これ、すごいお弁当の鶏の味です。
(アナウンス)「財前教授の総回診です」
(柳原)カルテを書き直す?
(国平)事実の整理です。
(里見)これは事実の確認ではありません。
改ざんです。
(財前)逃げるつもりか?
(佐枝子)このまま佐々木さんと誠実に向き合わないつもりなら関口さんも最低です。
(関口)法廷で証言していただければ遺族は救われますよ。
証言しましょう。
(関口)今日はカルテだけではなくすべての診療記録を見せていただきます。
(カメラのシャッター音)
(ケイ子)五郎ちゃん。
(国平)朝早くからすいません。
先生にお願いしたいことがあるんですが。
(記者たち)財前教授!
(マスコミの喧騒)
(記者)誤診というのは本当なんでしょうか?
(記者)教授就任後にすぐに被告になった感想は?
(記者)遺族は「財前先生に殺された」とまで言ってるそうですが。
(佃)そこまで!どいてほら。
(安西)ここからは関係者以外立ち入り禁止です。
(佃)どいてどいて。
(記者たち)財前教授。
先生。
ご自分が大学に対して何をなさろうとしてるかお分かりですか?気持ちを変えるつもりはありません。
(三知代)あの…あなた。
上がっていただいたら?わたしはただ患者に対して責任を果たそうとしているだけです。
あなたは証言することによって肩の荷を降ろすことができるかもしれません。
しかしあなたの行動は浪速大学をそこで働く医師たちをひいては患者までをもおとしめるものなんですよ。
お帰りください。
奥さんも承知の上ですか?これはご家族の将来に大きくかかわることになりますが。
(里見)お帰りください。
分かりました。
今日のところは失礼します。
がもう一度よくお考えください。
改めて伺います。
あなた。
(里見)心配しなくていい。
(東)何だって?財前君を訴えてる弁護士というのが?わたしがアルバイトでお世話になっている関口さんなの。
(政子)どういうことなの佐枝子さん?関口さんは医療裁判をたくさん手がけてきた方なの。
今回も患者さんの遺族がそのことを知って依頼に。
だからって何もあなたが浪速大学を訴えるお手伝いをするなんて。
そりゃあ財前さんはもう訴えられてもしかたがないようなひどい人だけど…。
佐枝子。
そのアルバイトはすぐ辞めなさい。
わたしはね浪速大学第一外科の前教授だ。
その娘であるお前がわたしの後任である財前君を訴える立場に回るなどいや偶然だとしても許されるわけはない。
偶然ではないわお父さま。
わたしは関口さんが医療裁判を手がけていると知ってお世話になると決めたの。
それは医師という仕事をもっと知りたかったから。
だから財前さんの訴訟にかかわることになったのも運命だと考えているの。
裁判の結果が出るまで関口さんをお手伝いするつもりよ。
(政子)そんな…。
(東)駄目だ佐枝子。
いや医療裁判というのはねお前が考えてるほど甘いものじゃないよ。
今度の事件だって果てしなく長い救いのない争いになるだろう。
お前がね傷つくだけだよ。
傷ついてもかまいません。
わたしはお父さまが一生を賭けてやってきた仕事をもっと深く知りたいの。
許してください。
(よし江)どういうこと?
(従業員)またキャンセルでした。
PTAの会合で配ろうとしたんですがその親の中に浪速大の医者がいたらしくて。
(従業員)毒でも入れられたらたまんないからって。
せっかく店再開したとこなのに。
(信平)自分でまいた種やないですか。
弁護士に何吹き込まれたんか知らんけどな義姉さんそんなに金が欲しいんですか?兄貴の死を金に換えたいんですか?違うわ。
わたしはお金じゃなくてあの人の無念を…。
人さまがみんな同情してくれる思うとったら甘すぎるで。
もめ事起こしてる弁当屋の弁当なんかなそんなもん誰も食いたないわ。
それが証拠にほらキャンセル続きやないですか!
(戸の開く音)すいません。
みんな驚いたみたいで。
(関口)訴訟を起こすことで生活が変わってしまうことはある程度覚悟してもらわなければなりません。
奥さんと庸一君は裁判によって世間の大学病院を見る目を変えようとしているんですから。
はあ。
今後は書面でのやり取りのあと証人尋問になります。
これからが正念場です。
証人尋問?財前教授はもちろんのこと訴えを起こした奥さんにも法廷に立ってもらうことになります。
はあ。
証人尋問が一とおり終わったところでこの事件には関係のない第三者の医師を呼んで意見を聞きます。
これを鑑定と呼びます。
そうして得られた証言と鑑定を総合的に公平に判断して裁判官は判決を出します。
(庸一)でも父のために証言してくれる人なんているんですか?解剖を行った大河内教授にお願いするつもりですし里見先生も出廷するとおっしゃってくれています。
里見先生が。
遅い出勤だな。
おはよう。
(財前)「おはよう」はないだろう。
こんな日に。
(里見)いつもと同じ朝じゃないか。
(財前)僕は被告になったんだ。
(里見)だからと言って君と俺との関係が変わるわけではない。
(財前)僕を陥れようとしてる人間が何を言ってるんだ。
君は原告側の証人として立つそうじゃないか。
君を陥れるようとしてるわけではない。
医師として事実を証言するだけだ。
きれい事を言うな。
遺族の側に立つということは僕にとって不利な証言をするということじゃないか。
俺は最後まで君に医師であってほしいんだ。
訳が分からんね。
君のやっていることはまったくその逆じゃないか。
法廷では君に分かってもらえるよう証言するつもりだ。
(テーマソング)〜
(廷吏)起立願います。
(裁判長)ただいまより審理を始めます。
証人尋問を行いますが原被告双方の証人は出廷していますか?はい。
はい。
(裁判長)では前へ。
(又一)佃先生頼んますわ。
(佃)はい。
(裁判長)これから宣誓をしてもらいますが宣誓した上は虚偽の証言をすると偽証罪に問われ処罰される場合もありますから真実を述べてください。
はい。
はい。
(国平)あなたは財前教授が国際外科医学界で出張中診療を預かる立場にあったわけですが亡くなった佐々木庸平さんを最後に診たのはいつですか?
(佃)1月19日の夜9時ごろ担当医の柳原医師から急変の知らせを受けて駆けつけました。
どんな様子でしたか?
(君子)《佐々木さん大丈夫ですよ》
(佃)呼吸が促迫し酸素飽和度も保てなくなったので気管内挿管を行い経過を診ましたが呼吸不全は回復せず22日深夜には心停止の状態となり心肺蘇生術を行いました。
しかし心拍動は再開せず翌23日0時過ぎついには死亡に至りました。
(国平)手術後27日目の急変だったわけですが原因は何だったとお考えですか?財前教授のオペは完璧でした。
また術中確認したところリンパ節への転移もありませんでした。
ですから不運と言うか予測のつかない状況で容態が急激に悪化したとしか。
(国平)なるほど。
全力は尽くしたが不可抗力で患者は亡くなったということですね?はいそのとおりです。
不可抗力です。
終わります。
(裁判長)原告代理人はこの証人に何か聞くことがありますか?
(関口)はい。
反対尋問をさせていただきます。
先程佃さんは最後に佐々木庸平さんを診たときの様子を証言されていましたがそれでは最初に佐々木さんの容態の悪化を知ったのはいつですか?それは…。
(柳原)《あのうどうしたらいいのでしょう?佐々木さんの術後肺炎なんですが…》
(佃)やはり担当の柳原君から容態の変化について相談を受けたときだと思います。
何月何日の何時ごろでしょう?1月8日の…夕方ごろだったと記憶しています。
1月8日。
それは財前被告がワルシャワに出発する前ではありませんか?
(佃)そうですが。
(関口)と言うことは財前被告は出発前に佐々木さんの容態の悪化を知ったということになりますね?診察はしたんでしょうか?いいえ。
自分が執刀した患者の悪化を知りながら診察をしなかったんですか?
(佃)財前先生は渡航の準備で大変多忙でしたが担当医の柳原君に術後肺炎と考えられるので抗生物質を感受性に応じて投与するよう指示されました。
その指示は明確で何の不備もありませんでした。
その抗生物質は効果を表したんでしょうか?一度は熱が下がりましたが翌日また発熱が…。
それはつまり効いたんですか?効かなかったんですか?効果は見られませんでした。
(関口)財前被告の指示どおりにしたのに効かなかった。
それはなぜでしょう?
(佃)それはあの結果として術後肺炎ではなかったためで。
(関口)つまりこういうことですか?財前被告の診断は間違っていたと?
(佃)でもあの症状を診れば誰でも術後肺炎と診断したと思います。
(関口)おかしいですねえ。
財前被告は直接診察をしなかったんではないんですか?財前被告はろくに診察もせず間違った指示を出したので佐々木さんを死に至らしめたとは思いませんか?
(国平)裁判長。
ただいまの尋問は自分の意思を不当に証人に押しつけるものです。
撤回を求めます。
(佃)そうです。
財前先生も我々もベストを尽くしました。
決して手抜きをしたわけではありません。
結果だけを見て責められては治療なんてできたもんではありません。
(又一)感情的になったらあかんわ。
感情的になったらあかん。
〜
(記者)浪速大学の裁判ならこちらですが。
(きぬ)あっああ…。
ご親切にありがとうございます。
失礼ですが原告側の関係者の方ですか?
(きぬ)いいえ。
わたしはあの財前五郎の…。
(記者)えっ。
財前教授のお身内の方ですか?
(ケイ子)ちょっとすみません。
あらこんにちは。
あのちょっと。
あちらのほうに。
は…はい。
(関口)解剖医として正確にお答えください。
術後肺炎ではなくガン性リンパ管症で亡くなった。
つまり肺にガンがあったということですよね?それは原発性のものでしょうか?それとも転移性のものでしょうか?
(大河内)肺に広がったガンの組織像は食道部に認められた腺ガンの組織像と酷似しており食道のガンが肺に転移したものと考えられる。
さらに言えばその転移は死の直前に起こったものではなく相当以前に起こっていたものと推定される。
「相当以前」と言うと具体的にはどれぐらい前なのでしょうか?誤りなく正確に時期を割り出すことはできない。
しかし時間経過と解剖所見から言って術前の段階で既に肺への転移があったと考えて間違いない。
(関口)だとすると肺への転移がありながら食道の手術を行ったということになりますね。
通常転移のある場合は手術は行われないと聞きますが。
確かに肺への転移が確認されれば手術以外の治療を第一選択とするのが標準であろう。
ありがとうございました。
終わります。
(裁判長)被告代理人から証人に尋問することはありますか?
(国平)本件は転移が発見しえたか否か手術すべきであったか否かという極めて臨床的な判断を争うものです。
従って死体や標本のみに向き合う一解剖医の意見にわたしは価値を認めません。
尋問は結構です。
(ざわめき)ホッホッホ。
バッサリ切らはったな。
(裁判長)では裁判所から証人に質問します。
解剖医として財前被告の取った処置をどう考えられますか?本件において術前から肺転移があったことはほぼ間違いがない。
にもかかわらず手術に踏み切ったのは手術の前には転移の発見が不可能であったと考えるのが妥当である。
だが仮に財前教授が術前の検査を怠り肺の転移の可能性を考慮せず手術を行ったのならば注意義務怠慢であり明らかに臨床医の自覚に欠けていたと言わねばならない。
怠るわけないやろ五郎君は。
(きぬ)ご迷惑をおかけいたしまして。
(ケイ子)いいえ。
中にはあることないこと書く人もいますから。
(きぬ)はあ。
それだけ大変なことになってるんですね。
浪速大学のような国立の一流大学が訴えられるなんてあまりないので。
はあ。
あのそちらさまは…。
ああ。
(きぬ)五郎とはどういう?お仕事でお世話になったことがある者です。
はあ。
そうですかあの…。
(きぬ)あのここには五郎が誤診をして患者さんを死なせてしまったように書いてあるんですけどもこれはこれはホントのことなんでしょうか?判決が出るのはまだまだ先のことだと思います。
五郎がホントに誤診をしたんでしたら親として一刻も早くご家族の方におわびをしなければと思いまして。
ああ。
財前先生は何て言っておられるのですか?心配はいらないと電話を。
ああ…。
あの子は人さまの命を軽く見るような子では決してありません。
子供のころから優しくてわたしがひどい風邪をひいたときなんかおぶって病院に連れて行ってくれたんです。
立派なお医者さまになるんだ病人を助けるんだと言って毎晩遅くまで勉強しておりました。
そんなあの子が嘘をつくはずありません。
(記者)財前教授。
(記者)今日の証人尋問に異論はありますか?
(記者)医師としての自覚に欠けていたと言われたわけですが。
(記者)財前教授。
(記者)お答えください。
(記者)どうなんですか?答えてください!
(マスコミの喧騒)
(又一)いやいや。
いてこまされましたわ。
(鵜飼)大河内さんが出廷する以上財前君に有利な展開で終わるはずはないとは思っていたが。
(岩田)佃先生もなかなか頑張ってはくれましたけど1回の表裏終わって0対2ちゅう感じでんな。
よりによって「臨床医の自覚に欠けていた」てもう裁判長の心証にあとあとどう響いてくるかもう。
やめましょうお義父さん。
ええ?裁判は始まったばかりです。
そうですよね?国平先生。
楽観はできませんが悲観をする必要もありません。
ほんまでっか?
(国平)まだ第1回の証人尋問が終わっただけです。
次回は我々の証人として柳原先生そして先方は原告の佐々木よし江の尋問が予定されています。
まっ相手は素人ですからここできっちりと挽回をして最後の財前先生の本人尋問につなぎましょう。
(又一)最終回が五郎君とあっち側は誰ですかいな?内科の里見助教授です。
(又一)えっ。
いや大仏はんの大河内はんはともかくえっ浪速大学の内科の医者が原告側でっかい?医師として事実を証言すると言っておられます。
それって五郎君の敵に回るいうことやないかい。
まっそういうことになるでしょうね。
そんな!どないすんねんなあんた。
(国平)まあ落ち着いてください。
確かに里見先生の出廷を阻む策は考えなくてはなりませんが今はまず担当医の柳原先生が確実にこちらに有利な証言をするよう固める必要があります。
その点は心配いりません。
彼は僕の言うなりですから。
だといいのですが柳原先生にお会いしたところ彼はすべてに自信をなくしているようでしたから。
自信のない人間はえてして偽善者になりますからね。
しかししょせん偽善は偽善です。
彼の善意など蟻をつぶすより簡単ですよ。
「蟻」て…。
ハハハ。
よし里見君のほうは僕が動いてみるよ。
こっちは蟻をつぶすようなわけにはいかんだろうがまあ手がないわけではない。
鵜飼先生何とかお願いします。
国平先生岩田はん。
もうこの五郎君教授になってからまだ何にもしてまへんねん。
もう何とか助けてやってください。
何とか。
お願いします。
ヒヒヒこれ。
これ。
ヒヒヒお願いします。
(関口)今日の証人尋問はまずまずだったと思います。
(よし江)ありがとうございます。
(関口)ですがまだまだ油断はできません。
次回の柳原先生は恐らく財前先生に有利な証言をしてくるものと思われます。
(よし江)本当のことは言ってくれないってことですか?
(関口)ですから奥さんがしっかりと真実を訴えなければなりません。
あのわたし法廷で話なんかできるかどうか。
今更何言ってんだよ。
(関口)大丈夫です。
あらかじめ打ち合わせる必要も身構える必要もありません。
奥さんは落ち着いて正直に答えてくだされば結構です。
確かに甘いのかもしれませんね。
何も知らずに裁判を起こすなんて。
(ノック)
(関口)はい。
(里見)失礼します。
あっ。
(佐枝子)どうぞ。
遅くなってすいません。
里見先生。
(関口)里見先生には最後の証人尋問に出廷することを承諾していただきました。
(よし江)先生ありがとうございます。
わたしらのためにすいません。
わたしはあくまでも医師としてありのままの経緯を証言するだけです。
(よし江)そのありのままを話してくれる人いなかったからわたしら苦労してきたんです。
(財前)いよいよ今度は君の証人尋問だね。
(柳原)はあ。
(財前)何だ歯切れが悪いじゃないか。
いえ。
証人に立つなど初めてのことなので。
うん。
じゃあ整理しておこう。
この裁判の焦点はたった二つだ。
一つ目は手術が妥当であったか否か。
二つ目は術後の処置が妥当であったか否か。
はい。
二つ目の術後の処置については全力で治療を行ったと言って乗り切ればいいが一つ目の手術の妥当性についてはなぜ肺への転移がありながら手術をしたのかという点が問われる。
さてどう答える?それは転移には気づかなかったと。
検査でも肺に影はまったく見られなかったと。
違うだろ柳原君。
肺にまったく影がなかったなどと言っては嘘になるじゃないか。
陰影は発見した。
詳しく検討した結果炎症性変化と判断した。
誰一人転移を疑う者はいなかった。
そう記憶を整理すべきだよ。
(柳原)《ここに薄く影が見えて肺への転移ではないでしょうか?》《それは炎症性変化だ》《やはり術前の小さな影は肺ヘの転移だったという可能性が…》《何度言えば分かる?》《僕の見るところ佐々木さんの症状は術後肺炎ではなくオペ前に見えた肺の影と無関係じゃないと思う》
(三知代)あなた。
(里見)うん?あの…。
電球。
電球?替えてくれない?届かないから。
(里見)ああ。
気がつかなくて悪かった。
よいしょ。
うん。
どうした?財前さんの裁判で証言するのはやめて。
医師が患者の遺族の側に立って証言するなんて聞いたことないわ。
だからやるんだよ。
誰かが本当のことを言わなければならないんだ。
どうしてそれがあなたじゃなきゃいけないの?俺は亡くなった佐々木さんに対して責任があるんだ。
わたしや好彦には責任はないの?証言台に立ったりしたら大学にいられなくなるんじゃないの?そうと決まったわけじゃない。
決まってからでは遅いわ。
あなた何のために今まで昼も夜もなく研究してきたの?患者さん診てきたの?すべてがたった一回証言台に立っただけでなくなってしまうのよ。
すべてじゃない。
よし。
すべてだわ。
だからわたしあなたがどんなに忙しくても何も言わないできたわ。
話したいことも我慢してただあなたが気持ちよく仕事できるようにただそれだけを考えて。
こんなことで大学を追われるようなことになったらわたし何のために一人で好彦を育ててきたのか。
俺だって研究を続けたい。
そして医師として認められたい。
でも事実を話して佐々木さんの死を無駄にしないことは俺にしかできないんだ。
(関口)大学を追われるだけならいいんだけどね。
(佐枝子)医師を辞めなくてはならなくなるということですか?
(関口)医者の世界は狭いからね。
大学に不利な証言をした医者をわざわざ雇うところなんてないんだ。
以前僕が手がけた訴訟で遺族側についた医者も徹底的に行き場を奪われて医者を辞めたよ。
裁判てのはそういうもんなんだ。
かかわった人間の人生を変えてしまうことがある。
彼を止めたくなった?止められたら僕は困るな。
里見先生の証言がないとこの裁判には勝てないからね。
(佐枝子)でも里見先生にはご家族がいます。
引きずり込んでしまっていいのでしょうか?引きずり込まれたのは僕も同じだよ。
僕はもうしんどい仕事はするまいと思ってた。
でも…。
《何か力になれることはないかと思いまして》
(関口)里見先生と出会ってこの裁判にのめり込むようになった。
君も同じなんじゃないのか?この裁判手伝うことになって元教授のお父さんとけんかの一つでもやらかしたんじゃないの?は…はい。
でも君はここにいる。
自分の意志で。
はい。
彼は誰が止めても証言に立つよ。
そしてどんなことがあっても医者を辞めたりしない。
僕はそう信じてる。
はい。
(君子)柳原先生?
(君子)まだ悩んでたの?
(君子)帰って休まなきゃあしたは法廷で証言するんでしょ?
(柳原のため息)
(柳原)いいんでしょうか?
(柳原)カルテの改ざんをしてその上嘘の証言なんて…。
(君子)嘘はよくないわよ。
でもここにいたかったら嘘をつくしかないわ。
僕今まで財前先生のいいところしか見てなかった。
…のかもしれない。
そんなに苦しむなら本当のこと言ったらいいじゃない。
本当は肺への転移に気づいてた。
財前先生に検査を勧めた。
にもかかわらず財前先生はオペを行った。
そのせいで患者は死んだ。
地方の病院に行くことになったらわたしがついてってあげるから。
僕はここにいたいんです。
医者でいたいんです。
(又一)あきたらへん。
何分よろしくお願いします。
ヘヘヘ。
(関係者)ありがとうございます。
こちらの席へ。
(廷吏)起立願います。
(裁判長)それでは第二回目の証人尋問を始めます。
証人と原告本人は前へ。
(鵜飼)精が出るね。
(里見)あっ。
(鵜飼)ハハハ。
どうだね?研究の成果は。
(里見)遺伝子的アプローチからも薬剤のガン抑制効果を証明できそうです。
(鵜飼)そりゃすばらしい。
さすが橘賞学者だ。
何かご用でしょうか?今日は財前君の法廷があるんで弁護士と会わなきゃならん。
君に午後の診療を頼みたいんだが。
あっ分かりました。
いつも助かるよ。
あっ礼と言っちゃ何だが来月マイアミで開かれる国際ガン内科学会にシンポジストとして出席してみないかね?今回は厚労省も視察に入ることになってる。
君が現在進めている研究を発表すりゃあさらに研究の場が広がるよ。
ありがたいお話ですが。
(鵜飼)うん?じゃあ行きたまえ。
奥さんも同伴で1週間ぐらいゆっくりすればいい。
いや申し訳ありません。
せっかくですがこの日は…。
(鵜飼)知ってるよ。
君が証言をする日だろ?遺族側の証人として。
だから勧めてるんじゃないか。
行かないと言うのならそれでもかまわないがそのときは今後日本では研究ができなくなる。
赤の他人の人生とたった一度しかない自分の人生とどっちが重いかよーく考えたほうがいいよ。
話はそれだけだ。
失敬するよ。
ご苦労さん。
(ドアの閉じる音)影はありました。
その影を見てガンの転移を疑いましたか?疑いませんでした。
肺に影があったのに?あっいえ。
全く疑わなかったのではなく検査をして検討を重ねた上で炎症性変化と判断しました。
それは財前被告がそう判断したからではないですか?
(柳原)違います!佐々木庸平さんは1日に30本もたばこを吸うヘビースモーカーで半年前にも肺炎を患ったことがあったので担当医として判断しました。
あの影は誰の目にも炎症性変化にしか見えませんでした。
そうですか。
乙1号証の38ページを示します。
(裁判長)どうぞ。
(関口)これは佐々木庸平さんのカルテのコピーです。
この図の下のほうを見ていただけますか。
これは修正液で消された部分だと思われます。
ここには何と書いてあったんですか?覚えてません。
自分で書いたカルテなのに?覚えてません。
では甲5号証の12を示します。
(関口)これは修正液で消された個所を裏側から光で透かして撮影したものです。
(カメラのシャッター音)
(関口)何と書いてあるか読んでいただけますか?証人は読んでください。
「て…転移の疑いか」
(関口)続けてください。
「胸腔鏡検査の必要あり」これはあなたの字ですか?はい。
と言うことはあなたは肺への転移の疑いを持っていたのではないんですか?転移の疑いを持っていたからカルテにこう書いたんではないんですか?以上で質問を終わります。
(国平)いくつか追加でお伺いしたいことがあるんですが。
(裁判官)どうぞ。
(国平)柳原先生。
カルテの記載では筆記具は何を使うのが一般的ですか?
(柳原)ボールペンや万年筆などです。
(国平)ボールペンや万年筆ですか。
そのとき書き間違えることはあるんでしょうか?ときどき間違えることはあります。
(国平)そうですよね。
医師も人間ですからね。
そんなときはどうするんですか?正しい記載に直します。
具体的には?修正液を使うことがあります。
佐々木庸平さんの場合もそうしたんですね?はい。
(国平)事実と違う記載があったため事実に合うように修正したんですね?間違いがあったので修正しただけです。
終わります。
(関口)こちらも追加でお聞きしたいのですが。
時間はかかりません。
質問は一つだけです。
どうぞ。
(関口)柳原さん。
あなたは今単に書き間違えたので修正しただけだと言いました。
それはつまりカルテの改ざんをしたわけではないということですか?はい。
これは非常に重要な質問です。
原告被告双方の今後の人生を左右しうるだけではなく医療の是非をも問うものですからもう一度大きな声ではっきりと答えてください。
どうされました?カルテの改ざんをしたのかしなかったのか。
一人の医師として人間としてはっきりと明確に答えなさい!『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜2015/12/11(金) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #14[再][字]【医療過誤で訴えられた財前教授…待ち受ける運命はいかに!?】
「母の涙」
詳細情報
番組内容
財前(唐沢寿明)の医療過誤を問う裁判が始まった。第1回の証人尋問には大河内教授(品川徹)と佃(片岡孝太郎)が出廷。大河内の「臨床医の自覚に欠けている」という一撃は、財前側を震撼させた。鵜飼(伊武雅刀)は、3回目に証言する里見(江口洋介)に、海外シンポジウムの話を持ち掛け出廷できないように画策するが里見の意志は固い。
番組内容2
2回目の証人尋問では、柳原(伊藤英明)が、カルテ改ざんを関口弁護士(上川隆也)に問い詰められ・・・。
出演者
唐沢寿明
江口洋介
黒木瞳
矢田亜希子
水野真紀
沢村一樹
片岡孝太郎
伊武雅刀
若村麻由美
西田尚美
野川由美子
池内淳子
かたせ梨乃
伊藤英明
石坂浩二
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子
【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行
【プロデューサー】
高橋萬彦
川上一夫
【演出】
河野圭太
【音楽】
加古隆
【主題歌】
「アメイジング・グレイス」ヘイリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:38027(0x948B)