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 携帯電話料金の引き下げ策の検討を、安倍晋三首相が指示してから3カ月。総務省の有識者会議は16日にまとめた提言で、大手携帯会社にスマートフォンの低料金コースの新設を促した。だが、料金水準全体の値下げの目標額には踏み込まず、首相のいう「家計負担の軽減」を多くの利用者が実感できるかはわからない。

 大手の標準料金は軒並み月6千円を超える。人気は、電話代2700円(かけ放題)、データ代5千円(月5ギガまで)、ネット接続料300円、計8千円のコース。大手最安値は、auの計6200円のコースだ。報告書は、この水準を一律1千円ずつ引き下げるような具体的な目標を示さず、料金体系の微調整で対応できそうな内容だった。

 大手にとって低料金コースの新設は減収につながるが、データ量の多い動画を楽しむ習慣が普及するなかで、「選ぶ人は少ない」との見方も多い。アプリなど関連サービスの販売にも力を入れており、これで減収を補えるとの読みもある。

 報告書が求めた販売奨励金の抑制に成功すれば、経費削減にもなる。ドコモはすでに抑制に乗り出している。端末を扱う販売店の反発を考慮し、報告書では「実質0円」の即時撤廃は求めていない。通信業界に詳しいコンサルタントは「大手は1~2年かけて奨励金を減らし、浮いたお金を料金の値下げに回すだろう」とみる。利用者にとっては、端末の実質価格が値上がりすることを意味する。