないためにも徹底的に捜査を進める必要があるよな。
そうだろガンさん…。
もちろんです。
徹底的にやるべきです。
実はなガンさん…。
峰岸さんの車の中からもうひとつ意外なものが出てきたんだ。
〜ガンさん…。
はい。
〜これ見てくれ。
〜ガソリンスタンドの領収書ですね。
〜場所と日時をよく見てみろ。
〜〜すみませんちょっと借ります。
最近老眼みたいで。
〜おおよく見えるな。
え〜8日。
〜うん。
一昨日の日付だな。
〜一昨日の朝峰岸さんは外回りの仕事をすると言って八重洲支店を出たまま銀行にも家にも戻ってない。
そうだな?ええ。
外泊する時に〜連絡がないなんて今まで一度もなかったんですけど。
〜どうだ臭うだろ!〜臭いますね臭いますね。
でガイ者の死亡推定時刻は?〜8日の午後5時から7時の間。
そして昨日の朝早く〜散歩に来た観光客によって死体が発見された。
〜中軽井沢給油所…。
〜うん。
ますます臭うだろ?〜ブンブン臭いますね。
〜東京から白樺湖に向かうには〜普通は中央高速道を諏訪インターで下りて〜国道40号線のビーナスラインを北上するのが一般的です。
〜なのにわざわざ遠回りをして上信越道。
〜中軽井沢のガソリンスタンドの領収書を持って白樺湖とは…。
〜そこだそこだよガンさん…。
どうだだんだんその気になってきたか?私が刑事部長になって初めての事件キミに任せる。
署長!ということは?どうだガンさん…この事件引き受けてくれるな?分かりました署長!〜ガンさん…いいかげんにその「署長」はやめてくれ。
見ろよ。
あ失礼しました。
刑事部長殿でした。
〜以後気をつけます。
〜で署長!竹村岩男警察の名誉回復のためにも〜一命を賭して事件の真相を解いてまいります。
〜竹村さん…お願いします。
〜私何でもお手伝いしますからお供させてください。
〜ああの…それはいけません。
お気持は分かりますが〜いくら被害者のご家族であっても捜査に同行することはできません。
私たちにお任せください。
〜じゃガンさん…頼むね。
はい。
〜では失礼いたします。
〜
(棚にぶつかる音)ガンさん…老眼鏡取れよ老眼鏡…。
〜あアハハ…そうでした。
ありがとうございました。
〜では…。
あぁ…。
〜これは何だい?〜ですから…おめでとうございます!〜ああありがとう。
〜おい陽子!〜あそうか。
今日もお気楽ツアーに出かけてるんだったな。
〜交番巡査から刑事に抜擢された時大枚はたいて買った〜このコートを着てないとどうも調子が出ないんだ。
よしっ!〜
(木下刑事)しかしまた厄介な事件を引き受けたもんですね。
そんなに厄介かね。
そりゃそうですよ。
所轄が捜査本部を解散する事件をひっくり返そうというんだから。
(吉井刑事)私もそう思います。
ウチの「カイシャ」は縄張争いには天下一品ですからね。
大丈夫…。
今度は低姿勢でいくから。
これにて…一件落着と…。
あ県警さん…何か用ですか?それ片づけるのはまだ早いような気がしますがね。
え?あの…野中警部にちょっと…。
奥さんが県警本部長に?駆け込み訴えがあった以上無視はできませんからね。
しかしね竹村警部…捜査本部を解散することは既に県警捜査一課長の了承を得ているんですぞ。
その件でしたら私が刑事部長から特命を下されたのとどうも行き違ってしまったみたいで…。
アンタ刑事部長の特命任命書でも持ってるんですか?いや〜水戸黄門の印籠みたいなものを持ってるわけじゃ…。
公務員は書類と上司のハンコがすべてです。
あのねあなたねハンコだ担当だ越権だ縄張だってそんなことにとらわれてるから捜査ミスだの不祥事だの起こすんですよ。
じゃあ何かね私が捜査ミスを犯したというのかね!不愉快だ!即刻帰りたまえ!あなたも話の分からない人だな。
県警の捜査一課長と刑事部長とどっちが偉いと思ってるんですか!警部…低姿勢低姿勢。
おさえて。
あの…え〜野中警部…。
ともかく一度現場を見せていただけませんかね。
我々も手ぶらで帰るわけにはいかないもんですからね。
しようがないおい千原!ちょっとだけ案内してやれ。
えっ私がですか?嫌ですよ。
そんなことおっしゃらずにひとつよろしくお願いします。
ねえ千原さん…。
(鳥の鳴き声)これが現場の写真です。
(吉井)なるほど。
確かに穏やかな死に顔ですね。
(千原)衣服もきちんとしてたしまるで眠るように死んでたんだ。
辺りに争った形跡はなかったんですか?
(千原)そう。
一度は保険金殺人の線も当たってみたがどう考えても覚悟の自殺だ。
捜査本部は車の中でみつかったガソリンスタンドの領収書についてはどう考えたんですかね。
さすが信濃のコロンボ。
一見鋭い指摘ですが残念でした。
将来夫婦で軽井沢で暮らすのが夢だったという奥さんの供述があるんです。
主人が忙しくて最近は行ってないんですが私たち休暇が取れると2人でよく軽井沢に…。
私たち軽井沢が大好きでした峰岸雄司は最後に軽井沢を訪れ好きだった風景を目に焼き付けたんでしょう。
最後の風景をね。
だったらなぜ軽井沢で死ななかったんですかね。
は?好きな土地で死にたいというのが自殺者の本能的な心理じゃないですかね。
なのにガイ者は軽井沢を通り越してわざわざ土地勘のないこの白樺湖までやって来た。
なぜでしょうね千原さん…。
なんでしょうこれは…。
小夜子さん…。
あどうも…。
先程申し上げたばかりじゃないですか。
〜捜査は我々に任せてください。
〜いえ…雄司の遺品を返すって〜諏訪湖署から連絡があったので…。
〜〜おかしいわ…。
あこれは…家の玄関の鍵これは…車の鍵。
〜これは私の実家の鍵です。
〜もうひとつのこの鍵は…。
〜分からないわいったいどこの…。
〜小夜子さんの見知らぬ鍵ということですか。
はい。
銀行の鍵では?通用口とかの。
そんなはずは…。
私も銀行勤めをしていたから分かりますが一般の銀行員は出入口の鍵など絶対に持てません。
営業時間以外は表はシャッターが閉じられますし通用口は暗証番号を押した上で指紋照合し初めて開くようになっています。
そういった点ではさすがに銀行は管理が行き届いています。
銀行内で自分の鍵が使えるのは私物を入れるロッカーぐらいです。
それじゃその私物用のロッカーの鍵は?いいえ。
ロッカーにはこんなシリンダーキーは使いません。
経費のうえからも無駄ですから。
となると千原刑事…捜査本部の見解は?それはその…。
奥さん!気を悪くせんでくださいよ。
峰岸さんにはあなたに知られたくない鍵の1つや2つあったのでは…と。
それって雄司に合鍵を渡すような女性がいたという意味ですか?いえ…それはか可能性として…。
そんなこと考えられません!第一そんな鍵だとしたら私の目に触れるこのキーホルダーに括っておくわけないでしょう!小夜子さん…。
するとこのキーホルダーは普段あなたの目に触れる場所に…?ええ。
いつも家の玄関の小物入れの中に…。
峰岸雄司:いってきます。
いってらっしゃいだから一昨日の8日雄司が出勤した時はこのキーホルダーには鍵が3つしかなかったんです。
なのに4つに増えている。
8日の夜…主人は帰ってきませんでした。
〜でもその頃雄司はもう死んでいたんです。
〜〜ああ寒!まだまだ冷えますね。
仮眠室を使わせてくれりゃいいのに!しようがないだろ。
我々は歓迎されざる客なんだから。
お焼き芋ですか。
1つしかないよ。
俺の分だ。
ケチーッ!警部…これからの方針は?うん。
まずは軽井沢のガソリンスタンドの聞き込みだ。
そうですね。
それとキーホルダーにあった4つ目の鍵の謎。
ああ。
あの鍵はいったいどこのものであるかそして事件当日になぜガイ者のキーホルダーにあの鍵が括られていたか。
文字どおりそれを解くのがこの事件の謎を解くキーポイントだ。
アチチチッ!警部…。
え?我々3人は県警一結束の固いチームだって評判ですよね。
おおげさだな全く…。
分かった分かった。
分けりゃいいんだろ?もうホントに…ホイッ!ホイッ!アツッ!うまい!ホホホッ…。
〜峰岸:「風たちぬいざ生きめやも…」ポール・ヴァレリーね。
そして堀辰雄。
軽井沢へ転地療養をした堀辰雄はそこで美しい少女と出会い婚約した。
でもその少女は胸の病気にかかっていた。
小説の中の少女はサナトリウムで亡くなったけど僕は決して小夜子を死なせはしない。
キミのためならどこででも暮らすしどんな仕事をしてでも生活を支える。
な小夜子。
銀行のやり残した仕事を終えたら2人で軽井沢に引っ越そう。
雄司…〜
(パトカーのサイレン)
(鑑識)睡眠薬を多量に服用したことによるショック死です。
死後3日ですね。
(岡部和雄警部)ガイ者は?
(川島刑事)立原恭子。
大都銀行八重洲支店に勤めてます。
銀行員なのに3日間も発見されなかったのか。
(今野課長)8日から3日間立原君から休暇届けが出ていました。
ところが今日になっても出勤してこない。
電話の応答もない。
さすがに心配になって…。
(矢部和子)課長に言われて私が様子を見に…。
立原さんの部屋の鍵は?
(管理人)事情を聞き私が合い鍵でこの方と一緒に入りました。
岡部警部ちょっといいですか?失礼…。
部屋の机の引き出しにこんなものが。
「不倫はいつか清算しなければならない。
恭子を殺して僕も死にます。
峰岸雄司」峰岸雄司…。
課長さん峰岸雄司という人に心当たりはありませんか?峰岸君?8日に白樺湖の湖畔で自殺したウチの融資係ですが。
自殺!?
(今野)はい。
立原恭子さんは独身でしたよね。
はい。
すると峰岸さんは妻帯者ですか?そうですが。
お二人の仲は?は?その特に親しくしていた…たとえば不倫の関係とか。
そんな。
確かに立原君は後輩の面倒見のいい女性でしたがまさか峰岸君と…。
キミ知ってたか?いいえ。
噂にも上ったことありません。
はい竹村。
・ガンさんお久しぶりです。
岡部警部。
突如お電話したのはほかでもありません。
先日自殺と断定された峰岸雄司の件をガンさんが追っていると…。
はい。
他殺の線も考えられるということで再捜査を。
実はねガンさんさきほど東京の恵比寿で立原恭子という大都銀行八重洲支店の女子行員の死体が…。
えっ!峰岸雄司の遺書が?・ええ。
「不倫はいつか清算しなければならない。
恭子を殺して僕も死にます」。
不倫の清算?すると峰岸雄司はその立原恭子と不倫を?恭子はトリウム系の睡眠薬アルビタールを飲まされていました。
それと胃の中にはブルーベリージュース。
こちらも同じ睡眠薬でやはり同じくブルーベリージュースです。
・恭子の死亡推定時刻は8日の午前11時から1時の間。
峰岸も同じ日の午後5時から7時の間ですね。
もし峰岸が不倫の清算のために恭子に睡眠薬を飲ませて殺害し軽井沢経由で白樺湖に行ったとしたら…?・時間的にはつじつまが合います。
峰岸は恭子に無理心中を強いたのかもしれません。
だが彼女は拒絶した。
そこで彼女を殺し…。
そそんな…もしそうなら峰岸はやはり自殺だということになる。
・その可能性大ですね。
いやそんなはずはないですね。
女性の死体を運んだという物証はないですからね。
・それにキーホルダーの鍵の謎が解けない。
鍵?警部もしかしてあの鍵はその無理心中相手の部屋の鍵では…?う〜ん…もうすぐ軽井沢に着きますから捜査の後でまた電話します。
(木下)ヤレヤレ…。
やっぱり自殺だったなんて結論だしたら諏訪湖署の連中にどんな嫌味を言われるか。
(丸山)このあいだも他の刑事さんに話したけど確かにこの人8日の午後ウチでガソリン入れただね。
え〜とねレシートのナンバーで確認したんだけど午後2時ごろだったね。
他に気づいたことありませんか?あるある刑事さんが帰った後に思い出したんだけどこの人助手席に小犬を乗っけてただねぇ。
どんな犬でした?ジャックラッセルテリアとか言ってただね。
ジャックラッ…?ジャックラッセルというテリアの一種です。
それそれ。
峰岸が犬?峰岸も恭子も犬を飼ってたという情報はない。
だけど峰岸は犬をどこでどうやって。
小夜子さん…捜査は我々に任せてほしいと言ったのにどうして!?ごめんなさい。
竹村さんたちがちゃんと捜査をしてくれてるかどうか気にかかって…。
私どうしても警察が信じられなくて。
無理もない。
諏訪湖署はあなたの申し立てには一切耳を貸さなかったんですからね。
ええけんもほろろというかそれで自分で調べてみようと…。
いけませんよ小夜子さん。
不用意な行動は下手すると手の内を犯人に知らせることになりますからね。
昨夜思い出したんです。
雄司は「銀行でやり残した仕事がある」と言ってました。
それが何なのかと考え始めたら居ても立ってもいられなくて。
銀行でやり残した仕事?それにさっきやっと「死亡診断書」が出たんです。
〜竹村さん。
はい。
私がこうして軽井沢にやってきたのは雄司の本当の死因を調べるためとあの人が好きだったこの地で荼毘に付そうと思って。
(吉井)だけど軽井沢には火葬場がありませんよ。
えそうなんですか?だから軽井沢の人は大体小諸で火葬するんです。
それじゃ小諸で荼毘に付した後雄司に軽井沢を存分に見せてあげたい。
小夜子さん…ここは私たちに任せてあなたは諏訪湖署に戻って峰岸さんの遺体を守ってあげてください。
〜
(東野支店長)監督不行届と言われてもしかたありませんが行員同士が不倫とは支店長として恥ずかしいかぎりです。
こういう時代だからこそ綱紀粛正が重要なのに…。
岡部警部…マスコミにはくれぐれも内密にお願いします。
我々のほうから漏らすことはありえません。
すると峰岸さんと立原さんが不倫関係にあったことはどなたもご存じなかったんですね?2人の接点といえば半年ほど前にこんなことが…。
西野弘美:隠すなバカヤロー!出せったら出せよ!融資係に問い合わせましたが峰岸は今外回りに…。
嘘言うな嘘を!戻ったのを確かめて押しかけてきたんだ!いないものはいません。
おめえじゃ話になんねえんだよ。
峰岸を出せ!アイツは人殺しなんだ。
そんな言い方はないでしょう!あなたも分からない方ですね。
だから峰岸は今外出中で。
ふざけんなよ!
(警備員)これ以上騒ぎ立てたら警察を呼ぶぞ!警察?上等だよ。
呼んでもらおうじゃないか!そこまでにしといてください。
私は逃げも隠れもしません。
離してあげてください。
ふざけやがってやっぱり…!その件があってしばらくして…。
〜
(東野)まあ峰岸君は庇い立てしてくれた立原さんにお礼の意味でご馳走したんでしょう。
でもまさか小夜子さんというすてきな奥さんがいるのに立原君と…。
それにしても「人殺し」とは穏やかではないですね。
その時強引に峰岸さんに会いに押しかけてきたのは誰なんです?その原因は?2つの事件が重なったんだ。
キミのほうから全部話してくれ。
はい。
実は…。
嘘嘘です!雄司が立原さんと浮気してたなんて!小夜子さんは立原さんをご存じだったんですか?ええ私が新人時代の教育係でしたから。
公私共に面倒を見ていただいたんです。
担当は違っても雄司も立原さんを尊敬してました。
1円足りないだけで徹夜もいとわない銀行員の鑑のような人だって。
けど不倫なんて。
絶対そんな関係じゃありません。
何かの間違いですっ。
しかし峰岸さんの名前を記した遺書が…。
それ雄司の自筆ですか?もし手書きなら筆跡鑑定をしてください。
雄司がそんなもの書くわけがありません。
俺も女房にここまで信じてもらいたいもんだよ。
あらあなたっ。
陽子…。
お久しぶりです。
いつも主人のお守りをありがとうございます。
いえ…。
何だよオマエこんなところで。
言ったじゃない中山道ツアーだって。
昨日は群馬の坂本宿。
今日は横川の峠を越えて軽井沢宿。
まったく呑気なもんだよ。
(ツアー仲間)陽子さん先に「ドッグカフェ」に行ってるね。
すみませんすぐ行きますから。
「どっかえ」ってどこ?ドッグカフェ…軽井沢には犬を連れて食事やお茶ができる店がたくさんあるのよ。
これからそこで休憩なの。
小夜子さんどうですか?電車の時間までご一緒に。
いいんですか?どうぞどうぞこれ私の愚妻です。
あなたと違って愚かなもんですがね。
行きましょうかねあなたっ。
痛い!
(小夜子)竹村さん私おかしいんでしょうか?雄司のことを一方的に信じすぎてるんでしょうか?あの人にも私の知らない裏の顔があったんでしょうか?それは…小夜子さん夫婦関係っていうのはお互いを信じることから始まるんじゃないですかね。
ウチもちょっとしたことで争いますけど後から考えるとつまらない誤解が原因だなんてしょっちゅうです。
ご主人を信じようとなさるあなたは実にすばらしい。
白樺の枝だってきっと峰岸さんのお土産だったんですよ。
お土産を用意して自殺するなんて考えられない。
(ママ)お待たせしました。
頼んでないです。
奥さまから差し入れです。
じゃ支払いは女房が?はい。
そうはいきません。
公務執行中の警察官が民間人から飲食を提供されることはもってのほかです。
ちょっと…民間人ってあなたと私は夫婦じゃないの。
ううむじゃしかたがない支払いは私が…。
どうぞどうぞほんとに堅物なんだから。
小夜子さん偉そうに夫婦論なんか話してたけどこの融通の利かない男が私の亭主なんです。
雄司もそうでした。
ご両親を早くに亡くしたので奨学金で大学までいって…。
「だから俺あんまり遊んだことがないんだ。
趣味なんてなくてさぁ。
へえ〜小夜子は草木染めやってんのか。
面白そうだな。
俺にも教えてくれ」なんて…。
それに将来は軽井沢の景観や文化を守る活動にいそしみたいと。
不倫ですって?冗談じゃない…。
ああおいしいこのケーキ。
〜お待たせしました。
じゃあ私たちもケーキを…ねえ。
あマダム…ここは犬がフリーパスのようですがこの人に見覚えありません?ああジャックラッセルテリアの…。
ジャックってあのこの人ですよ?ですからかわいいジャックラッセルテリアを連れてたからつい…。
この方なら8日の午後ここに見えましたよ。
本当ですか!?ええ。
そちらのテラスの席で弘美ちゃんと一緒に紅茶を召し上がりました。
弘美ちゃん?ええ西野弘美ちゃん。
中軽井沢の「パイプのけむり」ってペンションで働いてる娘です。
峰岸さんは西野弘美に会うためにこの軽井沢に立ち寄った…?西野弘美…。
いいえ私の知らない方です。
知らない…。
はい。
失礼。
ガンさん?岡部です。
実は半年前峰岸雄司は担当していた町工場の追加融資を独自の判断で打ち切り結果その工場の社長が首吊り自殺をして残された一人娘が峰岸を酷く恨み八重洲支店まで押しかけてきたことがあるんです。
こちらは立原恭子の私物を調べたりして峰岸との不倫関係有無の捜査を続行してますがガンさんのほうは峰岸に恨みをもつその娘を当たってみては…?その娘さんの名前は?・西野です。
西野ですって?もしかして西野弘美では?・ええそうです。
西野の自殺後残された弘美は工場を売りその売却代金と父親の生命保険金で借金と社員の退職金を支払ったが全財産を失くし…。
無一文になったんですね?ええ。
その後弘美は東京を引き払ったそうですが銀行では行方をつかんでいないようです。
いる!その西野弘美がこちらにいます。
〜大都銀行の峰岸?殺してやりたいほど憎いよ。
一昨日の午後「ドッグカフェ」って店で峰岸さんに会ってたよね?ああ。
それが何なの?何時から何時だった?2時すぎから1時間ってとこかな。
その後キミは?車でぶらついて8時ごろここに戻ったよ。
泊まり客がいなかったんでね。
車で誰と…?独りだよ。
峰岸と会ってたら死んだ親父を思い出してムシャクシャして浅間サンラインをぶっ飛ばしてたんだ。
キミには敵みたいな峰岸さんとなぜ軽井沢で会ってたんだ?知らねえよ。
アイツ昼前に突然電話かけてきて急に軽井沢に行くことになったから会わないかって。
すると峰岸さんからキミに…?そうだよ。
それで峰岸さんとはどういう話をしたの?どうってことない世間話時間の無駄だったね。
世間話?「人殺し」って銀行まで乗り込み言い争いをしたのでは?そんなわけねえよ。
おい触んなよセクハラだぞ。
だけど何でそんなに峰岸のこと根掘り葉掘り聞くわけ?キミと会った数時間後峰岸さんが亡くなったこと知らないのか?えっ死んだってこと?ああ。
警察がきてるってことは殺されたのか?いやそれはまだ…。
知らなかったよ。
私新聞読まないし部屋のテレビ壊れたまんまだもん。
そんなニュース全然知らなかった。
死んじまったのか…。
(吉井)知らなかったなんて本当ですかね。
(木下)あの西野弘美は峰岸を殺した動機は十分ですね。
峰岸が独断で融資を断った結果工場は破たんし父親は首吊り自殺までしてるんですから。
小夜子さんまたついてきたんですか。
あなたって人は…。
竹村さん私怖い。
もしかしたらこの鍵諏訪湖署の刑事さんが言ったように立原さんの部屋の鍵ではと思うと私怖いんです。
いやそれは確かめてみないと何とも…。
竹村さん私今すぐ確かめてみたい。
もしこの鍵が彼女の部屋のものだったらそう思うと私…いくら頭で否定しても雄司と立原さんが…そう思うと私…。
よし小夜子さん。
これからそれを確かめに一緒に東京に行きましょう。
〜ガンさん…。
小夜子さん岡部警部です。
この人は信用できる人です。
で岡部警部当然不倫の証拠など出てきてませんよね。
それが…確固たるものではないけど一緒に飲み歩いた程度のものはいくつか。
同じ支店の同僚だし立原女史と小夜子さんは親しいんだからそれぐらいは…。
いずれにせよ小夜子さんの持ってる鍵が合えばやはり不倫関係は本当だったということになります。
さあ。
〜小夜子さん…。
〜入らない入らないわ。
それじゃこの鍵いったいどこのなんですか?
(チャイム)はい。
臼井さん…。
東京に戻ってきたと聞いてね。
どうぞ…。
諏訪湖署のほうから一度は「死亡診断書」が出たんですけど竹村警部の再捜査が終わるまで棚上げに。
いや葬儀一切を僕が仕切れって東野支店長に頼まれたんでね。
事情が事情だからあまり広げず小夜子さんたち身内と支店で親しかった同僚だけの葬儀ってことで。
いろいろご迷惑おかけしましてすみません。
いや謝らなきゃならないのは僕のほうだよ。
いくら事件解明のためとはいえ峰岸君と立原さんのあれこれを警察に話さざるをえなくて。
いいんですそんなこと臼井さんの責任じゃないもの。
2人の間には何もなかったって信じたいけど…。
僕だって内心では不倫なんて信じてないんだ。
私あの鍵が立原さんの部屋のものじゃないって判ったときほっとした。
でもそれならあれはどこの鍵なんだろうって…新しい疑問が…。
鍵!?鍵って…?あっごめんなさい。
臼井さんにはまだ話してなかったんですよね。
雄司のキーホルダーに知らない鍵が付いてたんです。
実は今日立原さんの部屋に合わせに行って…。
「峰岸雄司」の名前はパソコンで打ってあるから筆跡鑑定はできない。
だから峰岸さんが書いたものかどうか判らないわけですよね。
ただ…印字された文字からパソコンの種類が特定されます。
銀行内でも自宅でも峰岸本人が使っていたパソコンなんですよ。
パソコンで打った文字でも筆跡鑑定みたいなことができる?ですが銀行内では全行員がこれと同じパソコンを使っています。
ということはたとえば銀行内の誰かが峰岸さんの名前を騙ってこれを打ち恭子さんの部屋に侵入して睡眠薬入りのブルーベリージュースを飲ませて殺害しこの遺書を引き出しに入れたということも考えられるわけですか?可能性としてはね…。
う〜ん…。
ところでガンさん2人の被害者が勤めていた大都銀行ですがやたら最近きな臭くなっていますね。
うん近々合併するとかしないとか…。
そうなんですよ。
多額の不良債権を抱えてニッチもサッチもいかないらしい。
ところが東陽銀行との合併派と反合併派で内部は大揺れだとか…。
(富原専務)東陽銀行との経営統合なくして我が行の生き残る道はない。
(梶野専務)自主再建の可能性もまだあるでしょう?手助けしようとしてくれてる企業もあるんだ。
そういう情を重視した日本的経営が我が行をここまで苦しくしたんじゃありませんか。
ここは富原専務のおっしゃるとおりビジネスライクに合併を進めるべきです。
重役陣の中でいちばん力を持つ富原専務と常務で八重洲支店長を兼ねる東野健一郎が東陽銀行との合併推進派だそうです。
八重洲支店の支店長!?そうなんですよガンさん…銀行というところはですね我々が日常使う窓口にいる行員は一般事務課といって出世コースから外れている場合が多いんです。
長い間窓口業務をしていた立原恭子もいわばお局さま的な存在だった…。
ところが峰岸が配属されていた融資営業課はエリート中のエリートばかりが集められている。
順調にいけば30代後半で課長。
その後副支店長支店長と上りつめ最後は重役になるかなれなくてもそれまでの融資先や取引先へ役員として出向できるんです。
小夜子さんは「出世欲はない」と言っていた。
しかし峰岸はその出世組の1人だった。
しかも八重洲支店ともなれば大都銀行のなかでも一番の規模と大手の顧客を持つ支店です。
峰岸は前途洋々だった。
だが半年前に支店の方針に反して西野弘美の父親の工場への追加融資を独断で打ち切り最近では有力IT企業への融資をこれまた独断で断って銀行へ多大な損失を与えた。
ところがねガンさん…結果峰岸の判断は正しかったんです。
えっ!?そのIT企業は他の銀行から融資された金を本来の目的に遣わず株を売り抜いて経営者は大金を手にして消えてしまったんです。
じゃあ融資を断った峰岸は大都銀行の損失を食い止めたことに?そうなんですよ。
でも峰岸は上司に何の相談もなくなぜ独断であえてそんな決裁をしたのか?彼が言った「やり残した仕事」とは何なのか?峰岸雄司と立原恭子との不倫を具体的に裏付けるようなものは今のところこの紙切れ1枚だけ。
ガンさんと私の事件何か底が深いような…。
う〜む…。
すみません…これ貸していただけませんか?警部…。
こんな記事が出たんじゃあれは無理心中事件だったという印象を世間に与えてしまう。
情報がウチから漏れるわけはない。
いったい誰が何のために?〜下手ッピー!こうやるの…〜キミだってそんなに上手くないのに…。
あ〜ごめんボウル取ってくれる?あ〜…あれっ!えっ!?ハハハ…。
付いてる?うそ〜!あ〜ハハハ…〜
(ドライバーを窓ガラスに差し込む音)〜
(ガラスを割る音)〜泥棒〜!〜泥棒〜!〜盗まれたものは?特にないようです。
現金や預金通帳はその引き出しに入ってるのに一切手つかずで…あの男は何を狙ってたのか…。
う〜む…。
どうぞ…温かいうちにレモネードでも…。
ありがとうございます。
あ〜…おそれいります。
いただきます。
しかし小夜子さんこれは単なる物盗りではありませんね。
何か特定のものを狙って侵入したとしか思えませんね。
いったい何を…?このキーホルダーはいつもここに?いいえいつもどおり玄関口に他の小物と一緒に。
他に盗まれたものはないかと点検しようとした時にちょうど竹村さんがみえたので…。
ひいふうみい…。
竹村さん!鍵が1つ無くなってる。
そうシリンダーキーだ!じゃじゃあさっきの男はあの鍵を盗みに!?しまった!やっぱりあの鍵は事件の謎を解く重要なものだったんだ。
もっと大切に扱っておけばよかった。
あ〜…私としたことが…。
合鍵こそ作っていませんがこれ…。
うん…これは?もしものために製造ナンバーを控えておいたんです。
よかったよかった。
本当によかった。
小夜子さんでかした!本当に助かります。
すばらしい!失礼しました。
すみません。
何をやってんだ!すみません。
竹村さんたちがあの人の死の真相を突きとめようと頑張ってくださってるのが私本当に心強いんです。
小夜子さん峰岸さんが残された鍵のことについて誰かに話しましたか?あ〜…宵の口に葬儀の相談に見えたので臼井さんには…。
臼井さん…。
あ〜…ちょっと…。
小夜子さん…。
嘘だ…。
嘘よこんなこと!雄司は誰かに殺されたんだわ!だから犯人はあの鍵を…。
小夜子さん小夜子さん…しっかりしてください。
こんなのはみんなガセネタです。
私は全身全霊を傾けてあの鍵がどこのものであるかを探ります。
そして必ず峰岸さんの死の真相を解いてみせます。
ですから落ち着いてください。
〜竹村さん…。
〜〜昨日の深夜ですか?家で独りで寝ていましたが…。
それを証明してくれる人は?誰もいませんよ。
僕は独り者ですから。
でもなぜそんなことを?鍵…。
えっ!?あなた昨夜峰岸さんが残した鍵のことを小夜子さんから聞きましたよね。
は…!?え〜…。
あなたはその鍵がどこのものであるかご存じなんじゃないんですか?私が!?なぜです?その鍵がどこのものなのか知っているからこそあなたはその鍵を…。
その鍵を僕がどうしたというんです?
(木下)警部はやはり臼井敏男が小夜子さんの部屋から鍵を盗み出したと考えているんですか?さあね…彼がやったという証拠は何もないからね。
しかし西野弘美の父親の自殺と峰岸さんのIT企業への融資打ち切りの件を供述したのがいずれも彼だというところが引っかかるんだよ。
不倫スキャンダルを夕刊紙に流したのも彼かもしれませんね。
う〜ん…。
諏訪湖署は一時臼井と小夜子さんはただならぬ関係だと見ていたようです。
それは見当違いだろうな。
今度の事件は無理心中なんかじゃない。
大都銀行の中に根っこがありそうな気がする。
(杉山)キーの製造ナンバーからウチが販売した先が判りました。
どこですか?同じ型のシリンダーキーが200個株式会社フェアリーに納入されてます。
フェアリー…!?同時に200個も?フェアリーは不動産の開発販売の会社なんです。
2年前に広大な別荘地を開発しそこにかなりの戸数の家屋を建設した。
その際に一括してこのタイプのキーを購入されたんです。
今別荘地と言われましたよね?はい…。
もしかして軽井沢では?そうですが…。
やっぱり軽井沢だ。
〜
(五十嵐)いくら警視庁の警部さんでもニュースソースを明らかにすることはできませんよ。
ですが大都銀行の内部それも八重洲支店勤務の誰かのリークだとしか思えないんですがね。
ノーコメント…。
2人が本当に不倫関係にあったかどうかが2つの事件の謎を解く鍵なんです。
誰がリークしたか判明すれば事件は解決に向かって一歩も二歩も前進します。
ノーコメント…。
オタクの新聞は通常スキャンダル記事はあまり取り上げない。
むしろ経済界内部に詳しい…。
どうせブラックジャーナリズムだと言いたいんでしょう?いやいや私も真面目な預金者ですからね。
今まで護送船団方式で守られてきたがこれからの銀行の行方には人並み以上の興味があるんです。
もしものことがあって預金が戻ってこなくなったら薄給取りには大打撃ですからね。
警部さん大都銀行に預金してるの?え〜…まあ…。
内部抗争はもうどうしようもないとこまできてるからね。
ま…近いうち公になることなら少しは話してもいいけど…。
是非…。
ただし持ちつ持たれつ。
2つの事件が解決しそうになったらウチに優先的に情報を漏らしてくれますかね。
あ〜…う〜…。
〜
(土屋)このナンバーの鍵は「郭公の森」の別荘地のものです。
どなたの別荘の鍵か分かりませんかね?ここでは分かりかねますが郭公の森には別荘の管理事務所があります。
そこなら分かるかも…あっ…。
そういえば管理人の渡辺さんここ数日行方不明なんです。
行方不明?〜
(桜井)ご苦労さまです。
渡辺管理人は9日の夕方から行方をくらましたままです。
9日の夕方から…。
ある別荘の水道栓を開ける約束をしていたんですが別荘の主が東京から着いても栓は開いていない。
けしからんと抗議に来たんですが10日の朝になっても現れない。
それで失踪届けを?え〜…。
お〜よしよしお腹空いてたんだ。
かわいそうにな…。
この小犬は?渡辺さんの飼い犬です。
別荘地の中を毎日飼い主を捜して走り回ってたようです。
(小犬の鳴き声)も…もしかしてジャクラッセ…。
ジャックラッセルテリア。
木下この小犬の毛を2〜3本いただいて鑑識に届けてくれ。
峰岸さんの車に残ってる毛と一致するか至急調べてほしい。
了解。
ごめんな…。
大事な毛を抜いちまったな。
あの…キーボックスを見せてもらっていいですか?どうぞ…。
〜うわ〜っ!この中に峰岸さんが持ってた鍵と同じのがあるはずなんだな。
製造ナンバーが一致するのはいったい誰の別荘の鍵なんだよ。
あの〜…参考になるかどうか分かりませんが…。
なんです!?行方不明になる前の8日の夜に渡辺管理人に会った人の話では渡辺さんは脚に怪我をして当日軽井沢病院に行ったそうです。
念のため病院に問い合わせてみたら…。
飯塚:渡辺さんが治療に来たのは確かに8日の午後でした8日の午後!?別荘地の道路補修に出かけて足をくじいたというんです。
怪我は大したことなかったんですが…。
当座は痛くて歩けなかったらしいんです。
そこへ見知った人が車で通りかかり渡辺さんを乗せてここまで送ってくれたんです。
渡辺さんの小犬と一緒に…。
小犬と一緒に!?え〜…外来の診療は午前中だけなんです。
1時半頃私が往診に出かけようとしたら…。
気をつけて…ゆっくり…。
あ〜…先生間に合ってよかった。
ちょっと足をくじいちまったんでね。
中に入って…。
どうも…。
治療が終わるまでこのワンちゃん預かってましょうか。
そう願えれば…でもどなたかと待ち合わせなんでしょう?4時に別荘に呼ばれたんだけど早く着いたんで急きょ若い女性と一緒にお茶を飲む約束をしたんです。
どちらで?茜屋コーヒー店。
あそこは犬が入れません。
離山通りの六本辻にドッグカフェがあります。
あそこなら犬が入れます。
電話して場所を変更しますよ。
ガソリン入れてお茶を飲んで1時間ほどで迎えにきます。
何から何まですみませんそうか…だから峰岸さんはガソリンスタンドやドッグカフェで西野弘美に会った時小犬を連れてたわけだ。
渡辺さんを送ってきた車の主はこの人じゃありませんか?〜はい…。
この人は4時にどこの別荘へ行くと言ってました?そこまでは聞いてないです。
あ〜…そう…。
〜ありがとうございます。
(ブレーキ音)やぁっ!どこの別荘に呼ばれたかだって?そんなことアイツ話さなかったよ。
この間も訊いたけど峰岸さんは何でキミを呼び出したのかな?それに「人殺し」とまで罵ったのになぜ彼に会いに行ったのかな?最初は憎かったんだ。
本当に殺してやろうと思ってた。
でも少し時間が経って冷静になって親父の周りにいた人たちの話を聞いてみたら違ったんだよ。
違った!?何が?アイツ…峰岸さんが半年前に融資を打ち切ってなかったら親父の工場泥沼だったんだって。
生命保険金で借金返しただけじゃ済まなかったって…。
峰岸さんは心を鬼にして親父に最後通告してくれたんだ。
あれ以上の融資を受けていたら工場は担保に取り上げられ私は無一文どころか一生かかっても返しきれないほどの借金を抱えていただろうって…。
それを結果として峰岸さんが救った。
大都銀行の本当の狙いは親父の工場の跡地だったんだ。
大都はあそこを合併する東陽銀行にすぐに転売する予定だったんだって。
東陽銀行に!?うん…。
いくつかの工場を融資の貸しはがしで取り上げて東陽銀行は大きなオフィスビルを建てるつもりだって峰岸さんが。
大都が担保に取った土地を東陽に転売…。
峰岸さんは大都の行員なのに親父が窮地に陥るのを食い止めてくれたんだ。
じゃあなぜこの間は峰岸さんのことをあんなにひどく言ったんだい?死んだなんて知らなかったから。
峰岸さん私にこう言ったんだ。
弘美ちゃん…俺を銀行を憎み続けろよ。
誰かを憎むことが生きていくバネになることってあるんだからさ。
ことはどうあれ僕がキミの親父さんを追いつめたことに変わりないわけだからさ。
峰岸さん…変なヤツだったよアイツ…。
「近いうち銀行は辞めるつもりだ。
軽井沢に住むようになったら町内会同士になるからよろしく…」なんてさ…。
〜
(弘美)かわいそうだよねあの奥さん。
〜独りになっちゃって…。
〜〜ねえ私アリバイなんてないけど〜峰岸さんのこと殺してないからね。
〜〜どうした?犬の毛のDNAはみごと一致しました。
はい竹村…。
ガンさんちょっと話があるんだが至急戻ってくれんか。
分かりました。
キミは吉井くんと一緒に管理事務所の鍵を洗ってくれ。
分かりました。
〜本部長がどうしても代議士の不当な圧力に屈するというなら私は部下に対して説明のしようがありません。
捜査の責任者として責任を取らせてもらいます。
(栗原本部長)まあ待てよ大森くん。
大人気ない。
大人気ない!?はい公正な捜査のためなら私はいつまでも子供で結構です。
上に対して物分かりのいい捜査員でいたいとは思いません。
失礼します!
(ノック)本部長!辞職なさるんですか?何で私が…。
辞めると言うのは大森くんのほうだ。
署長が!?どこか健康に問題でも?そういえば近々病院に行くとおっしゃいましたね?ガンさんに託した事件を「無理心中の果ての自殺で幕引きしろ」と地元の代議士から横やりが入ってるんだよ。
なんですって!?そんなこと許されていいんですか?署長…。
許されていいわけないだろう!だから私は辞表を出したんだ。
もうまったく大人気ない!本部長と同じこと言うなよ!こんなもの…!あっ…ガンさん!こんな紙切れ1枚出す出さないで捜査が左右されちゃたまりません。
本部長私は事件が曖昧に済まされないように粉骨砕身努力しています。
被害者の奥さんも病弱な身を顧みずご主人を信じて我々の捜査結果を待ち続けているんですよ。
それなのにあなたは政治的圧力に屈しようというんですか。
もしあなたが屈したら警察は闇です。
二度と取り返しがつきません。
私はどんな妨害が入っても絶対に捜査を続けます。
もしそれが目障りなら…。
(灰皿の砕ける音)あっ!器物破損罪で私を即刻逮捕し留置場にぶち込んで自由を奪ってください。
まったく大人気ない…。
なんだよガンさん俺が本部長の前で大見得を切ろうと思ってたのに…。
すみません。
つい興奮しちまって。
それで正直言ってどうだ捜査の進展具合は?諏訪湖署の判断を覆すだけの材料はそろったのか?やはり今回の事件は無理心中事件ではありません。
無論それぞれ単独の自殺でもありません。
その背後には大都銀行の合併話というか…複雑な内情が絡んでいることは間違いありません。
まず峰岸雄司のほうは東野八重洲支店長や東陽銀行との合併派の富原専務の意志に反して銀行員としての良心から自分なりに融資の差配をしたことで軋轢が生じたのでしょう。
峰岸は融資業務を通じてその他の大都と東陽の合併を巡る癒着の秘密をつかんでしまったのかもしれませんね。
そのために殺害されたというわけか…。
心中に見せかけて…。
おそらく。
午後5時から7時という死亡推定時刻からして彼が死んだのは白樺湖の湖畔ではありません。
諏訪湖署は軽井沢のガソリンスタンドの聞き込みはやってますが彼が一緒に連れていた犬のあの…ジャクラテには気づかずにその後の彼の行動を把握しきれてないんですね。
彼はおそらく軽井沢の郭公の森のどこかの別荘で殺されたんでしょう。
彼が持っていた鍵の製造ナンバーを管理会社の役員立ち会いのうえ目下吉井君と木下君たちが照合しています。
ほう…。
しかしいまひとつわからないのは立原恭子がなぜ峰岸雄司の心中の相手に選ばれたかです。
岡部警部の捜査でも彼女のプライベート面がなかなか浮かびあがってこない。
多分東陽銀行との合併推進派と彼女との接点がどこかにあるはずなんですが…。
やはりそうか…本部長に脅しをかけてきた代議士は大都と東陽の合併問題に深く関与している節がある。
無論利権がらみ。
その点を鑑みるとガンさん…ガンさんと岡部警部の推論はおそらく的を射ている。
だからこそガンさん…ホシは絶対あげてほしいんだ。
こんな巨悪をのさばらせておくことは絶対できん!はい。
ん?その着メロ「信濃追分」は私の特許だぞ。
もしもし…おお吉井君か連絡待ってたよ。
警部…鍵のナンバーが合う別荘がやっと判明しました。
だ…誰の別荘だ?それがですね警部…実は意外な人物だったんです。
(小犬の鳴き声)おい!どうした?署長!事件解決まであと一歩というところまでこぎ着けました。
あとは動かぬ証拠をつかんで巨悪を一気にあぶり出します。
よ〜し分かった。
頼むよ!〜渡辺さ〜ん!渡辺さん大丈夫ですか!?しっかりしてください!はい分かりました。
私…夫のキーホルダーにあった鍵の秘密が分かったんです。
そのこと警察には言ってません。
私将来が不安なんです。
取引しませんか?ええ…はい。
じゃあ…取引に応じてくれるんですね?では明日の正午軽井沢のあなたの別荘で…。
〜
(男)ちぇっ!どこにやっちゃったんだよ!〜〜おい!おとなしくしろ!〜う…うう〜っ!〜君は!?〜これ以上騒ぎ立てたら警察を呼ぶぞ!警察?上等だよ!早く呼びなよ〜っ!!大都銀行のガードマン!〜純情な未亡人だと思っていたら…。
キミ…意外な顔を持っていたんだね。
まあいい。
峰岸君がこの鍵を持ったままだったのを見逃したのはこっちのミスだった。
だから私の部屋に忍び込みあの鍵を取り戻させたんですね?ああ…。
たがキミが製造番号を控えていたとはね…。
アイツもドジを踏んだものだ。
しかし小夜子君キミも詰めが甘いな。
私が黙って取引に応じるとでも思っていたのかな?本当はこんなことはしたくないが大都銀行が…私たちが生き残るためにはしかたがない。
勘弁してもらおうか…。
いや〜っ!放して!おい!何をしてるんだ?早く出てこい!いやっ!〜東野支店長!〜今あなたが呼んだのはこの黒木さんですよね?〜〜残念ながらあなたの協力者は昨夜小夜子さんを襲おうとして岡部警部に取り押さえられました。
この黒木さんは表の顔は八重洲支店の警備員。
だが裏ではあなた方の配下として犯罪に加わっていた。
そうですよね?小夜子さん…今回の偽装心中事件を仕組んだのは東野支店長ですよ。
何ですって!?ふん…バカな。
8日の日あなたは内密な話があるからと言って峰岸さんをこの別荘に呼び出した…。
「外回りに行く」と言い残して峰岸さんは支店を出る前に医務室に寄りかねて頼んであった常備薬の睡眠薬を受け取り愛車を飛ばして軽井沢に来たが早く着きすぎたので父親を失って天涯孤独になった西野弘美さんに電話してお茶に誘った…しかし弘美さんと落ち合う前に見知った渡辺管理人が怪我をしているのを見つけ病院まで送り治療中小犬を預かった。
そしてガソリンスタンドに寄りドッグカフェで弘美さんと会いその後病院に渡辺さんを迎えに行った。
そして管理事務所まで送ってもらった渡辺さんは依然足の調子が思わしくないので顔見知りだし世話にもなった峰岸さんなら信用できると思い東野さんの別荘の鍵を渡すから自分で開けて東野さんの到着を待ってくれと頼んだ。
峰岸さんは預かった大切な鍵を紛失しないように自分のキーホルダーに差し込み東野邸に向かった。
ところが東野邸に着いてみると先に到着した黒木さんが合鍵で玄関を開けていたので結局峰岸さんは渡辺管理人から預かった鍵は使わずじまいだった。
〜そして東野さんの命を受けた黒木さんは〜峰岸さんの目をかすめて睡眠薬を盗み〜ブルーベリージュースの中に大量に入れ飲ませた。
〜その日に峰岸さんがかなりの量の睡眠薬を〜もらうことを東野さんは知っていた。
〜
(郭公の鳴き声)黒木さんあなたはその後…遺体を積んだ峰岸さんの車で夜道を飛ばして白樺湖に急ぎいかにも自殺死体のように偽装して遺棄した。
ところが黒木さんあなたは峰岸さんが渡辺管理人から東野邸の鍵を預かったことなど予想もしなかった。
だから鍵はそのまま残され小夜子さんの手に渡った。
東野さん…あなたがそれを知ったのは…。
私あの鍵が立原さんの部屋のものじゃないって分かってホッとしたんです。
でも…それならあれはどこの鍵なんだろうって新たな疑問が…。
鍵?鍵って?ごめんなさい…臼井さんにはまだ話してなかったんだわ。
雄司のキーホルダーに…小夜子さんが臼井さんに相談する形で話し…それを聞いた臼井さんがまさかあなたが今回の事件の主犯だとは知らずにそのことを話してしまったからだった。
そうですよね?臼井さん…。
そうです。
竹村さんと同じように僕は峰岸君が自殺したとは…どうしても思えなかった。
立原さんの件も…。
だから自分なりに調べてみようとして軽井沢に支店長の別荘があることを思い出し…探りを入れてみたんです。
ああ確かにキミに鍵のことは聞いたよ!だがなぜ峰岸君がここの鍵を持っていたかなんか知らんな。
ああ…峰岸君は何回か仕事でここに来たことがある。
だから管理人とも顔なじみだった。
きっと合鍵をこさえておいたんだろう。
いいえ峰岸さんが持っていたのは8日の日に渡辺管理人が直接渡した鍵です。
どうしてそんなことが言い切れるのかね?渡辺さん…。
私を病院まで連れてってくれた峰岸さんが翌日死体で発見されたことをテレビのニュースで見て…私はすぐに東野さんに電話して…前の日に別荘の合鍵を峰岸さんに貸したことを話したんです。
東野さん…あなたはそれを聞いて慌てた。
だから我々がそれがここの鍵だと気づく前に何としてもその鍵を取り返そうとした。
同時に秘密を知る渡辺さんの口を封じようとして…。
やあ〜っ!うわ〜っ!!〜〜そうですよね?黒木さん…。
そして小夜子さんが諏訪湖署から渡された遺品の中に鍵があることを臼井さんから聞いたあなたは再び黒木さんを使って小夜子さんのマンションに忍び込み鍵を盗み出したんです。
東野支店長!あなたたちの計画はそれだけではなかった。
〜峰岸さんの死を無理心中の果ての〜自殺だと見せかけるため〜銀行内のさまざまな秘密を握っている〜立原恭子さんを心中の相方に選び抹殺した…。
〜それを私がやったとでも言うのかね?〜ええ…1年の大半は支店内で業務に励むあなたが〜8日に限って午前11時から〜5時間ほど外出してますからね…。
〜〜当初の計画ではおそらく2人の死体を〜白樺湖の湖畔に並べる計画だったんでしょう…。
〜しかし心臓に疾患があった立原さんは〜多量の睡眠薬を飲まされショック死してしまった…。
〜東野支店長…焦ったあなたは〜彼女を白樺湖まで運ぶのを断念し〜立原さんをそのまま部屋に放置して〜偽造した峰岸さんの遺書を引き出しに入れ〜立原さんを殺した後に峰岸さんが〜自殺を図ったと思わせようとしたんです。
〜そして2人が心中だったと世間に思わせるため〜ありもしない不倫話を匿名のメールで夕刊紙に送った。
〜ひどい!
(郭公の鳴き声)どうして!?どうしてそんなことを!小夜子さん…すべては東野さんたちが富原専務と一緒に進めている東陽銀行との合併のためです。
だが融資係の峰岸さんは自分たちの身を守るために融資を受けた人たちが犠牲になるのを全力で阻止した。
それに合併の暁に同僚たちが無惨にリストラされるのを防ぐため必死に債権の回収に努めたんです。
銀行に残るつもりがなかった峰岸さんは自分が犠牲になることをいとわなかった。
雄司…。
そのうえ富原専務や東野支店長が今までに手がけた不良債権の証拠も握っていた。
だから…。
だから?だから殺されたんですね?小夜子さん…。
東野さんあなたたちは銀行の将来とか〜自分たちの私利私欲のために〜雄司を…恭子さんを手に掛けたんですね!〜僕も専務や支店長が極秘事項で進めてきた〜不良債権をうすうすとは知っていた。
〜〜だが告発するまでの考えは浮かばなかった。
〜〜
(臼井)でも峰岸君だけは違った…。
〜彼は不正を絶対に許せなかったんだ。
〜〜小夜子さん…峰岸君を見殺しにしてしまったのは〜僕や…無関心だった行員たちなんです。
〜〜惜しい人間を…死なせてしまった。
〜臼井さん…一時たりともあなたを〜疑ってしまった私を許してください。
〜〜竹村さん…そんな…。
〜小夜子さん峰岸さんの「銀行にやり残した仕事がある」という言葉には不正を正し…告発し同僚をひとりでも多く救おうとする意味がこめられていたんですよ。
〜部下を…人を殺してまで守ろうとするものなんて〜一時しのぎでどうせすぐに壊れるに決まっている!〜それなのにあなたたちは…。
〜あなたたちは雄司の命を!〜日々業績悪化の大都銀行と〜行員を救うために合併を進めた。
〜〜それを妨害する者は断じて排除した。
〜〜小夜子さん!〜〜私…私あなたたちを絶対に許さない!〜絶対に…。
〜〜すべては日本の金融システムを〜救うためにやったことだ!〜〜東野さん…それは思いあがりですよ。
〜自分たちの権益のために人の命を〜虫けらのように扱ったあなたたちの罪は重い。
〜だがあなたたちの上にはさらなる権力を〜謳歌しようとしている人物がいる!〜〜〜雄司…。
〜〜2人で軽井沢に住みたかったよね…。
〜〜富原専務…あなたは東野さんと一緒に東陽銀行と合併する道を強引に進めてこられた。
しかし優秀な融資営業マンである峰岸さんは銀行員の本来の形を全うしようとした。
西野さんの工場のように貸すだけ貸して干上がらせ担保として土地を差し押さえ合併の手土産に東陽へ転売するという企ても身をもって阻止した。
合併のために不良債権をできるかぎり覆い隠そうとしていたあなたたちにとっていつしか峰岸さんは目障りな存在…いや合併のためには障害物にすらなった。
一方立原恭子さんの周辺からは富原専務…あなたの影が浮かんできています。
あなたは彼女と関係を続けるうちあなたが進めている合併の裏金操作の秘密を握られたんじゃありませんか?そしてあなたは東野支店長と黒木さんを使い…。
何か証拠があるのかね?東野君たちが…自分たちが犯した犯罪に私が関与していると供述したのかね?自白に追い込むのは時間の問題です。
証拠のない自白で検察が動くわけがない。
とにかく…私は次なる合併を必ず仕掛ける。
キミらのような烏合の衆に関わり合ってるわけにはいかん。
即刻出て行きたまえ!しかし…あなたがさらなる犠牲を強いてでも野望を遂げようとなさるなら私は容赦はしない!代議士だの何だのの圧力には屈せず必ずあなたを法廷の場に引きずり出してみせる。
ふん!ナンセンスだ。
キミら青二才に世界経済の中での日本の舵取りの困難さが分かってたまるか!分かりたくもありません!ただ…心ある部下を殺したうえに野望を遂げようとする人でなしを叩きのめす覚悟だけはあります…。
富原専務…私と岡部警部は粘り強く東野さんたちの取り調べを続ける所存です。
人間の命の尊さを説き彼らの心を支配している〜誤った観念を打ち破りすべてを差配する〜悪のボスの…奥の院まで踏み込むつもりです。
〜岡部警部の背中には警視総監以下全警察官…。
〜私の背には長野県警本部長以下〜全署員の期待と覚悟を背負っております。
〜ですからあなたもそれなりの覚悟をしておいてください。
〜〜ガンさん…富原専務にはああやって挑戦状を叩きつけたものの…本当の病巣を摘出するには大変な努力と時間が要ります。
お互い…頑張りましょう。
そうですね…岡部警部も私も人間の命を何とも思わないヤカラを見るとどうにも我慢ができなくなるようですね。
それじゃガンさん…。
岡部警部…よろしく!竹村さ〜ん!小夜子さん…見送りに来てくれたんですか?ええ…でも東京駅に行ってしまって…。
慌てて長野県警に確かめたら竹村さんはいつも上野駅からだって…。
そうなんですよ。
昔からの習慣で田舎に帰るというと上野なんですよ…。
竹村さん。
はい。
あれから考えたんですけど…支店長に別荘に呼ばれたとき雄司は身の危険を感じたんじゃないかって…。
だから管理人さんから預かった鍵をこのキーホルダーに括ったんだわ。
これは…最後の瞬間の雄司の私へのメッセージなんです。
小夜子さん…。
〜〜ああ…あのこれ…。
〜〜雄司が最後のお土産にした…〜白樺の枝で染めたんです。
〜小夜子さん…そんな大切なものを私に?ええ…私が駆け込み訴えをしたんでしかたなく再捜査のマネだけする刑事さんだったら雄司の無念は晴れなかったと思うんです。
担当されたのが竹村さんで本当によかった。
ハハハ…いやいやそれは私じゃないんです。
大森署長…いや大森刑事部長のお陰ですよ。
あのタヌキ親父…栄転祝を届けたのをいいことに折角の休暇中の私をこき使って…。
〜〜ハ…ハ…ハクション!どうです?岡部警部〜似合いますか?ええ…ガンさん意外に〜派手な色似合いますね。
それほどでも〜ないですがねフフフ…。
ありがとう〜小夜子さん…。
信州の冬は寒いですから〜これを巻いたとき私のことを〜思い出してください。
思い出すも何も…片時も〜あなたのこと忘れません。
〜フフフ…まあ!軽井沢にお店を出すときには〜必ず知らせてください。
女房と一緒に〜お邪魔します。
〜ええ…是非。
竹村さん〜岡部さん…本当に…本当に〜ありがとうございました。
こちらこそ〜ありがとう。
〜ただいま!〜おかえり〜。
〜ほら…東京土産だ。
〜えっ?「雷おこし」?〜古いなぁオマエも…。
今デパ地下で〜大人気のスイーツだよ。
〜ほう…スイーツね。
〜分かってんのか?知ってるわ…それにしても〜随分派手なマフラーじゃない?〜ちっとも似合ってない。
そんな…これは世界で〜ひとつしかないんだよ。
世界の中心で〜マフラーが呼んでいる!何言ってんの?〜ちょっと貸してごらん。
〜貸してごらんなさい!おい!何すんだよ。
〜返せよっ!〜2015/12/12(土) 15:00〜17:00
テレビ大阪1
内田康夫サスペンス「信濃のコロンボ事件ファイル7 見知らぬ鍵」[字]
交番の巡査から叩き上げで警部になった熱血漢・竹村岩男が活躍する人気シリーズ『信濃のコロンボ』の第7弾。
詳細情報
番組内容
長野県警の竹村は、白樺湖で遺体で発見された都内の大手銀行マン・峰岸の事件の再調査に乗り出す。体内から睡眠薬が検出され、仕事上のミスも指摘されたことから所轄では自殺と断定したが、峰岸の妻・小夜子が異論を唱えていた。峰岸の車からは飼っていない犬の毛が採取され、遺品に不審な1本の鍵が見つかる。そんな中、峰岸の同僚・恭子が死体で発見され…。
出演者
竹村岩男…中村梅雀
竹村陽子…原日出子
岡部和雄…松村雄基
峰岸小夜子…遊井亮子
東野健一郎…田中健
西野弘美…神戸みゆき
大森修治…里見浩太朗
木下…宮下直紀
吉井…加藤純平
臼井敏男…志村東吾 ほか
原作脚本
【原作】内田康夫
【脚本】佐伯俊道
監督・演出
【監督】江崎実生
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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