遺産争族 #8 2015.12.10


(河村育生)僕に遺産の全てを譲ると遺言を書き換えてください!
(河村恒三)最初から育生くんに渡すつもりはなかった。
遺産を引き継ぐ以上病院は…辞める事にしました。
(佐藤華子)医者を辞める!?
(河村凜子)そこまで考えてたとはね…。
楓…別れなさいよ!
(河村楓)育生とは別れない。
育生が遺産を相続するならありがたーく頂いて2人で贅沢して暮らしたいわ。
おじいちゃん。
ありがとうございます。
僕が遺産を相続すると決まった以上大切に守っていきます。
ついてはお聞きしたい事があります。
一体財産はどれくらいあるんでしょう?どれくらいって…。
これまで引き継いでほしいと言われてきましたが…。
実際にどれぐらいあるのか伺った事はありませんでした。
僕は貧乏に育ったので見当もつきません。
一言じゃ言えんさ。
子供の貯金じゃないんだ。
一代で会社を興し都内に家を持ち財産を作り…。
全ておじいちゃんが頑張ってきた結果です。
でもそれだけに相続が発生すれば莫大な相続税が襲ってきます。
今から備えなければこの家だって売らなければならなくなります。
それにカワムラメモリアルの株を引き継ぐなら僕も経営に加わりたいと思います。
遺産の全容をしっかりつかんでおかなければなりません。
おい…。
そう遺産遺産と言うな。
まだ死んでないんだ。
でもおじいちゃんが言ったんですよね。
相続は生きてるうちに始まってるって…。
うん…。
わかったよ。
少し時間をくれ。
まとめておく。
迅速にお願いします。
迅速…?
(華子)あんなの育生じゃない!私はね苦労はしたけど人様のお金をあてにするような子に育てた覚えはない!はい。
医者を辞めるなんて…。
楓さんなんとかして…!育生を元に戻してください…!お義母さん!ごめんなさい出来ません。
あんた妻でしょ!女房だったら夫をたしなめて正しい道に導くべきでしょ!私はどんな育生さんでもついていきます。
何を的外れな事言ってるのよ!もう…!育生はね河村家に入ってからあんな金の亡者みたいになっちゃったのよ!責任取りなさいよ!
(凛子)もう別れさせるしかないわね。
うんそれしかない。
お姉ちゃん早く離婚させてよ。
育生の奴このうちから追い出して!そんな事言われても…楓は絶対に別れないって。
(凛子)馬鹿よね〜。
男見る目がないわ。
そんなふうに言わないで。
楓に罪はないわ。
だまされたのよかわいそうに。
人質に取られたのよ。
それでも母親なの?娘一人言う事聞かせられないなんて。
あんただってマーくんを引き止められなかったじゃないのよ。
(月子の泣き声)やめなさい!ここで文句を言っていても始まらない。
どうすべきか真剣に考えないと。
真剣よ!ねえ!当たり前じゃない!そうだろうか。
みんなその場その場の気持ちや欲に突き動かされて幼稚な争いをしてきたんじゃないか?私も例外じゃないが…。
どうしちゃったの?お義兄さん。
離婚を前にしたら河村家を引いた目で見る事が出来た。
実の娘たちを差し置いて孫の婿が全ての遺産を相続する。
そんな遺言聞いた事ない。
これは異常事態だよ。
このままじゃ丸ごと河村家を乗っ取られるかもしれないね。
(月子)のんきな言い方しなさんな。
そんな事させるもんですか!お父さんが死んだらあんな遺言ね無効の訴えを起こしてやる。
私たちには遺留分があるんだから。
(陽子)待って!裁判なんかしたら楓はどうなるの?人質を取り戻すためにもやるのよ。
娘と争うのは嫌よ。
闘う時は闘わなきゃ駄目なんだってば!まだわからないんですか?
(恒三)我々が争っていれば勝てませんよ。
相手は闘わない男です。
(恒三)お父さんの目を覚まし楓の目を覚まし育生くんに出ていってもらうなら手を携えるしかありません。
お義母さんショック受けてたよ。
だろうな。
いいの?ほっといて。
うん…。
そっちこそ本当にいいの?何が?金目当ての旦那と別れなくて。
お金より大事なものなんてないでしょ。
そのとおり。
ねえ!ハネムーンの計画でも練らない?ああ〜世界一周で豪遊といくか。
ああ最高!ミラノにベニスにバルセロナ!うわあ100万はかかりそうだな。
ノーノーノー。
ファーストクラスなら300万…。
いや…2人で1千万はいくかも…。
フフフ…。
この世に変わらないものはない
時は止まらず水は流れ花は必ず枯れる
赤ん坊はやがて老人になり愛は冷める
だから人は変わらぬ価値を求めて金を手に入れようとするのだろう
絶対に金は天国へは持っていけないと知っているのに…
(金沢利子)当たり前ですよ。
高価な餌を目の前につるされたら誰だって心変わりします。
会長ともあろうお方が育生さんだけは違うとでも?
(利子)惜しくなりましたか?10億の資産を作るのにどれだけ苦労したか知ってるのか?失礼ながら10億もございませんよ。
会長は不動産や会員権など購入時の価格で6億円と記入されましたがバブル期に購入された別荘やオーバールックカントリー倶楽部の会員権は当時の5分の1以下の資産価値になっています。
売買するともっと下回るでしょうね。
それからこちらに書いてある預金2億円は間違いないですか?お預かりした委任状で会長のお取り引きのある銀行に確認したところほとんど預金はありませんでした。
一体どちらにお預けですか?金庫だ。
金庫?2億円も金庫に入れてるんですか?ばあさんが死んだ時銀行に預けた金が凍結されて引き出せなくなったんだ。
頭にきて私の預金はあらかた引き揚げて金庫に入れたんだ。
無論家族には言ってない。
先生どうしたらいいんだ?このいたいけな年寄りに知恵を授けてくれんか。
また遺言を書き直すしかありませんね。
えっ?
(利子)こちらは会長がこれまでに書いた遺言書です。
15年前娘さんたちに平等に配分したもの。
1カ月前医療団体に寄付すると定めたもの。
そして現在有効なのは最新のこちら。
全てを育生さんに譲ると書いたもの。
私も男だ。
そう何度も何度も遺言は書き換えられない。
今さら男も女もないでしょう。
それにもうどう書いていいかわからないんだよ。
誰に何をやったところで私に感謝なんかしない!もめるだけだ。
だったらもう相続させるという考えをやめてはいかがですか?相続をやめる?
(利子)そうです。
自分で使ってしまうのです。
自分で?会長は分けるのに悩むほどの財産をお持ちなのにお金持ちとは言いがたい生活です。
(龍太郎)贅沢は敵だと教えられて育った世代なんだよ。
(利子)今からでも遅くありません。
叶えたかった夢の1つや2つあるでしょう。
(利子)人生は1回きりですよ。
夢…。
(吉沢貴志)会長が育生さんに全てを譲る!?
(吉沢)それつまり会社の株もですか?そうなるな。
確か52パーセントでしたね。
って事は会長が亡くなれば育生さんが会社の経営権を握る。
ええ…?実は私は会社を退く事を考えていた。
カワムラは同族企業だ。
奥様と離婚されるからですか?しかし素人の育生くんが会社の経営に関わるような事になればカワムラを危機にさらすことになる。
それだけは避けなければならない。
協力してくれるね。
社長…。
君が会長派なのは知っているよ。
だが会長はもはや正常な判断力を失っている。
下の子供はまだ小学生だったね。
会社が傾くのは困るだろう?
(ノック)
(南リエ)社長お見えになりました。
君今取り込み中だよ。
いや私が呼んだんだ。
失礼します。
よく来たね。
彼はカワムラの仕事に興味があるらしい。
教えてやってくれ。
サッちゃん箱入り娘にして悪かったな。
夢に付き合ってくれるか?
(利子の声)叶えたかった夢の1つや2つあるでしょう。
自分で使ってしまうのです。
(陽子)お父さん?おうちょっと待って。
(陽子)お父さん入るわよ。
(龍太郎)はいはい。
なんだ?誰かと電話?いや母さんと話をしてた。
じゃあ私も。
(龍太郎)おい。
遺産の話なら聞かんぞ。
ひどいわ。
お父さん。
うん?離婚したいと思った事ある?うん?私恒三さんに離婚したいって言ったの。
なんで今さら…。
今さらだからよ。
ずっと我慢してきたの。
どんなにののしられても冷たく扱われてもお父さんに勧められた縁談だったから…。
そりゃまあ…いけ好かん奴だが…。
(陽子)離婚なんてやめたほうがいいのかな…。
この間恒三さんに叱られたのよ。
私たち姉妹は醜く争うばかりで大事なものは見ていないって。
今私の事叱ってくれるの恒三さんくらいよね…。
どうしてこうなっちゃったんだろう…。
自分で考えろ。
どこ行くの?散歩だ。
今日はもう上がります。
はーい。
(龍太郎)いい尻だな。
おじいちゃん!久しぶりじゃないここに来るなんて。
うん。
プロにちょっと聞いてみたい事があってさ…。
なあ競走馬買うんならどこがいいのかな?馬主になるの?いやいや友人に頼まれてさ。
おじいちゃん友達いたんだ。
そりゃいるさ。
リッチな友人がな。
フフフ…。
う〜んもし買うなら北海道の日高がいいと思う。
北海道か…。
なあ馬主になるにはいくらぐらいかかる?良血馬だと1億円。
年間の維持費が700〜800万くらいかな。
おじいちゃんも買えば?えっ?昔欲しがってたじゃない。
うわあすごい!どうだ?かっこいいだろ?うん!
(矢幡正春)じいじ僕にも馬買ってよ。
駄目だよマーくん!馬はすごく高いんだよ!えーっ欲しい!ねえ買ってよ。
(龍太郎)いつか本物のお金持ちになったら買うさ。
本物のお金持ち?
(龍太郎)うん。
馬っていうのは賢いからね本物の人間しか相手にしないんだ。
(楓の声)あの時のおじいちゃんはかっこよかった。
だから私この仕事にしたの。
そうか…。
どの子か乗ってく?いやまたにする。
じゃあ…。
うん。
(読経)誰も来ませんよ。
ご主人の希望で立派な祭壇を組みましたが親戚とも近所とも付き合いがなかったそうです。
(相川裕也)喪主の方に続いて3列でご焼香をお願いします。
我々が弔問客です。
(読経)
(吉沢)喪主の方がご満足されるまで我々でご焼香を続けるようにとの社長の指示です。
(吉沢)2周目いきます。
(恒三)いい葬儀だったそうじゃないか。
いや…弔問があんなに難しいとは思いませんでした。
(吉沢)本気で故人に頭を垂れ冥福を祈る気持ちを持てるかどうかですよ。
なかなか先生先生と言われてきた人には難しいでしょうがね。
葬儀社はそこに始まりそこに終わる。
失礼ですがお義父さんもそこから始めたんですか?
(亀山まるみ)知らないの?社長は手配だけではなく納棺や当日の進行までやったのよ。
それで会長に認められて娘婿にって言われたんですって。
いや信じられないな。
君が信じようが信じまいが私は亡くなった方の名前顔どんな葬儀だったか全て覚えてるよ。
そうです。
社長はその蓄積を生かして個人のニーズに合ったオーダーメイドの葬儀を提唱なさってきたんです。
死のエキスパート。
でもこれからはそういうのあまり必要ないんじゃないかな。
最近は亡くなった患者さんを病院からそのまま火葬場へ運ぶ直葬が増えています。
死を過剰に悲しまず当たり前の事としてとらえるというか…。
今後は家族葬や密葬すらしない時代がやってくるんじゃないでしょうか。
だから?インターネット葬儀とか…。
葬儀の簡略化に対応したサービスを考えたほうがいいんじゃないかと。
(まるみ)面白い!私なんて死に顔人に見られるのは嫌だからネット葬儀ありだわ。
確かに斬新ですね。
葬儀に斬新さなどいらない!人の死を簡単に扱うようになったら日本は終わりだ。
冠婚葬祭には絆が必要なんだ。
何かおかしいのか?いえ…。
おじいちゃんみたいな事をおっしゃるなあと思って…。

(陽子)はい。
ごちそうさまでした。
(陽子)自分でお皿片付けてくださる?体が重くて…。
…はい。
そりゃ具合も悪くなるわよね。
私も食欲ないもん。
育生さん私のもついでにお願い。
はい。
育生いいよ。
私まだ時間あるから行って。
いや俺がやるよ。
慣れてるし。
こんなの安いもんよね。
はい。
ああそう。
じゃあついでに掃除もしてもらっちゃおうかな。
凛子さんも姉に任せっぱなしじゃなくて少しは働いたほうがいいんじゃないですか?私は休暇中だもん。
一生そう言ってるんでしょうね。
ちょっと…。
何が言いたいわけ?時間を無駄にしないほうがいいですよ。
夕飯は外で済ませてくるのね。
お姉ちゃんあんたのご飯作る元気なんてないから。
わかりました。
楓今夜は待ち合わせて外で食べよう。
オッケー。
どうせならゴージャスなディナーで豪遊しよう。
うん。
あっお義母さん。
お大事に。
はっ…!はあ…はあ…。
育生さん私を殺したいの?まさか…。
ずっと胸に石が詰まっているような感じなの。
私ももう年だからこのままじゃいつ何が起こるかわからないわ。
それは大変ですね。
脈は正常なようですね。
貧血の傾向もなし。
心身症による心臓神経症かもしれません。
病院で受診してくれたら詳しく検査をしてお薬をお出しします。
結構ですよ。
原因は離婚問題じゃないですか?お義父さんと離婚されるとおっしゃっていましたがなかなか実行に移されませんね。
あなたに指図される事じゃないわ。
離婚は様々なライフイベントの中でも精神科によるストレス指数ではトップクラスといわれています。
別れると決まったパートナーと一緒に暮らすのでは心も休まらないでしょう。
早く決断されたほうが…。
健康のためにはいいかもしれません。
(凛子)お父さん入るわよ。
ちょっと待て。
(龍太郎)なんだ?もう…!
(鈴の音)どうしたんだ?育生さんにタダ飯食いみたいに言われた。
そのとおりじゃないか。
ひどいお父さんまで!あのさ私は河村家が一大事だから残ってるんだよ。
実はさ向こうに好きな人いるのよ。
お金のない役者の卵でね…。
私が援助してるの。
またその手に引っかかってるのか。
(凜子)お母さんがさ早くに死んじゃったでしょ?お姉ちゃんたちに比べて愛をもらえる時間が少なかったから私を求めてくれる人に弱いのよ。
はあ…。
でも迷ってんだよね。
向こうに帰ってもずるずるになっちゃうしなあと思って…。
(凛子のため息)どうしたらいいんだろう…。
いや自分で答えを出すしかない。
(ため息)
(凜子)「ごめーん!」どうしたのよ?絶対に謝らない人が。
「お父さんにさ悪魔の本性を訴えようと思ったらなんかつい泣き言言っちゃった」何やってんのよしょうがないわねこの大切な時に。
(凜子)「だってさ育生さんさ…」私にすっごいさひどい事言うんだ…うわっ!
(月子)「何?どうした?」えっ…?お父さんすっごい大きな金庫持ってんのね。
金庫…前から持ってたじゃないの。
昔より随分大きくなってるよ。
開けてみなさいよ。
えっいいのかな?いいも悪いもないから。
頑丈すぎるよこれ。
番号がわかんないと無理だよ。
何が入ってんのかしらね?あっとにかくぬかりなくお願い致します。
こちらも鋭意努力致しますので。
(月子)育生を担ぎ上げる?どういう事?
(吉沢)社長は陽子お嬢さんと離婚されます。
退いて頂くのが自然です。
そのあとに育生さんをお迎えしたいのです。
そんな…彼はど素人よ盗人よ詐欺師よ。
私はそう思いません。
なかなかの器です。
あなたまでだまされちゃった?先日育生さんがいらした際に経営面での弱点を鋭く指摘なさいました。
あの社長が感情をあらわにしたほどです。
私なりに会社の未来を考えました。
育生さんは若い。
先のない社長より無限の将来があります。
元医師という経歴もうまく使えば化けます!一緒にお迎えしませんか?
(テーブルをたたく音)
(月子)あり得ない!お義兄さんが社長を降りるんならあなたが社長になればいいわ。
私が後押しするって言ってるでしょ。
誠に申し訳ないんですがそのお話はお断りさせて頂きます。
えっ!?
(吉沢)お嬢さんに言われて社長になる自分を想像してみたんですが私は到底社長の器じゃありません。
誰かに従うのが向いてるんです。
私が育生の事追い出そうとしてるの知っててそんな事言うの?すみません。
いやーだー!私の事裏切るつもり?すみません!もう!謝ってくれなんて言ってないじゃない!ねえあなたにとって私って何?上司です。
カワムラメモリアルの常務です。
それだけなの?あれ?他に何か?
(叫び声)めまいがするの。
時間外ですが頭部CT検査は出来ます。
血圧お計りしましょう。
はい。
めまいはいつからですか?さっき。
食事は何をとられました?あんたのせいで何もかも失った。
何もかも?遺産だけじゃないわ。
マーくんは出て行ったし彼も去っていったの。
彼?私だけじゃないわお父さんもおかしくなってカワムラメモリアルもよ!楓と別れて!河村の家を出て行け!
(看護師)先生?ああ大丈夫です。
いや…本当に本当にうん。
うん大丈夫。
正春さんは失ったわけじゃないでしょ?出て行っただけじゃないですか。
30超えてんだからおかしな事じゃないですよ。
むしろ褒めてあげたほうがいいんじゃないですか?ここで少しお休みください。
看護師には言っておきますから。
(ドアの開閉音)
(機械音声)「ただいま電話に出る事が出来ません」「お名前とご用件をお話しください」もしもしマーくん。
「聞いてる?」マミーねよくわかんなくなってきた。
「マーくん本当に出て行きたかったの?」だったら教えて。
「マミーがうるさかったから?」「ごめんね」「もうマミーからかけないからね」お願いします。
どうぞ。
はいありがとう。
れい子ママいる?ああそれ前のママですよね?えっ…?うちオーナー変わりまして。
ああそう。
ふ〜ん。
あ…じゃあまあしょうがないよね。
しかしとりあえずドンペリで豪遊だ。
今日はねたくさん歩いたもんだから疲れてんの。
そんな無理しなくていいよおじいちゃん。
おじい…。
(ホステス)ちょっとひかるちゃん!すみません。
この子まだ日が浅いもので…。
(男性たちの笑い声)
(男性)やっぱりさお金は若いうちに使わないと意味ないよ。
年取ったら使い道ないもんね。
ここで豪遊か…。
だってまだ遺産をもらったわけじゃないもん。
だな。
えーっと焼き鳥とから揚げとあとポテサラ頼む。
(渡辺達哉)おう!ビールともずく酢コロッケもつ煮ください。
喜んで。
やったー!
(渡辺美香)お待たせしました。
ありがとう。
育生病院辞めるって本当?え?おばちゃん泣いてたよ。
ああ…。
何考えてんの?あんたも育生をどうしようっていうの?
(渡辺)おい夫婦の事に立ち入んなよ。
だって育生がどんどん嫌な奴になっていくのほっとけないよ!2人は2人の考えがあるんだよ。
(美香)どんな考え?じいさん死んで金もらおうって考え?美香!
(華子)美香ちゃんたっちゃんありがとう。
あとは私が。
よいしょ。
あんたたちこんなとこでご飯食べてていいの?お母ちゃんも食べなよ。
お義母さんもどうぞ。
どうぞって…河村のお宅はどうなってるの?いや別にどうもなってません。
そんなわけないじゃないの!これだから世間知らずは駄目なのよ。
皆さん恐ろしい顔で育生の事にらんでたじゃないの。
ごちゃごちゃ言ってないで好きなもの頼めって。
俺がおごるから。
金持ちぶるんじゃないよ!あ〜うまー!育生楓さんお母ちゃん反省した。
命よりも大事な息子を婿に出すんだからあんたがもらう分もらわなきゃ割が合わないと思ってた。
(華子)だけどあんたが壊れてそのせいで河村さんたちが壊れちゃったのを見たらお母ちゃん切なくてさ。
もうお金なんかどうでもいい!元の育生に戻って。
じゃないとこの先子供が出来たって育てるなんか出来ないよ。
お母ちゃんさ壊れてなんかないって。
俺は俺だよ。
それにうちがもめてるのは育生さんのせいじゃありません。
元々壊れてたんです。
(舌打ち)はいどうぞ。
ほら飲もう。
ばあさん…もうあれしかないな。
うん?だろ?よし…。
(凜子)万策尽きたって感じよね。
すっかりお父さんは洗脳されちゃってるし。
楓も人質に取られたまま。
育生さんもびくともしない。
あいつ殺したって死なないわよきっと。
うん。
ごめんなさい。
別にお姉ちゃんが謝る事じゃないんじゃないの?でも長女として情けなくて…。
(凜子)しっかりしてよ!私だって泣きたいのを我慢してんだから!こらっ!
(笑い声)
(3人の笑い声)
(凜子)やだなんかちょっとちっちゃい頃みたいだね。
そうそうほら私がさ小学校の時さいじめられて泣いて帰ってきたらさお姉ちゃんも凜子もさ怒ってくれたでしょ?
(陽子)なんだか久しぶりにあなたたちと笑ったわ。
パパ?争うなとは言ったがじゃれ合ってても仕方ない。
またぶち壊す。
まあ依然非常事態なのは事実よね。
どうすれば…。
手を携えても駄目なら法律の力を借りるしかないだろう。
育生。
好き。
本当に好き。
早く赤ちゃん欲しい。
(ドアの開く音)おかえりなさい。
ビックリした。
久しぶりだねおかえりなんて言ってくれたの。
ひふみよいつむなな。
よし。
うんこれで…。
(ノック)あ…。
(恒三)お義父さんよろしいですか?ちょっと待った。
(龍太郎)どうぞ。
失礼します。
恒三くんが私の部屋に顔を出すなんてよからぬ予感がするね。
お話があります。
ああそう。
ふ〜ん…。

(利子)お待ちしておりました。
えっ…先生まで。
一体なんなんだ?会長本日はお嬢さんたちと社長に聞いて参りました。
この遺言について異論があるため相続が発生する前に書き直しを要求したいそうです。
あんた私の弁護士だろ?会長のために同席をお許しください。
この遺言のためにご家族の関係が険悪になるのは弁護士としても本意ではありません。
わかった勝手にやれ。
では始めます。
遺産の全てを育生さんに譲る。
この遺言を書いたのは会長で間違いないですね?ああ。
次に育生さん。
あなたは相続が発生したらこの遺言を実行して遺産を相続する意志がありますか?もちろんです。
では長女陽子さん。
お父様に申し上げたい事を。
はい。
私は実の娘に1円も残さないなんて遺言は長女として恥ずかしく思っております。
改めてお願いします。
お父さんが亡くなったあと恨むような事はしたくないの。
どうか書き換えてください。
では次女月子さん。
私も遺言を書き換えてもらいたい。
だって河村家は家族みんなで会社を盛り立てて家を守ってきたんです。
私だって努力してきたわ。
これからもカワムラを守りたいの。
育生さんなんかじゃなくて私たちに委ねて。
お願いします。
三女凜子さん。
私はお姉ちゃんたちみたいに立派な事は言えないけどただ甘えたいの。
だって娘じゃない。
お父さんじゃない。
わがままとか贅沢言わせてよ。
それが本音。
たった一つの本音。
以上。
(利子)では次に陽子さんの夫である恒三さん。
お願いします。
私は同じ婿として育生くんに申し上げたい。
君は楓を幸せにするために河村家の婿に入ると言った。
しかしながら結局君は河村家に諍いを起こしている。
約束が違うじゃないか。
僕は約束を守っているつもりですが。
パパ私幸せだよ。
(陽子)楓目を覚まして。
幸せはお金じゃ買えないのよ。
(月子)そうよ。
人生お金だけじゃないのよ。
フフフ…。
だったら文句ないじゃないですか。
遺産なんかもらえなくても皆さんおじいちゃんに親孝行すればいいんです。
出来ないんでしょ?金をもらわなきゃ。
お義母さんも…月子さんも凜子さんも口ばっかりだ!みんな最低ですよ!極めつけはお義父さんです。
会社を再建し河村家を守ってきたみたいな顔をしていますが何も成し得ていない。
その証拠が離婚問題です。
あなたは一度でも離婚したくないと言いましたか?ご自分の本心をお義母さんに言いましたか?結局は見栄とプライドだけの俗物だ。
だから僕はカワムラの経営には無理があると言ったんです。
何がオーダーメイド葬儀だ。
冠婚葬祭には絆が必要なんて言ってるけど形ばっかり!河村家と同じですよ。
違う。
いい加減にしろ育生くん!
(龍太郎)この家は曲者揃いかもしれん。
だがな陽子も月子も凜子もかわいい娘だ。
そして恒三くんは私の大切な婿だ。
カワムラメモリアルの有能な社長だ!あれ?あれ?だったらどうしてそんな大切な家族をないがしろにするんです?おじいちゃん何度も言ったじゃないですか。
家族だからやりたくないんだ。
娘たちはもらうのを当たり前だと思ってる。
癪に障るじゃないか。
(龍太郎)私が稼いだ金だぞ。
もらうのが当然だってそんな顔して…。
それは…。
寂しかったんだ。
会社を退いてから家族も…会社の連中も誰も相手にしてくれなくなった。
ポツンと1人残されてただ死ぬのを待つだけの毎日。
このまま人生終わるのかと思うとどうにも寂しくてな。
みんなに振り向いてもらいたい。
金をちらつかせれば絶対みんな私を無視出来ない。
そう思って…。
(陽子)もうやめて!お父さんからそんな話聞きたくない!情けないよ!それでもカワムラの創業者なの?それこそさ自分で絆ぶった切ってるじゃん!すまんみんな。
許してくれ。
おじいちゃん…。
先生遺言書全部貸してくれ。
はい。
これまでの遺言書間違っていた。
破棄する。

(笑い声)
(笑い声)
(陽子)何がおかしいの?すっかりやられたね。
これで思いどおりか?えっ何?憎まれ役ですよ。
敵がいればみんながまとまるからね。
育生くんはジョーカーを演じてこの家のみんなを改心させようとしたんだよ。
(凜子)えっ…それで遺産をくれって言ってたわけ?私たちだまされてたわけ?じゃあ楓はそれを知ってて合わせてたの?私は…どんな育生にもついていくって決めてただけ。
一度決めたら変えないよ。
(恒三)茶番だね。
馬鹿馬鹿しい。
茶番でもよろしいじゃないですか。
皆さんは久しぶりに力を合わせた。
会長はご自分の愚かさを認め本心を語る事が出来た。
そんないいもんじゃありません。
僕はみなさんに仲よくなってほしいなんて甘い事考えたわけじゃありません。
じゃあなんなんだ?言いなさい。
僕は…。
ん?ねえなんか焦げ臭くない?
(凜子)あっ本当だ。
あれ?お父さんの部屋のほうじゃない?
(陽子)御仏壇じゃないの?
心と心が通い合い万事解決めでたしめでたし…となるのはおとぎ話の世界だけ
人間の世界はそう甘くはない
ひとたび争族と化した一家がそう容易にハッピーエンドを迎えるわけがないのだ
欲に振り回された彼らが見つけたのは金なのか愛なのかはたまた本物の家族なのか…
災いを転じて福をなすとなりますよう祈るばかりである
まことにご愁傷さま
無理!出られない。
すぐそこまで火が来てます。
(龍太郎)金庫に大切なものが…。
育生!すぐ行く。
わしの80年…。
危ない!下がって!駄目だ!2015/12/10(木) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
遺産争族 #8[字]

遺産を争う家族に“ムコ入り”した育生(向井理)。金を巡る骨肉の争いが「家族」の本当の姿をあぶりだす!果たして遺産は誰の手に?愛憎にまみれた新しいホームドラマ誕生

詳細情報
◇番組内容
  
◇出演者
向井理、榮倉奈々、余貴美子、室井滋、板谷由夏、鈴木浩介、堀内敬子、真飛聖、渡辺いっけい、岸本加世子、岸部一徳、伊東四朗
◇脚本
井上由美子
◇演出
松田秀知、常廣丈太(テレビ朝日)
◇音楽
沢田完
◇主題歌
いきものがかり『ラブとピース!』(EPICレコードジャパン)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】内山聖子(テレビ朝日)
【プロデューサー】服部宣之(テレビ朝日)、峰島あゆみ(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、池田禎子(ザ・ワークス)
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/isansouzoku/
☆Twitter
 https://twitter.com/isan_sozoku
☆Instagram
 https://instagram.com/isan_sozoku/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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