ご機嫌いかがですか?小佐田定雄でございます。
「上方落語の会」今回のゲストは女優でタレントの村井美樹さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
何か伺いますと京都生まれの大阪育ちやそうですね。
そうなんですよ。
もう東京住んで結構長いんですけど独り言が関西弁だったりとか関西人の方とお話しするとすぐ関西弁に戻ってスピリットは関西人です。
結構ですね。
落語なんか聴きはった事あります?結構落語は好きで東京でもよく寄席とか行ったりしてるんですけど上方落語を生で聴くのは初めてなんですよ。
こらうれしいなそら。
今日はたっぷり楽しんで下さい。
はい楽しみにしてます。
聞いたとこによると落語やった事あるらしいですね。
そうなんです。
一回だけ「金明竹」っていうのやった事あるんですけど見るのとやるのは大違いですごい難しかったです。
難しいでしょ?はい。
これからそういう難しい事やりますよ。
まずは一席目林家笑丸さんの「ほうじの茶」。
どうぞ。
(拍手)はいえ〜どうも万雷の拍手ありがとうございます。
私化粧を取ったタイのニューハーフといわれております落語家の林家笑丸です。
どうぞよろしくお願い致します。
(拍手)私もふだんはスーパースターらしく普通電車の移動が多いんですが今日も電車に乗ってやって来ました。
いろんな事ありますな。
私電車の椅子座ってますと目の前に大阪の子どもがトコトコトコ〜ッて来まして座ってる僕に向かって「座りたい!座りたい!」てこんなん言うんです。
素直に育ち過ぎや思いました。
「座りたい!」てこんなん言うんです。
そういう時お母さんが怒ってくれるんですが大阪のお母さんが訳分からん怒り方で「これ!そんな事言うたらいかん。
そのうちどいてくれるから」って何でやねん!もう訳分かりません。
私の師匠が林家染丸といいましてね踊りも教えて頂きましたがこの「うしろ面」という踊りをね教えて頂きまして。
これは着物を後ろ前反対に着てお面をつけてさも前で踊ってるかのように後ろを向いて踊るという踊りですな。
で私以前講演の仕事に呼ばれまして。
まああの講演の仕事いうても別にその段ボール拾うとか空き缶集めるとかそういった事やなく「いい事を言え」言われて行ったんですな。
で沖縄の講演でしたけれどもこのね幕が開くと同時にうしろ面踊ったらお客さんびっくりするやろ思いまして私幕が開くと同時に後ろ向いて踊ってました。
その時踊りながら思い出しました。
その時の講演のテーマが「前向きに生きる」。
いきなり後ろ向いとったという。
すごい事ありますな。
まあこの羽織を脱ぎますと落語のストーリーに入っていくという。
また着るんですけどって…おい!アハッ!まあこの「アラジンと魔法のランプ」っちゅう話がありますがこれはこのランプをこすりますと魔神が現れるんですがえ〜落語にはお茶をほうじる火であぶると中から芸人が出てくるという珍しいのがあったりなんかしまして。
「若旦さんこういうもんが手回りまして」。
「何やそれ」。
「ほうじの茶と申しますもんで」。
「ほうじの茶?」。
「ええこのお茶を火であぶってほうじましたらですな何でもお好みのもんが出てくるっちゅう訳で」。
「そうか。
これはおもろいな。
でどんな使い方やねんな」。
「ええ。
火鉢の火でこうほうじまして上からお湯をかけたら出てくるっちゅう訳で」。
「そうか。
そうしたらな紙切り見てみたいな」。
「紙切り。
はい分かりました。
紙切りっちゅうのもねなかなか難しおまんねんで。
うちで切ったやつ持ってきたら楽なんやけどそれ見ても誰も拍手せえへんからな。
こういう具合にほうじまして上からお湯をかけまして。
紙切りをやる噺家出てこ〜い」。
「いやどうも!」。
「おんなじようなやつ出てきたな。
あんた紙切りやりまんの?」。
「ええ紙切りやりまっせ。
まあ紙切りというのは紙を切って形にするというそういう芸事でございますな。
それでは今現在の二枚目俳優の顔を切ってみたいと思います。
今現在の二枚目といいますと誰でしょうか。
はい。
はい。
はい分かりました。
草刈正雄。
はい。
アッハハハハハハ!アハハ!ちょっとレトロ。
それでは新しくして長谷川一夫。
アハハハハ!もっと新しく。
それでは木村拓哉。
ではこれでいってみましょう。
それではまいりましょう。
細かい紙切りミュージックスタート!」。
・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「前は手拍子ありました」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」
(手拍子)・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」
(手拍子)・「誰かが何かをやってる時は」・「一人一人が自覚を持って」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「いつテレビ出んのん?聞かれたけど」・「こっちが聞きたいぐらいです」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「売れて下さい言われたけど」・「今が売れてるピークです」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「細かい紙切りやってるので」・「あと8時間半かかります」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」「さあそれでは出来上がったようです。
細かい紙切り木村拓哉という事でこのようにこのようにはい。
落語界の木村拓哉私林家笑丸です」。
(拍手)「何でキムタクやなくて自分やねんという素朴な疑問ありがとうございます。
あとこういう時はですねお客様からご注文を頂いてそれを形にする場合も多ございます。
こういう時はきれいな女性からご注文を頂くんですが今日は女性が多いですがきれいな女性が…今日はお休みですね。
アッハハハ!冗談です。
美しすぎて間違えてしまいました。
それではどなたでも結構です。
何かお好きなものをおっしゃって下さい。
何でもいいですよ。
はい。
はい。
はい…。
じゃあ一番前のそちらの方いきましょうか。
何でもいいですよ。
はい」。
(観客)鳳凰。
「鳳凰。
鳳凰。
はいかしこまりました。
それではご注文にお応えしてネズミで」。
(拍手と笑い)「ですが私なんと後ろを向いて紙を見ずに紙を切ってみたいと思います。
さあそれではどうなる事になりますやら。
それではまいりましょう。
後ろ紙切りネズミ。
ミュージックスタート」。
「み〜なさん。
手拍子してもよろしくてよ」。
(手拍子)「み〜なさん。
この後ろ紙切りめったにテレビで見る事できません。
それは何でか?私がめったにテレビに出てないからです。
アッハハハ!皆さん。
この後ろ紙切り3つの要素を必要と致します。
1つ目は膨大な稽古量。
2つ目は超人的な集中力。
そして3つ目はどんな形になってもしゃあないという開き直り。
ハッハ〜!ではこの辺りから手拍子しながら『ネズミネズミ』とおっしゃって頂いていいですか。
まいりましょう。
せ〜のはい」。
(手拍子)
(観客)ネズミネズミ。
「私もいろんな所でやりましたが今日が一番バラバラでございます。
ハハハハハ!さあそれでは一体どないなっておりますでしょうか。
ご覧下さいませ。
皆さんの若干バラバラな手拍子のおかげでこのようにこのようにはいジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャン」。
(拍手)「ありがとうございます。
以上想像を絶する盛り上がりを見せました後ろ紙切りでした。
ほな失礼します」。
「なるほどなあ。
そら海外公演もよう呼ばれるわな。
うん。
自分で言わな誰も分からへんけど。
なかなかすごいもんやないかいな」。
「ほな若旦さんこのお茶お買い上げ頂いて」。
「あっまだ落語続いてたんやな。
もう途中で終わったんかな思ってたわ。
ああそうかい。
ほんなら弾き語り見てみたいな」。
「弾き語り。
はい分かりました。
弾き語りっちゅうのもねこれなかなか難しおまんねんで。
歌も演奏もあかんかったらお客さんが引いてがったりと席立ってね。
舞台も客席も『ひきがたり』いうてね。
ここで笑わな笑うとこないよ」。
(笑い)「こういう具合にほうじまして上からお湯をかけまして。
弾き語りをやる噺家出てこい」。
「いやどうも!」。
「またおんなじようなやっちゃな。
あんた弾き語りやりまんの?」。
「へえ弾き語りやりまっせ。
それではこんな曲です。
聴いて下さい」。
・「明るい曲やから明るい曲に聞こえる歌」・「大阪の街の看板見たらラララララ」「すんません。
盛り上がってんの私だけでした。
アッハハハハ!じゃあ皆さん手拍子いきましょうか〜」。
(手拍子)「この曲これで終わり。
アンコールにお応えして」。
・「バラードバラード」・「若手落語家のバラード」・「落語家として生きていると」・「いろんな事がある」・「僕の〜怒りのバラード」・「皆さん聴いて下さい」・「若い女の子が」「サイン書いて!書くの久しぶりやろ?」。
(笑い)・「言ってきた」・「久しぶりやなくて初めてやった」
(拍手)・「次が最後です」・「ウクレレ漫談で仕事に行った時」・「チラシに書いてる僕のプロフィールを見たら」・「元落語家となっていた」・「バラードバラード」・「若手落語家の〜うお〜うお〜うお〜うお〜バラード」
(拍手)・「バラード」「…ってまだやんのかい!ほな失礼します」。
「なるほどなあ。
そら音楽番組にも出た事あるわな。
これも自分で言わな誰も分からへんけど。
う〜んなかなかうん楽しいもんやないかいな」。
「ほな若旦さんこのお茶お買い上げ頂いて」。
「う〜ん踊り見てみたいな」。
「踊り。
はい分かりました。
踊りっちゅうのはほんまねなかなか難しおまんねんで。
特に紙切りと弾き語りやったあとうんもう体が疲れちゃって疲れちゃって。
こういう具合にほうじまして上からお湯をかけまして。
踊りをやる噺家出てこい」。
「いやどうも!」。
「皆一緒やないかい。
あんたは踊りやりまんの?」。
「ええ踊りやりまっせ。
いろんな踊りがありますがうしろ面という踊りがあります。
こちらは着物を脱いで後ろ前反対に着て踊るという踊りなんですが私着物を脱がなくてもいい方法を思いつきました。
名付けて『着物を脱がなくてもええ方法』と。
さあ」。
・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「収入は不安定やけど」・「それ以上に情緒不安定」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「性格は子どもやけど」・「体は成人病にかかってた」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」・「チャカチャカチャンリンチャンチャカチャン」「どうです?こういう人と道で会うたら。
目ぇ合わしたらいかんと思うでしょ。
さあそれではですね私がさも前を向いて踊ってるかのように見えましたらなるべく反応して下さい。
それではまいりましょう。
『堺住吉うしろ面』。
お願いします」。
(拍手)
(拍手)
(拍手)
(拍手)「はいうしろ面でした。
ほな失礼します」。
(拍手)「なるほどなあうん。
そら踊りの番組にも呼ばれた事あったわな。
まあこれも自分で言わな誰も分からへんけど。
なかなか見事なもんやないかいな」。
「ほな若旦さんこのお茶お買い上げ頂いて」。
「よっしゃ。
ほなそのお茶買うとしようか」。
「どうもありがとうございます。
このお茶高いもんでございましてなかなか手に入りにくい…。
え?何です?はい。
あっすんまへん今女将が呼んでますんで私ちょっと中座さして頂きます。
このお茶高いもんでございます。
そのままにしといて頂きますように」。
「行きよったな。
ほんまはどうでもええのや男は。
おなごを見たいのやおなごをな。
まあほうじをせんくてもお湯かけたら出てくるやろ。
きれいな芸子舞子出てこ〜い」。
「こら〜せがれ!」。
「おっさん出てきた。
おとっつぁん?」。
「おとっつぁんやあるかい。
わしが死んでからというもの遊びほうけよって。
一周忌の時はちょっとしか顔出さんと三回忌の時はいっぺんも顔見せなんだやないかい。
ちょっとは先祖を供養せいこのどアホ!」。
「あはっえらいすんまへん。
なんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶ」。
「若旦さんどうされました?」。
「どうされたもこうされたもあるかいな。
こんな気色悪いお茶要らんわ」。
「なんぞあったんでっか?」。
「なんぞあったやあるかい。
お前が向こう行ってる間におんなじようにやったんや。
ほなきれいな芸子舞子呼んだところが死んだおとっつぁん出てきたやないかい」。
「そんなはずないんですがな。
若旦さんそれ十分に火であぶりました?」。
「ええ加減にやった」。
「それがいかん。
ほうじが足りまへんねや」。
(拍手)林家笑丸さんの「ほうじの茶」でございました。
いかがでした?私の落語のイメージがらっと変わりました。
こんなに自由でいいんやと。
いい意味で?はいもちろんいい意味です。
寄席に行くと落語と落語の間にいろんな色物で芸が見られるじゃないですか。
まさにお一人でそれを体現してらっしゃって本当に芸達者な方だなと思いました。
達者な男ですな。
というとこで後半に移ります。
笑福亭枝鶴さんの「くっしゃみ講釈」です。
(拍手)
(拍手)上方落語協会会員番号71番笑福亭枝鶴。
ありがとうございます。
(拍手)よく申します事に「講釈師見てきたようなうそを言い」てな事を申しますがそれどころやないんでございますね。
「噺家は見てもないのにうそを言い」という…。
輪かけたようなうそでございます。
高校野球の時なんかでもそうでしたで。
電車で甲子園に行くのにどう行ってええか分からんような高校球児ですかな応援に来てる人ですかないてる訳でございます。
また梅田の駅界わいうろうろしてますとたまに一杯飲んだおっちゃんなんかいてますねん。
聞かいでもええのにその高校球児はそういうおっちゃんに聞いてしまうんですね。
「すいませ〜ん」。
「何や?」。
「あの〜甲子園へはどう行ったらいいんでしょう」。
「甲子園か?う〜ん毎日素振りするこっちゃな」。
(笑い)「噺家は見てもないのにうそを言い」とそういうところでございますが。
「と何かいな。
お前とパン屋のおもやんの仲がうまい事いかんようになったっちゅうのはその講釈師の後藤一山ちゅうやつが原因か」。
「そやがな」。
「何でや」。
「言わな分からんねけどな。
あの〜パン屋のおもやんとうまい事いっててぼちぼち所帯持とかってな事になってたんやがな」。
「うん」。
「これからの事話ししよか言うて風呂屋の裏あるやろ?あっこ路地になったって人通らへんねん。
暗いがな。
あっこでベシャベシャ〜ベシャベシャ話ししてたんや。
と向こうから入ってきたんが今言うてる講釈師の後藤一山っちゅうやっちゃ。
講釈師っちゅうのは大層なものの言いをしよんねんで。
『う〜ん夕景より腹中がチクチクと痛んでまいった。
どこぞここいらに大便所があらば拝借致したい』。
見つかったらいかんと思うさかいおもやんとわいこうやってベタ〜ッと壁にへばりついて隠れてたんや。
こっち来る時に何や踏んだんやろな。
『う〜ん雪駄の裏にいでたはにんやりとして少々粘りけもこれあり候。
犬糞でなくばよいが』。
犬のうんこの事犬糞いうねんて。
でな雪駄をこう外してやでかざしとる訳や。
『う〜ん案にたがわん犬糞犬糞。
紙で拭くのも異なもの。
どこぞそこいらの壁にぬすくってやろう』。
ちゅうて来たんがわいの鼻の先やがな。
わいたまらんさかいギャ〜言うやろ。
その声聞いておもやん向こうへシュ〜ッと逃げていくわ後藤一山は向こうへ走っていくわ。
後へ残ったんわいと犬糞の2人連れ」。
「そんなけったいな2人連れがあるかいな」。
「さあ次の日にやでおもやんとこ行って『もういっぺん話があるさかい出てきてえな』とこない言うたらな。
『そらあ出ていかん事もないけどもゆうべ一晩寝間でゆっくり考えたん。
犬糞の雑巾代わりにされるような人と添うても先に見込みがないさかいもうこの話はなかった事に』ちゅうて後藤一山と犬糞がために仲があかんようになってしもうたんや。
そやさかいこれから講釈場行ってなあの後藤一山講釈できへんようにむちゃむちゃしてきたんねん」。
「まあ待ち待ち待〜ちて。
そんな事したらおまえが反対に営業妨害で訴えられるで。
ああ分かった。
話は分かった。
ほたらその後藤一山ちゅうのがな一日講釈できへんようになったらそれでええか?」。
「一日ってな事言わへんで。
一時でええ。
刹那でええねん。
あいつの困る顔見たらス〜ッとすんねん」。
「ああそうか。
ほなええ知恵貸したろか。
今からな八百屋行っといで。
でコショウの粉買うといで。
あのコショウの粉を火にくべるやろ。
煙が出てくんねん。
それが鼻に入ったらなエグエグイ悪いくっしゃみが出る。
そのくっしゃみ講釈師の前でして3発ぐらいくっしゃみしたらくそかすに言うて帰ってくるちゅうのこれどないや」。
「くしゃみ?おもろいなそれ。
行こ〜う行こ」。
「行こ行こは分かった。
ほんなら肝心なもん買うといで」。
「何買うねん?」。
「コショウの粉や」。
「どこ行ったら売ってる?」。
「八百屋」。
「なんぼほどあったらええ?」。
「ぎょうさん要らん。
2銭がんもあったらええな」。
「2銭がん。
分かった分かった。
であの…何買いに行くねん?」。
「今言うたやろ」。
「今忘れたやろ」。
「お前の忘れひどいなそれ。
あ〜分かった分かった。
ほんならな目安教えたろ。
お前のぞきからくり知ってるか?」。
「ああ知ってる」。
「結構結構。
『八百屋お七』ののぞきからくりや。
そこで行き先の八百屋やな。
お七の色男駒込吉祥寺は小姓の吉三。
ここでコショウ思い出さんかい。
あとは2銭がんだけ頭に入れといたらそれで行けるっちゅうこっちゃ」。
「なるほど〜。
のぞきからくりか。
分かった。
ほな行ってくるわ。
であの〜どこ行くのやったかいな」。
「まだ言うてんのかお前は。
八百屋行ってコショウの粉2銭がん。
はよ行ってこい」。
「ウエ〜。
わいの忘れもたまったもんやないな。
けどええ目安教えてくれたな。
のぞきからくりのぞきからくりやなほんま。
八百屋の」。
「へいお越しやす。
何しまひょ」。
「あの〜あの〜あの〜…」。
「何さしてもらいまひょ」。
「あの〜あの〜くっしゃみの出るもん」。
「くっしゃみの出るもん?そんなんうちにおまへんで」。
「ない事ないがな〜。
あの〜な?知ってるやろ。
そのあの…のぞきからくり」。
「そんなもんうちにおまへんでそんなもん。
何だんねん」。
「何だんねんやないがな。
もう〜分かって。
段取りあんねや。
ここあの…。
あっ!お前なはりつけんなった女の人知ってるやろ?」。
「そんな物騒な人知りまへんであんた」。
「古い話でんがな。
誰でも知ってんねん。
小さな子どもでも知ってんのやがな。
まだ東京が江戸というてた時分やがな」。
「その時分生まれてへんさかい知らん」。
「話の続かんやっちゃなこいつは。
知らんか?あるがな。
からくりでそう…。
どない言うたらええのかな。
あの…」。
・「ホエ〜」「え?何だんねん」。
・「ホエ〜小伝馬町より引き出され」・「ホエ〜先には制札紙のぼり」・「ホエ〜罪の次第を書きたてて」・「ソレ同心与力を供に連れホエ〜」「ちゅうの2銭がん」。
「おまへん。
あんた行くとこ間違うてはります。
うち八百屋ですさかいねそんなもんはおまへん」。
・「ホエ〜」「まだでっかいな」。
・「裸馬にと乗せられてソレ」・「白い衿にて顔隠すホエ〜」・「見る影姿が人形町のホエ〜」・「今日で命が尾張町のホエ〜」「ちゅうの2銭がん」。
「いよいよおまへんわそんなもん。
見てみなはれ。
あんたがしょうもない事するさかいにね皆が立ち止まってこっち見てまんがな。
人がたかってきま…。
いや何でもおまへん何でもおまへん。
この人ね買いに来た品もんの名忘れた言うてこんな事してはりまんねん。
あんたが止まったらあかんがな。
あんたが止まるさかい皆止まってこうしてね山になってくんねんさかい通っておくんなはれ。
往来しとくなはれ。
押したらいかん。
そない押したらな戸が外れんのやさかい押したらいかんって。
あんたもはよ思い出しなぁらんかいな」。
・「ホエ〜」「まだかいな」。
・「今どんどんと渡る橋ソレ」・「悲し悲しの涙橋ホエ〜」・「品川女郎衆も飛んで出るホエ〜」「ちゅうのハッハ〜2銭がん」。
「もう堪忍しとくなはれこれ。
うち商売でけまへんがな。
いやあかんあかん。
押したらあかんっちゅうねん。
そないに押したらあかん。
押したらそら…な?荷が崩れるやろ?その辺を…あ〜白菜が崩れたやろ。
何をすんねんな。
誰や大根持って逃げんの。
誰ぞ捕まえてえなもう〜。
あんた帰っとくなはれな」。
・「ホエ〜」「まだおまんのかいな」。
「これからかわると天下の仕置き場鈴ヶ森じゃ〜。
あどうじゃ〜。
あどうじゃ〜」。
「あんたにぎやかすぎまっせそれ」。
・「ホエ〜二町四方は竹矢来」・「ホエ〜中にも立ったる火柱の」・「ホエ〜紅蓮の炎に包まれて」・「ホエ〜」「おい八百屋。
俺なにもすき好んでこんなんやってんのちゃうぞ」。
「十分楽しそうにやってはりまっせ」。
「俺のやってんのこれ何や」。
「何やってそれのぞきからくりでんな」。
「そうそうそう。
言うてるそのからくりを2銭…。
近づいてきた。
この段取りこの段取りうん。
これ何ちゅうからくりや」。
「ええ『八百屋お七』」。
「お七お七2銭…。
来た来た来た来た来た来た。
もうちょっとや。
この『八百屋お七』お七の色男何ちゅうねん」。
「それやったら誰でも知ってまんがな。
駒込吉祥寺は小姓の吉三」。
「小姓?そいつや〜そいつや〜」。
「盗人みたいに言うてなはんな。
コショウでっかいな。
それやったら初めからそない言うてくれはったらよろしいでんがな。
ちょっと待っとくなはれ。
ええコショウコショウコショウ…。
売り切れてますわ」。
(笑い)「いや売り切れてるってそれ何やねんお前。
仕入れとかなあかんやろ!今日わい買いに来んの分かったある」。
「知らんがなそんなもん」。
「あれ何か?火の中へくべたら煙出てエグエグイ悪いくっしゃみ出るか?」。
「ああそんな使い方しまんのんかいな。
それやったらねわたいねコショウの粉ではやった事おまへんけどトンガラシの粉くすべてしましたで」。
「くっしゃみ出るか?」。
「ええ居眠ってる子起こす時に使いましたな。
エグエグイ悪いくっしゃみ出ます」。
「くしゃみさえ出たらそれでええわ。
すまんけどそのトンガラシおくれ」。
「なんぼほど?2銭がん。
僅かの」。
「はあ〜2銭がんぐらいのトンガラシの粉を買いに来んのにのぞきからくり一段語る。
あんた今どきのお方やおまへんな」。
「へい。
まけてまっせ」。
「あ〜こっち貸してこっち貸して。
よしよしよし。
ぜぜぜぜ…銭ここ置いとくわ。
銭ここ置いとく。
あの〜また来るわ」。
「いらん」。
「いやまた来たるて」。
「いりまへん。
今度こんなん欲しい時はよその町行っとくなはれ。
よその町の八百屋行っとくんなはれ。
うち来てもらわんで結構です」。
「何を言うてんねん。
ほんまは来てほしいくせに」。
「いらんっちゅうてまんねん」。
「また来たるさかいに。
うわっぎょうさんの人まだたかってるわ。
もう何もおまへんで。
帰りますさかいな。
さいならごめん。
ただいま〜」。
「ただいまやあるかいお前。
今時分までどこうろうろしてたんや」。
「そない言うたかてなあの…う〜ん品もん忘れたん」。
「そんなこっちゃろうと思たわい。
せやさかいにお前にはちゃんと教えてあるよ目安」。
「目安教えてもうたけどもなポンポンと出てけえへんさかいしゃあないさかいやな…」。
・「ホエ〜小伝馬町」「お前そんな事やってきたんか。
アホな事しとんなほんまに。
でそのおっさん笑てたやろ八百屋の」。
「いやいや褒めてくれてたで」。
「どない言うて?」。
「『あんた今どきのお方やおまへんな』言うて」。
「笑われてんねやそれやったら。
であったんかいコショウ」。
「売り切れ」。
「なかったらすぐ帰ってこなあかんがな。
ほかの手だてを考えな」。
「いやけどなトンガラシの粉でもくっしゃみ出る言うてたさかいトンガラシの粉買うてきた」。
「まあ煙出てくっしゃみさえ出りゃそれで構へんねんけど。
もっとはよ来なあかんで。
ああいうとこは常連さんがいてはんねんさかいな。
前に行かなあかんねん今日は。
よしついといで」。
ぐるっと回りますというと講釈場でございます。
前では客呼ぶような呼ばんようなおっさんが火鉢を抱えるようにして客を呼んでたりは致しますが。
「まあお入り。
まあお入り。
まあお入り」。
「雨呼ぶカエルみたいな声出しとる。
2人入るで」。
「お二人さんどうぞごゆっくり」。
「さあこっち来い。
見てみい。
はよ来えへんさかいもう常連さんが並んではるやないかい。
前行くで。
ついてこい。
えらいすんまへん。
ちょっとだけ前行かしたっとくなはれ。
あ〜ご無沙汰を致しております。
またええ寄せて頂きますので。
いえこいつがね今日初めてでんねん。
ちょっと前で聞かしてやりたいと思いまして。
えらいすんまへん。
前ごめんやっしゃ。
あすんまへんな。
どうも。
よしなんとか前まで来れた。
よしお前ここ座れ」。
「肝心のもんもらわんかい」。
「何が?」。
「火鉢もらわなあかんやろお前」。
「火鉢?忘れてたんや。
ねえはん。
ねえはん」。
「どっから声出してんねんお前。
普通にもの言え普通に」。
「すんまへんねえはん。
あの〜火鉢こっち…。
ええええええ。
いやええ…1つで結構でっせ。
そのかわり言うときまっせ。
あの〜からけし炭はようついどいとくなはれや。
カンカンにカンカンにいこしといてカンカンに。
あの…カンカンにいこしてもらわなあかんねんて。
このあとなわてそん中へトンガラシの粉…」。
「アホかお前。
今からもの言う…だましてどないすんねん。
静かに静かに」。
「分かってる分かってる。
えらいすいまへん。
よっこらしょっと。
ヘヘヘヘ。
こう据えといてな。
出来たはる」。
「はっ」。
「何してんねんお前は。
まだ講釈師出てきてへんやないかいお前。
そない今からくべて見つかったらどない…。
何でこっちあおぐねんアホお前は。
それでは俺がお前…。
そ…それでは俺がお前…。
それでは…お前…そ…そ…。
ヘ〜ックション!ヘ〜ックション!」。
「ハハハ!これやったらトンガラシでも大丈夫」。
「人試験に使うなお前は!」。
言うとりますうちに時刻がやって参ります。
講釈師が出てまいります。
さあこの講釈師という方う〜んすぐに分かりやすい事で言うてくれるかっちゅうとせやないんでございますな。
初めは何や訳の分からん事言うてたりなんかするんでございますな。
「あはうんうんあはうん。
あはうん。
あはう〜んう〜んあっはう〜ん。
雨の降る日は天気が悪い。
鶏自転車よう乗らん。
カエルクロールよう泳がん」。
ほんまに訳の分からん事言うておりますが。
「お早々からのお詰めかけ様にはありがたき幸せに存じ上げます。
毎夜読み上げまするはいずくの島々谷々津々浦々へ参りましても御馴染みの深きところは慶元両度は難波のお話。
頃は慶長の19年12月7日の儀に候や。
大坂城中千畳敷御御上段の間には内大臣秀頼公御左座には御母公淀君介添えとして大野道犬主馬修理之助数馬。
軍師には真田左衛門尉海野幸村同名伜大助幸安四天王の面々には木村長門守重成長曾我部宮内少輔秦元親薄田隼人紀兼相後藤又兵衛基次また七手組番頭には伊藤丹後守早水甲斐守らいずれも持口持口をてくばったりしが今や遅しと相待ったるところへ関東方の同勢五万三千余騎辰の一点より城中目がけて押し寄せたりしが。
中にも…」。
「何してんねんお前」。
「うまい」。
「お前何しに来てんねんお前。
くすべなあかんやないかい」。
「それころっと忘れてた。
こいつうまい。
ひいきにしそう。
今に見てくされほんまに」。
講釈師の鼻の所へモヤモヤモヤ〜ッとやって参りました。
「中にも先手の大将その日の出立ちはと見て…黒革威の大鎧白檀磨きの籠手脛当て鹿の角…ヘ〜ックション!ヘ〜ックション!ああ…これは失礼を致しました。
やつがれもうたた寝をして風邪をひいたと見えます。
もう大丈夫でございます。
中にも先手の大将その日の出立ちはと見てあらば黒革威の大鎧には白檀磨きの籠手脛当て鹿の角…ヘ〜ックション!ヘ〜ックション!これは度々失礼を致しました。
このごろの風邪はひくと治りにくいようでございます。
どうぞご自愛の程」。
だんだん言い訳でけんようなくっしゃみの数になってまいります。
「中にも先手の大将その日の出立ちはと見てあらば黒革威の大鎧には白檀磨きの…ハ〜ックション!鹿の角前立打ったる五枚錣の兜を猪首に…ハ〜ックション!駒は名にしおう嵐鹿毛と名付けたる名馬には金覆…ヘ〜ックション!鞍を掛け。
ゆ〜らゆ〜ら…ヘ〜ックション!ヘ〜ックション!うちまたがったり…ヘ〜ックション!ヘ〜ックション!」。
「ヘ〜ックション!あほんだらボケカス。
なぜこよいはこのようにくっしゃみが出るのでござろう。
これではせっかくの講釈も形なしでございます。
今日のところは半札とは思いまするが丸札を差し上げますでお帰りの程を」。
皆気の毒やっちゅうので帰っていった。
さあ残り2人や。
「おらここで言うたれ。
こらかいしゃくし講釈師おたまじゃくし。
己はおかゆもすくえんおたまじゃくしじゃ!今日は己の講釈聞きに来てんぞ。
くっしゃみ聞きに来たんちゃうぞ。
前の客見てみい。
己のたん唾でずるずるなってるやないか。
こんなん食ろとけ。
カ〜ップッ!出といで〜」。
「ハハハ〜!」。
・「オケラ毛虫ゲジ蚊にボウフリセミかわず」・「やんま喋々にキリギリスにハタハタブンブの背中はピッカピカ」「ああいやそこへお行きのお二人さんほかのお客さん方は私が苦しむのを見て黙ってお帰り下さった。
あんた方2人なんぞ私に故障でもあるのですか」。
「いや〜コショウなかったさかいなトンガラシくすべたんやがな」。
(拍手)笑福亭枝鶴さんの「くっしゃみ講釈」でした。
いかがでした?普通の落語にのぞきからくりの部分とか講釈の部分こう全然3種類話し方が違って本当にこれも聴き応えがあって面白かったですね。
お得な噺でしょ。
そうですね。
それぞれやっぱり高度なテクニックが必要で難しいお噺なんじゃないですか?はい難しいです。
でもさすがというかお見事という感じがしました。
申し伝えましてございます。
ところで今日初めて上方落語聴きはったんですね。
そうですね。
その印象はいかがでしょうか。
やっぱり上方の落語の方が本当にエンターテインメントというか笑いの要素も大きくて音楽とかもよく鳴って動きも大きかったりしてすごい楽しませて頂きました。
そうですか。
あのねちなみに今完全に大阪弁になってますよ。
そんだけ影響力あった訳でございますね。
繁昌亭とかも行きたいですね。
お願いします。
というところで「上方落語の会」これでお開きでございます。
ではさよなら。
2015/12/11(金) 15:15〜15:59
NHK総合1・神戸
上方落語の会▽「ほうじの茶」林家笑丸、「くっしゃみ講釈」笑福亭枝鶴[字]
▽「ほうじの茶」林家笑丸、「くっしゃみ講釈」笑福亭枝鶴 ▽第356回NHK上方落語の会(27年10月1日)から▽ゲスト:村井美樹▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
第356回NHK上方落語の会から林家笑丸の「ほうじの茶」と笑福亭枝鶴の「くっしゃみ講釈」をお届けする▽ほうじの茶:旦那が遊んでいると幇間が珍しいお茶を持ち込み“このお茶をいれるとお好みの物が出ます。 ただしよくほうじなければなりません”と言われてやってみると…▽くっしゃみ講釈・講釈師にあることで恨みを持った男が、相棒と相談してこの講釈師を困らせようとするが…。▽ゲスト:村井美樹▽ご案内:小佐田定雄
出演者
【ゲスト】村井美樹,【案内】小佐田定雄,【出演】林家笑丸,笑福亭枝鶴
キーワード1
落語
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漫才
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – トークバラエティ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
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サンプリングレート : 48kHz
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