Updated: Tokyo  2015/12/17 13:05  |  New York  2015/12/16 23:05  |  London  2015/12/17 04:05
 

FOMC声明:経済情勢は「緩やかな利上げ」に限って正当化する

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  (ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)が16日に発表した声明は以下の通り。

10月の前回会合以降に入手した情報では、経済活動は緩やかなペースでの拡大が続いていることが示唆された。家計支出と企業の設備投資はここ数カ月、着実なペースで増加し、住宅セクターは一段と改善された。ただ純輸出は軟調な状態が続いた。雇用の伸びや失業率の低下を含め、労働市場に関する最近の一連の指標は一層の改善を示しており、労働力の活用不足の度合いが今年の早い段階以降に目に見えて小さくなってきたことを裏付けている。インフレ率は委員会の中長期的な目標である2%を下回る水準が続いている。これはエネルギー価格の下落やエネルギー以外の輸入品の値下がりを一部反映している。市場に基づくインフレ調整指標は引き続き低く、調査に基づく中長期的なインフレ期待の指標は一部でやや低下している。

連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は現在のところ、金融政策スタンスの漸進的な調整により経済活動の緩やかなペースでの拡大が続き、労働市場の指標は引き続き力強さを増すと見込んでいる。国内と海外の情勢を考慮すると全般的には、委員会は経済活動と労働市場の双方の見通しに対するリスクは均衡していると考えている。エネルギー価格と輸入価格の下落による一時的な影響がなくなり、労働市場が一段と力強さを増すのに伴い、インフレ率は中期的に2%に上昇していくと見込まれる。委員会はインフレの動向を引き続き注視していく。

委員会は、労働市場の状況が今年に入り相当な改善を見せていると判断しており、インフレ率が中期的に目標の2%に上昇していくとの合理的な確信を得ている。経済見通しを考慮し、また政策行動が将来的に経済に効果を与えるまでにかかる時間を認識した上で、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25-0.5%のレンジに引き上げることを決定した。この引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率の2%への回復を支えていく。

FF金利誘導目標の今後の調整の時期と規模を判断する上では、委員会は最大限の雇用確保と2%のインフレ率達成に応じた経済情勢を現状と予測の面から精査する。この精査では労働市場の状況を示す指標のほか、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融・国際情勢に関するデータなどさまざまな情報を幅広く考慮する。現在インフレ率が2%に達していない状況を踏まえ、委員会はインフレ目標に向けた進展を現実と予測の面から注視していく。委員会は経済情勢がもっぱらFF金利の緩やかな引き上げに限って正当化する形で改善され、FF金利は今後しばらく中長期的に有効となる水準を下回る可能性が高いと予想している。しかしながら、FF金利の実際の道筋は入手するデータに基づく経済の見通しに左右される。

委員会は政府機関債と住宅ローン担保証券の償還元本を住宅ローン担保証券に再投資し、米財務省証券の償還資金を入札で再投資する現行方針を維持する。また委員会はFF金利の水準の正常化がしっかりと軌道に乗るまでこの方針を続けると見込んでいる。委員会が中長期証券を相当な水準で保有し続けるこの政策は、緩和的な金融環境を維持する一助となるだろう。

このFOMCの金融政策に対し、イエレン議長、ダドリー副議長、ブレイナード理事、エバンス総裁、フィッシャーFRB副議長、ラッカー総裁、ロックハート総裁、パウエル理事、タルーロ理事、ウィリアムズ総裁が賛成した。

原題:U.S. Federal Open Market Committee Dec. 16 Statement: Text (抜粋)

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:ニューヨーク 森 茂生 smori1@bloomberg.net 翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先:山広 恒夫 tyamahiro@bloomberg.net 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク News Service Bloomberg newsservice@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Alex Tanzi atanzi@bloomberg.net; Kristy Scheuble kmckeaney@bloomberg.net

更新日時: 2015/12/17 06:37 JST

 
 
 
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