【インサイト】今、日本が熱い-新興市場より有望な3つの理由
2015/12/17 09:03 JST
(ブルームバーグ):安倍晋三首相はデフレに対する勝利を宣言することは少なくとも現時点ではできないが、新興市場に行くはずだった資金を日本に集めることには成功した。
日本が投資家を引き付けたのは、高利回り資産をめぐる世界的な波乱の逃避先としてばかりではない。本物の企業利益拡大と効率的な資本活用が投資を呼び込んでいる。通常は高成長中の発展途上国で見られるような株主資本利益率(ROE)に、手が届きそうになっている。
投資家がこれに気付かないはずはなく、今四半期には日本株に外国人投資家の資金が約130億ドル(約1兆6000億円)純流入した。ブルームバーグがモニターする大半の市場では純流出だった。
2016年にはもっと期待できる理由が少なくとも3つある。1.日本は資源輸出国でない、2.ドル建てで借り入れることは通常ない、3.米金融当局を恐れる理由がない。
最初の2つだけでも極めて大きな優位性だ。新興国のように中国を原因とした商品相場急落の影響を受けないし、下がる自国通貨でドル建て債務を返済しなくてもいい。ドル建てで借り入れないので米国の利上げを恐れることもない。
2012年の安倍政権発足以降の29%の円下落は輸出企業の利益を押し上げる。トヨタ自動車やホンダ、日産自動車、ファナック、任天堂など日本企業120社ほどが、売り上げの75%以上を海外で得ている。円安はこれらの企業に追い風だ。
MSCI日本指数は今年に入って5%上昇した。MSCI新興市場指数より約18%割高な水準だが、日本銀行がインフレ目標の達成を急ぎ金融緩和を拡大すれば、後で振り返ると今の割高さなど取るに足りないものになるかもしれない。
原題:Japan Looks Hot as Investors Flee Emerging Markets: Gadfly(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Andy Mukherjee amukherjee@bloomberg.net
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更新日時: 2015/12/17 09:03 JST