アガサ・クリスティー トミーとタペンス(1)アンコール「秘密機関(1)」 2015.12.12


(ため息)
(タペンス・ベレスフォード)何フランか出せばポーターを雇えるのに…。
(トミー・ベレスフォード)僕だって手が空いてりゃ手伝うよ。
そんな物大事そうに。
こいつが大金をもたらすんだからな。
だったら私は空飛ぶブタを追うわ。
何だい?それ。
別に何でもない。
(アナウンス)「ただいま2番線に停車中の列車は…」。
ここだ。
悪くない列車だろ。
ウン。
(アナウンス)「ご利用のお客様はご乗車になってお待ちください」。
んんフッ…ウッ。
フウ…。
(男)よいしょ。
(女)ありがとう。
なあ揺れが少ないのはどっちの席かな?窓側かな通路側かな?ウン…たかが虫よ。
バカにする気はないけど所詮虫は虫よ。
とても大切なね。
ウン。
私は?僕の奥さん。
アァ…。
(アナウンス)「2番線に停車中の15時10分発カレー行きの列車は定刻どおりに発車いたします」。
気をつけて!ああ大事な物なんで。
どちらまで?
(ジェーン・フィン)カレーです。
そこからロンドン。
同じね。
うん。
誰かお探し?アッいいえ。
今何時かしらと思ったの。
列車が時々遅れるから。
3時10分になるわ。
じゃあそろそろね。
(羽音)ミツバチにご興味は?やめてトミー。
興味あるかもしれないだろう。
主人は夢中になってるんです。
ビジネスでね。
みんな深く考えもせず何気なくパンに蜂蜜を塗るがその裏には生物学がある。
ご覧なさい。
(蓋を開ける音)ウン…。
(羽音)
(羽音)きっと血統書付きの女王蜂だ。
外に出たがってますわ。
なにうちに帰るまでです。
首輪を付けるわけにはいきませんからね。
フン。
そうでしょうね。
もちろん。
女王蜂の生態は知られてない。
ああ例えば…。
私食堂車に行かないと。
失礼します。
どうぞ。
(せきばらい)彼女訳ありなんだわ。
表情が普通じゃない。
サンドイッチ食えるかな?尾行されなかったか心配で。
(ドミニク・ヴィリエー)それで?分からない。
ピガールで見かけた男がさっきホームにいたの。
私できない。
引き受けたのはあなたが命を狙われてるって言うからよ。
それは本当の事だジェーン。
例の包みをロンドンまで運んでくれ。
ん…ウン。
ハッ…。
何を探してるの?
(汽笛)今日はやけに詮索したがるな。
飲んで気を落ち着けろ。
(お酒をつぐ音)ロンドンで会ったら踊りに行かないか?ドミニク…。
あのころみたいに。
フン…。
やめて。
楽しかっただろ?ジェーン行け。
あなたは?いいから行け!
(銃声と汽笛)
(悲鳴)いやだ。
何?列車の汽笛だよ。
何でもない。
(おびえる声)本当に何でもない?アァ…。
(男)何だ?一体。
(ジェーン)ハァー。
(ざわめき)何の騒ぎ?
(ため息)
(女)おお!
(男)おい!ハァ…。
(引き戸を閉める音)
(はなをすする音)
(引き戸をたたく音)
(汽笛)探偵小説の読みすぎなんじゃないのか?バカらしい。
(引き戸をたたく音)
(窓ガラスを割る音)列車の汽笛を聞いただけですぐ悲劇や殺人を連想する。
(窓ガラスを割る音)新聞読んだほうがいいよ。
(銃声)
(どよめき)
(男)逃げろ。
(ジェーン)ああ…。
ウッウゥ…。
ねえさっきの女性戻ってくると思う?
(笛)タペンス。
名前は分かったわ。
ジェーン・フィンよ。
(羽音)
(テーマ音楽)
(雷鳴)出てない。
2週間たつのに新聞に1行も出ないなんて変よ。
もうほっとけよ。
何か起きたはず。
別の列車に乗り換えさせられたのよ。
説明もなく。
警察に任せときゃいい。
警察が少しでも興味を示しててちゃんと捜査してれば任せるわ。
あの女性はどうなったの?きっと遅かれ早かれどこかに姿を現したさ。
あの警部さんにもう一度電話してみようかな。
(ため息)それより新しい商売に熱を入れろよ。
ちょっとずれてくれ。
ああ駄目。
ティフィンがいるから。
大丈夫だよ。
トミー狭い。
アアッ!アァ…。
(呼び鈴の音)・
(犬の吠え声)私一生懸命やってるわよ。
看板を塗ったし巣箱も作ったもの。
(呼び鈴の音)誰か来たよ。
どうせ請求書の束でしょ。
ハァ…。
もっとプラスに考えられない?注文かもしれない。
蜂蜜をドッサリ買いたいって人かもよ。
ああトミーその楽観主義手に負えない。
手に負えないもの大歓迎。
ア〜アッ。
アァ…。

(ジョージ)その赤い字何て書いてあるの?ウッ。
荷造りしたか?元気出せ。
すぐ帰れるから。

(犬の吠え声)ティフィン。
ティフィン!巣箱から離れろ!ティフィン。
ティフィン!おい!何度言ったら分かるんだ!はいお待たせ。
ありがとう。
これ見つけたわ。
ごみ箱で。
安定した収入が必要ね。
本に書いてあるとおりやれば大丈夫だよ。
詐欺だわ。
女王蜂を買いにフランスまで行ったのに。
蜂蜜は取れるよな?ジョージは関係ないの。
寮に戻るのよ。
パパは読んでないよ。
ミツバチの本読んでない。
いや読んだって。
決まってるだろ。
タペンスちゃんと読んだってば。
情報をありがとう。
ウン…。
(車のエンジン音)元気でな。
手紙書いてね。
毎週よ。
(キスの音)ウン。
お金持ちになってね。
ウフン。
ああ。
悪いねロジャー。
おはようフレイジャー。
(ロジャー)気にするな。
さあ行くぞ。
いってらっしゃ〜い。
本を読まないなんて信じられない。
読んだよ。
最後まで。
ジョージのやつ何であんなこと言ったのかな?
(ため息)やっぱり定職に就くべきよ。
(ため息)カーターおじさんに相談してみたら?トミー。
きっと陸軍の職を紹介してくれるわ。
忘れないで。
背筋を伸ばして。
話の腰を折らないこと。

(ため息)ウン。

(タイプライターを打つ音)
(花瓶を倒す音)アァ…エッ。
アァ…アッ…。

(タイプライターを打つ音)
(ため息)ハッ…フン。
回想
(笛)回想
(悲鳴と汽笛)・
(受話器を取る音)・
(アンソニー・カーター)通してくれ。
(秘書)カーター少佐がお会いになります。
(ラジオ中継)「オーストラリアチーム追加点を狙います。
打球はフィールダーがキャッチした。
アンパイアがアウトのサイン。
さあそしてストライカーが交代します。
ボウラーはコリンズ。
投球のうまさには定評があります。
おっと!空振りだ!ウィケットが倒れた!」。
(アンソニー・カーター)おお〜!すばらしい!アハハハッ!オーストラリアチームも頑張ってるがクリケットではイギリス人にはかなわないな。
アハハッ分かるかい?ああいえ僕は…。
(ラジオ)「難しい位置でバウンドしました」何かあったのか?部署が変わったんだよ。
まだ陸軍だが事情があってな。
3階の職員は皆…存在していない。
意味分かるか?極秘任務?共産主義者を締め出すんだ。
卑劣なアカどもを寄せつけないのが目的だ。
ここではそれを「冷戦」と呼んでる。
実に危険な仕事なんだ。
秘密主義で緻密で高潔な。
そう。
時としてまるでポエムのような。
(舌打ち)まったくお前は何をやっても結局うまくいったためしがないじゃないか。
学校も。
大学の成績も最悪。
それに戦争。
普通は少なくとも兵舎まではたどりつく。
なのに列車降りてすぐサンドイッチ屋の車にはねられた。
暴走してたんです。
お前は家でおとなしくしていろ。
お前には…スリッパと新聞が似合いだ。
ん?仕事を紹介したいのはやまやまだが残念だな。
ここの仕事は…向いてない。
フーン…アァ…。
分かりました。
ジョージの学費は引き続き私が出すから安心しろ。
それじゃおじさん。
恨むんならスターリンを恨め。

(男)7番地かい?さあ入りなよ。

(笑い声)・
(ディーラー)さあお客さんもっと賭けないか?張った張った!まだ間に合うよ。
さあどんどん賭けてくれ。
(犬の吠え声)
(ディーラー)張った張った!12時半のレースに賭ける人?さあ賭けて!
(ウィティントン)パリの件は大失敗だった。
代わりを探すのは俺なんだぞ。
黙ってろ。
(ラッキー)ブラウンさんから1時間後に電話が。
用件は?本命に1シリング賭けたいの。
レースは…。
12時半の。
キャットフォードかカーディフだ。
(舌打ち)キャットフォードに。

(ラジオ中継)「先頭はなんと初登場のイプスウィッチ。
その後ろにつけているノリッジは第1レースで優勝した…」。
ああ。
問題がある。
女は行方知れずだとまずい。
どうやってごまかしゃいい?代わりを探せだと?そんなに簡単に見つかるとでも思ってるのか?えっそうだろ?
(負けた男)クッソ〜!ふざけるな!
(老人)あんたの犬が勝ったな。
えっ?聞いてなかったのかい?犬だよ。
1着だ。
フッ。
ありがとう。
(受話器を置く音)
(はなをすする音)仕事をしたくないか?特別な仕事じゃない。
だがほかのより楽だ。
ただスーツケースを持って列車に乗ってパリに住む。
それだけだ。
パリに?うん。
外国は好きかい?着いたら何をするんです?ただ暮らすだけでいいんだ。
こっちが決めた名前を使ってな。
そしてこっちが指定したアパートに行って住めばいい。
で夜暗くなったら電気をつけたり冷蔵庫をいっぱいにして腹が減ったら出して食べベッドで眠る。
ただしちょっとした手紙を出し散歩をする。
そして6週間後に帰国だ。
簡単だろ?何ていう名前で?さあな。
平凡で適当な名前だ。
あまり目立たないほうがいい。
例えばそうだな…。
ジェーン・フィンとか。
その名前がいいの?例えばだ。
もしスーザンのほうがいいって言ったら?スーザン・スミス。
もっと平凡よ。
いいか奥さん。
運に見放された女は一目見りゃ分かる。
フン。
ハァ…。
この手の場所は初めてだろ?俺みたいなやつも。
引き受けろよ。
スーザンになるの?いやジェーンのほうがいい。
ハァ…妙ね。
ジェーン・フィンって女の人と会ったわ。
列車の中で。
偶然よね。
へぇ〜!そうかい。
座席に本を置いてったの。
中にこれが。
ハッ…。
この人も知ってるんでしょ?アッ…。
ふざけるなこのアマ。
ウウウッ!ウン。
誰の差し金だ?
(おびえる声)察するところリタの知り合いらしいな。
何を聞いた?どうしてあの女性の失踪を隠すの?ハァ…。
フン。
ここは暗黒の世界だ。
ハァ…。
奥さんみたいに安全な人生を送ってる人間は普通体験しない暗闇なんだ。
ハッ…。
もし脅しのつもりなら…。
ほら金をやるよ。
(おびえる声)だから今話したことは全部忘れたほうが身のためだ。
さもないとその古くさい帽子をかぶる頭がなくなっちまうかもしれないぞ。
(ナイフを突き立てる音)
(おびえる声)
(ドアを開ける音)
(おびえる声)
(ナイフを抜く音)おい!ハッ…。
ハァ…ハハハッ…。
手袋落としたぞ。
ハァ…。
ハーッ。
ありがとう。
ハァ…フーン。
ハッ…ハァ…。
どうした?遅かったな。
恐ろしいことが起きたの。
えっ?ハァ…ハッ。
急いで!ウォータールーへ。
駄目よ。
その前にあの男をまかなくちゃ。
誰を?あいつよ。
誰だよ?何があった?ここでいいわ!止めて下さい!降りてトミー。
早く!急いで!アァ…。
じゃこれで頼む。
何してんの?トミー!何を慌ててる!?ハッハッハァ…。
キスして。
何?ここで?キスして!
(女)おお!行くわよ。
アァ…どこで覚えたんだ?ジョン・バカンコナン・ドイルドロシー・L・セイヤーズ。
小説か。
あと寄宿学校。
寮長をやり過ごすため。
ハッ…。
アァ…。
(バーテンダー)いらっしゃい。
ウイスキー2つお願い。
はい。
何があったのか話してくれる?ジェーン・フィン失踪した女性。
彼女に関する手がかりをつかんだのよ。
それは何だ?証拠。
私は正しかったの。
はいどうぞ。
これで新しい帽子も買える。
ウゥ…。
カーッ。
あなたは中に入って賭けをするだけ。
きっと情報が耳に入る。
それから?警察に話すのよ。
そのためには証拠をたくさん集めなくちゃ。
鍵がかかってる。
どういうこと?ああ…。
やって。
ウン…。
ウッ…。
(板を外す音)し〜っ!
(板を外す音)アァ…。
回想
(ラジオ)「ぐんぐんスピードを上げる。
ノリッジとキャットフォードが並んでいる。
さあどっちが先だ!」。
(額が落ちる音)ハアッ!…アッ!もういい。
ここまでにしよう。
これから警察に行って分かってることだけ話してうちに帰ろう。
少しは興味持ったらどう?でも何にもないのに興味持てったって…。
いいえ。
手がかりならある。
ブラウンっていう男とリタっていう女がいるの。
私をリタの手先だって。
ロンドンにはブラウンやリタなんて100万人いるよ。
また手がかり。
買い物リストかい?明細書よ。
ヴァンデメイヤーって人の。
パリのホテルのね。
見せて。
どう?ベレスフォードさん。
あなたも胸の鼓動が速まった?少しぐらい。
(蜂の羽音)ヴァンデメイヤーって人がパリのホテル・デュ・マルブルに泊まってた。
ジェーンがいなくなった前日に。
気をつけろ。
重要な手がかりじゃない?どんな点で重要なんだい?それはスープスプーンだ。
デザートスプーンを出してくれ。
(たたく音)でもどうして私に失踪中の女性になりすますように頼むの?訳が分からない。
タマネギ。
(たたく音)ひょっとして…誰かを罠にはめるつもりかも。
ニンジン。
でも誰を?そこが問題よ。
パセリ。
それはチャイブだよ。
分かるよな。
どう違うか?そうだ。
忘れてた。
銃よ。
発砲があったのよ。
頼むからおじさんの前ではその想像力コントロールしてくれ。
コントロールしてるわよ。
でもディナーに押しかけてくるんだから話ぐらい聞いてもらう。
(呼び鈴の音)
(犬の吠え声)あ〜ん駄目。
ちょっと待って。
(時報のチャイム)
(呼び鈴の音)
(犬の吠え声)
(ため息)仕事なんか断っていい。
(時報のチャイム)
(足音)いらっしゃい。
すまん。
ジョージに。
すいません。
クリケットのバットだ。
どうも!いらっしゃい。
どうぞ。
どうぞ。
(ドアを閉める音)ジェーン・フィン。
確かにその名前を言ったのか?間違いありませんわ。
ほかの名前と混同してないか?ジャネットとかジュリアと。
確かです。
ウン…。
それなら…その件は忘れることだ。
全部記憶から消し去るんだ。
どういう事件かだけでも。
誘拐ですか?殺人?アァ…。
ハァ…。
今夜はどうもああごちそうになった。
いや悪いが言えないんだ。
我々の任務は極秘だから。
そう言うことだ。
あらごめんなさい。
極秘なんて知らなかったから。
トミー話して。
んん…。
実は新聞広告を出したんですよ。
何だって!?「タイムズ」に。
「ジェーン・フィン失踪に関する情報を求む」ってね。
ハハッ…。
・そうだ。
ああもちろん。

(男)その広告の掲載はいつだ?・あしただ。
ちょっとどいて。
足踏んでる。
・どう思ってると思う?・
(男)信頼してないのか?いや信頼してるさ。

(男)こうなったら全て話して協力してもらうしかないだろう。
説得できるか?・もし必要なら。

(男)頼む。
(受話器を置く音)フーン…。
もう!何とか言ってください。
イタズラした子供みたいな気分。
ジェーン・フィンはもともと罪のない女性だったが事件に巻き込まれてしまった。
説明を聞いたらもうあと戻りできんがいいのか?今この瞬間にソ連でトップの工作員が…イギリスに来てる。
何人もの政治家を暗殺した疑いがある。
暗殺ですって。
ああ座らなくちゃ。
ああ鉛筆を。
いいから。
座ってろ。
彼の正体は分からない。
誰が標的かもだ。
分かっているのは「ブラウン」と名乗ってることだ。
うちの部署がこのブラウンがソ連から指令を受けたという情報をつかんだ。
数週間後に行動に出るらしい事も分かってる。
行動に出るってどういう意味です?イギリスの重要人物を殺すという意味だ。
何てこと。
ねえトミー聞いてる?列車の中で撃ち殺されたドミニク・ヴィリエーだ。
私の部署の者でヨーロッパでおとり捜査をしてた。
2週間前録音テープを持って帰国するという暗号化された電信が来た。
そのテープでブラウンの正体が明かされるはずだった。
だが電信が傍受されたらしくヴィリエーは殺された。
録音テープは?行方不明だ。
ジェーン・フィンもそれに関わったと?彼と同じ列車に乗ってた。
2人はパリで知り合いそして親しくなったと思われる。
(舌打ち)したがって問題は…。
彼が死ぬ前にジェーンにテープを渡したのかどうか。
だったら彼女はどこに?驚いたな。
筋がいいぞ。
スリッパ男にしちゃ悪くないですか?ジェーンが姿を消す前にテープを隠したってことは?そう願うしかない。
よしこうしよう。
既に君たちは新聞にジェーン・フィン失踪の広告を出してしまったんだ。
済んだ事をとやかく言ってもしかたない。
だがその代わり返事が来たら報告してくれ。
話の内容もろもろ全てだ。
部下としてな。
だが用心しろ。
ブラウンは情け容赦ないやつだ。
それにずる賢い。
君たちがやるべきことは監視だけだ。
もし少しでも身の危険を感じたらこの番号に電話してくれ。
379番。
言ってみて。
379。
379。
覚えたか?もし窮地に陥っても警察に頼らず切り抜けろ。
合言葉は「200オールアウト」だ。
その言葉を使った人間はこっちの味方だ。
クリケットだ。
何?ああそういうこと。
我々は冷戦の只中にいる。
しくじるな。
ほら見なさい。
小説読むのと実際にやるのとは全く違うぞ。
バカらしい!何人かの人に会うだけよ。
ほかにやりたいことでもあるの?蜂の世話?犬の散歩?ジャムを作ってジョージに送る?ハァ…。
政治家の暗殺。
失踪した女性。
共産主義者の陰謀。
私たちって探偵に向いてると思わない?
(グラスを合わせる音)ハァ…。
返事が2件来た。
ジェーンのおじさんだわ。
ジュリアス・ハーシャイマー。
リッツで会いたいって。
こっちは署名なしだ。
シドニー通りで会いたいって書いてある。
どっちに先に会うべきかな?両方とも今日よ。
大変!トミー急がなくちゃ。
広告に返事をくださってありがとう。
(ジュリアス・ハーシャイマー)想像してた人と違うな。
それは…。
アハハハッ。
あの…。
思ってたよりずっとすてきな人だ。
おう!探偵というのは大抵地味な服装をしていてずんぐりしている。
オシャレな帽子はかぶらない。
アハハッ。
(ドアを開ける音)すみません。
もう始まってました?私の主人のトミー・ベレスフォードです。
あ〜なるほど。
ウーン…警察より踏み込んだ捜査をしてもらえるといいが…。
アアアッ。
えっ?ああこっちか。
警察にはすぐ連絡を取ったんですね?もちろん。
しかしイギリスの警察はジェーンはフランスで失踪したから管轄外だと言うしフランスの警察も関わる気がない。
あとは探偵しかないと思っていたときあの広告を見て…。
ああ私に聞くべきじゃないかな?最後にめいに会ったのはいつだったかと。
アァ…ええ。
聞こうと思ってました。
ふた月前だ。
あの子はケンブリッジで語学を学びパリに留学したくて奨学金を取った。
両親を亡くしてるんで私が承諾をしてフェリー乗り場まで送っていったんだ。
まさかあれが最後になるとは。
まさに格言どおりだ。
「後悔先に立たず」だよ。
フフン。
お子さんは?1人だけ。
ああ!失礼。
拾います。
もう1人。
フン。
ほら。
ああどうも。
砂糖ありません?スイートレルを試して。
体にいいぞ。
何です?未来の商品だと思ってる。
健康が一番だ。
ちょっと確認させてください。
ジェーンが失踪してすぐに警察に知らせたっておっしゃいましたけど警察は数日前大学を無断欠席したことで初めて知ったと。
そんなはずはない。
私は間違いなく10日ほど前にブラウン警部に全て話したんだ。
ブラウンと言いました?確かそうだが問題でも?ええ。
もしかしたら。
会ってお話を?いや電話でだ。
ウン。
どうかしたかね?スイートレルが…。
いけるだろう?最善を尽くします。
経費は惜しまない。
幸い金はあるんだ。
ジェーンさえ戻ってくればいい。
多分いくらかは出費が…。
かまわん。
いつでも言ってくれ。
ウフッ。
虫が好かん。
ホント?でもあの人…。
何?チャーミングよ。
タペンス!ああ!何てやつだ!フウ!危ないとこだった。
もしかしたら警告かしら?ブラウンからの。
ハァ…。
さあ行こう。
ハァ…。
シドニー通りってここよ。
何番地だった?書いてなかった。
(少年)ベレスフォードさん?ええ。
これどうぞ。
ちょっと。
待て!どこへ行った?差出人も…何もない。
これも私たちへの脅しかしら?どれ見せて。
(においを嗅ぐ音)嗅いで。
(においを嗅ぐ音)封筒のにおいよ。
戦時中に知り合った友だちが近くにいる。
見てもらおう。
想像力が暴走してるのはどっち?爆弾は音がするわ。
してるよ。

(アルバート・ペンバートン)これでよし。
さてアアアッ!ジェームズまだだ。
さあしゃがんで。
いくぞ。
3…2…1…。
(ベルの音)ああ!残念だな。
終わり。
悪いな。
ああだめだめ!もう諦めろ。
ダニエル。
ほ〜ら。
校庭でも走ってこい!さあ出た出た。
ほら!行け!トミー!ハハハハッ!また会えるって言ったろ。
あ〜!皮肉だろう?ん?爆弾処理をやってた人間が今じゃ爆発実験。
子供に好かれてる。
フン。
体張ってね。
たまに眉毛を焦がすのが人気の秘密。
妻のタペンスだ。
アッはじめまして。
よろしく。
病院で知り合ったんだ。
そう。
共に負傷し絆で結ばれた。
じゃあサンドイッチ屋の車で?いや。
僕は前線にいたから。
でもサンドイッチ屋も侮れない。
かなりの強敵だ。
トミーはよく戦ったよ。
そうでしょうね。
フン。
これ見てくれるか?ウン。
(アルバート)そっち留めてくれる?ハァ…使えない手だ。
ハァ…よし。
ハーッ。
(ため息)
(せきばらい)
(時計の秒針の音)
(糸を切る音)フッ。
トミー大丈夫?すごい爆発だったわ。
ああ嫌味はやめてくんないかな。
嫌味なんかじゃない。
「ジェーンへ。
愛を込めて。
ジュリアスより」。
彼女あの日時計してた?覚えてない。
ジュリアスって彼女のおじさんの?これ見て。
何?暗室ならあるけど。
ウン…。
アァ…トミー。
(ライトのスイッチを入れる音)手を貸して。
ウン。
ドミニク・ヴィリエー。
列車にいた男だ。
なぜ僕たちにこれを?教師の毎日っていうのは爆弾処理みたいな刺激がないんだ。
僕を冒険に誘わなきゃスポーツマンシップに反するってもんだ。
まだ腕はなまってない。
ウン。
ジェーンとドミニク・ヴィリエー。
大変だ。
なに?見て。
僕たちだ。
ウッ…。
私たちを知ってる。
そうだ。
きっと住んでる場所も…素性も。
もしジョージに何かあったら?大丈夫だろう。
とにかくもうやめよう。
もうただの警告じゃない。
バイクではねようとしたのとは違うわ。
命令よ。
手を引けっていうこと。
アッ…痛い!何のマネよ?あれさっき後ろにいた車だ。
どの車?あれ。
学校を出るとき見た。
ああいやだ!結論を急ぐな。
じゃあ言わないで。
似たような車なんてこの界隈じゃいくらでも走ってるんだから。
振り返るな。
ああ事件に巻き込まれたかも。
ほう誰のせいで?私じゃない!何とかしないと。
どうするの?カーターおじさんを呼ぶ。
(車の走る音)まったく身の程知らずだ。
君たちに対する不安は見事的中したようだ。
報告もない。
電話もない。
全て知らせろと言っといたはずだぞ。
申し訳ありません。
ほう。
申し訳ない?実は偶然だがアルバートには今も少し仕事を頼んでる。
あれだけの人材政府は簡単には手放さん。
確かに今の彼は学校に縛られ腕はあのとおり少々自由が利かなくなった。
しかし…才能と経験がある。
君たちは素人だ。
なのに自覚してない。
しかも常識に欠けてる。
幻想を抱くな。
ブラウンはそんなに甘い相手じゃないぞ!もしジェーン捜しが核心に迫れば君たちが危険にさらされる。
で封筒に入ってた懐中時計。
あれはうちの3階の技術者に渡した。
ああアルバートが送ってきた。
そうですか。
誰かの指紋が付いてることを祈ろう。
そうですね少佐。
封筒に入ってたのは時計だけか?ええそうです。
それだけです。
タペンス?ん。
そのとおりです。
そうか。
それじゃケーキでも頼もう。
(車のドアを閉める音)写真の件知らなかったな。
あなたも黙ってた。
ああでもなぜアルバートは秘密にする?おかしいじゃないか。
おじさんの仕事してるなら全て報告するはずだろう。
それは君たちのほうがジェーン・フィンを見つける確率が高いと踏んだからだよ。
僕が手伝えば。
悪いけど勝手に入ったよ。
僕ら3人はチームだ。
選択の余地は?ないね。
何か食べる物ない?おなかペコペコ。
待ってて。
ああ。
学校の食事はひどくて。
そうなの?ああ。
ウン…。
ウッ…ウン。
ああ動くんだ。
ウン。
僕の発明。
ああ。
今度外して見せよう。
すごいわね。
ウン。
最近のアカどもは小道具に凝ってる。
爆発するペンとか先端に毒を仕込んだ傘。
写真だが君たちは偶然写っただけだね。
その3枚の背景を見て。
フーン…。
アァ…額にアザのある男よ。
追いかけてきたの。
どこ?ここだ。
こっちの写真にも。
彼もあの列車に?ハァ…。
ああ。
ほかにもある。
見て。
ウン。
連れの女。
そのとおり。
このレンズの下に置いてくれる?駅では君の後ろ。
な?ああ。
シャンゼリゼでもアザの男と同じ女が一緒にいる。
更にカフェでも…。
カフェでも2人は一緒だ。
この写真では彼女のカバンに付いてるイニシャルが読み取れる。
「RV」だ。
ハァ…。
リタよ。
彼らが話題にしてた。
それにホテルの明細書…。
ああウン。
え〜ヴァンデ…。
え〜と…。
ヴァンデメイヤー。
それだ。
リタ・ヴァンデメイヤーじゃない?これの送り主が君たちをリタに引き合わせた。
今度はリタが失踪した女に会わせてくれるかも。
(リタ・ヴァンデメイヤーの歌声)
(リタ・ヴァンデメイヤー)ええ分かってる。
準備万端よ。
安心して。
(リタの歌声)どうしてオペラ歌手なんかが絡んでるんだろう?分からない。
まだメイドが決まってないといいんだけど。
ちょっとやめて。
おい何を?髪型とメイクが違うだけ。
消えた女性を捜すためよ。
ブラウンの正体を暴くテープとね。
いやただ…。
何?うまい言葉が見つからないよ。
ハッ…。
ハァ…ウン。
ありがとう。
どういたしまして。
ウン。
いやだけど本当に…君さえよきゃうちでも…。
やめて。
ごめん。

(ドアを閉める音)アァ…。
あの男!仕事を持ちかけてきた人よ。

(ウィティントン)何だ!?ああクソ。
アッハッ。
どう?画鋲刺しといたの。
効果バッチリ。
それも小説からか?本を読まない人にはできない。
そうだね。
じゃあ幸運祈ってて。
私には?君はメイドに見えるから平気。
うちでもやりたければいつでも…。
やめてったら。
ごめん。
見失わないように尾行して。

(タペンスのため息)・
(リタの歌声)
(リタの歌声)
(呼び鈴の音)
(リタの歌声)
(ドアを開ける音)
(リタ・ヴァンデメイヤー)何?ケリー・ライオンです。
ヴァンデメイヤーさん。
メイドをお探しだと貼り紙で見まして。
タイプは打てる?ええもちろん。
(リタの歌声)
(ドアを閉める音)前の子は打つのが遅くて。
40ワード以上よ。
でなきゃ雇わない。
そのペルシャじゅうたん踏まないでくれる?アッ…。
気をつけて!すみません。
私の思い出よ。
そんなに驚かないで。
ロイヤル・オペラ・ハウスで7シーズン主役を務めたのよ。
1932年と33年開戦の前までね。
国王陛下の前で「蝶々夫人」を歌ったわ。
パリベルリンそしてこのロンドンに戻ってきた。
そこに座って。
出版の準備をしたいの。
(リタの歌声)私が次の舞台を終えたあと世界を目覚めさせるために。
(リタの声)「疲れていたけど輝いてた。
ある晩私がドレッシングルームから出ていくとドイツ人の騒々しいファンが大勢詰めかけて私のサインをねだっていました。
『リタ!リタ!』と呼んで何かしゃべらせようとします。
もちろんそんな時間ありません。
その晩はあるドイツの前途有望な政治家の誕生パーティーに呼ばれていて急いでましたから。
でもそういう熱心なファンの声援にはなるべく応えてさしあげたいんです。
大好きな歌をこうして歌っていられるという喜びを私は忘れちゃいけない…」。

(リタの歌声)
(男)来いよ。
(女)ああちょっと。
失礼な人ね。

(呼び鈴の音)
(ドアの男)何だ?スペイン人のいとこに会いに来た。
(果物屋)何にします?いや見てるだけ。
ああそう。

(呼び鈴の音)
(ドアの男)何だ?スペイン人のいとこに会いに来た。
アァ…。

(リタの歌声)
(戸棚を閉める音)
(リタの声)「私はトップ歌手として長年やってきたじゃないって。
毎回自分を励ましながら舞台に向かわなきゃ…」。
(リタ)テーブルに肘付けないでちょうだい。
光っちゃうから。
ハエが飛んでたらこれでやっつけて。
進んでるの?アッえ〜と…。
ハァ…。
(ため息)
(建物内に流れる音楽)・
(ドアを閉める音)・
(男たちの笑い声)
(ドアの開閉音)
(部屋に流れる音楽)ああ!
(部屋に流れる音楽)ウン…。
ウフッ。
(アネット)し〜っ!ああ…。
ああハハッ。
ウウン。
し〜っ!やめてくれ。
脱がせなくていいんだ。
いやいいんだ。
ありがとう。
ちょっと待ってあんたひょっとしてドレナン?ドレナン?当たりでしょ?すごい大物だって聞いたわ。
興味ないはずね。
ああ…あたし怒らせるような事した?いやいや。
してないよ。
上の階にどうぞ。
ハァ…。
(せきばらい)
(リタの声)「美術館のオープニングパーティーに参加して…」。

(ラッキー)だからうまくやれ。

(リタ)そうする以外に方法ないの?・
(ラッキー)ああ。

(リタ)ホントに?・それしかねぇ。
・あんたが舞台で歌えるかどうかはこれにかかってんだ!・
(リタ)やめてちょうだい!そんな言い方。

(ラッキー)じゃ実行できるな?・
(リタ)当然じゃないの。
(ラッキー)ああ。
(リタ)ブラウンに言って。
何?ブラウンに言え?ブラウンさんはあんたを当てにしてる。
だからそのパーティーで…。
(リタ)私を信頼していいわ。
必ず実行するって彼に伝えて。
誰も居ないはずだろう!タイプを打たせてる子よ。
おい!
(コンラッド)必ず金を取ってこい。
重要なのはそれだ。
ちょっと待て!会員か?会員かと聞いてるんだ。
ここは会員制だぞ。
ああ会員だよ。
(コンラッド)見ない顔だな。
(ラッキー)こっちへ来い!ウィティントンを呼べ。
よそ者が紛れ込んだ。
アァ…。
(ラッキー)おい待てよ。
見たような顔だな。
アァ…。
アッ…アァ…。

(マキューン)取り引きしようぜ。
俺に秘密を守ってほしけりゃさっさと金をよこすんだな。
(リタ)どうしてその鍵を持ってるの?
(猫の鳴き声)ハッ!地下室に監禁されてるんだ。
ジェーン?ジェーン。
トミー!2人ともいいかげんにせんか!絶対行ってはならん!そのころには彼女は死んでる!
(悲鳴)次のプラン?それしかないわ。
ウッ!
(リタ)いるってバレたらひどい目に遭うわよ。
(鍵をかける音)
(ウィティントン)誰に聞いた?内通者は?それは教えない。
オホホ〜きっと吐くさ。
アイデアある?任せて。
行きましょ。
列車が来ちゃうわ。
2015/12/12(土) 15:05〜16:02
NHK総合1・神戸
アガサ・クリスティー トミーとタペンス(1)アンコール「秘密機関(1)」[二][字]

アガサ・クリスティー原作のおしどり夫婦が活躍する探偵ドラマ。日本初放送!列車で乗り合わせた女性が行方不明に。トミーとタペンスは事件の謎を追うが…。(3話完結)

詳細情報
番組内容
第二次世界大戦後の1952年。ロンドン在住の夫婦、トミーとタペンスはパリに出かける。帰りの列車の中で乗り合わせた若い女性が食堂車に行った後、タペンスは銃声と悲鳴を聞いたような気がした。女性はそのまま戻らなかった…。不審に思ったタペンスは、女性が残した1冊の本を手掛かりに行方を調べようとするが、次々と危険な目にあう。
出演者
【出演】デビッド・ウォリアムズ…大塚明夫,ジェシカ・レイン…世戸さおり,ジェームズ・フリート…浦山迅,マシュー・スティア…佐久田脩,クラーク・ピータース…金尾哲夫,ジョニー・フィリップス…牛山茂ほか
原作・脚本
【原作】アガサ・クリスティー,【脚本】ジニー・ハリス
監督・演出
【演出】エドワード・ホール
制作
〜イギリス Endor Productions/Agatha Christie Productions制作〜

ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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英語
サンプリングレート : 48kHz

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