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 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を記事で傷つけたとして罪に問われた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対し、ソウル中央地裁は17日、無罪判決を言い渡した。この裁判は、報道の自由を脅かすとして国際的な批判を浴びていた。

 問題になったのは、産経新聞のウェブサイトに昨年8月に掲載された「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題した記事。事故当日に朴大統領が元側近の男性と会っていたという「うわさ」を紹介した。

 記事を書いた加藤氏はインターネットを使った不正行為を規制する情報通信網法違反(名誉毀損(きそん))の罪で昨年10月に在宅起訴された。公判では、加藤氏に朴大統領の名誉を傷つける意図があったかどうかが最大の争点になった。

 検察側は、加藤氏は「うわさ」が虚偽だと認識しており、記事の表現などから名誉を傷つける意図は明らかだと主張した。記事に公益性はなく、取材を十分にしておらず、真実だと信じるに足る相当な理由もないと指摘。懲役1年6カ月を求刑していた。

 これに対し、加藤氏側は「うわさ」が取りざたされる政治や社会の状況を紹介するのが記事の目的で、公益性があると反論した。名誉を傷つける意図はなく、無罪を主張していた。(ソウル=東岡徹)